目的:病院看護組織での目標管理の導入による効果を明らかにすることを目的とする.目標管理の効果の指標として,職務満足度・組織コミットメント・評価システムの知識(Perceived System Knowledge以下,PSKと略す)(Williams & Levy, 1992)を用い,目標設定の方法,目標達成度の高低,上司のフィードバックとの関係について検討する.
方法:目標管理を実施している公立病院3施設の入職後2~3年目の看護師222名を対象に自記式質問紙調査を行った.
結論:個人を照合した49名の職務満足度総得点は導入後得点比率が有意に上昇し,職務満足度の構成項目全てが上昇した.組織コミットメントは継続的コミットメントが有意に上昇した.PSKは上昇したが有意差はなかった.目標達成度を高群・低群で分析したところ,目標達成度高群の方がより職務満足度と継続的コミットメントに上昇がみられた.中でも専門職としての自律・看護師間相互の影響・職業的地位の項目が有意に高かった.目標達成度は目標が高めに設定され,わかりやすい目標に設定されたものが有意に高かった.さらに,上司のフィードバックが行われていた方が目標達成度は高かった.
以上より,目標管理の導入は職務満足度が高まり,目標達成度高群がより高まった.目標管理の導入は目標達成度の高低に関わりなく継続的コミットメントが高まり,離職せず勤務を継続しようという意思を高める効果があると考えられる.PSKが目標達成度低群に導入後有意に上昇したことは目標面接等目標管理の効果によるものと考えられる.目標達成度には上司のフィードバックが関連しているため上司にはコーチング技術の習得が必要であると考えられる.
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