目的:看護師達が日勤帯の90%以上の時間,病室内や入り口近くの廊下にいながら,看護業務を行うセル看護提供方式®実施下で,看護師がそばに長くいることに対する患者の認識を知る.
方法:2018年11月1日より12月1日の間,患者退院時アンケート調査を実施した.質問は7項目でLikert5件選択肢法を用い,積極的肯定:4,肯定:3,否定:2,積極的否定:1,わからない:0の回答方法とした.各項目の回答を分析し,性別,年齢,病棟形態の違いで2群間の統計学的検討を加えた.
結果:退院患者は1,608名で,537名より回答協力を得た.7つの質問項目の有効回答率は87.9%~96.6%であった.看護師がそばにいることで,ひとりになれない感じおよびプライバシーが守られていない感じは“ない”と回答したものがそれぞれ,83.2%,85.1%であり,セル看護提供方式®について多くの患者は肯定的な感じを持っていた.64歳以下と65歳以上の2群間で,そばにいる認識,安心感,仕事の態度,会話の穏やかさにおいて患者認識に統計学的有意差を認めた(p<0.05).性別,病棟形態の違いでは有意差を全項目で認めなかった.全室個室病棟群で積極的否定を選んだ者はいなかった.
考察:患者中心の細やかなケアが患者認識の向上をもたらす可能性が示唆される.
結論:セル看護提供方式®において,看護師が患者のそばに長くいることについて大多数の患者が,プライバシーの侵害などを感じず肯定的にとらえていた.
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