日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
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3 巻, 2 号
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論点:看護の価値を創造する
原著
  • ―家族の意思決定への支援―
    本道 和子, 須藤 直子, 内藤 千恵, 猫田 泰敏, 川村 佐和子
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 2 号 p. 28-38
    発行日: 1999年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    在宅療養に向けての家族に意思決定過程を分析し,それに対する支援方法を明らかにすることを目的に,2名の退院調整部門の利用者に対する退院調整過程を,家族の意思決定への支援に焦点を当て,経済的に分析し,以下の結果を得た.①利用者の意思が固まっている場合に,在宅療養を実現するためには,療養生活の支援者の意思決定が必要である.この場合の支援者とは家族介護者である.②意思決定に対する支援を必要とする家族とは,利用者の介護に対して責任を持つ家族構成員であった.③家族の意思決定に対する支援は,在宅療養生活の条件アセスメントと,それに対する情報提供によって構成されていた.④家族構成全員が納得する選択を行うには,それぞれが希望した生活方法について,受け入れ,それに対して複数の可能な療養方法を提示することで,家族による療養方法の意思統一を支援することが必要だった.

  • ―首都圏の病院の場合―
    野間口 千香穂, 山本 明美, 関島 英子, 佐々木 章江, 西 恵実, 松嵜 英士, 吉田 由美, 梶山 祥子
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 2 号 p. 39-51
    発行日: 1999年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    プライマリナーシングおよびモジュール型継続受持方式の運用状況を明らかにする目的で調査を行った.先行調査で把握した,首都圏において上記の看護方式を採用している42病院の255病棟の婦長を対象に1996年10月に郵送法による質問紙調査を行った.

    プライマリナーシングは37病棟,モジュール型継続受持方式は61病棟の婦長から有効回答を得た.両方式ともに種々の病棟で採用されていた.導入時期はプライマリナーシングは1986年,モジュール型継続受持方式は1995年が最も多かった.プライマリナーシングでは81.0%が他の看護方式を併用していた.そのうちチームナーシングと併用している病棟は46.7%,モジュール型継続受持方式との併用あるいは変更しつつある病棟は46.7%と同じ割合で,合わせると93.4%であった.モジュール型継続受持方式は77.0%の病棟が単独で運用していた.両方式ともに導入に対する反応に関しては,患者,家族,看護婦では70~80%が肯定的であり,医師に関しては約50%が肯定的であるとしていた.運用上の問題点として,プライマリナーシングでは「看護婦の資質・力量の問題」が,モジュール型継続受持方式では「看護婦の資質・力量の問題」と「業務遂行上の問題」が多かった.

    いずれも課題を抱えているが,おのおのの病棟で今後も継続していく方向性が確認された.

  • ―キャリア志向のタイプと形成時期―
    坂口 桃子
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 2 号 p. 52-59
    発行日: 1999年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    保健医療を取り巻く環境変化に伴い,専門性の高い看護ケアを提供できる看護職の育成が急務であり,効果的なキャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)が求められている.キャリア・ディベロップメントの根本問題は,個人のニーズと組織のニーズのマッチングにあるが,個人はお互いに異なっているし,組織も異なっている.そのうえ個人も組織も環境の変化に応じて変化するものであり,マッチングのプロセスは非常に複雑である.

    このようにキャリア・ディベロップメントは,微妙で曖昧な問題を内包していることを前提に,効果的なCDPを策定するうえで重要な手がかりを与えるであろう,キャリア志向について探求した.文献検討に基づきキャリア志向のカテゴリーは,シャインのキャリア・アンカーのコンセプトを援用した.看護職のキャリア志向にはどのようなタイプがあり,いつ形成されるのだろうか,1病院看護部の協力を得て調査を行った.その結果,看護職のキャリア志向には,「安定性」,「他者への奉仕」,「専門的・職能的能力」,「自律性」,「創造性と企業家精神」の5パターンが確認された.キャリア志向の形成は,多くの場合10年前後におよぶ実際の仕事経験を必要としていた.

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