平成6年4月に①患者の保険外負担の減少,②看護の質の問題の解決,を目的として付き添い看護解消の方針が出された.
では,付き添いを解消した病院では,これらの目的は達成されたのか? そこで,付き添い看護解消後の病院の看護を自ら経験し,看護の実態とそれらに影響する経営者や看護管理者にみられる要因を明らかにすることを目的とし,3つの病院で合計9週間調査を行った.
方法は,調査病棟で看護業務の参与観察と,病院経営者・看護管理者と調査病棟の看護要員全員の計57名に質問紙による半構造化面接を行い,事前に調査対象者の承諾を得,テープに録音し記述化・分析した.
調査の結果,看護職員の構成では,「看護職員に占める割合は准看護婦(士)が大半である」,「付き添い看護解消前からいる看護職員が多い」という特性があり,看護・業務内容では,「職員間の情報交換不足」,「多忙な業務」,「計画的な看護の不足」,「援助における主体的な判断の不足」,「職員間のチームワークが悪い」の5点が明らかになった.その結果,付き添い解消後の期間は短いとはいえ,解消目的のひとつである「看護の質の問題を解決する」についてはまだほど遠い状況であった.
次に,3病院の経営者・看護管理者に共通していたことは,職員の多忙さを問題視していないことであった.また,看護のレベルは低いと認識し,看護の質の向上を職員に要求はしても,そのための環境づくりや職員の教育背景に合わせた指導はしていなかった.
これらの経営者・看護管理者の姿勢は,看護職員から見れば自分達の意見が管理者に理解されていない,看護管理者の望むことは現状とは乖離している,という意識につながり,前述した看護の実態となってあらわれ,影響を与えてきたものと思われる.
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