日本サンゴ礁学会誌
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1999 巻 , 1 号
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  • 山里 清
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 日高 道雄, 宮城 淳
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    造礁サンゴの白化は、宿主のサンゴが十分な無機栄養を褐虫藻に供給できないために褐虫藻が逃げ出すことにより起こるという仮説を検証することを目的とし、飼育海水にアンモニウム塩やリン酸塩を添加することにより、高温にさらしたサンゴの白化を防ぐことができるかを調べた。アザミサンゴ Galaxea fascicularis の単離ポリプを、100μM NH4Cl又は10μM Na2SO4を含むろ過海水、および無機栄養塩を添加しないろ過海水中で、高温ストレス (32℃) 下で9日間飼育した。褐虫藻密度と単位面積あたりのクロロフィル量は、ストレス処理前に比べ、無機栄養塩添加の有無に関わらず、約1/2に減少した。この結果は、高温ストレスによる褐虫藻密度の減少は、宿主による無機栄養の供給が減少するためではないことを示す。
  • 土屋 誠, 平良 あゆみ
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ハナヤサイサンゴに同所的に共存するサンゴガニ類の種組成とサイズ分布の季節変動を調べ、複数のサンゴガニ類が共存する機構について解析した。すべての種の抱卵個体が通年存在したことから、6種とも年間を通して新規定着する可能性を示したが、実際には年間を通して定着すると予想される種 (カバイロサンゴガニ、カノコサンゴガニ) と、特定の時期に小型個体が認められなかった種 (サンゴガニ: 4-8月、アミメサンゴガニ: 2-3月) があった。クロサンゴガニの小型個体は7月と10月にのみ採集された。ハナヤサイサンゴの大型群体の中には1種あるいは2種のサンゴガニ類が生息しているものがあり、サンゴガニ類間での排他行動の存在を予想させた。一方では6種すべてが生息している群体もあった。種間関係において明確な順位の存在は確認されていないので、新規定着個体や移動個体は強力な競争者がいない時期に侵入可能であろう。これらのカニはハナヤサイサンゴ類を生息場所とし、ホストが生産する粘液を食物としているという特徴があり、極めて類似した生息環境を要求している。従って、1) 種によって異なった定着期を持つ、2) 排他行動は弱い、3) 小型個体と大型個体が同一サンゴ群体内で棲み分ける、等の特徴を有することにより共存可能になると考えられる。
  • 日高 道雄, 嶺井 勉
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    明条件下でサンゴの石灰化が促進される時間経過および光により促進された石灰化速度が暗黒下で低下する時間経過を調べた。アザミサンゴ Galaxea fascicularis より単離したポリプの石灰化および光合成/呼吸の速度を、照明下または暗黒下で毎時間測定した。サンゴは実験前15-19時間暗順応させた。明条件での石灰化速度は、暗条件の時より約4倍高かった。光により促進された石灰化は、サンゴを暗黒下に移しても直ちにはもとのレベルに戻らず、徐々に減少し、暗黒下に移して3時間後に46%に減少した。光合成による炭酸ガスの取り込みは、石灰化による炭酸ガスの取り込みより3.7倍速かった。50分間サンゴを照明すると、その後の暗黒下での呼吸が上昇した。光により促進された石灰化が暗黒下で直ちに減少しないことから、明条件においたサンゴ内には石灰化を促進する物質が蓄積しており、その物質がある間は暗黒下でも比較的高い石灰化速度が保持されると考えられる。
  • 土屋 誠
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 27-29
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 均, 市川 清士, 小林 都, 小林 孝, 星野 眞, 目崎 茂和
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Coral bleaching occurred at various places around the Ryukyu Islands in summer 1998. Several researchers have suggested links to high sea surface temperature. However, the observation of coral bleaching around Ishigaki-jima of the Yaeyama Island Group where the bleaching has been extensive since July shows that there was already a sign of the event during the Baiu rainy season.
    The study of corals on Ishigaki-jima presents the following:
    1) Coral bleaching was probably caused by the continued high sea surface temperature from July through September 1998.
    2) The corals had already been severely damaged by the sedimentation of red soil from the disturbed land surface during the Baiu season of the year which had nearly twice as much rainfall as normal year. The subsequent high sea surface temperature in summer contributed to accelerated bleaching.
    The observation of bleaching in moats around Ishigaki-jima in summer 1998 suggests that the progress of bleaching be divided into the following three time stages:
    1) Early stage: from around June 20 through early August
    2) Mature stage: from middle August through early September
    3) Final stage: from middle September through middle October
    The bleaching process divided by these stages is synchronous, with a time lag, with the seasonal change in sea surface temperature and the prevailing weather conditions in Okinawa.
  • 藤岡 義三
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1998年夏、南西諸島において造礁サンゴの白化現象が発生した。石垣島において大コドラート法 (10×10m) によるフィールド調査を行った結果、(1) 白化の範囲が広い、(2) 白化の程度が強い、(3) 白化に伴う死亡が顕著という、従来にはない際立った特徴が認められた。
    水深1~2mの浅い礁原上では、平均85.9~92.2%の造礁サンゴが白化し、影響の大きいミドリイシ類の死亡率は60.7~78.7%にも達した。白化被害は種や生息場所によって大きく異なっており、以下の4つのグループに分けられた。
    I. 白化率、死亡率とも高い (クシハダミドリイシ、オトメミドリイシなど)
    II. 白化率は高いが、死亡率は低い (コユビミドリイシ、エダコモンサンゴなど)
    III. 白化率、死亡率とも低い (リュウキュウノウサンゴ、ユビエダハマサンゴなど)
    IV. 白化率よりも死亡率の方が高い (エダセンベイサンゴ)
    今回の白化の主な原因は、夏季の高水温である。石垣港の月平均海水温は、過去85年間に、夏季0.7℃、冬季2.0℃上昇しており、このことが近年の白化被害の増大に影響しているという可能性が示唆された。
  • 澁野 拓郎, 橋本 和正, 阿部 寧, 高田 宜武
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    琉球列島、石垣島の礁原部において魚類及びサンゴ群集をトランセクト法により調査し、1998年夏に起こった大規模なサンゴ白化直後のこれらの変化を明らかにした。1998年7月以前はトランセクト上の基質はほとんどが生きたミドリイシ類だったが、1998年9月下旬までに生きたサンゴはほとんどみられなくなり、10月下旬までに死んだサンゴの骨格は糸状藻類で覆われた。サンゴ白化が起こった1ヶ月後の魚類群集全体についてみてみると、1トランセクト当たりの個体数、出現種数とも変化はなかったが、種多様性指数は減少した。魚類を食性グループに分けてみてみると、雑食性魚類、肉食性魚類の個体数はサンゴ白化前後で変わらなかったが、サンゴポリプ食性魚類の個体数は減少した。これとは対照的に、藻食性魚類、特にニザダイ類2種の個体数はサンゴ白化の1ヶ月後に増加した。サンゴ白化後の藻食性魚類、サンゴポリプ食性魚類の個体数の増減は底質の変化の違いに関係するものと思われる。ニザダイ類2種は藻類のバイオマスの増加に伴って周辺部から礁原部へと移動してきたものと推察される。
  • 谷口 洋基, 岩尾 研二, 大森 信
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Extensive bleaching of corals occurred around Akajima, Okinawa, in the summer of 1998. Bleaching was observed in a few corals in late July 1998, but by the end of August many pocilloporiid and acroporiid corals were bleached. The bleaching frequency, relative to total coverage of corals, at 15 sites (1.3-7.2m in depth) around Akajima ranged from 55.9 to 97.4% in late September 1998. We measured 2m x 2m quadrats at each site. Three out of 4 sites that showed over 90% bleaching were located in either a moat or inside of a bay, where water exchange was slow. One site was characterized by a dominant occurrence of branched corals of the genus Acropora. This group was more easily bleached than other morphologic groups around Akajima. Sea surface temperature over 30°C (normally about 28°C) was recorded for a month in August. This high temperature may have been a primary factor of the coral bleaching. Coral diseases caused by viruses or bacterial infection after bleaching were not observed. Geographical features, rate of water exchange, and composition of coral species seem to be responsible for the differences in extent of bleaching.
  • 土屋 誠
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1998年の夏、琉球列島のサンゴ礁で大規模なサンゴの白化現象が見られた。完全に白化したハナヤサイサンゴを採集して共生動物群集に対する影響を調査した。平常時に観察される6種のサンゴガニ類すべてが採集されたが、個体数は明らかに少なく、また1群体上に生息している種数も少なかった。共生種が全く認められなかった大型 (枝間の空間の体積が222cm3以上) の群体も多かったことは白化の影響が顕著であることを示している。通常、サンゴガニ類、サンゴテッポウエビ、ダルマハゼ類は雌雄ペアで生息しているが、白化した群体上では単独で生息している個体が多かった。サンゴガニ類は通年抱卵個体が認められるが、白化した群体上では抱卵個体の個体数は少なく、かつ抱卵数も少なかった。ミドリイシ類の共生種として知られているキモガニが白化したイボハダハナヤサイサンゴとヒメマツミドリイシから大量に採集された。
  • 茅根 創, 波利井 佐紀, 山野 博哉, 田村 正行, 井手 陽一, 秋元 不二雄
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 73-82
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Changes in living coral coverage along five transects on Shiraho reef and one transect on Kabira reef, Ishigaki Island, Ryukyu Islands were investigated before and after the 1998 bleaching event. The coverage of living corals after the bleaching decreased by 50% of their original values. Branching types of Montipora, Acropora and Porites were most severely bleached and their mortality was also high. Bleaching was intermediate to high for massive Porites whose recovery was better than branching corals. Heliopora coerulea was less susceptible to bleaching and mortality was low. Higher than 30°C sea surface temperature prevailed over the south sea of Japan, which induced higher than 30°C reef water temperature on the coral reef flat and resulted in coral bleaching.
  • 山里 清
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    瀬底島と沖縄島において1980年と1998年の2回にわたりサンゴの白化現象を観察した。1998年の出来事についての調査結果はまだ公表されていないが、1980年の筆者自身の報告 (Yamazato, 1981) と、1998年の個人的観察に基づいて、両者の比較を試みた。1980年の瀬底島 (日本、沖縄県) における白化現象は、局所的なもののようであったが、1998年の出来事は、琉球列島の全域や南九州に及ぶもっと広範囲にわたるものだった。1980年の夏には、日中の干潮時の礁原の表層温度は異常に高かった。1998年には、異常高温は、夏の長い期間にわたり、昼も夜も、礁原だけでなく礁外の海水にも及んだ。1980年には、サンゴ群体の40%が白化し、10%が死亡したが、白化した残りのサンゴは、1981年1月までには回復した。1998年には、同じ場所で、黙視観察によって約90%のサンゴが白化し、死亡したと推定された。これらにほかの観察結果も加えて、二つの白化現象を比較検討した。
  • 杉原 薫, 井龍 康文, 中森 亨
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 89-95
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    琉球列島では1998年に大規模な造礁サンゴ類の白化現象がおこった。われわれは、鹿児島県喜界島において白化に対する造礁性サンゴの耐性について詳細に検討した。その結果、ミドリイシ科のミドリイシ属とハナヤサイサンゴ科のハナヤサイサンゴ属の致死率が最も高かった。一方、ヤスリサンゴ科のアミメサンゴ属およびヒラフキサンゴ科のシコロサンゴ属は、白化の影響をほとんど受けていなかった。これらの結果は、これまでに他のインド・太平洋地域から報告されている結果とよく一致する。このような分類群による白化への耐性の違いは、各分類群の系統と関連していると思われる、すなわち、科レベルでは、出現した地質時代が古いものほど白化に対して強い耐性を有するのに対し、地質学的に新しい時代に出現したものほどダメージが大きいという傾向が読みとれた。また属レベルでは、白化に対して強い耐性を示したもののほとんどが、地球史の中でも温暖な時期 (温室期) に出現した可能性が大きい。
  • 黒木 智子, R. van Woesik
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1998年に沖縄でサンゴの白化が観察された。本研究では、白化時および白化以前のショウガサンゴの複数のサンプルについて、褐虫藻密度、クロロフィルa、c2濃度、そして褐虫藻の形態を調べた。白化現象の際に海水表面温度は31℃まで上がり、白化したショウガサンゴ群体では、1cm2あたりのクロロフィルa、c2濃度は減少し、透明な褐虫藻が有意に増加していた、白化したショウガサンゴ群体では、健康な褐虫藻は減少するが、透明な褐虫藻を含む褐虫藻密度は有意に変化しなかった。健康な褐虫藻が減少した分、透明褐虫藻が増加したと考えられる。ショウガサンゴの白化は、褐虫藻の排出ではなく、褐虫藻の色素の分解とそれに続く細胞の縮小によって起こると考えられる。
  • 西平 守孝, 比嘉 展寿
    1999 年 1999 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1998年夏、久高島の礁池においてもサンゴの白化が観察された。多くの種が白化した中で、塊状ハマサンゴ (主としてPorites luteaP. australiensis) に特徴的な白化のパターンが見られた。それらの幾つかの群体について、1998年10月、12月および1999年3月に白化後の経過を観察した。予想に反して、塊状ハマサンゴでは概して群体の基部で白化が著しかった。白化の程度は種や群体サイズ、あるいは単に水温では説明できそうもなく、Rowan et al. (1997) が示したように、群体の部位によるサンゴ+褐虫藻の環境への順応や褐虫藻の分化を考慮する必要が示唆された。
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