環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
7 巻, 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 神浦 俊一, 田島 裕子, 中原 武利
    1997 年 7 巻 3 号 p. 477-482
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気中のアニリンの分析法を開発した。大気試料をガラスビーズとTenax-TAを充填した捕集管に捕集し, TCT装置によりGC/MSに導入する。ガラスビーズとTenax-TAの使用によりngレベルでのアニリンの回収, 定量が可能となった。大気を10l採取した時の検出下限値及び定量下限値はそれぞれ4.6および15ng/m3であった。本法により実際の大気を測定したところ, 定量下限値以下であったが, アニリンが検出された。
  • ―HPLCによるフェニレンジアミンの定量―
    西村 貴司, 服部 幸和, 牧 定雄
    1997 年 7 巻 3 号 p. 483-487
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    有害大気汚染物質としての可能性が指摘されているフェニレンジアミン (PD) を吸収液捕集―HPLC法で分析する方法について検討した。排ガスを0.02%塩酸に捕集し, 定容後10μlをHPLCに注入し, ピーク面積により定量した。標準溶液の繰り返し分析精度は0.24~0.95%と良好で, 検量線も0.1~100μg/mlで直線性があった。室内空気240lを通気しても回収率は95.9~104%と安定しており, 定量下限は大気604の採取として65~77μg/m3であった。試料の保存性も良好で, アゾ染料製造工場の排ガスに適用したところ, m-PDが検出された。
  • 高橋 保雄, 西尾 高好, 森田 昌敏
    1997 年 7 巻 3 号 p. 489-494
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    水道水中のトリハロメタンをヘキサン抽出―GC/ECD法で定量した時, トリハロメタン以外にハロアセトニトリル, ハロアセトン, クロロピクリンが認められた。
    前駆物質は水道水中に存在し, 残留塩素と反応し, ハロアセトニトリル, ハロアセトンを生成していた。またこのハロアセトニトリル, ハロアセトンは配水・供給中にトリハロメタンに変化しているが示唆された。
    異なる前駆物質の場合には水道水のGCパターンは異なっていた。そこで, 業種別に消毒副生成物生成能を測定した。調査した水道水5ヶ所中, 2ヶ所の消毒副生成物は主に下水処理場, パルプ工場排水の由来であると推定された。
  • 高橋 保雄, 森田 昌敏
    1997 年 7 巻 3 号 p. 495-506
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    水道水中のハロゲン化消毒副生成物31種類を同定確認した。そこで, ハロゲン化消毒副生成物31種類と標準品が入手できたハロプロピオン酸3種類, 合計34物質のGC/ECDによる多成分系統分析法を確立することにした。そして, キャピラリーカラムGC条件, 抽出溶媒, pH値, 塩濃度について検討した。
    試料水中の残留塩素をアスコルビン酸で除去後, 硫酸または水酸化ナトリウムでpH値を6.0以下にし, さらに塩化ナトリウムで過飽和にして塩析した。ヘキサン抽出 (10ml×2) し, その後水溶液を硫酸で強酸性にして, MTBE抽出 (2.5ml×2+10ml) で, 両抽出液にハロゲン化消毒副生成物を抽出した。
    その内, 両抽出液に抽出された揮発性ハロゲン化消毒副生成物をキャピラリーカラムGC/ECDで定量した。またMTBE抽出液に抽出された不揮発性消毒副生成物はジアゾメタンでメチル化後, キャピラリーカラムGC/ECDで定量した。
    この分析法の回収率はクロロアセトアルデヒド以外の揮発性ハロゲン化消毒副生成物では75.6~118.0%であり, 不揮発性ハロゲン化消毒副生成物では79.6~142.0%であった。定量下限値はクロロアセトアルデヒドで0.2μg/l, それ以外の揮発性ハロゲン化消毒副生成物で0.1μg/lであった。またクロロ酢酸・α-クロロプロピオン酸で0.3μg/l, ジブロモクロロ酢酸で0.5μg/l, トリブロモ酢酸で0.7μg/l, それ以外の不揮発性ハロゲン化消毒副生成物で0.1μg/lであった。また変動係数は揮発性ハロゲン化消毒副生成物では3%以下, ジブロモクロロ酢酸では10%, トリブロモ酢酸では22%, それ以外の不揮発性ハロゲン化消毒副生成物では約5%であった。
  • 水戸部 英子, 田辺 顕子, 川田 邦明, 坂井 正昭
    1997 年 7 巻 3 号 p. 507-513
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    農業用排水路として利用されている河川水中における空散農薬のモニタリングを行った。その結果, 調査対象地域で空中散布された11農薬はすべて検出され, 流出率は0.2から9.2%と推定された。また, 空散農薬以外の農薬として除草剤が10農薬, 殺菌剤及び殺虫剤が7農薬検出されたがいずれも微量であった。
  • 森 康明, 辻 清美, 節田 節子, 後藤 純雄, 小野寺 祐夫, 松下 秀鶴
    1997 年 7 巻 3 号 p. 515-520
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    室内空気中アルデヒド類の測定におけるPFBOA法の有用性を2, 4-ジニトロフェニルヒドラジン法と比較することにより検討した。
    両方法により新築マンションの密閉状態での室内アルデヒド濃度を測定した。PFBOA法により得られた測定値はDNPH法によって得られた値とよく一致した。即ち, PFBOA法による測定値はホルムアルデヒドが31.2ppb, アセトアルデヒドが13.lppbであった。一方, DNPH法による測定値は, ホルムアルデヒドが30.8ppb, アセトアルデヒドが11.5ppbであった。
    DNPH法はGC-MSにより測定することができるが, その定量限界は, PFBOA法の定量限界よりも高い。それ故, PFBOA法は室内空気試料のアルデヒド類の測定に有用であることが認められた。
    室内空気試料中のアルデヒド濃度の削減効果についても検討した。換気はアルデヒド濃度を減少する効果があった。
  • 上堀 美知子, 岩崎 直人, 尾崎 元, 竹本 修明, 吉村 惠史
    1997 年 7 巻 3 号 p. 521-532
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    府下の要監視項目使用事業場に対して排出及び処理状況の実態把握のための調査を行った。調査項目は, ニッケル, ホウ素, アンチモン, モリブデン, トルエン及びキシレン等11物質である。
    これらの物質の排水濃度は事業場で大きく異なり, かなり広い範囲に分布していた。ニッケルについては指針値の50倍を超える事業場が調査事業場の3割以上あった。ホウ素, アンチモン, モリブデン, トルエン及びキシレンについても指針値の10倍 (予想される排水基準濃度) 以上の排水濃度が検出された。その他のクロロホルム等については指針値の10倍以下あるいは検出されなかった。
    処理方法はニッケルについては凝集沈澱処理が効果的な方法であるが, 処理効率にはかなりバラツキがあった。
    ホウ素は還元処理で, トルエンとキシレンは活性炭吸着で良好な結果が得られた。
  • 川田 邦明, 田辺 顕子, 水戸部 英子, 坂井 正昭, 貴船 育英
    1997 年 7 巻 3 号 p. 533-543
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    新潟県内の海岸に漂着した重油中に含まれるn-アルカン類31化合物, アルキルジベンゾチオフェン類8化合物, PAH類22化合物及びアルキルベンゼン類24化合物を同定した。そして, 重油の識別には, 各試料におけるC16~C40n-アルカン類, アルキルジベンゾチオフェン類, 分子量200以上のPAH類14化合物及びC4-アルキルベンゼン類10化合物の組成比の比較が有効であることがわかった。この手法により, 日本海で採取した重油1試料及び新潟県内の海岸に漂着した重油9試料のあわせて10試料について検討した結果, 漂着重油1試料を除く9試料は「ナホトカ」から流出した重油であることが確認できた。
  • 早川 和一, 木津 良一, 安藤 京子, 村橋 毅, 東 成見, 山本 茂樹, 長谷川 幸司, 中浜 慶子, 山下 克美, 松本 健, 後藤 ...
    1997 年 7 巻 3 号 p. 545-552
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    「ナホトカ号」から抜き取った重油, 環境試料 (大気, 漂着重油, 海水) 中の芳香族成分をGC/MS, 蛍光検出HPLCで定着した。重油からはベンゼン, トルエン, エチルベンゼン, キシレン, ナフタレン, アセナフテン, フルオレン, アントラセン, フルオランテン, ピレン, ベンツ [a] アントラセン, クリセン, ベンゾ [b] フルオランテン, ベンゾ [k] フルオランテン, ベンゾ [a] ピレン, ジベンツ [a, h] アントラセン, ベンゾ [ghi] ペリレンが検出された。
    大気中ベンゼン, トルエン, キシレン, ナフタレン濃度は有毒なレベルより遥かに低かった。しかし, モデル実験から重油流出直後はベンゼン, トルエン, キシレン, ナフタレン濃度は高いことが推定された。漂着重油中のナフタレン濃度は低下傾向が認められたが, ピレン, ベンゾ [a] ピレン濃度はほとんど同じであった。ナフタレンの減少は揮散のためと考えられた。また, 海岸砂中の多環芳香族炭化水素類の組成は漂着重油中のそれと類似していた。ベンゾ [a] ピレンの海水中濃度は低下傾向を示した。
    重油の変異原性, DNA損傷についても調べた。重油はSalmonella typhimurium TA98及びTA100株に対し間接変異原性を示した。また, 重油で処理するとヒトFL細胞中でp53遺伝子を活性化させることから, DNA損傷を引き起こすことが明らかとなった。
  • 後藤 純雄, 峯木 茂, 杉田 和俊, 遠藤 治, 村山 留美子, 内山 巌雄, 田中 基裕, 早川 和一
    1997 年 7 巻 3 号 p. 553-559
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ナホトカ号から流出し日本海沿岸に漂着した重油の汚染状況を把握するための調査研究の一環として, 平成9年1月16日に採取した漂着重油, ナホトカ号船首部分の重油および市販C重油中に含まれる多環芳香族炭化水素 (PAH) の分析及び抽出物の変異原性を測定した。その結果, 漂着重油のベンゾ (a) ピレン (BaP) 含有量は1984年に採取された東京都市部の土砂51試料の平均値の約1/4であることやその変異原比活性は同土砂の約4倍であることなどを認めた。
  • 劒持 堅志, 荻野 泰夫, 松永 和義, 森 忠繁, 緒方 正名
    1997 年 7 巻 3 号 p. 561-576
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    事故時等の油汚染に対応する目的で, スクリーニング分析法の開発とナホトカ号から流出した重油中に含まれる化学成分の同定と漂着過程における成分の変化等について検討した。
    揮発性成分の分析では, ヘッドスペース法を用いた各種石油製品中のマスクロマトグラムパターンの解析と同定を行い, 重油中には揮発性のアルキルベンゼン類が多数存在することを見いだした。
    水質及び大気中の微量揮発性成分の分析法では, SPME法が効果的であることを見いだした。
    高沸点成分の分析では, 5%含水シリカゲルクロマトグラフィーを用いた油種分析のためのクリーンアップ法及びパラフィン類と多環芳香族炭化水素類の分別法を確立した。
    重油成分については, 多環芳香族炭化水素類の定量を行うとともに, 漂着の過程で, 重油は水溶性の高いアルキルベンゼン類及び低分子の多環芳香族炭化水素類を失うことを見いだした。
  • 柴田 康行
    1997 年 7 巻 3 号 p. 577-593
    発行日: 1997/09/12
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The major compounds in crude oil and oil products as well as their analytical methods were summarized. A brief description of the production of crude oil and the refinery methods were compiled together with a summary of some of the toxicities of the aromatic compounds in the oil.
feedback
Top