在宅言語障害者へのケアは現在,非常に立ち後れた状況にある.老人保健法による事業は,現在ケアの保証されていない在宅言語障害者にも“言語リハビリ教室”という形で参加できる地域活動を保証する場となる可能性がある.筆者は保健婦およびソーシャルワーカーより相談を受けて,2ヵ所の言語リハビリ教室の創設と運営に関わる経験をした.本稿では在宅言語障害者の地域ケアの場での現状と言語リハビリへの要望に言及し,言語リハビリ教室開催と運営の実際について紹介した.運営にあたっては,(1) 言語リハビリ教室の目的は“言語障害を乗り越えて,より良い生活を送ること”であるという共通認識をスタッフ全員がもつこと,(2) 会の中にボランティアを積極的に導入すること,(3) 地域全体に言語障害者への理解を深めることを念頭におくこと,等が重要であった.さらに,現在言語リハビリ教室が抱える問題点,地域ケアスタッフとの連携の必要性を検討し,今後言語リハビリ教室が目指す目標について考察を加えた.
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