幼小児129名(男67名,女62名)244耳について,クリック音による聴性脳幹反応聴力検査(ABR)と同一症例の純音聴力検査結果を比較し,ABRの信頼性および限界を検討した.ABRは生後1ヵ月~12歳,純音聴力検査は2歳~12歳に施行された.ABR閾値は純音検査の会話音域聴力レベルと強い相関(相関係数0.92)が認められ,感音難聴,伝音難聴ともに,また年齢別ではABR検査時1歳未満も会話音域聴力レベルとの一致率が高く,有用性が認められた.聴力型による検討では,少数ではあるが低音障害型などに一致率の低いものがあり,ABRを施行した患児に対しては,CORや遊戯聴力検査の結果が得られるまで,言語発達も含めて追跡検査する必要があると思われた.またABR無反応群では,ほぼ全例が重度難聴であり,一致はみたが,聴覚活用の期待できる100dBHL台以下が58%と過半数を占めており,説明や補聴器のfittingには留意を要すると考えた.
抄録全体を表示