本研究では,(1)長音の意識,(2)長音を文字に対応させる能力が,健常幼児と発達障害児において,それぞれどのように発達するのかについて検討した.被験児は,年中から小1の健常児49名,発達障害児31名であった.以下のような知見が得られた.健常児では,長音の意識は年齢が上がるにしたがって形成された.一方,長音を含む単語の文字配列においては,各生活年齢群間で正答数に有意な差は認められなかった.また年中から小1にかけて長音部に何らかの文字または記号を挿入する必要性を認識しているが,適切な文字を挿入できない子どもがかなりいることが推測された.発達障害児の場合,長音の意識は理解語い年齢の上昇に応じて必ず形成されるとは限らない.また長音を含む単語の文字配列において長音部に適切な文字を入れて構成できるか,全くできないかに二分された.
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