口蓋裂を伴ったRobin sequenceの一卵性双生女児の口蓋形成術後の構音習得過程を6年間観察した.両者は,同一環境に育ち,口蓋の形態,術式,術者,言語管理も同様に行ったが,精神運動発達,言語発達の遅れや聴力,鼻咽腔閉鎖機能に問題が残り,両者の構音習得に差が認められた.発達は,第1子が軽度遅滞でバランスが悪く,第2子は境界域であった.両者とも滲出性中耳炎による軽度伝音性難聴があり,軽度鼻咽腔閉鎖不全であった.構音は,第1子が声門破裂音を習得したが,第2子は子音の弱音化のみにとどまった.このような構音習得の差については,両者にみられた軽度鼻咽腔閉鎖不全が,第1子では軟口蓋が不安定な閉鎖運動であったのに対し,第2子は弱いながらも一定した動きであったことによると推測された.さらに,発達経過で示された個々のパーソナリティの差も影響を及ぼしたと考えられた.
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