産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
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6 巻, 1 号
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原著
  • 猪熊 壽, 堀内 雅之, 古林 与志安
    2015 年 6 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/12/02
    ジャーナル フリー
    臨床的に牛白血病を疑ったものの,牛白血病ではないと確定診断されたホルスタイン種乳牛11症例の臨床所見を回顧的に整理した.11症例は体表リンパ節腫大あるいは体腔内の腫瘤触知により牛白血病との鑑別診断が必要であったが,病理解剖により乳房炎,子宮蓄膿症,膿瘍,肺炎,腸炎またはアミロイド症と診断された.牛白血病ウイルス(Bovine leukemia virus: BLV)抗体陽性を呈した4頭のうち,リンパ球増多症を呈したものが2頭であった.またこれら2頭のうち1頭はリンパ節細胞診でも大型リンパ球優勢であった.しかし,血清チミジンキナーゼ(Tymidine kinase: TK),総乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase: LDH),LDHアイソザイム2および3の活性値は4頭とも基準値以内であり,牛白血病発症は否定的であった.BLV抗体陰性牛7頭のうち,リンパ節細胞診を実施した2頭は小型リンパ球優勢であり,また,リンパ球増多症を呈した症例はいなかった.1症例では血清TK活性値が基準値をわずかに超えており,また,他の2頭は総LDH,LDHアイソザイム2および3の活性値がいずれも基準値を超えていたが,他の検査項目は牛白血病について否定的であった.腫大リンパ節の細胞診,リンパ球数算定,血清TK,総LDH,LDHアイソザイム2および3の活性値測定といった牛白血病診断のための検査を複数実施することで,牛白血病を否定するための診断精度を高めることが可能と考えられた.
症例報告
技術講座
  • 前谷 文美, 寺村 誠, 山崎 昌仁, 大谷 昌之
    2015 年 6 巻 1 号 p. 11-13
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/12/02
    ジャーナル フリー
    二重エネルギーエックス線吸収測定法(Dual-energy X ray absorptiometry;DXA)にてホルスタイン種育成雌牛(n=3)の骨密度を測定した.測定部位は尾椎とし,測定機器はDCS-600EXV(日立アロカメディカル,東京)を使用した.測定した全尾椎を1椎毎に箱形関心領域(region of interest;ROI)解析し,骨密度を算出した.その骨密度の最高値を採用し,日齢との関係性を調べた.また各個体で,骨密度を測定した全尾椎の中から無作為に2椎を選び,近位骨と遠位骨で骨密度を比較した.尾椎の骨密度は日齢とともに増加し,また近位骨の骨密度は遠位骨に比べて高かった.本研究ではDXA法を用いたホルスタイン種育成雌牛における尾椎の骨密度の測定によって日齢の進行に伴い,尾椎の骨密度が増加した.また尾椎は,ヒト用のDXA測定機器に対する牛の大きさなど生体面で制限を受ける場合が少なく,育成牛だけに限らず,成乳牛でも測定できる可能性がある.しかし同一個体の尾椎でも遠近差により骨密度の相違がみられる傾向がある点から,DXA法を用いて尾椎の骨密度を測定する時は何番目の尾椎を測定に用いるかを統一しなければならないと考えられた.
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