ツグミの飛び立ち距離の変異に影響する要因を明らかにするため,ツグミの飛び立ち距離を測定し,またツグミがいた場所に関するデータを収集した.後に,気象データも加えて,重回帰モデルによる分析を行なった.1984年のデータに関する分析では,6つの変数がとりこまれ,モデル全体の寄与率は0.54であった,ツグミの飛び立ち距離への寄与の程度の最大のものは,ツグミの採食場所に関する変数であった.ついで積雪深の寄与が大きく,積雪深の増加につれ飛び立ち距離が短くなるという予測を得た.1985年のデータについての分析では,3つの変数が取り込まれ,モデル全体の寄与率は,0.82と高かった.モデルに対する寄与率がもっとも高かった変数は,ツグミから防風林までの距離で,防風林から離れるほど飛び立ち距離が増加した.ついで,ツグミのとまり場所の高さに関する変数の寄与の程度が高く,高いところにとまっているツグミの飛び立ち距離は短くなった.1985年の重回帰式から,防風林からの距離別にツグミの飛び立ち距離を予測し,さらにランダムな地点から接近した場合にツグミが飛び立つまでの時間を求めたところ,防風林に近いところにいるツグミほど,飛び立つまでに長い時間がかかった.
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