産学連携学
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12 巻, 1 号
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巻頭言(第5代産学連携学会長挨拶)
特集 産学連携拠点からの「知」の創出
  • 熊谷 和夫, 西原 圭志, 松山 秀人
    2015 年12 巻1 号 p. 1_3-1_9
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    神戸大学先端膜工学センターは,日本初かつ唯一の総合的膜工学の研究拠点として2007年に設立され,世界最先端の膜工学研究と教育活動を行う一方,一般社団法人先端膜工学研究推進機構との連携を通じて産業界のニーズを反映した膜技術の研究開発の推進と産学協同での専門人材の育成に取り組んでいる.分離膜の拡大する世界市場をリードするには,我が国発の革新的技術開発と国際的に通用する人材育成が必要であり,こうした課題解決のため,先端膜工学センターでは先端膜工学研究推進機構に参加する65社余りの企業と数多くの共同研究,情報交流,人材教育,施設利用等の連携プログラムを実施し,成果を上げている.
  • 中野 節, 吉川 秀樹, 田中 敏嗣
    2015 年12 巻1 号 p. 1_10-1_16
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    2006年に始まった「共同研究講座」制度では,企業が年間3千万円程度を負担して大阪大学に研究室を設置する.企業は自社の人材を送り込み,大学も研究者を充て,共同で研究の運営を行う.「協働研究所」はその発展型であり,企業側の自主研究が行えるとともに,企業が大学との幅広い連携を行う.年間の研究費総額は14億7千万円(2014年度)で,大阪大学全体の共同研究費の4割となり,財政的制約下で大学を活性化する有力な枠組みとなってきた.制度運営のノウハウは公開しており,同様の取り組みが他の大学,企業にも広がっているが,ここでは大阪大学の10年目の現状と課題を紹介する.
  • ~有機材料システム分野で世界的拠点化~
    小田 公彦, 大場 好弘, 高橋 辰宏
    2015 年12 巻1 号 p. 1_17-1_24
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    山形大学産学官連携の特色を理解いただく為に,有機ELから有機エレクトロニクスそして有機材料システムへと展開させてきた産学官連携の特徴について概説する.山形大学は,新分野「有機材料システム」創成,地域創生に向け,国内・県内・海外企業等との連携を強化し,基礎研究から事業化までの世界的拠点化を推進してきている.マネジメントの立場から,独自の「山形モデル」で,社会実装までのイノベーションに挑戦しつづけている現状を紹介する.
  • 安永 裕幸
    2015 年12 巻1 号 p. 1_25-1_32
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    産総研は,「革新的な技術シーズを産業界に橋渡し」することを最大のミッションとする国立研究開発機関である.そのために,次世代の技術シーズを作り出す「目的基礎研究」,それを産業技術として高める「橋渡し前期」,企業と密着して事業化に繋げる「橋渡し後期」の3つのフェーズを切れ目なく推進している.本稿では,スピントロニクス,単層カーボンナノチューブ,SiCパワーデバイスの3件を例にとり,これらの目的基礎研究から橋渡しに至る研究スタイルを分析し,成功の要因を「独自性を有する技術シーズの確立」,「技術力を有し産総研との連携に強くコミットする企業の存在」,「適切な規模,時期,体制での公的資金の投入」を挙げるとともに今後の課題を示した.
論文
  • 北村 寿宏, 藤原 貴典, 川崎 一正, 竹下 哲史
    2015 年12 巻1 号 p. 1_33-1_44
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    島根大学における共同研究の実施状況を明らかにするために,2004~2013年度の共同研究の契約情報を整理・分析し,共同研究の相手先の地理的分布とその変化を調査した.その結果,(1)相手先が大企業の場合は,関東,近畿,東海,中国地方の企業が多く94%を占めること,(2)相手先が中小企業の場合は,島根県,関東,中国,近畿地方の企業が多く94%を占めること,(3)2009年以降は関東,東海,近畿,中国の大都市圏に位置する企業との共同研究件数が概ね増加傾向にあり,島根県内企業との共同研究は減少傾向にあること,(4)企業以外を相手先とする共同研究の相手先は,島根県内に位置する機関がほとんどであること,が明らかになった.地域イノベーションの創出の促進を考えると,大学と地元企業との共同研究が減少傾向にあることは,大きな問題と考えられ,今後,他地域の状況を明らかにすると共に,対策を検討していく必要がある.
  • 内山 大史
    2015 年12 巻1 号 p. 1_45-1_53
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,産学連携活動指標の中でも特に「共同研究契約」に影響を与える要因の分析を行った.その結果.科研費関係および受託研究関係の変数は,共同研究指標に強く関連していることが確認され,特に「一人あたり共同研究金額」は,これら説明変数との関連が強いことが明らかとなった.一方,「一人あたり共同研究件数」は,上記に加え,工学教員割合との関連が非常に強いことが明らかとなった.また,「一件あたり共同研究金額」の分析結果より,工学教員割合の高さは,マイナスの相関を示すことが明らかとなった.すなわち,工学教員割合が増加することは「一人あたり共同研究件数」を増加し,逆に「一人あたり共同研究金額」を押し下げているといえる.
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