産学連携学
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11 巻, 2 号
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特集 高齢社会での事業創造 ~高齢者のQOL 向上を目指したイノベーション~
論文
  • 能見 利彦, 小沼 良直, 依田 達郎
    2015 年 11 巻 2 号 p. 2_18-2_28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    中小企業の産学連携を促進することは政策的に重要な課題となっており,近年,中小企業と大学の連携件数は着実に増加してきている.しかし,産学連携を行っている中小企業数はこれまで明らかになっておらず,これまでの調査研究においても産学連携を行っている中小企業の割合はマチマチであった.本研究では,産学共同研究に焦点を絞って統計分析及びアンケート調査を行い,それを実施している中小企業は我が国全体で約2.4千社(研究開発実施中小企業の約25%)と推計した.このような中小企業は,近年,年平均で約190社増加してきており,それには産学共同研究を機に研究開発を始めた中小企業も含まれる.さらに,これらに基づき,今後の拡大策についても考察した.
  • 間野 純一, 市原 勲
    2015 年 11 巻 2 号 p. 2_29-2_40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    新製品開発を行う開発型中小企業の評価システムを構築した.システムは3段階から成り,第1段階では,開発する新製品の市場を算定し,第2段階では,開発力をヒト,カネ,モノの3要素に分解し,さらに各要素を第4階層まで分解して,各要素をAHP(階層化分析法)で重み付けした後,指数付参考表を基に総合評点化して企業評価を行う.第3段階では,今後10年間の新製品開発と販売に関わる収支をDCF(Discounted cash flow)法で推計して,事業の妥当性を検討する.リーマンショック時に比較対象サンプル企業16社中6社で不具合があったので,整合性をチェックして,ヒト,カネ,モノの重み付けを再試算した結果,ヒト:0.31,カネ:0.28,モノ:0.41(製品の質:0.25,事業性:0.75)の数値を得た.
  • 金井 昌宏
    2015 年 11 巻 2 号 p. 2_41-2_50
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    平成18年改正に係る教育基本法において,社会貢献が教育及び研究に次ぐ我が国の大学の第三の使命として明記され,今日では共同研究や知的財産権ライセンス等の産学連携が,我が国でも活性化している.大学にとっても,産学連携は,ライセンス対価や研究費等の外部資金を導入できるメリットがある.
    しかし,大学の基本的機能である教育及び研究は,依然として大学の本質的価値を根拠付ける活動である.産学連携がこれらに悪影響を与えることがあってはならない.
    本稿では,特に共同研究契約を対象として,産学連携終了後に,大学が自由な研究活動を継続するために,考慮すべき契約条件の検討を行った.
  • 近藤 正幸
    2015 年 11 巻 2 号 p. 2_51-2_61
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    産学連携は日本においても共同研究等の件数が大幅に伸びてきている.本稿では,大学が第2期,第3期の科学技術基本計画の重点推進4分野別にどのように研究資源を有しているかを明らかにした上で,産学連携がそれら4分野によりどのように異なるかを研究資源との関係も踏まえて明らかにする.共同研究や受託研究,大学発ベンチャーの全てにおいてライフサイエンスの分野が4分野の中で最も高い割合となっている.これは,研究費や特許出願についてもライフサイエンスの分野が4分野の中で最も高い割合となっていることが背景にある.ナノテクノロジー・材料分野は特許出願と研究費についてライフサイエンス分野に次ぐ高い割合を示し,共同研究や受託研究でライフサイエンス分野に次ぐ高い割合を示す.環境分野は研究費や特許出願で4分野中で最も低い割合であるが,受託研究と大学発ベンチャーでは3位と比較的高い割合を占める.研究費や特許出願で3位の割合を示す情報通信分野は大学発ベンチャーで2位と高い割合を示す.総じてこれら4分野は,大学における研究費というインプットの割合に比べて産学連携の役割が大きいことから,政策的に大学にこの4分野の研究費を供給して支援していくことは意味がある.特に,環境については,産学連携における割合は大学セクター内における割合に比べて大きいので支援していく必要がある.
研究ノート
  • 北村 寿宏, 藤原 貴典, 川崎 一正, 竹下 哲史
    2015 年 11 巻 2 号 p. 2_62-2_69
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/01
    ジャーナル フリー
    国立大学における共同研究1件当たりの研究費受入額について,その実態を明らかにすることを目的に,規模の異なる28の国立大学について,2004年度~2012年度の共同研究件数と研究費受入額を調査し整理した.その結果,(1)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の規模が小さくなるにしたがい約400万円から約100万円と少なくなる傾向が見られること,(2)専門大学(工学)の共同研究1件当たりの研究費受入額は,一部の大学を除き約150万円と小規模総合大学のそれと同程度であること,(3)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の教員数と一次の高い相関関係にあること,(4)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の「ブランド力」として仮定した偏差値と高い正の相関関係にあること,が明らかとなった.共同研究1件当たりの研究費受入額が根本的に何に影響されているのかなどの要因を明確にするためには,今後,さらなる調査,研究が必要である.
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