土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
69 巻 , 2 号
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特集号(和文論文)
  • 二神 透, 秋月 恵一, 松山 優貴, 國方 祐希
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_1-I_6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では,津波による犠牲者の約6割が65歳以上であった.今後の高齢化社会を考慮すると,一人で逃げることのできない要援護者の避難支援が喫緊の課題となっている.
     しかし,要援護者の個別計画は進んでおらず,それらを支援するシステムが必要であると考えている.
     そこで,津波が想定される地域を対象として,要援護者と支援者が避難する行動をアニメーションで見ることができるシナリオ・シミュレータの開発を行った.開発したシステムの特徴は,通行阻害を想定し,全世帯の避難行動,要援護者と支援者の避難行動,任意の世帯の避難行動を確認できる操作性にある.
     今後,津波の条件をシステムに組み入れ,住民とともに,専門家の視点で阻害箇所を精査し要援護者支援の個別計画を策定する予定である.
  • 楊 勇, 達川 剛, 松見 吉晴, 太田 隆夫
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_7-I_12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     自然災害や大規模火災を対象としたキャンパスの危機管理には,設備整備を加え,避難に関して学生及び教職員による自助・共助の基づく迅速かつ円滑に避難行動が行えるように避難体制の確立のためのソフト対策が必要不可欠である.本研究は,大学キャンパスにおける講義室から指定避難場所までの避難シミュレーションを構築し,避難完了までの移動時間や経路といった時空間的な情報に関する解析を行った.その結果より,避難経路上の構造的脆弱性に関する評価よりスポット的な設備改善策とその効果を検討すると共に,安全な避難行動のあり方として上層階からの避難者に避難経路を譲るモデルを考案して避難所要時間の短縮効果を考察し,最終的に最適な避難経路及び避難行動モデルについて検討したものである.
  • 須藤 敦史, 松井 豊, 石本 孝広, 荒井 洋, 吉川 進, 小林 克司
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_13-I_18
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の東日本大震災の影響で,関東近郊では計画停電により電力供給が一時的に数時間遮断され,現在でもその影響で全国的な電力の供給力不足が懸念されている.一方,最近では地球温暖化に起因する異常気象(大型台風・ゲリラ豪雨・落雷や竜巻など)による停電事故が多発しており,災害時夜間の地域住民に対する避難通路の確保やその指示が急務となっており,加えて建設現場においても急な電力遮断に対する作業員等の安全対策が要求されている.蓄光材料は,太陽光や蛍光灯などの光エネルギー(紫外線)を吸収して,光エネルギーの供給が止まった後でも徐々に光を放出する物質であり,クライトブライトは耐候性や耐熱性に対して極めて安定した吸光・発光を繰返す蓄光材料である.本論文は,土木・建築の工事現場を対象として,災害時など緊急に電力供給が止まった状況においても機能する蓄光材料(クライトブライト)を使用した無電力の安全・避難誘導装置・器具の研究・開発を報告する.
  • 坂田 朗夫, 川本 篤志, 伊藤 則夫, 畠山 愼二, 磯打 千雅子, 白木 渡
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_19-I_24
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     大規模広域災害を想定した場合,従来の地域防災計画では対応できないことを東日本大震災の貴重な教訓として受け止める必要がある.中央防災会議の中間報告では,市町村では少なくとも各行政機能の中枢を担う庁舎の業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定の必要性を指摘している.さらに,地域全体や複数の行政機関に跨る業務継続計画(DCP:District Continuity Plan)を策定し,災害発生後の早期復旧・復興を目指した危機管理対策を実施することが求められている.
     本研究においては,中山間地域に位置する大阪府北摂地域の町役場を対象として,職員参加型のワークショップによるアクションプランとしてのBCPの策定手法について提案する.提案に際しては,発災直後の緊急危機管理対応及びその後の被災住民の生活環境の復旧のための健康・生活危機管理に着目し,地域全体の業務継続計画(DCP)の視点を考慮する.
  • 畠山 愼二, 坂田 朗夫, 川本 篤志, 伊藤 則夫, 白木 渡
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_25-I_30
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     東日本大震災の被害は,地域の拠点であるべき市町村庁舎が壊滅的被害を受けて機能不全に陥り,その後の復旧・復興の遅れに繋がった.このような大規模広域災害においては,一自治体、一コミュニティ,一企業だけでは対応が困難である.行政や地域コミュニティ,企業が地域継続の視点から連携して,防災・減災対策を検討しておく必要がある.
     本研究では,企業の立場から地域継続の視点を考慮した企業BCPの策定と災害レジリエンスの強化対策について検討する.具体的には,想定を超える規模の大災害に対し,いかにして被害軽減・回避するかについて,レジリエンスの4つの評価指標である「冗長性(Redundancy)」,「頑強性(Robustness)」,「資源(Resourcefulness)」,「即応性(Rapidity)」を強化する対策を提案する.まず,東日本大震災の被害調査結果を基に地域の脆弱性を整理し,地域継続という視点から見て企業の事業継続の在り方,災害レジリエンスの強化対策を検討するとともに,地域社会と共に存続するための方策を提案する.
  • 磯打 千雅子, 白木 渡, 岩原 廣彦, 井面 仁志, 高橋 亨輔
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_31-I_36
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     今後発生する南海トラフの巨大地震による被害は,個々の組織にとどまらず広域的な災害が発生し,地域が機能不全に陥る恐れがある.このため地域継続の観点からハード対策及び復旧箇所の優先順位を事前に合意形成を図って決定し,発災直後から各組織が戦略的に行動できる指針を定めておく必要がある.この戦略的計画が地域継続計画(District Continuity Plan:DCP )であり,その策定が求められている.
     事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)は,組織の機能停止を想定し,重要業務に優先度を付加して事業サービス継続のための対策を立案するものである.対策の検討にあたっては,事業継続戦略の意思決定は事業組織の責任者に依存する.一方,DCPの策定プロセスには様々な組織が介在するため,意思決定に資する共通の判断基準が必要である.
     本研究では,香川地域を対象に実施したDCP策定事例から,DCP策定指針と今後の課題について述べる.
  • 畠山 愼二, 坂田 朗夫, 川本 篤志, 伊藤 則夫, 白木 渡
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_37-I_42
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では,震災前の想定を大きく上回る津波被害により,災害対応拠点であるべき市町村の庁舎が流出し地域の復旧・復興に遅れが生じた.その結果,住民の他地域への移住に歯止めがきかずコミュニティの復興が困難な状況になっている.この教訓をもとに,今後発生する大規模広域災害への備えとして,地域が喪失する最悪の事態を想定して,事前に行政機関が企業や地域コミュニティと連携して防災力の向上に努めることは勿論,最悪の事態に対して地域全体で早期の復旧・復興を可能にする仕組み作りが求められる.
     本研究では,住民の生活拠点である地域コミュニティに注目して,その防災・減災力の向上並びに大規模広域災害時のコミュニティ継続の在り方について検討する.コミュニティの防災・減災力を「頑健性」,「冗長性」,「資源」及び「即応性」の4つの指標を用いて定量化し,コミュニティ・レジリエンス(CR:Community Resilience)として評価する.その指標を用いてある特定地域のレジリエンス評価を行い,大規模広域災害時を想定したコミュニティ継続計画(CCP:Community Continuity Plan)の策定手法を提案する.
  • 大幢 勝利, 高梨 成次, 高橋 弘樹
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_43-I_48
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     近年,橋梁の点検等の維持管理作業が増加しているが,それに伴い墜落等の死亡災害も報告されるようになっている.これらの作業時の安全のため,常設の検査路を設置する場合も多いが,最近になって主要構造部材がGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製(以下,一般名称としてFRP製とする)の検査路も使用されるようになっている.その際,検査路の端に十分な安全性が確認された手すりを設置し墜落を防止している.しかし,やむを得ずこの手すりに安全帯を掛けて作業する場合も想定されており,この場合の安全性については検討されていないのが現状である.そこで本研究では,この手すりに安全帯を掛けて墜落防護した場合の安全性について検討するため,サンドバッグ等を用いた落下実験を行った.その結果より検査路の部材を改良し,85kgのサンドバッグが落下しないよう安全性のさらなる向上を図った.
  • 鈴木 哲也, 久保 成隆, 飯田 俊彰
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_49-I_54
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     水密性能が低下したパイプランでは,管材損傷の蓄積に伴い漏水事故が頻発する.従来,パイプランの通水試験では,充水過程において漏水事故を検出・評価することは困難であった.このことから,近年,パイプラインの水密性能照査法の開発が急務な技術的課題となっている.本報では,弾性波を受動的に検出するAE(Acoustic Emission)法を用いてモデルパイプランと既設構造物を対象に充水過程の水密性照査を試みた結果を報告する.検討の結果,AE発生頻度やエネルギ値を用いることによりパイプラインの水密性能を評価できる可能性が確認された.
  • 小林 秀一, 鈴木 哲也, 長崎 文博, 佐藤 弘輝
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_55-I_62
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     鋼矢板水路は作物生産基盤において広く用いられている.近年,これら構造材の長期耐久性と鋼材腐食との関係が技術的課題として議論されている.本研究では,腐食が進行した鋼矢板の保護工法を検討するために鋼矢板‐コンクリート複合材の適用を検討した.実験的検討は,モデル試験と実構造物で行った.鋼矢板‐コンクリート複合材の曲げ挙動の特性評価には,AE(Acoustic Emission)と荷重‐変位挙動を用いた.検討の結果,複合材の力学特性は,最大変位量と作用モーメントの関係により評価可能である.曲げ載荷過程での破壊挙動は,AE発生挙動と密接に関連していた.本試験結果から,鋼矢板表面にコンクリート被覆を施すことの有効性が定量的に評価できたものと推察された.
  • 広兼 道幸, 大江 眞紀子, 小西 日出幸, 鈴木 直人
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_63-I_68
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     現在,高度経済成長期に建造された構造物の老朽化が進み,維持管理対象にある構造物の数が急激に増加している.橋梁も例外ではなく,日本の50年経過橋梁の数は,2011年時点で全体の9%の約15,000橋であるが,2021年には28%に相当する44,000橋,更に10年後には53%にも上る84,000橋にまで増加する見込みである.その中で,鋼橋の架設に利用されている高力ボルトも時間経過と共に緩みが発生するため,定期的に点検する必要がある.様々な点検方法の中で,打音法は低コストで危険を伴わず,簡便に作業を行うことができ,信頼性の高いよく使われる点検法である.しかしこの方法は熟練者の勘や経験に依る部分がある.そのため非熟練者でも高い精度で診断できることを目的として,打音データからアトラクタを構築し定量的に評価することで状態識別を試みた.
  • 広兼 道幸, 中田 弘一, 小西 日出幸, 鈴木 直人
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_69-I_74
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     現在,高度経済成長期に建造された橋梁は全橋梁の約40%を占め,橋梁の老朽化に伴い,部材連結に使用された高力ボルトの軸力低下が懸念される.腐食や疲労によって劣化したボルトを発見するためには定期的な診断が不可欠であり,点検方法の一つに打音法が挙げられる.打音法は,点検対象をハンマーで叩いた際に発生する音を熟練者が耳で聴くことによって診断する.しかし,この方法では技術者の経験や勘に頼ることが多く,熟練者の不足などの問題点があるため,より正確かつ効率的な診断方法が求められている.そこで本研究では,高力ボルトを締結した試験体を用いて,ハンマーで叩いた際に発生する打音の波形データから周波数データを取得・特徴量を抽出し,パターン認識手法で軸力を推定する方法を提案し,その有効性を検証した.
  • 日下 貴之, 野村 泰稔, 日根野 陽介, 久木 祥平
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_75-I_80
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     近年,航空機や社会基盤施設等,大規模構造物の安全性確保の観点から健全性をリアルタイムに監視する技術(構造ヘルスモニタリング)が注目されている.健全性を評価する上で,き裂の検出は極めて重要であり,これまでに数多くの方法が提案されている.コンクリート構造物の表面き裂を評価する場合,設置性や作業性の観点から,赤外線や可視光画像を用いた非接触式の方法が有望視されており,現在,対象物の変位場やひずみ場などの力学情報を抽出する研究が行われている.本研究では,コンクリート構造物を対象として,デジタル画像相関法から得られるき裂周辺の力学情報に着目し,表面の変位場からき裂を検出するシステムを開発することを試みた.各種様々な表面状態の供試体に対して実証試験を行い,開発システムの有効性を検証した.
  • 武田 拓也, 徳田 晴香, 大上 俊之, 小山 茂
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_81-I_86
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,長野県を対象に,土砂崩壊の危険性のある地域の推定と避難が必要となる降水基準の設定を検討したものである.地形,地質,土地利用といった地域情報と降水情報データを用いて過去の災害事例を分析し,長野県において土砂災害が発生する危険箇所を抽出した.さらに,1時間累積雨量と72時間半減期実効雨量を用いて危険基準線(CL)の設定を行い,降水情報に対して安全領域,崩壊注意領域,崩壊危険領域の3領域に区分し,避難が必要となる降水目安を設定した.
  • 金子 雄一郎, 山下 良久, 小林 啓輝
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_87-I_94
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     近年鉄道駅において,ホームからの転落事故や列車との接触事故が多発しており,利用者の安全確保が喫緊の課題となっている.このような状況を受け,国土交通省は2011年8月にホームドア等の整備促進に関する基本方針を定めており,今後はこれらの施策の事業評価において,利用者の安全性向上効果を計測する必要性が高まると考えられる.そこで本研究では,鉄道駅へのホームドア設置による安全性向上便益について,仮想的市場評価法を用いて計測を試みた.具体的には,東京圏の鉄道利用者を対象にWebアンケート調査を実施し,ホームの安全に対する意識を把握するとともに,ホームドア設置による価値について,提示額に対する賛否を二段階二項選択方式で尋ねた.これらの回答を基に,ロジットモデルを用いて支払意思額を推定し,これに受益者数を乗じることで便益を計測した.
  • 金子 正吾, 宮島 昌克
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_95-I_102
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     内陸の活断層を震源とする地震では,地表面の地盤に大きなずれが生じることがある.このため,断層横断部に管路を布設する場合,慎重に設計する必要がある.しかし,断層が動いた時,断層横断部に埋設された耐震継手ダクタイル鉄管がどのように挙動するかを詳細に研究した事例は少なく,その設計方法は確立されていない.また,耐震継手ダクタイル鉄管が地震時に動いた断層を横断するように埋設されていた事例も,これまで報告されていない.
     そこで本研究では,断層横断部の耐震継手ダクタイル鉄管の挙動解析を行い,管路挙動を詳細に分析するとともに,実管路を用いた検証実験により解析結果の妥当性を検証した.さらに,断層横断部における管路の安全性の向上策についても検討した.
  • 宇野 宏司, 瀬崎 瑛
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_103-I_108
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     平成25年4月に発生した淡路島地震は,平成7年の兵庫県南部地震以来の震度6超の揺れを記録した.当時の対応状況と課題を明らかにすることは,将来の南海トラフ巨大地震対策に有用である.本研究では,平成7年兵庫県南部地震で甚大な被害を被った淡路市,今回の地震で住家損壊が多く出た洲本市,きたる南海トラフ巨大地震において県内最高の津波到達が予想される南あわじ市の3市において,行政,教育機関,地域住民(自治会長)へのヒアリング調査を行い,防災に対する意識の変遷と今後の課題を整理した.
  • 岩原 廣彦, 白木 渡, 井面 仁志, 磯打 千雅子, 高橋 亨輔
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_109-I_114
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     わが国の人口は,2050年には現在よりも約3,300万人減少し,現在の人口の約75%になるとともに,65歳以上の割合が現在の約24%から約40%に増加する超高齢化社会となる.これに伴い政府の税収も減少し,社会保障関連の歳出が増大する.一方,高度経済成長期に建設された社会インフラの多くは維持・更新期を迎えこの費用は膨大なものとなり,併せて東海・東南海・南海地震の発生確率も高まってくる.このような社会背景において限られた時間と財政のなかで,社会インフラの役割と大規模地震災害に備えるこれからの社会インフラの整備のあり方について検討する.
  • 宮田 英樹, 木内 邦治, 塚本 唯, 田中 衛, 犬山 正, 福村 誠
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_115-I_120
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     近年,地球温暖化にともなう気候変動による影響として水災害,土砂災害等の頻発化・激甚化が懸念されており,ハード対策だけでなく,危機管理体制の整備が必要とされている.千代川流域では,「気候変動にともなう防災・減災を考える会」を設立し,官民一体となって水災害に対する「犠牲者ゼロ」に向けたソフト的な対策を検討し,実施した.本稿では,防災意識に関する住民アンケート調査等から得られた水災害に関する課題と実施したソフト的な取り組みを紹介する.さらに,住民勉強会が防災意識向上に有用である等,取り組みによる効果および取り組みを拡充・継続するための施策について紹介する.
  • 坂東 淳, 東條 款, 堀田 泰司, 吉田 貞伸
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_121-I_126
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     消防組織法には,一定の火災・災害等が発生した際、消防庁長官が地方自治体に対し消防情報等に関する報告を求めることができる旨が規定されており、このうち火災・災害等に関する即報について規定したものが、火災・災害等即報要領である.
     要領には,様々な災害事象について自治体と消防庁との間でやり取りされる様々な情報─災害対応に必要不可欠なものを含む─が規定されており,これらが自治体が災害情報を共有する際の一つの標準となっているが,多くの自治体ではこれらの情報を他組織や組織内の関係部署と連携した災害対応に活かしきれてない場合も多い.
     本稿では,要領において規定されているもののうち「災害即報」の様々な情報について,初動対応時の有用性を検証すると共に,近年様々な自治体により開発が進められているICTを活用した災害時情報共有基盤における活用のあり方を考察する.
  • 石塚 久幸, 和田 滉平, 宮島 昌克
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_127-I_134
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     平成23年台風12号による豪雨で,死者27名,行方不明1名の被害を出した和歌山県那智勝浦町を対象として,土砂災害における避難行動と伝達された情報に関するアンケート調査を行った.アンケート調査では,避難率が低かったことが大きな被害につながったとも考えられるため,今後,犠牲者を出さないために避難率が低かった理由を明らかにする必要がある.具体的には,避難情報に接した際の反応,避難行動の有無に対する意思決定条件,避難行動を促進あるいは抑制した情報伝達手法・周辺環境などを調査し,明らかになった結果をもとに,早期避難を促すために必要な情報,手段ならびに排除すべき阻害要因を示し,住民の安全を確保する対策の提案を行う.
  • 高橋 亨輔, 白木 渡, 岩原 廣彦, 井面 仁志, 磯打 千雅子
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_135-I_140
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     大規模広域災害においては,行政や企業が単独で復旧・復興することは困難であり,各組織が戦略的に連携して行動する指針として地域継続計画(District Continuity Plan:DCP)の策定と運用が求められている.DCPの策定では,地域の重要機能の停止から発生する支障と許容限界を把握し,優先的に復旧する地域や代替拠点となる地域を検討する地域インパクト分析(District Impact Analysis:DIA)が必要になる.しかし,現状DIAのための確立された有効な手法は存在しておらず,DCP策定の意思決定支援ツールとしてDIA支援システムの開発が望まれる.本研究では,DIA支援システムを用いた地域継続力の評価方法を提案し,その有用性について検討する.
  • 広兼 道幸, 松岡 隼平, 辻原 涼, 戸松 純一, 徳井 亮輔
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_141-I_146
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     近年の気象状況の変化に伴い,集中豪雨による災害の発生件数が増加していることが指摘されている.集中豪雨などの災害時においては,住民自らが危険を予知し早めに避難等の行動を起こすことが,身の安全の確保につながると考えられているが,危機予知能力を高めるための教育が十分になされていないのが現状である.そこで本研究では,集中豪雨に対する危機予知能力を高めることを目的として,拡張現実感という情報処理技術を用いた集中豪雨を疑似体験できるシミュレータを作成し,過去の災害資料による防災教育との比較を行うことで集中豪雨疑似体験シミュレータの有用性を検証した.
  • 中野 晋, 宇野 宏司, 照本 清峰, 高西 春二
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_147-I_152
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     豪雨災害において小中学校などの教育機関が被災する事例が続いており,豪雨災害時の学校防災管理も組織の安全管理の観点から重要な課題の1つである.紀伊半島豪雨災害や九州北部豪雨災害など大規模な豪雨災害で被災した学校を対象にヒアリング調査を実施し,豪雨災害時の学校防災管理上の課題について,児童・生徒に対する安全と健康の管理,学校避難所の開設と運営の支援,早期の教育再開と教育継続の各段階ごとに整理した.豪雨災害時の学校防災管理のあり方についてまとめるとともに,教員対象の防災研修の実施事例について報告する.
  • 高橋 弘樹, 大幢 勝利, 高梨 成次, 北條 哲男
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_153-I_158
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     建設工事における墜落災害の対策として,平成21年3月に労働安全衛生規則が改正され,新たに墜落防止用の手すりや板,メッシュシートなどを足場に取り付けることが義務付けられた.足場を設置する際は,風荷重に対する足場の強度を検討する必要があるが,現行の指針は,従来の足場を対象としているため,規則改正後の足場に対応しているかは不明である.これらのことから本論文では,幅木の高さをパラメータとして,足場の風力に関する風洞実験を行った.実験の結果,規則に沿った高さ15cmの幅木を設置した足場は,幅木がない足場に比べて,1.5倍程度の風力係数を見込んだ方が良いことが分かった.これらの結果を基に,規則改正後の足場に対応した風力係数の算定方法の検討を行った.
  • 堀 智仁, 玉手 聡, 石野 貴裕
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_159-I_164
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     クレーン機能付きドラグ・ショベルには,フックと安全装置等が備わっており,荷のつり上げと運搬を行うことができる.一方で同機械による災害は多く発生しており,クレーン作業中の転倒がみられる.本研究では,そのつり荷走行時における不安定要因を明らかにするために,実大走行実験を行った.その結果,理想的な水平堅固条件においてもつり荷走行時にはつり荷の重さの1.3倍の荷重が作用することを明らかにするとともに,走行路の起伏と走行速度はつり荷荷重を増減させる機体の不安定要因であることがわかった.
  • 広兼 道幸, 伴場 翔, 大幢 勝利, 田邊 準一
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_165-I_170
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     全産業の中で死傷事故が最も多いのは建設業であり,作業員に対する安全教育は時間と場所を効率的に利用する必要があるため,座学での安全教育が増えている.しかし,近年座学による対策のみではなく危険予知能力の向上が可能な体験型の安全教育の実施が望まれているが,工期やコスト面等の観点から十分な安全教育を行うことが困難であるという問題がある.そのため,時間や場所を必要とせず,現場で危険箇所を意識させるための安全教育を短時間かつ効果的に行う必要があると考えられる.そこで本研究では,タブレット端末等のカメラ機能を使ったAR技術を用いて,実際の現場を歩きながら危険と思われる箇所の情報を登録・共有して,現場で容易に体験型の安全教育が可能な安全管理情報の共有化システムを構築した.
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