大規模災害時の緊急復旧工事において安全管理体制の確保は困難である.熊本県では2017年に全産業中59%にあたる13名が2016年熊本地震に関連する建設作業中に亡くなったと報告されている.本研究では,緊急復旧工事における労務災害補償に着目し,適正な労務補償制度のあり方について検討した.
都道府県等と建設業協会の間で締結されている災害協定に記載されている労務災害補償の内容について分析した.また,熊本県建設業協会にて熊本地震の復旧工事での労務災害と補償について聞き取り調査を行った.
ほとんどの自治体の災害協定では補償に関する記述は見られず,労務災害補償は建設企業に一任されている.一方,熊本県では建設業協会が独自の保険制度を導入しており,一定の成果を収めている.これらの結果を踏まえ,緊急出動による復旧工事に対する労働災害補償を適正化する方法について提言する.
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