計算機統計学
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最新号
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巻頭言
原著論文
  • 東海林 岳寛, 土田 潤, 宿久 洋
    2024 年 37 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
     傾向スコアモデルに含める共変量の選択は重要な問題である. 平均処置効果の推定では, 傾向スコアモデルに結果変数に関連する共変量を含めることが推奨されている. 一方, 分位点処置効果の推定では, 傾向スコアモデルに含める共変量についての議論は十分ではない. そこで, 分位点処置効果の推定の際に傾向スコアモデルに含める共変量による推定量の性能 (相対バイアス, 標準偏差, 相対二乗平均誤差の平方根) の違いを数値実験により確認した. 具体的には, 複数のシナリオのもとで, 既存法の枠組みで分位点処置効果推定のために修正した手法も含めて, 共変量選択を行い傾向スコアを用いる手法, 変数を事前に特定した傾向スコアを用いる手法, 傾向スコアを用いない手法の性能評価を行った. 数値実験の結果, 結果変数の誤差分散が不均一な状況では, 結果変数の分位点に影響する共変量を傾向スコアモデルに含めると性能が良い傾向を示した.
  • 藤田 和也
    2024 年 37 巻 1 号 p. 19-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/08
    ジャーナル フリー
     本研究ではQ学習モデルにおける刺激デザインの評価を行う. Fujita et al. (2022b) を拡張し, より発展的なQ学習モデルにおいても, two-step procedureにより刺激を適切に選択できることを示す. Two-step procedureではFisher情報量により刺激の良さを推定精度の観点から評価し, その後MCMC推定により刺激の良さを評価する. 第一ステップで刺激を絞り込み, 第二ステップで精密に評価する. Fisher情報量ベースおよびMCMC推定ベースのシミュレーションにより, Fisher情報量による刺激の優劣と, MCMCによる刺激ごとの推定精度の大小関係は一貫していた. 実際にはモデルや研究の手法や目的 (e.g., どのパラメータに着目して議論するか) を踏まえ, 本研究の手法により適切に刺激を選択する必要が生じる.
総合報告
  • 冨山 貴史, 瀬貫 雄介, 菊池 明飛, Shurong Sun, 北原 知就, 伊豆永 洋一
    2024 年 37 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/08
    ジャーナル フリー
     本研究では, 楽天グループ株式会社提供の楽天市場の販売履歴データをもとに, 楽天市場で行われているセール効果 (セールが売上をどの程度, 押し上げるか) について分析した. はじめに, 与えられたデータを商品ジャンルごとにセールの影響を反映しない売上と, セールの押し上げ効果による売上に分解する状態空間モデルを立式し, 次に状態空間モデルから得られた結果について分析した. その結果, 総売上における決定係数が高い値を示し, モデルに信頼できる説明力があることが確認された. また, セールの押し上げ効果による売上と, 実際の売上には類似性が見られ, セールの実施が企業の売上に大きな影響を与えることが示唆された.
ソフトウェア記事
  • 平野 真太郎, 阿部 貴行
    2024 年 37 巻 1 号 p. 53-72
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/08
    ジャーナル フリー
     メタアナリシスは, 複数の研究結果を適切に統合して要約する方法であり, 強力なエビデンスを得る手段として広く受け入れられている. 近年, 3つ以上の治療法を比較するネットワークメタアナリシス (NMA) が普及してきた. NMAを実装するソフトウェアの使い方や, NMAの妥当性の検証方法を論じた文献は多くあるが, その多くはアウトカムが2値データの研究結果を統合する方法を示しており, 単一の基本モデルを用いるものがほとんどである. 本研究では, アウトカムが生存時間データの場合のNMAを実装する方法を要約し, 2種類の基本モデルを適用する方法をそれぞれ検討する. また, 4種類のRパッケージを用いてNMAを実施し, shared parameterモデルと呼ばれる応用的な手法を用いた場合も含め, 推定値の挙動をシミュレーションにより評価する.
学会活動記事
編集委員会からのお知らせ
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