伊勢湾においてアサリの資源変動要因を抽出するため,2012–2014年に主漁場4地区(鈴鹿地区(若松,白子),香良洲地区,松阪地区(松名瀬,三渡川),伊勢地区)の3つの水深帯(水深帯I: 1 m以浅,II: 1–5 m, III: 5–10 m)において,アサリの分布中心(平均密度の高い水深帯)と資源量を調査した.その結果,香良洲地区,松阪地区,伊勢地区における分布中心は水深帯Iと推定された.一方,鈴鹿地区のそれは不明瞭であったが,2013年11月と2014年5月の鈴鹿地区白子では水深帯IIと推定された.2012–2014年の4地区の中で最大の資源量は2014年5月の鈴鹿地区での4,246トンと推定され,その70%は面積の大きい水深帯IIIのものであった.このような大規模資源の出現と消失は,貧酸素水塊の消長と関連があることが示唆された.
抄録全体を表示