水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
83 巻 , 3 号
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原著論文
  • 田中 雄大, 今村 豊, 児玉 琢哉, 及川 利幸, 矢倉 浅黄, 佐伯 光広, 真壁 昂平, 鈴木 裕也, 大畑 聡, 金子 仁, 岡崎 ...
    2019 年 83 巻 3 号 p. 151-163
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    クラスター解析によって水塊分類を行うソフトウェアを開発し,東北沖海域および千葉県近海域の水温・塩分データを用いて,水塊の分布,出現率の経年変動の解析を行った.夏季東北沖海域における表層・亜表層水塊の出現率の経年変動は,親潮第1分枝の南限緯度との関係が深いことが示され,親潮系の冷たい水塊(黒潮系の暖かい水塊)に対応するクラスターは,親潮第1分枝が南偏(北偏)する年に出現が増加する傾向にあった.この傾向は,既存の方法では分類が困難な表層の水塊についても認められた.春季千葉県近海域では,黒潮流軸離岸時に,冷水系水塊の出現が増加する傾向にあった.クラスター解析による水塊解析結果を漁況変動解析へ応用するにあたって,各魚種の水温適正等生理的特徴を考慮したクラスター数の設定が必要となる可能性がある.今後,他の海域や魚種も含めて知見を蓄積することで,水塊変動・漁況変動の解析に有用なツールとなることを期待する.

  • 橋本 慎治, 橋本 千尋
    2019 年 83 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    東京湾湾奥部と湾口部の観測定点において2012年4月から12月まで月1回沿岸海表面におけるサイズ分画(>10 μm, 2–10 μm, <2 μm)したクロロフィルɑ濃度,栄養塩濃度およびマイクロ植物プランクトン(>10 μm)の細胞密度を調べた.その結果,両定点の植物プランクトン種やサイズ組成の季節変動は夏季を除くと類似していた.両定点とも4月は>10 μm画分の大型珪藻が高い割合を占めたが,5月になると<2 μm画分が優占し,またラフィド藻(Heterosigma akashiwo)が優占していた.このことから4月から5月にかけて湾奥部と湾口部で植物プランクトンの遷移が同期的に起こっていたと考えられた.また4月から5月にかけて両定点の硝酸塩+亜硝酸塩濃度が急激に減少したことがその要因として考えられた.一方,夏季における両定点のサイズ分画したクロロフィルɑ濃度やマイクロ植物プランクトンの種組成で相違が見られ,栄養塩濃度の違いが要因の一つとして示唆された.

  • 金子 健司, 奥村 裕, 原 素之
    2019 年 83 巻 3 号 p. 171-180
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    宮城県長面浦はマガキ養殖が盛んな海域であるが,その高いマガキの生産性を支える栄養塩の供給過程や植物プランクトン生産の維持機構は不明である.本研究では,2014–2015年にかけて,栄養塩濃度と植物プランクトン生産の指標としてクロロフィルɑ(Chl ɑ)濃度の季節変化を調べることで,その維持機構を明らかにした.長面浦のChl ɑ濃度は3月下旬から9月まで高く,特に6月以降に顕著に高い値を示した.高いChl ɑ濃度が観測された3–9月は,長面浦に近接する新北上川の流量が増加することに加え,北東よりの風が吹くことにより,硝酸態窒素とケイ酸態ケイ素を多く含む河川水が長面浦に流入しやすくなるためと推測された.さらに6月以降は長面浦の底層の水温上昇と貧酸素化の影響により,海底から溶出するリン酸態リンとアンモニア態窒素濃度が上昇したことで,植物プランクトンの増殖が促進され,長期間にわたり高いChl ɑ濃度が維持されたと推測された.

  • 谷津 明彦, 緑川 聡, 高橋 浩二, 高口 俊之
    2019 年 83 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    気仙沼港の生鮮未成熟カツオの主要群別水揚量を5月に予測する方法を提唱した.2002–2018年の気仙沼港と房総勝浦港の月別銘柄別水揚量を体成長式により,大型(XA群)・中型(BC群)・小型(DE群)の水揚量に変換した.それら群間の水揚量の関係を把握するため,長期的な漁獲努力量の減少に伴う水揚量の変動を直線回帰により除去した.主群のBC群は初夏に三陸沖に北上する群で,気仙沼港の5–12月と房総勝浦港の1–4月の経年傾向を除去した水揚量間に有意な正相関がみられた.XA群は前年のDE群が黒潮域などで越冬後,三陸沖に再北上すると想定され,気仙沼港の5–12月のXA群と同港前年同期のDE群の経年傾向をそれぞれ除去した水揚量間に有意な正相関がみられた.また,気仙沼港のBC群の水揚量は房総勝浦港の1–4月の水揚量に加え,3月の伊豆諸島南部の表面水温を説明変数とする重回帰モデルにより予測可能と考えられた.

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