大阪湾におけるイヌノシタCynoglossus robustusの産卵海域を明らかにするため,産卵期に操業される刺網漁船に同乗して漁場位置を記録し,また小型底びき網漁船の操業日誌により産卵期の多獲海域を把握した.その結果,大阪湾の中央部に南北方向に延びる水深30 mの等深線に沿った海域が本種の産卵海域となっていることが明らかになった.また,刺網操業において日没約2時間前から透明卵を排出するメス個体が漁獲され,薄暮時以降は漁獲された成熟メスの約半数が透明卵を排出する個体となったことと,これまで昼間に漁獲された個体から透明卵が得られていないことから,本種の産卵は日没前後から夜間に行われると判断された.