2020年1月31日(金),2月1日(土)に第38回周産期学シンポジウムを浜松市のアクトシティ浜松で開催させていただきました。800名を超える方々にご参加いただき盛会に終えることができました。皆様方には心より御礼申し上げます。また,当時はCOVID-19のパンデミック前夜であり,手指衛生などのご協力をいただき,幸いにもクラスターの発生もなく会を終えることができたことも感謝いたします。
今回のシンポジウムのテーマは【母児の予後改善を目指した合併症妊娠の管理】でした。初日のプレコングレスでは,日常臨床でよく遭遇する内科的合併症として,国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターの村島温子先生に「膠原病合併妊娠」,国立循環器病研究センター産婦人科の神谷千津子先生に「ハイリスク心疾患合併妊娠の診療」,聖隷浜松病院てんかんセンター・てんかん外科の藤本礼尚先生に「てんかん合併妊娠─分娩状況により誘発される特発性全般てんかんを中心に─」,東京大学小児・新生児集中治療部の高橋尚人先生に「膠原病母体児の高サイトカイン血症と長期予後」について,それぞれ御講演をいただきました。改めて,合併症妊娠の管理について基本から振り返って学べる機会を得られたと思います。
二日目のシンポジウムでは,応募いただいたなかから厳選された9演題において,いずれも大変興味深く今後の診療に役立つ内容の発表が行われました。午前の部では,合併症妊娠に関する全国アンケート調査(周産期学シンポジウム運営委員会)を皮切りに,母体肥満と分娩異常,糖尿病母体児の臨床的特徴,バセドウ病合併妊娠の児の甲状腺機能異常,自己免疫疾患罹患女性への妊娠支援,午後の部では,てんかん女性への妊娠に関する情報提供,精神疾患合併妊娠の現状と問題点,消化器・腎泌尿器生殖器の小児期手術歴のあるキャリーオーバー妊婦,子宮腺筋症合併妊娠,広汎子宮頸部摘出術後妊娠への取り組み,についてそれぞれ発表と活発なディスカッションがなされました。さまざまな角度から,合併症妊娠の現状と問題点,今後の課題について理解が深まったと思います。
また,ランチョンセミナーでは,妊娠高血圧腎症のリスク評価と発症予防戦略,小児期から始める妊娠前カウンセリング(てんかん,心疾患)としてそれぞれ御講演をいただきました。こちらも明日からの臨床に役立つ有意義な内容でした。
本シンポジウムは,次世代のリーダーとなる若手の先生方を中心に1年以上の時間をかけて,シンポジウム運営委員会と演者が切磋琢磨し準備して発表が行われます。今回もその成果が十分に発揮できたと思います。このようなシステムが受け継がれて,次世代の育成や参加者の診療に役立つことを願ってやみません。
改めてご支援とご協力をいただいた皆様に御礼申し上げます。
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