シアノバクテリア、緑藻、光合成細菌の多くは、水素生産能を有している
1)。水素の生成は、シアノバクテリアではヒドロゲナーゼ(H2ase)またはニトロゲナーゼ(N2ase)、緑藻ではH2ase、光合成細菌ではN2aseによって触媒される。ただし、H2aseはN2aseで生成した水素を再吸収することがある(uptake H2ase)。両酵素とも酸素不安定酵素であり、対酸素防御機構を有する窒素固定シアノバクテリアのみが水素と酸素を同時に生成できる。シアノバクテリアおよび緑藻のH2ase系によって水素生産を行わせる場合は、細胞内に蓄えられたグリコーゲンやデンプンを還元力源とする嫌気自家発酵(暗条件)によるか、光化学系IIの活性を弱めた緑藻に光照射を行うことが行われる。水素生産能を改良するための方法の一つとして、演者らは、シアノバクテリア、
Synechococcus sp.PCC7942 にクロストリジウムのヒドロゲナーゼ遺伝子を導入し、活性のあるヒドロゲナーゼの発現に成功した
2)。シアノバクテリアと緑藻類を中心に水素生成メカニズムや生産能の改良のための研究を概括する。
1) Y.Asada & J.Miyake: J.Biosci.Bioeng. 88, 1-6 (1999).
2) Y.Asada et al.: Biochim.Biophys.Acta, 1490, 269-278 (2000).
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