産業医学レビュー
Online ISSN : 2435-1059
Print ISSN : 1343-6805
32 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 堤 明純, 佐々木 那津, 駒瀬 優, 渡辺 和広, 井上 彰臣, 今村 幸太郎, 川上 憲人
    2019 年 32 巻 2 号 p. 65-81
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2024/04/01
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    ストレスチェック制度の実施状況と効果について初のシステマティックレビューを行った。文献からは職業性ストレス簡易調査票の効率や予測妥当性について科学的根拠が示されていた。職場環境改善については有効性を示す研究があるが、その活動は十分に浸透していない。高ストレスの把握や対策に資するツールは改良の余地がある。ストレスチェック制度導入の効果を評価するためには、これらの課題を解決する努力が必要である。
  • 森本 泰夫, 西田 千夏, 友永 泰介, 和泉 弘人
    2019 年 32 巻 2 号 p. 83-98
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2024/04/01
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    化学物質のヒトへの有害性・リスク評価は、ヒトの疫学的調査の知見のみならず、動物ばく露試験、培養細胞試験などからの知見も重要で、これらを踏まえ総合的に判断される。動物ばく露試験のうち、齧歯類を用いた試験は、発がん試験などの試験方法が確立されていることもあり、多くの試験結果がヒト有害性・リスク評価の重要なデータとして使用されている。しかし、この齧歯類の反応のうち、ヒトでは反応が起きない、または起きにくいものも存在する。末梢気道におけるクラブ細胞が産生するCYP、特にCYP2F2はヒトでは発現がなく齧歯類、特にマウスでの発現が多く、化学物質を活性化の強い物質に変換し、肺病変をひきおこすことが報告されている。ナフタレン、スチレンなどの化学物質は、CYP2F2を介して代謝し、代謝産物が肺傷害や肺腫瘍を形成させる。故にナフタレン、スチレンによる肺病変形成は、マウス特有の反応である。ラットにおいて難溶性粒子を過剰にばく露した場合は、粒子のoverloadが作用して肺炎症、線維化、腫瘍化を引き起こすが、これはラット特有の反応である。ここでは、化学物質が引き起こす肺病変の種差、特にヒトと齧歯類での差異に関して紹介する。
  • 岸本 卓巳, 藤本 伸一, 加藤 勝也, 井内 康輝
    2019 年 32 巻 2 号 p. 99-130
    発行日: 2019/09/01
    公開日: 2024/04/01
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    2006年に兵庫県尼崎市の旧クボタ神崎工場周辺で中皮腫多発事案が報じられて13年が経過した。石綿関連疾患の潜伏期間はおおむね40年以上と長い。戦後の経済発展とともに石綿を汎用してきた日本において今後もこれら疾患の増加が予想されている。石綿関連疾患は産業保健関係者から臨床医まで幅広い対応が必要である。診断および治療に大きな進歩を見せている中皮腫を中心に最近15年に投稿された論文のレビューを行った。
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