産業医学レビュー
Online ISSN : 2435-1059
Print ISSN : 1343-6805
35 巻, 1 号
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  • 太田 充彦, 蟹江 太朗, 松永 眞章
    2022 年 35 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/01
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    がん患者の生存率は増加傾向にあり、復職できるがんサバイバーは増えている。日本におけるがんサバイバーの復職率を明らかにした先行研究は乏しく、バイアスにより過大評価されている可能性もある。がんサバイバーの抑うつ状態が就労によって改善するかについて、先行研究の結果は一定していない。がんサバイバー労働者は、主観的健康感や身体的機能の低下を訴える割合が高いことが報告されている。がんサバイバー労働者を対象とした、がん関連疲労に関しても研究がさらに行われるべきである。
  • 道川 武紘
    2022 年 35 巻 1 号 p. 13-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/01
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    叙述的総説である本稿では、ヒトへの健康影響がよく知られている金属元素である鉛、水銀、カドミウムについて、生活環境下における曝露により子ども(胎児)が成人に達する前に有害作用が誘発されるのか、現状の疫学的知見を概観した。とくに出生時健康指標(早産、低出生体重、死産、先天異常)をアウトカムとした研究を整理した。まだ一貫性のあ る関連性は得られていないと考えられ、今後さらなる研究の蓄積が待たれる。
  • 永野 千景, 堀江 正知, 森口 修逸
    2022 年 35 巻 1 号 p. 42-77
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/06/02
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    労働安全衛生法は、事業者が労働者の健康管理を行う上で健康情報を保存して利用する義務を課している。わが国は、欧米諸国と比べてプライバシーや個人情報を保護する体制の整備が遅れていたが、2000年以降にOECDのプライバシーガイドラインやEUの一般データ保護規則(GDPR)への適合を目指した政策が進み、個人情報保護法が精緻化され、要配慮個人情報である健康情報に関しては、従来からの守秘義務に加えて、利用目的の公表、安全管理措置(セキュリティ対策)、目的外利用や第三者提供の禁止、情報主体への開示など事業者の義務が厳格化された。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得しているIT先進企業においても、特に、労働者の健康情報等の要配慮個人情報の取扱いに関して、産業保健専門職が専属的に従事している事業場に比して、専門職の関与が少ない小規模事業場との格差は拡大している。デジタル社会でICTが活用される中で、個人情報の保護と利用の均衡は一層大きな課題となる。ISMSを取得しているIT先進企業においても、 特に、 労働者の健康情報等の要配慮個人情報の取扱いに関して、 産業保健専門職が専属的に従事している事業場に比して、専門職の関与が少ない小規模事業場との格差は拡大している。
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