連年土石流災害が生じ多数の生命と財産が失われているが,対策工事はいまだ十分に実施されておらず,当面被害を減少するため土石流の発生を予測し,あらかじめ避難することが重要となる。本研究は,土石流の発生を予測する最も重要な要因として降雨に着目し,いかなる降雨指標が防災体制としての警戒・避難基準に適当であるかを検討したものである。本報文においては過去土石流が多く発生しかつ降雨記録が整備されている10地区について,土石流発生時の降雨及び非発生時の降雨資料を解析した。これによると単一の降雨指標については10分間~3時間雨量よりも連続雨量,実効雨量が適している。また,前期降雨を含めて1時間毎にある一定時間で半減させる残留雨量では,半減時間を24~72時間にすると土石流の発生・非発生が判断しやすくなることがわかった。降雨指標を10分間雨量,30分間雨量,1時間雨量及び有効雨量強度と実効雨量の各々2つの降雨指標の組合せにすると単一降雨指標に比較してさらに土石流の発生・非発生が判別しやすくなる。
抄録全体を表示