植物環境工学
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20 巻, 1 号
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論文
  • 清水 浩, 對馬 ゆかり, 小松佳 菜子
    2008 年 20 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    ノースポール(Chrysanthemum paludosum ‘North Pole’)を対象として,3通りの昼夜間温度差(DIF)条件, +10 DIF(明期25°C/暗期15°C), 0 DIF(20°C/20°C), -10 DIF (15°C/25°C)で下胚軸の伸長成長量を画像計測システムを用いて10分毎に6日間連続計測した. その結果, 計測開始2日目(播種10日後)の一日の伸長成長量は+10 DIF で0.5 mm, 0 DIFで0.42 mm,-10 DIFで0.2mmとなり, DIF値が大きいほど一日の伸長成長量が大きくなった.
    明期および暗期における伸長成長量は, 明期にDIF値が大きくなると伸長成長量も大きくなる傾向が認められるが, 一方, 暗期ではDIF値による伸長成長量の違いは認められなかった. これらの伸長プロフィールを画像による連続計測データから解析したところ, 伸長成長パターンについては+10 DIFと0 DIFの伸長成長パターンはよく似ており, ぞれぞれ明期開始3時間後, 5時間後に顕著な伸長が認められれるが, -10 DIFでは明期暗期ともに顕著な伸長成長は認められず, 明期開始8時間後(14時頃)に若干の増加傾向が観察された程度であった. また, 顕著な伸長成長の持続時間もDIF値が大きいほど長いことが明らかとなり, 明期の伸長成長量がDIF環境下におけるノースポールの一日の伸長成長量に大きな影響を与えていることが明らかとなった.
  • 清水 浩, 高野 愛
    2008 年 20 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    キク(Chrysanthemum morifolium Ramat.‘Reagan’)を対象として, +10 DIF(DT:25°C/NT:15°C), 0 DIF(20/20), -10 DIF (15/25)の環境下での伸長成長量を画像計測システムで非接触連続計測(それぞれn=5)を行なった. その結果, いずれのDIF条件においても暗期の伸長成長量が明期よりも大きいという結果となり, これまでに差動変圧器など接触型計測装置での報告と一致した. 一日当りの伸長成長パターンについては暗期開始後約1時間に顕著な伸長があり, これは長くは持続せず暗期開始約2時間後には傾きが緩やかになるが, 約4時間後に再び若干上昇する傾向が観察され, これはDIF値が大きくなるほど顕著であった. 明暗期それぞれにおける伸長成長量は, 明期ではいずれのDIF条件でも顕著な伸長は認められなかったが, 暗期ではDIF値が大きいほど, つまり暗期温度が低いほど伸長成長が大きくなるという結果を得た. 本研究での結果と過去の知見との考察より, 明期の温度がそれに続く暗期の伸長成長に大きな影響を与えていると推察された.
  • 安永 円理子, 宮本 英揮, 吉田 敏, 筑紫 二郎
    2008 年 20 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    乾燥過程における籾の誘電特性の把握に対しTDRの有効性を検証すること, ならびにTDRの有効測定範囲を明らかにすることを目的とし, 2種のプローブを用い籾の比誘電率の経時変化を計測した結果, 以下の知見が得られた.
    (1)2線式および短絡型プローブで計測したTDR波形は, プローブ始端の反射地点(t1)以降の形状が異なるものの, いずれも籾の水分に対するtsの変化傾向は等しく, εが適切に計測されていることが確認された.
    (2)絶乾状態においても反射地点の特定が容易である短絡型プローブは,籾の比誘電率測定に, より適したプローブであることが示唆された.
    (3)5%の乾燥収縮が認められた乾燥過程において, 籾のmεには非常に高い相関が認められ, TDRにより得られたεから籾の水分を充分に評価できることが示唆された.
    (4)電界強度分布を評価することは, プローブの計測領域を明示するための有効な手法であることが示唆された.
  • 清水 浩, 對馬 ゆかり, 小松佳 菜子
    2008 年 20 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    ハボタン(Brassica oleracea var. acephala. ‘Tsugumi’)の下胚軸を対象として3通りのDIF条件(+10 DIF(明期温度:25°C/暗期温度:15°C), 0 DIF(20°C/20°C), -10 DIF(15°C /25°C)における明暗期の伸長成長パターンを画像計測手法を用いて解析した. ハボタンの下胚軸伸長量はDIF値が大きくなるほど増加し, DIFによる草丈調節はハボタンにおいても有効であることが明らかとなった. DIF条件下における一日の伸長成長パターンは, 明期ではいずれのDIF条件でも特徴的な伸長成長は観察されなかったが, 一方暗期ではいずれのDIF条件でも特徴的な伸長パターンがあり, -10 DIFでは暗期開始直後から約3時間, 0 DIFでは暗期開始1時間後から約4時間, +10 DIFでは同じく暗期開始1時間後から約9時間に顕著な伸長成長が認められ, ハボタンにおけるDIF環境下での伸長成長量の差は暗期に発生しており, しかも暗期温度が低いほど伸長成長が顕著であることが明らかとなった.
  • -明暗期における伸長量の解析-
    清水 浩, 對馬 ゆかり, 小松佳 菜子
    2008 年 20 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    フレンチマリーゴールドを対象として, +10 DIF(明期25°C/暗期15°C), 0 DIF(20°C/20°C), -10 DIF(15°C/25°C)における下胚軸の伸長成長量を画像計測し, 定量的に解析を行なった. その結果, マリーゴールドはDIF値が変化しても伸長成長量には有意な差が認められず, DIFに反応しない品目であることが明らかとなった. この原因を探るため明期および暗期における伸長成長量を調べたところ, 本研究で設定した平均気温20°CのDIF条件のうち, 0および+10 DIFではいずれも明暗期ともほぼ同程度の伸長成長量となり, 一方-10 DIFでは明暗期に伸長成長量の差があるものの一日の伸長成長量は0および+10 DIFの場合と同程度となるため, 昼夜間の温度差であるDIFを指標として整理しても明確な関係が得られないことが明らかとなった.
  • 太田 浩一, 太田 万理, 鈴木 鐵也
    2008 年 20 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    The present study was undertaken to develop an effective preservation system for sweet corn kernels by taking advantage of the properties of dim LED light and cool temperature. Dehusked sweet corns (Zea mays L. var. saccharata f. Peter corn) were stored at 5°C for 4 d under a photosynthetic photon flux density (PPFD) of 1μmol m-2 s-1 using red and blue LEDs. During storage, the Brix scale was measured daily, and an amino acid analysis was carried out after 4 d storage. The Brix scales were kept high under the blue LED irradiation and cool conditions (5°C) compared to those under dark-cool conditions.Similarly, sweet corn umami was enhanced by storage under the blue LED-cool conditions, which was in good agreement with the observed increase of aspartic acid and glutamic acid, a predominant amino acid, under the same conditions. Red LED-cool conditions had also a preserving effect on sweet corn kernels but not as pronounced as the blue LED-cool conditions. However it was much better than that of dark-room temperature conditions. These results suggest that light quality during storage determines the quality of sweet corn kernel and its umami constituents. The authors propose the blue LED-cool preservation as a practical and useful technique.
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