社会情報学
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2 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 寺地 一浩
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 1-16
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    ポイントは,消費者を誘引し,様々な企業で採用され消費社会に浸透している。しかしポイントを提供する企業では,ポイントで収集した顧客情報を,効果的にマーケティングに活用できず,また競合他社のポイントプログラム導入もあり,競合先との差別化は困難な状況である。一方で消費者のポイントに対する行動は,金銭的利得を追求するだけではなく,貯めることに執着し追求するなどの購買行動をとり,必ずしも経済合理性に基づく行動ではない。ポイントを貯めることにより,企業に対するロイヤリティを形成し,ポイントを貯める喜びを感じるなどの心理的効果は,企業と消費者の双方に共有される価値であり,積極的に評価されるべきである。これまでポイントプログラムの有効性をはじめとする戦略性,発展性等の先行研究は,消費者の行動誘因として主に経済合理性が仮定され研究されてきた。ポイントプログラムの課題を克服し効率化をはかるために,ポイントそのものがもつ心理的効果を検証することが求められる。これら検証は,ポイントプログラムに関する有効性の研究に新たな効果要因を解明するものである。本研究では,心理的効果を検証するため,消費者のポイントに対する認識とポイントの購買行動への影響を実証分析した。消費者のポイントを貯めることに執着し追求する傾向に対して,損失回避性と利用可能性ヒューリスティックが影響を与えていることを明らかにした。
  • 天野 徹
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 17-32
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    大きな災害が繰り返し発生する日本においては,想定外の事態を想定した防災・減災計画が求められる。そして,「新しい公共」の考え方と,高度情報ネットワーク環境は,被災自治体が単独で,あるいは行政組織の連携のみではなく,個人・NPO・企業・行政の壁を越えたボーダーレスなネットワークを通した資源動員と協働により,効果的・効率的な防災・減災行動を行っていく道を拓いた。東日本大震災の後に全国規模で展開された被災地・被災者への支援活動は,そうした新しい時代における可能性を明確にしている。本論では,天野(2005)で示されたコミュニティ・ネットワークの考え方及び分析枠組みに基づき,東日本大震災後に行われた支援活動のうち,広域-創発型の特性を備えた二つの活動例について分析を行い,その特徴についての考察を行う。本論ではこれらの事例が,災害支援NPOが宿命的にはらむ問題を正しく認識したうえで,継続的な活動を行うための現実的な戦略を描き,実行することによって,着実な成果を上げたことが示される。それはコミュニティ・ネットワークが災害多発国日本において行政とボランタリーセクターが協働して新しいタイプの防災システムを再構築する上で,大きな可能性を持っていることを意味している。
  • 棚田 梓, 岡田 勇
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 33-47
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    インターネットメディアの発展により,いわゆる放送と通信の境界があいまいになるにつれ,地上デジタルテレビ放送の地位が急速に低下してきている。しかし,多メディア化が進むにつれ,テレビ局の持っているノウハウや高度な編集能力に基づく高品質な番組を提供しうるポテンシャルは,引き続きメディアとしての差別化された価値を維持する可能性を持っている。視聴者がメディアを選択する時代に,地上デジタルテレビ放送が番組の品質を維持することは,重要な政策課題となるはずである。本稿では,地上デジタルテレビ放送のこのような差別的価値を強化するための方策として,放送倫理・番組向上機構(BPO)に着目し,事例分析を行いBPOの機能と役割について考察した。はじめにBPOは3つの事件を契機として,公権力の介入を阻止することを主目的として役割強化が図られてきたことを明らかにした。次に,BPOは視聴者の苦情処理という側面に加え,番組の品質向上への期待や業界への提言といった積極的役割を行っている一方,BPOの決定を放送局が遵守するというのは申し合わせに過ぎず,BPOが有効に機能しない事例もあることを示した。BPOで討議された事例を分析した結果,BPOは地上デジタルテレビ放送の差別化要因になりうることを指摘した。また,そのために放送業界がBPOの決定を遵守したり,社員教育の徹底を行ったりする必要があることを示した。現在のBPOには客観性についていくつかの批判が存在しているが,その是正には時間がかかることであり現在のBPOの自由度に配慮しつつ活動を見守るべきであることを主張した。
  • 大熊 健裕, 山本 佳世子
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 49-65
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本研究は都市地域を対象とし,自治体と地域住民が提供する災害情報をGIS (Geographical Information Systems) ベースマップ上でマッシュアップすることにより,減災対策のための平常時における災害情報の蓄積を目的としたソーシャルメディアGISを設計・構築して,運用・運用評価まで行うことを目的とした。本研究の結論は,以下の3点に要約することができる。(1)Web-GIS, SNS, Twitterの3つのWebアプリケーションを統合して,災害情報の蓄積を可能にするソーシャルメディアGISを設計・構築し,時間的・空間的・人的制約の緩和を可能にした。運用設計・構築し,時間的・空間的・人的制約の緩和を可能にした。運用対象地域として東京都調布市を選定し,現状調査を行った後にシステムを詳細に構成するとともに,本運用前に運用試験とその評価を行って改善点を抽出してシステムを再構成した。(2)本運用は調布市の高校生以上の地域住民を対象として2ヵ月間行ったところ,本システムの性格上,利用者75名中で20歳代が約72%であった。運用期間中にはPCと携帯情報端末の両方から情報が投稿・閲覧され,災害情報が蓄積されていた。(3)利用者へのアンケート調査結果,本運用中のログデータを利用したアクセス解析と投稿情報の分析の結果を基に運用評価を行った。前者からは本システムの操作性と利用効果の点で有用性が示された。後者からは,30歳代,40歳代の利用者はPCのみから投稿していたが,20歳代の利用者はPC,携帯情報端末の両方からほぼ同程度投稿していたことが明らかになった。また投稿情報は5種類に分類することができ,避難場所と避難経路に関するものが多かった。
  • 田畑 暁生
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 67-81
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    丹後半島は近畿地方の最北端に属する半島であり,近畿の中では南紀地方と並んで,京阪神から最も時間距離の遠いところと言えるだろう。平成の大合併を経て丹後半島地域は,それまでの1市10町体制から,広域合併を行った京丹後市,3町が合併してできた与謝野町と,合併をしなかった宮津市,伊根町の2市2町体制となった。本稿はこれらの自治体の地域情報化政策の特徴を調査で明らかにする。合併で成立した京丹後市,与謝野町の方が,宮津市,伊根町よりも積極的な情報化施策を行っている。京丹後市では,2006年の『京丹後市地域情報化計画』に謳われた情報基盤の整備,CATVやコミュニティFMの開局などを実現,日経の「e都市ランキング2006」では全国50位にランクインしている。与謝野町では,合併前の旧加悦町で敷設されていたCATVを全町に拡大する方針を決定,通信・放送・防災に利用し,また,2009年に策定された『与謝野町地域情報化計画』では情報ネットワークやCATVの活用を謳った。宮津市は,市が補助金を出すプロポーザル入札によって,条件不利地域に2007年度からADSLを,2009年度から光ファイバー整備を行った。また,総務省の地域ICT利活用事業で,島根県海士町と組んでソフト振興策としての映像発信事業を始めたが,残念ながら持続的な事業には至っていない。伊根町は最も小規模かつ余裕のない自治体のため,特筆すべき地域情報化政策はなく,また,自治体が行った住民アンケートでも情報化への関心は低かった。
  • 西垣 通
    原稿種別: 本文
    2013 年 2 巻 2 号 p. 83-
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
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