マウスの頭部局所を39~51℃の各温度で加温し,
31P-MRSでそのエネルギー代謝変化を検討すると共に頭部局所加温における生存限界致死温度を求めた.また, そのハイパーサーミアによる脳の細胞死とアポトーシスの関連を検討した結果, 下記の結論を得た.
1.頭部加温温度の上昇に伴い, 脳の高エネルギー物質の代謝周期が速くなった. (39℃;40分, 42℃;23分, 45℃;12分)
2.45℃加温 (頭部温度 : 43℃) において半数のマウスが60分の加温期間中に死亡した. (LD50/60min)
3.頭部加温温度の上昇に伴い, 生存時間 (MRS'deadtime) が短縮した. (39℃;生存, 42℃;生存, 45℃;死亡マウスでは45.8分, 48℃;24.6分, 51℃;17.2分)
4.頭部加温温度の上昇に伴い, 直腸温が上昇した. (39℃;35.9℃, 42℃;37.9℃, 45℃;39.6℃, 48℃;40.1℃, 51℃;40.2℃)
5.頭部局所加温により, 脳組織にアポトーシス像を認めた.
以上の結果より, 頭部局所加温において加温温度の上昇に伴い高エネルギー物質の代謝周期は速くなり, 頭部温度43℃が生存限界温度と思われた.この時, 加温により脳組織では, アポトーシスが誘導され死亡するものと思われた.
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