日本ハイパーサーミア学会誌
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13 巻, 1 号
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  • 高木 浩敏, 加藤 太郎, 池亀 健, 平井 英史, 二川 佳央, 根岸 直樹, 野崎 幹弘
    1997 年 13 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2009/09/29
    ジャーナル フリー
    マイクロ波ハイパーサーミアにおいて局所選択加熱を実現するための磁性微粒子の開発を行った.磁性微粒子として, 酸化鉄 (III) 鉄 (II) 微粒子水分散液とゼラチン水溶液を混合することによりゼラチンで保護した酸化鉄 (III) 鉄 (II) 微粒子 (Gel-Mag微粒子) を調製した.このGel-Mag微粒子は生理食塩水中で安定に分散した.このGel-Mag微粒子の分散安定性, および酸化鉄 (III) 鉄 (II) 微粒子へ吸着するゼラチン量の測定を行い, ゼラチンの吸着量が増加すると, Gel-Mag微粒子の分散安定性が向上することが明らかとなった.
    電気的に筋肉と等価な寒天ファントムモデルを貫通するポリ塩化ビニルチューブにGel-Mag微粒子分散液を流して, 外部よりこのチューブに直交する方向に直流磁場を与えた.その結果, ポリ塩化ビニルチューブの内壁にGel-Mag微粒子の堆積が認められた.また堆積したGel-Mag微粒子に対して直流磁場を印加した状態で周波数430MHz, 5Wのマイクロ波を, 電界振動方向が直流磁場の向きと等しくなるように5分間照射した.アプリケータの開口面から10mmの位置に堆積したGel-Mag微粒子が存在するときには, Gel-Mag微粒子が存在しないときに対して175%の温度上昇が見られた.この結果はGel-Mag微粒子におけるマイクロ波の吸収がファントムモデルの温度上昇を引きおこすことを示しており, Gel-Mag微粒子がマイクロ波加熱に対して有効な物質であることがわかった.
  • 加藤 博和, 兵藤 一行, 赤坂 展昌, 西村 克之, 笠井 俊文, 内田 伸恵, 杉村 和朗
    1997 年 13 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2009/09/29
    ジャーナル フリー
    誘電型加温装置を用いて患者の深部を加温する場合, 皮下脂肪が過剰に発熱することにより深部に充分な電磁エネルギーを供給することが困難である.このことは, 誘電型加温の加温特性そのものによることが最も大きい原因であるが, しかしそれ以外に実際的な加温において誘電型加温方法が潜在的にもっている深部加温能力を十分に出されていないことによることに起因しているとも考えられる.後者については, 加温条件を最適化することにより誘電型加温方法がもっている潜在的加温能力を充分に発揮させることが可能になると考えられる.そこで, 被加温体を楕円柱とし, それにbolus, overlay bolusを装着したときの発熱分布をコンピュータを用いて解析した.そして, 現在の使用条件における発熱分布と最適化した加温条件における発熱分布を比較した.その結果, bolus, overlay bolusの最適化を行うことにより, 深部に供給できる電磁エネルギーを現在より33%向上できることが示された.
  • 藤井 麻美子, 戸田 康永, 根岸 聡, 酒本 勝之, 金井 寛
    1997 年 13 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    超音波ハイパーサーミアの大きな問題点として, 音響インピーダンスの著しく異なる境界面 (肺や骨など) での発熱があげられる.この発熱は患者に激痛を与え, その結果, 目的部位を十分に加温できなくなる.そして多くの場合, 治療を中断せざるを得なくなる.
    そこで本研究ではこの問題を筋肉-骨境界面に限定し, その発熱の原因を数値計算とモデル実験により解析した.超音波の伝搬において, 境界面における反射・透過率, さらには伝搬の圧縮波からずり波へのモード変換などは超音波の入射角度に大きく依存するので, 特に温度分布の角度依存性に注目して検討を進めた.
  • 山本 竜隆, 瀬戸 明, 日下 史章, 仲里 誠毅, 久光 正
    1997 年 13 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2009/09/29
    ジャーナル フリー
    磁気・電磁気による生体非熱効果研究の一環として, 生体電磁加温能力をほとんど持たない交流磁気発生装置 (50Hz, 0.08T) を12個用い, ヒトを対象に全身性交流磁気刺激を施行し, 末梢血中セロトニン (5-HT) およびその代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-HIAA) を測定した.実際にヒト体幹部に加わる磁気強度は, およそ0.5~7mT (5~70gauss) の範囲であった.1日30分間の曝射を3日間連続で行い, 採血はいずれも磁気刺激前, 磁気刺激30分後, および3日間の磁気刺激後の合計3回行った.また同時に腋下体温も測定した.全血5-HT (n-13) は30分間の磁気刺激後, 有意に低下し (p<0.05), さらに3日間の磁気刺激後では高度に低下した (p<0.001).一方血漿5-HIAA (n=6) は30分間の磁気刺激後では有意差はなかったが, 3日間の磁気刺激後では有意に上昇した (p<0.01).なお腋下体温の変化はみられなかった.この結果は超低周波の全身性交流磁気刺激が, 熱効果を介さずに血管作動物質の一つである5-HT系に影響を与えていることを示している.交流磁気による血中の5-HT低下作用は, おそらく大部分が胃腸管のエンテロクロマフィン細胞 (EC細胞) の5-HT合成の阻害か, または放出の抑制によるものと考えられる.交流磁気の非熱効果は現行のハイパーサーミアに有益に作用する可能性がある.
  • 放射線・温熱・化学療法の新しい治療効果判定法の検討
    西崎 友保, 伊藤 要子, 大塚 隆信, 米沢 正人, 松下 廉, 水谷 弘和, 小栗 隆, 松井 宣夫
    1997 年 13 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2009/09/29
    ジャーナル フリー
    The 1H-MR spectra of plasma obtained from two patients under treatment with radiohyperthermochemotherapy (RHC) for malignant bone and soft tissue tumors were studied and assessed for treatment efficacy. High lactate peaks were obtained, similar to those already reported in other malignant tumors. Changes in the area of lactate peaks reflected treatment effect in the two cases reported. The lactate peaks showed a time-dependent decline in case 1 in which RHC was successful. In contrast the lactate peaks did not show change in case 2, in which RHC was not effective. To our knowledge, this is the first report of its kind in the orthopedic field.
    There have been no useful serum markers for malignant tumors in the orthopedic field. The 1H-MRS lactate peaks could contribute to assessment of treatment course in bone and soft tissue tumors.
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