日本ハイパーサーミア学会誌
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16 巻, 3 号
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  • 大津留 晶, ブライデン ベラ, 三木 文夫, 磯本 一, 赤司 有史, 小坂 光男, 山下 俊一
    2000 年 16 巻 3 号 p. 131-141
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    がん遺伝子治療は進行癌や難治性癌の治療において, 副作用が少なくしかも効果的な治療となる可能性を秘めているが, 現段階における治験成績は必ずしも満足いくものではない.一方, 悪性腫瘍に対する温熱療法も, 癌細胞における熱ショック蛋白 (HSP) 誘導に代表される温熱抵抗性機序によりその効果は現況では限られたものである.しかし癌自殺遺伝子治療と温熱療法を併用することにより, 癌細胞に対するFas依存性アポトーシスを介した機序により, 著明な治療効果増強が得られることが見出された.さらに遺伝子治療における副作用をなくす目的で, 癌細胞の温熱耐性獲得時にHSP遺伝子のプロモーター活性が上昇することを応用した, 腫瘍選択的な分子標的治療を新たに考案したので報告する.
  • 大坪 俊雄, 加納 永一, 林 幸子, 金 明暉, 畑下 昌範, 松本 英樹, 斎藤 等
    2000 年 16 巻 3 号 p. 143-151
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    化学療法剤と温熱療法との併用による相互効果について, 培養細胞水準の研究成果を中心に概説した.化学療法剤と温熱による相乗効果はアルキル化剤, シスプラチン, ブレオマイシン, マイトマイシンCで顕著であった.特にマイトマイシンCは, 42-44℃step-up加温中に出現する温熱耐性を部分的に阻止し, 温熱との併用における有用性が示唆された.一方, アドリアマイシンと温熱の併用による抗腫瘍効果は二相性であり, その併用初期では著明な温熱増感がみられるが, 処理時間が長くなると, 温熱耐性を誘導した.またこの温熱耐性は新規合成分のhsp72誘導と相関していた.シスプラチンは温熱誘導型アポトーシスを増強させることにより, 細胞の42℃温熱感受性を顕著に増大させた.化学療法剤とmild-hyperthermiaとの併用については, 今後さらにその有用性が検討されるべきと考えられた.
  • 平野 聡, 多部田 弘士, 杉戸 一寿, 和田 暁彦, 森 信二
    2000 年 16 巻 3 号 p. 153-157
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    胸腔内悪性腫瘍症例では呼吸状態の比較的不良な患者が多く, 温熱療法を施行するにあたり安全性の証明が不可欠である.今回我々は胸腔内悪性腫瘍に対して電磁波温熱療法を施行した13症例について, 治療前, 直後, 終了5分後に体温, 呼吸数, 血圧, 脈拍, 経皮的酸素飽和度, 動脈血液ガス分析を行い副作用の検討をした.従来報告されている脈拍数の増加に加え, 体温の上昇, 呼吸数の増加, 動脈血酸素分圧の低下を認めた.今後の同領域の治療において留意する必要があると思われた.
  • 加藤 博和, 内田 伸恵, 笠井 俊文, 黒田 輝, 杉村 和朗, 北垣 一, 黒田 昌宏, 川崎 祥二, 澁谷 光一
    2000 年 16 巻 3 号 p. 159-168
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    MRI装置と併用可能なRF interstitial型加温用の内部電極および外部電極の材料および形状について検討した.内部電極用試料として, 鉄, チタン, モリブデン, タングステン, 銅のコイルまたはrodを用いた, 外部電極用平板型試料として, 銅箔および溝を切り込んだ銅箔を用いた.試料を寒天ゲルに挟み, 0.2T開放型MRIシステムを用いてT1強調画像, 位相画像を採取した.その結果, 銅が最もMRI画像に影響を与えないことが示された.しかし, 内部電極としての弾性率および密度を考慮した場合, モリブデンが電極材料として適していることが示された.溝切り加工した銅箔はMRI画像に与える影響が小さいことから外部電極として適していると考えられた.
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