日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
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4.臓器毒性
  • 河合 悦子, 大野 行弘, 玄番 宗一
    セッションID: O-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】抗癌剤シスプラチンによる腎障害には、活性酸素や細胞内カルシウム濃度の変動が関与している。一方、活性酸素がMAP kinaseの一つであるERKの活性化を介して細胞機能へ影響を及ぼすことが知られている。そこで、我々はシスプラチンによる腎障害へのERKの関与と活性酸素および細胞内カルシウムとの関係について検討した。 【方法】実験には培養腎上皮細胞株LLC-PK1を用いた。細胞はシスプラチンを含む培地で5時間培養後にシスプラチンを含まない培地と交換し、さらに一定時間培養を続けた。シスプラチン曝露一定時間後、細胞内の活性酸素は蛍光色素法により、ERK活性はウエスタンブロット法によりそれぞれ検出した。細胞障害は細胞からの乳酸脱水素酵素(LDH)遊離率を指標にし、細胞内カルシウムの関与は細胞内カルシウムキレーターBAPTA-AM用いて調べた。 【結果】シスプラチンは、曝露48時間後に細胞からのLDH遊離率を増大させた。細胞障害に先駆けてシスプラチンは、曝露5時間後より時間依存的に細胞内の活性酸素産生量を増大させ、ERK活性を曝露8時間後に一過性に上昇させた。このシスプラチンによるERK活性増大は、24時間後にはコントロールレベルに戻った。抗酸化剤Tempolは、シスプラチンによる活性酸素産生増大およびERK活性化を抑制した。ERK活性を阻害するMEK阻害剤U0126は、シスプラチンによる細胞障害を抑制した。カルシウムキレーターBAPTA-AMは、シスプラチンによる活性酸素産生増大や細胞障害およびERK活性の上昇をいずれも阻害した。 【考察】培養腎上皮細胞LLC-PK1において、シスプラチンは活性酸素産生増大に続いてERKを活性化させ、細胞障害を引き起こすことが示唆される。また、シスプラチンによる活性酸素産生増大に細胞内カルシウム濃度の上昇が関わっている可能性が考えられる。
  • 宮田 昌明, 高松 裕樹, 山添 康
    セッションID: O-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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     Ampicillin (ABPC)と一次胆汁酸のcholic acidをマウスに併用投与すると肝障害マーカー(血漿ALT活性)と肝内胆汁酸濃度の顕著な増加が認められた。ABPC単独投与においても両者の有意な上昇が認められた。そこで本研究では抗菌薬投与による肝内胆汁酸濃度上昇の機序を明らかにすることを目的とした。8週齢雄性C57BL/6NマウスにABPC (100 mg/kg)を3日間経口投与し、肝内や消化管管腔内胆汁酸組成、肝臓と回腸の胆汁酸関連遺伝子のmRNAレベルを解析した。  胆汁酸合成の律速酵素であるCYP7A1発現は胆汁酸プールサイズの増加によりフィードバック阻害を受け、低下するとされている。ところが肝内胆汁酸レベルが増加するABPC投与マウスで、Cyp7a1mRNAの有意な発現増加が認められた。ABPC投与マウスの回腸においてはエンドクライン作用により肝臓に作用しCyp7a1発現を抑制する消化管シグナル因子の fibroblast growth factor 15 (FGF15) mRNAの顕著な発現低下が認められた。消化管FGF15は胆汁酸により発現調節を受けることから、ABPC投与マウスの消化管管腔内胆汁酸の組成を解析すると、一次胆汁酸の増加と二次胆汁酸のdeoxycholic acid (DCA)の消失が認められた。糞中で検出される二次胆汁酸生成に関わる主要腸内細菌はABPC投与により顕著に減少した。ABPC処置マウスにDCAを併用投与すると、容量依存的な消化管管腔内DCA濃度の上昇に伴い、消化管FGF15mRNAの発現増加が認められた。上記の変化はABPC以外の抗菌薬でも認められた。  以上の結果より、抗菌薬投与による腸内細菌の減少は、二次胆汁酸のDCAレベルを減少させることにより消化管内FGF15発現を抑制することが示唆された。このFGF15の発現抑制が肝臓の胆汁酸合成を亢進し、肝内胆汁酸レベルを増加させると考えられた。これらのことは腸内細菌ーFGF系により肝胆汁酸レベルの調節がされていることを示している。
  • 根本 清光, 水上 将典, 吉田 緑, 西川 秋佳, 井上 薫, 高橋 美和, 関本 征史, 出川 雅邦
    セッションID: O-45
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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     神経成長因子(NGF)や脳由来神経栄養因子(BDNF)といった神経栄養因子は、神経細胞のみならず非神経系組織に対して、分化・増殖など様々な機能を発揮している。肝臓においても、肝がんの発生・進展、肝細胞増殖、また、脂質・糖代謝制御との関わりが示されるようになっている。
     そこで、本研究では、抗高脂血症薬クロフィブレート(CF)が有する肝細胞肥大誘発作用や、肝内コレステロール(Chol)生合成の抑制作用、中性脂肪(TG)の代謝亢進作用への神経栄養因子の役割を追究するために、CF投与による肝肥大過程での神経栄養因子とそれら受容体の遺伝子発現変動を検討した。
     6週齢F344ラットの雌雄に、基礎飼料(対照群)あるいはCF 2,500ppmの混餌食を与え、実験開始3日後、4週後、13週後、および13週間投薬して4週間休薬後、それぞれ血液採取ならびに肝臓の摘出を行った。血清中総Chol量、TG量の測定、肝重量測定、肝臓病理学的観察を行うとともに、肝臓RNAを調製し、RT-PCR法にて、NGF、BDNF、それら受容体(TrkA、TrkB、p75NTR)の遺伝子発現量を測定した。
     CF投与により、雌雄ともに、肝重量増加、肝細胞肥大、血清総Chol量ならびにTG量の減少が観察されたが、休薬処置によりそれらいずれも対照群レベルに回復した。一方、BDNF遺伝子は、雌雄いずれも投与4週間後から対照群に比べて発現亢進し、この亢進は休薬処置によっても回復しなかった。
     CFの肝発がん誘発能を考えると、本研究で見出されたCFのBDNF発現促進作用は興味深く、現在さらにBDNFと肝発がんとの関連性を追究中である。
  • 小林 康子, 武藤 朋子, 石田 憲太, 本橋 昌也, 今井 海, 和久井 信
    セッションID: O-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】過去、我々は本学会においてPCB126胎生期曝露のBHP誘発ラット肺がんへの影響について報告を行い、高用量PCB126曝露群でのみPCNA等の細胞増殖活性因子が高く発現していることを報告した。近年、AhRはcell cycle regurationに関与するという知見がある。そこで、今回はcell cycleに関与するタンパクの発現についての検討を行った。 【材料と方法】3,3’,4,4’5-pentachlorobiphenyl(PCB126)を7.5ug/kg(高用量群)、250ng/kg(中用量群)、2.5ng/kg(低用量群)、および溶媒(対照群)を胎生期に曝露した次世代・雄ラット5週齢を対象としてN-nitrobis(2-hydrpxypropyl)amine(BHP)投与を行い肺がんを誘発した。これらBHPラット肺がん組織におけるCyclinD、CDK4、およびそれらのinhibitorであるp19のタンパク発現を免疫組織化学的、及びwestern blot analysisにて確認検討を行った。 【結果】細胞周期関連タンパクであるCyclinDにおいてはPCB126高用量群で強い発現を確認したが、CDK4は全群で発現は低かった。さらに、それらのinhibitorであるp19はPCB126高用量群、中用量群で低い発現を示していた。さらにPCB126高用量群でのみAhRの発現の局在分布に違いが認められた。 【考察】細胞周期関連タンパクとAhRの発現の結果から、細胞周期を制御するタンパクはAhRの発現の局在に関与しているのではないかということが示唆された。今後、AhRの局在及び機能についてさらなる検討が必要であることが考えられる。
  • 小澤 正吾, 蒲生 俊恵, 幅野 渉, 吉田 緑, 西川 秋佳, 根本 清光, 出川 雅邦
    セッションID: O-47
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    肝腫瘍プロモーターフェノバルビタール(PB)が惹起する肝肥大に伴い、チトクロムP450 2B(CYP2B)の遺伝子発現が亢進する。CYP2Bの誘導には、タンパク質リン酸化による情報伝達を介して核内受容体の一種、Constitutive Androstane Receptor (CAR) が活性化する。肝肥大・肝腫瘍の惹起と以上の情報伝達カスケードを明確にすることは、毒性学的意義が大きい。一方、CYP2Bの誘導を伴わずに肝肥大を惹起するクロフィブラート(CF)等のペルオキシソーム増殖薬はPeroxisome Proliferator Activated Receptor alpha (PPARalpha) に作用し、脂肪酸代謝の変化並びに酸化ストレス誘導を伴う。薬剤投与関連のCAR、PPARalpha関連情報伝達系遺伝子発現変化を測定した。6週令雌雄Fischer 344ラットに、フェノバルビタール500 ppm、クロフィブラート 2500 ppmを混餌投与した。投与開始3日後、4週後、13週後、その後4週間休薬後に、肝重量を測定、肝左葉を分離し、-80℃で凍結保存した。グアニジンチオシアネート法により総RNAを調製し、mRNAレベルをCyber green を用いたReal-time PCR法で測定した。PB投与群でCARの標的遺伝子、CYP2B1の発現誘導を確認した。腫瘍抑制遺伝子p53の調節因子であるMouse Double Minute 2 Homolog (Mdm2)、アポトシス関連遺伝子Gadd45alphaおよびbeta、Pyruvate dehydrogenase (Pdha)等についてmRNAレベルの変化を調べた。Gadd45alphaおよびbetaについて前者が雌で上昇し、後者は雄で上昇し、前者は休薬後に対照群と同等のレベルまで低下した。両剤が惹起する肝肥大との関連について考察する。
5.毒性発現機構,薬物代謝
  • 後藤  浩一, 鈴木 貴美, 矢部 光一, 山口 百合, 神藤 敏正, 真鍋 淳
    セッションID: O-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    キノロン薬DC-159aおよびDX-619の300および900 mg/kg/dayを雄性幼若Slc: SDラット(3週齢)に経口7日間反復投与した時の上腕骨および大腿骨遠位関節軟骨について組織学的検査を実施した結果、両キノロン薬ともに関節軟骨に変化は認められなかった。そこで、両キノロン薬の100、300および900 mg/kgを雄性幼若ラットに経口単回投与した時の大腿骨遠位関節軟骨内薬物濃度を測定し、同様に投与したofloxacin(OFLX)の軟骨内薬物濃度と比較するとともに、大腿骨遠位関節軟骨について、real-time RT-PCR法により、サイトカイン・ケモカインあるいはプロテアーゼ関連遺伝子であるTnfrsf12a、Ptgs2、Fos、Mt1a、PlaurおよびMmp3の発現量を調べた。その結果、DC-159aおよびDX-619の各用量における軟骨内薬物濃度は、OFLXの約1/2であった。Real-time RT-PCRでは、900 mg/kgでFosとMt1aの発現増加が見られたが、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3に変化は認められなかった。関節毒性を示すOFLXの300 mg/kgを経口単回投与した幼若ラット大腿骨遠位関節軟骨では、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3の増加が認められ、関節毒性発現への影響が示唆されている(Goto et at., Toxicology, 208, 204-213)。以上のことから、DC-159aおよびDX-619を投与した幼若ラットで関節病変が認められなかったことには、軟骨内薬物濃度がOFLXに比較して低いことが関与しているとともに、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3の発現の有無が影響している可能性が考えられた。
  • 三木 康宏, 端  秀子, 長崎 修治, 鈴木 貴, 笹野 公伸
    セッションID: O-49
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    骨芽細胞に対する内分泌撹乱化学物質の影響について、我々はBisphenol AのSteroid and xenobiotic receptorを介した作用を報告した(三木 他、第34, 35回日本トキシコロジー学会学術年会)。一方、異物の代謝に関してはaryl hydrocarbon receptor(AhR)が関与する経路が古くから注目されており、骨組織においてもラット骨芽細胞様細胞でのAhRの発現が報告されている。しかし、ヒト骨組織における発現局在、さらには骨組織におけるAhRの発現意義は明らかにされていない。そこで本研究では、骨組織におけるAhRの役割を明らかにすることを目的とし、次の検討を行った。1)骨組織におけるAhRの発現:免疫組織化学によるヒト骨組織でのAhRの発現と局在を、また同標本のコラーゲンの発現をそれぞれ検討した(東北大学医学系研究科倫理委員会の承認済)。2)骨組織におけるAhRの応答遺伝子の検索:3-methylcholanthrene (3-MC)を骨芽細胞(株化培養細胞:hFOB)に添加し、マイクロアレイ解析(human 1A:Agilent Technologies) を行った。結果、1)AhRはコラーゲン陽性部位に局在する骨芽細胞と骨吸収部位に存在する破骨細胞に発現を認めた。2)応答遺伝子の検索では、3-MC添加によってエストロゲン作用に関する遺伝子(estrogen receptor β、CY19A、CYP1B)の増加が認められた。AhRの代表的な応答遺伝子であるCYP1A1は、hFOBでの発現が非常に低く、マイクロアレイ解析では検出できなかった。以上のことから、AhRは骨組織、特に骨芽細胞におけるエストロゲン作用の調節に関与することが示唆された。また、内分泌撹乱化学物質は、AhRを介して骨組織の恒常性の維持を撹乱すると考えられる。
  • 安西 尚彦, 山西 藍, 三浦 大作, Amonpatumrat Sirirat, 遠藤 仁, 櫻井 裕之
    セッションID: O-50
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】腫瘍細胞では、その急速な増殖、上昇した細胞内代謝を保障するために糖やアミノ酸の細胞への取り込みが亢進している。これは、それらの栄養素の細胞への取り込みを担当するトランスポーターの機能発現の亢進により実現される。特に、腫瘍細胞に必須アミノ酸を供給するために発現するアミノ酸トランスポーターは、腫瘍細胞増殖の律速段階の一つとなる。我々は、多くの悪性腫瘍細胞への必須アミノ酸の供給を担当する中性アミノ酸トランスポーターLAT1 (L-type amino acid transporter 1)を同定し、その古典的抑制薬BCH (2-Aminobicyclo-(2,2,1)-heptane-2-carboxylic acid)により腫瘍細胞増殖が抑えられる事を明らかにした。本研究は、この新たな抗腫瘍薬の標的としてのLAT1のヒト胃癌への臨床応用を目指し、そのL型アミノ酸輸送特性の解析と抗腫瘍作用の解明を目的として検討を行った。 【方法】ヒト胃がん由来細胞MKN1(adenosquamous carcinoma)およびMKN45 (adenocarcinoma)はヒューマンサイエンス研究資源バンクより入手した(JCRB0252およびJCRB0254)。L型アミノ酸の取り込みは、RI標識ロイシン(20 uM)を同細胞の培養上清に添加し、一定時間経過後の細胞内取込み量をシンチレーションカウンターにて測定した。BCHはSigmaより購入した。 【結果】MKN1およびMKN45細胞におけるロイシンの取込みは時間依存性、そして濃度依存性の増加を示した。この取込みはNa+非依存性で、BCHによる濃度依存性の抑制を受けた(IC50: 227 uM for MKN1, 302 uM for MKN45)。 【考察】以上の結果よりMKN1およびMKN45細胞では、中性アミノ酸の細胞膜輸送を担うことが示され、BCHによりその輸送が抑制されることから、L型アミノ酸トランスポーターが関与しているものと考えられた。
  • 加藤 善久, 原口 浩一, 久保田 万紀子, 古賀 信幸, 山田 静雄, 出川 雅邦
    セッションID: O-51
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】 4-OH-2,2',3,4',5,5',6-heptachlorobiphenyl (4-OH-CB187)による血中甲状腺ホルモン濃度の低下作用機構を解明するために本研究を行った。 【方法】 C57BL/6系マウス、DBA/2系マウス及びTTR遺伝子欠損マウス(TTR‒/‒)に4-OH-CB187を投与し、4日後に血清中総サイロキシン(T4)、遊離T4濃度及び肝臓のグルクロン酸抱合酵素(UDP-GT)活性を測定した。また、その時に[125I]T4を静脈内投与し、血中からの[125I]T4のクリアランス、血中[125I]T4とトランスサイレチン(TTR)あるいはアルブミンとの結合率、[125I]T4の組織分布量を測定した。 【結果・考察】 血清中総T4及び遊離T4濃度は、C57BL/6系マウス及びDBA/2系マウスに4-OH-CB187を投与したとき、有意に低下した。一方、肝臓のT4-UDP-GT活性は、いずれの場合にも変化しなかった。[125I]T4の血清クリアランス及び分布容積、[125I]T4の血清-肝臓間分配係数及び肝臓単位重量当たりの[125I]T4の分布量は、両マウスに4-OH-CB187の投与により、顕著に増加した。また、両マウスに4-OH-CB187を投与することにより、[125I]T4とTTRとの顕著な結合阻害が起こり、代わって[125I]T4とアルブミンとの結合率が増加した。さらに、TTR遺伝子欠損マウスに4-OH-CB187を投与した場合には、血清中総T4及び遊離T4濃度は全く変化しなかった。以上、4-OH-CB187による血清中T4濃度の低下は、主に血中T4の肝臓への移行量の亢進、また血中T4とTTRとの結合阻害によって起こることが示唆された。
  • 荒井 美幸, 杉原 数美, 北村 繁幸, 太田 茂
    セッションID: O-52
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】これまでに、ラット肝シトクロムP450(CYP)の活性は胎仔、新生仔期には極めて低く、成長とともに活性が上昇することが明らかにされている。本研究では、精製成分で構成された精製飼料を用い、CYP各分子種の成長に伴う活性上昇に対する飼料成分の関与を検討した。さらに、胎生期、新生仔期の飼料の違いによる環境化学物質に対する感受性の差についても検討行った。
    【実験方法】Slc:Wistar/STラットを一般飼料(オリエンタル酵母MF)あるいは精製飼料(AIN93G)で妊娠前より飼育。妊娠、出産後も同一飼料で飼育を続けた。環境化学物質としてβ-naphthoflavone (β-NF)を生後4日あるいは3週齢時に投与し、肝CYP発現変動を調べた。肝CYP活性は分子種特異的基質を用いて測定した。またmRNA発現はrealtime RT-PCRで定量した。
    【結果】肝CYP各分子種の発現は精製飼料で飼育したラットで、一般飼料で飼育したコントロールより低値を示した。この変動はmRNA量でも認められた。β-NF投与により、精製飼料飼育ラット新生仔で一般飼料より高いCYP誘導傾向が認められた。この原因として飼料中の成分の中でCYP発現誘導の阻害作用を示す物質が含まれていることなどが考えられる。
  • 平尾 潤, 新野 訓代, 荒川 真悟, 柴田 真吾, 安藤 洋介, 西原 真杉, 森 裕司, 真鍋 淳, 三分一所 厚司, 古川 忠司
    セッションID: O-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】ラットでは肝代謝酵素活性に明瞭な雌雄差が認められ、特にI相系薬物代謝酵素の性差には成長ホルモン(GH)の分泌様式の性的二型性、すなわち、雄における規則的なパルス状分泌、雌における不規則かつ低振幅な持続的分泌が、それぞれ影響することが知られている。一方、ヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子を導入した雄性トランスジェニック(TG)ラットではそのGH分泌様式が雌型の特徴を有することが報告されており、このモデル動物を用いることで生物学的には雄でありながらGH分泌様式のみが雌型化した条件下での検討が可能となる。そこで今回、GH分泌様式の雌型化が肝代謝酵素関連遺伝子の発現にもたらす影響を詳細に調べるために、雄性のhGH導入TGラットにおける肝遺伝子発現プロファイルを日内変動因子も考慮して精査した。
    【方法】雄性のTGおよび野生型ラットより、明期および暗期の中間点(12時間明:12時間暗の照明環境)で肝臓を採材して、マイクロアレイ解析を行った。得られた遺伝子発現データよりTGラットと野生型ラットの比較で有意に変動した遺伝子群を抽出し、パスウェイ解析を行った。また、雌雄の野生型ラットを用いて肝代謝パスウェイの性差を別途解析して比較検討した。
    【結果・考察】薬物代謝酵素関連遺伝子の発現は、TGラットでは野生型と比較して雌型化していることが明らかとなった。この結果から、生物学的に雄であるという要素よりもGH分泌様式の方が肝代謝酵素関連遺伝子発現の性差を決定する上で重要であると考えられた。また、脂肪酸代謝、C21-ステロイドホルモン代謝などのプロファイルもTGラットで概ね雌型にシフトしていることが明らかとなったので、本発表ではこれらの結果もあわせて報告する。
  • ソブヒ ワギ, 池中 良徳, 坂本 健太郎, 藤田 正一, 石塚 真由美
    セッションID: O-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    [Introduction] In our previous report, we found that horse had drastatically higher cytochrome P450 (CYP1A) dependent activities and protein expression compared to other ungulates. However, there is no report to explain a possible cause for that inter-species difference. CYP1A expression could be modulated by the diet composition like carotenoids. In current study, we declared the correlation between the accumulation of carotenoids and CYP1A. [Material and Methods] Microsomes were prepared from the livers of 4-9 years female ungulates (deer, cattle, horse) and 10 weeks old Wistar rat. Ethoxyresorufin O deethylase (EROD) kinetics analysis and CYP1A protein expression were performed. Carotenoids were extracted from livers of these animals. Total carotenoids were measured spectrophotometrically at 450 nm. Individual carotenoids like β-carotene and retinol were measured using high performance liquid chromatography. [Results and discussion] Horse had the highest Vmax/Km value in EROD kinetics analysis. Although a slight difference was observed in CYP1A enzyme effiency among the examined species, it was suggested that the elevation of EROD activities in ungulate’s livers were due to high expression of CYP1A. Interestingly, we found positive correlation between the accumulations of carotenoids like β-carotene with CYP1A protein expression. In contrast, retinol had negative correlation with CYP1A expression or dependent activity suggesting that the accumulation of carotenoids may lead to either induction or reduction of CYP1A.
一般演題 ポスター
臓器毒性,代謝,毒性試験法等
  • 伊藤 辰哉, 三浦 幸仁, 堤 秀樹, 齊藤 遼太, 久保 千代美, 岩田 良香, 高井 了, 豊田 直人, 千葉 修一
    セッションID: P-1
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【背景及び目的】臨床検査値は,動物種を問わず採血部位による差があることが知られている。ラットの全採血では,採血初期に中枢血管の血液,後期に末梢からの循環血液が採取されるため,測定値に影響を及ぼすことが予測される。しかし,採血量に関して臨床病理学的評価項目を網羅的に検討した報告が少ない。よって,各測定値に対する影響について評価し,影響を及ぼさない採血量の目安を求めた。 【方法】10週齢のラット(Crl:CD(SD))を用いた。イソフルラン麻酔下で腹部大動脈より翼状針を刺入し,2 mLずつシリンジを換えながら採血し,採血初期から後期への変化を確認した。 【結果】採血初期と後期を比較した場合,血液学的検査ではWBC,各白血球分画実数,RBC,HGB及びHCTが減少した。血液凝固検査ではFibが減少し,APTTが短縮傾向を示した。血液化学的検査ではAST,ALT,ALP,TC,TG,TP,Alb及びCaが減少し,血糖,K,IP及びClが増加した。リンパ球サブセット検査ではT cell数,B cell数及びNK cell数がリンパ球実数値の減少に伴い減少したが,比率に顕著な変化はなかった。著しい影響を受けなかった採血量は雄で8 mL,雌で6 mLであり,採血時体重の約2%に相当した。 【考察及び結論】血球数の減少は急激な循環血の消失による白血球の毛細血管内への吸着・滞留,及び細胞間質液等の混入による希釈と考えられる。血液化学的検査において減少した項目は細胞間質液等の流入による希釈,増加した項目は細胞内液成分の流入によるものと考えられる。なお,血糖の増加については末梢血液の流入による影響,及び大量失血時のストレスによるものと考えられる。以上のことから,採血時体重を考慮し採血量を一定にすることで,精度の高い臨床病理学的検査値が得られ,より正確な毒性評価に寄与できるものと思われる。
  • 設楽 晴美, 鯉江 洋, 岩木 俊作, 佐藤 常男, 金山 喜一, 泰羅 雅登, 酒井 健夫
    セッションID: P-2
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】   動物の健康を容易に評価する手段として、血液生化学検査は非常に有用である。これまでに様々な実験動物で血液生化学基準値が求められてきたが、若齢ニホンザルに関してはいまだ確立されていない。本研究は、健康な若齢ニホンザルにおける血液生化学検査基準値の確立を目的として行われた。 【材料および方法】   1歳から5歳のニホンザル合計752頭(オス356頭・メス396頭)を用いた。各個体は、身体検査、X線検査、心電図およびエコー図検査が実施され、臨床的に健康な個体であった。検査項目は、TP・ALB・A/G・BUN・GLU・T-CHO・F-CHO・TG・P・Ca・GOT・GPT・ALP・CPK・LDH・Fe・CRE・T-BIL・D-BIL・I-BIL・Na・K・Cl・CRPの計24項目を行った。測定結果をもとに、各項目の基準値を求め、さらに年齢別・雌雄別に分析を行った。 【結果および考察】    測定結果項目ごとに平均値、最大値、最小値、標準偏差、標準誤差を求めて、基準値を確定した。さらに月齢別、雌雄別に分類し検討を加えたところ、アルカリホスファターゼ(ALP)において、有意な変化が認められた。ALPは若い個体ほど高値を示し、年齢が進むにつれて低下したが、雌が雄よりも早期に低下し始め、5歳齢では雄が1441.9 IU/lであるのに対し、雌では768.3 IU/lまで低下していた。他の霊長類を用いた研究でも、同様の傾向が報告されている。また、ヒトの研究でもALPは成長の盛んな年齢で有意に高値を示し、女性が男性より早期に低下し始めることが報告されている。以上のことから、今回の研究では血液生化学検査ではほとんどの項目で年齢別・雌雄別に有意差は認められなかったが、ALP値に関しては、その年齢および雌雄差を考慮する必要性があることが確かめられた。
  • 勝山 博信, 伏見 滋子, 富田 正文, 渡辺 洋子, 日高 和夫, 西條 清史
    セッションID: P-3
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    脊椎動物の発生過程において、エストラジオールは性腺や中枢神経系の発生と分化に重要な役割を果たしているが、骨格形成過程における影響はほとんど知られていない。そこで、脊椎動物発生モデルとして使用されるゼブラフィッシュを用いて、エストラジオールの骨格形成過程に及ぼす影響を検討した。 【材料と方法】TL系統ゼブラフィッシュの受精卵に、受精後1日から5日まで種々の濃度のエストラジオールを暴露し、死亡率、生存胚の形態変化、alcian blue染色による骨格の形態を調べた。さらに、軟骨形成に関与するソニックヘッジホッグ(Shh)及びその受容体であるPatched遺伝子の発現をin situ hybridization法にて検討した。 【結果及び考察】エストラジオール暴露5日後の死亡率は、1.5×10-5Mで約50%、2×10-5Mで約80%、5×10-5M以上では100%であった。生存胚の形態では、10-5Mの暴露で下顎と浮き袋の低形成、1.5×10-5Mでは頭部形態異常、心臓周囲の浮腫、浮き袋の低形成、体軸の湾曲などの変化を認めた。 Alcian blue染色で頭蓋骨格の形態変化を調べたところ、10-5Mでは、篩骨の融合不全や、メッケル軟骨と舌骨のアーチの後方偏移を認めた。1.5×10-5Mでは、梁軟骨の低形成と融合不全、篩骨の欠損、メッケル軟骨と舌骨の著しい低形成を認めた。 2x10-5Mエストラジオール投与2日後のShh mRNAの発現はコントロールと発現量に差を認めなかったが、Patchedの発現は著しく抑制された。 以上より、エストラジオールはPatchedの発現を抑制することにより、ゼブラフィッシュの骨格形成を阻害すると考えられた。
  • 津田 裕一, 藤田 清仁, 杉本 恭平, 関口 和也, 堀口 浩資, 久世 博
    セッションID: P-4
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】 メタノールは視覚機能に障害を及ぼす代表的化学物質で、ADH酵素によりホルムアルデヒドを経てギ酸へ代謝されることで、視覚障害を引き起こすと言われている。メタノールによる視覚障害は主にギ酸排泄量の低いヒトを含む霊長類に生じるため、視覚障害の発症機序については不明な点が多い。我々はメタノールをカニクイザルに大量投与し、眼底観察、網膜電位図(以下、ERG)及び光刺激による視覚誘発電位(以下、F-VEP)を記録し、メタノール投与の網膜機能及び視覚伝導路に及ぼす影響について検討した。 【材料及び方法】 4~7歳齢の雄性カニクイザル8例に生化学用メタノール(和光純薬工業_(株)_)1500 mg/kg又は750 mg/kgを1日1回交互に32日間にわたり経口投与し、眼底検査を実施した。ERG及びF-VEPは投与前ならびに初回投与後3時間、3、5、8、11、15、18、22、29及び32日に(計11回)、ケタミン/セラクタール混合麻酔下で記録した。同日に血液を採取し、ヘパリン血漿を用いてHPLC法によりギ酸濃度を測定した。 【成績】 眼科学検査で眼底部の変化はみられず、ERG検査では初回投与後3時間から全例で杆体応答の延長(平均20%)がみられた。その電位は20%減少又は124%増加を示した。一部で律動様小波、錐体応答及びF-VEP反応の延長を示したが、全例ともに各ERG波形の電位は減少し、F-VEP電位は減少又は増加を示した。血漿中ギ酸は投与後3時間から検出され、全例ともに投与8日までほぼ同値を推移した。投与11日に元気消失し、ERG消失、F-VEP潜時の延長、電位減少を示し、7日間の休薬後にERG及びF-VEPは回復した。現在、網膜、脳幹、大脳の病理組織学検査を実施中である。
  • 藤田 清仁, 津田 裕一, 杉本 恭平, 田中 孝弘, 石井 英美子, 関口 和也, 堀口 浩資, 杉山 和志, 久世 博
    セッションID: P-5
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】 メタノールは視覚機能に障害を及ぼす代表的化学物質で、ADH酵素によりホルムアルデヒドを経てギ酸へ代謝され、視覚障害を引き起こすと言われている。本学会で共同研究者である津田等がメタノールによるカニクイザルの視覚障害について報告するが、筆者等はそれと同一個体における肝腎毒性を血漿中ギ酸濃度の推移と併せて検討した。 【材料及び方法】 4~7歳齢の雄性カニクイザル8例に、生化学用メタノール(和光純薬工業_(株)_)1500 mg/kg又は750 mg/kgを1日1回交互に32日間にわたり経口投与し、一日に2回、一般状態を観察した。肝機能パラメータ(AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTP、T.Bil)、脂質系パラメータ(Glu、TG、T.Cho、PL)及び腎機能パラメータ(BUN、CRNN)については、投与前ならびに投与後3、5、8、11、15、22、29及び32日(計9回)に静脈血2 mLを採血し、得られた血漿についてTBA-120FR(_(株)_東芝)で測定した。血漿中ギ酸濃度は、初回投与3時間及び投与2日を追加した計11回、HPLC法で測定した。 【成績】 メタノール投与後には投与液や餌の嘔吐、軟便や無排便が数回観察された。肝障害関連パラメータの測定値については個体差が大きかったが、AST/ALT比はギ酸濃度の上昇とほぼ平行した推移を示し、メタノール及びその代謝物を取除くために肝臓の代謝機能が亢進したことを示唆していた。脂質系パラメータについては摂餌量の増減に対応した推移を示した。また、投与11日に元気消失がみられた1例では腎障害関連パラメータの上昇がみられた。7日間の休薬でギ酸濃度は下降したが、腎障害関連パラメータは高値を維持していた。現在、肝臓及び腎臓の病理組織学的検査を実施中である。
  • 村山 寛, 池本 正生, 濱沖 勝
    セッションID: P-6
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】血清中ornithine carbamyltransferase(OCT)は肝障害マーカーとして有用であることが薬剤誘発肝障害モデルを用いて報告されている。今回、OCTの肝障害マーカーとしての有用性を、発症にミトコンドリア障害が関与するとされる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)及びアルコール性肝障害(ALD)の動物モデルを用いて検討した。 【方法】雄性Wistarラット、及びSDラットにコリン欠乏食を4週間摂取させ、血清中OCTを測定し、他の肝障害マーカーと比較した(NASHモデル)。雄性Wistarラットにエタノール(飲水中に5-30%)を15週間摂取させ、高脂肪食摂取による影響と共に検討した(ALDモデル)。 【結果】NASHモデルにおいて、Wistarラットでは測定した全ての肝障害マーカーが上昇したが、コリン欠乏食による障害が起きにくいSDラットではOCTとGLDHのみが有意に上昇した。病理検査では肝臓組織に繊維化が確認された。ALDモデルでもOCTとGLDHのみがエタノール摂取群で有意に上昇したが、トランスアミナーゼは上昇傾向すら示さなかった。高脂肪食を摂取させると、エタノール摂取群ではOCTのみが優位に上昇した。コリン欠乏食摂取群、エタノール摂取群では肝臓組織中のTNF-α含量が有意に増加していた。 【考察】ミトコンドリア障害が発症に関与するとされるNASH及びALDの動物モデルにおいて、ミトコンドリアに局在するマーカー、特にOCTが顕著な上昇を示した。ミトコンドリア障害の検出には、ALTなどの細胞質由来マーカーよりOCTなどのミトコンドリア由来マーカーが有用であることが示された。
  • 金 美蘭, 出羽 康明, 川合 正臣, 西村 次平, 三枝 由紀恵, 松本 明, 渋谷 淳, 三森 国敏
    セッションID: P-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】昆虫成長制御剤のdicyclanil(DC)は、1500 ppmの混餌投与で、マウスに肝細胞腫瘍を誘発する非遺伝毒性発がん物質である。その発がん機序としては、活性酸素種(ROS)産生による酸化的ストレスを介した二次的DNA損傷が関与するものと考えられているが、発がん性の閾値については報告がない。本研究では、DCによるマウス肝発がんプロモーション作用の閾値を検索するために以下の実験を行った。【方法】雄性ICRマウス44匹を4群に分けて 2/3部分肝切除を施し、24時間後にN-diethylnitrosamine (DEN)投与によるイニシエーション処置を施した。処置後1週後から3群には187.5、375または750 ppmのDCを10週間混餌投与した。得られた肝臓について、病理組織学的検索、GGT、PCNAおよびTUNEL染色、分子病理学的解析を行った。また、単離肝ミクロソームからのROS産生量を測定した。【結果】DC投与により肝重量、GGT陽性細胞数及びTUNEL陽性細胞数に有意な増加は認められなかったが、750 ppm DC群で、PCNA陽性細胞数がDEN単独群に比べ有意に増加した。遺伝子発現解析では、cytochrome P450 1A1(Cyp1a1)が375 ppm以上のDC群で、Cyp1a2 が全ての群で有意に増加した。750 ppm DC群において、DNA修復に関連する8-oxoguanine DNA glycosylaseは750 ppm DC群でDEN単独群に比べ有意に増加したが、Tumor necrosis factor familyの一つである、Trailは有意に低下した。ROS産生量は、DC投与群とDEN単独群との間に有意な差はなかった。【結論】これらの結果から、DCの肝発がんプロモーション作用の閾値は750 ppmと1500 ppmの間にあることが示唆された。
  • 小林 章男, 鈴木 優典, 近藤 千真, 横山 英明, 大信田 慎一, 山崎 裕次, 前川 竜也, 公納 秀幸, 菅井 象一郎, 榊原 啓之 ...
    セッションID: P-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【緒言】血清中トランスアミナーゼ(ALT及びAST)は肝障害の高感度な指標として広く使われているが,fibratesのような脂質低下剤は,臨床において肝障害を伴わずに軽度にトランスアミナーゼ活性を上昇させることが報告されている。このトランスアミナーゼ活性の上昇については,主にin vitro試験で発現メカニズムが検討されており,fibratesによる血清トランスアミナーゼ活性の上昇が,肝細胞障害による酵素の逸脱ではなく,肝細胞におけるトランスアミナーゼの誘導に関連していることが示されてきた。今回,fibratesの一つであるfenofibrate(FE)の400mg/kgを雄性F344ラットに単回経口投与して,FEの薬理作用,血漿及び肝臓中トランスアミナーゼ活性,肝臓におけるASTのmRNA発現量に対する影響をin vivoで検討したので報告する。 【結果及び考察】FEはラットにおいて血漿中ALT及びAST活性を軽度に上昇させたが,他の肝機能パラメーターに変化はみられず,肝臓の病理組織学的検査においても肝障害を示唆する所見は認められなかった。血漿中ALT及びAST活性の上昇は,肝臓中トランスアミナーゼ活性の上昇と相関し,肝臓中AST活性の上昇はmRNA発現量の増加を伴っていた。これら,FEによるトランスアミナーゼ活性の上昇あるいはmRNA発現量の増加は,FEの薬理作用に関連した二次的な変化であると推察された。本研究で得られた結果から,臨床におけるfibratesなどの脂質低下剤や糖代謝を修飾する薬剤により誘発される血清中トランスアミナーゼ活性の軽度な上昇には,トランスアミナーゼ遺伝子の制御が深く関わっていると考えられた。
  • 松山 拓矢, 伊藤 和美, 熊谷 和善, 谷本 友恵, 北島 多佳子, 齊藤 航, 安藤 洋介, 矢本 敬, 寺西 宗広, 三分一所 厚司, ...
    セッションID: P-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    肝におけるOsteopontin (OPN) 発現の上昇が複数の肝障害モデル動物で報告されており、OPNは新たな肝バイオマーカーとなることが期待されるが、ラット急性肝障害モデルにおける血中OPNの変動に関する報告は少ない。そこでラット急性肝障害と血中OPNの変動についての知見を得るため、急性肝障害モデル化合物であるconcanavalin A (Con A、20mg/kg、i.v.)、monocrotaline (MCT、300mg/kg、i.p.) およびD-galactosamine (GalN、300mg/kg、i.p.)を雄性F344ラットに単回投与した。投与8時間後に血液化学的検査、ELISA法による血中OPN濃度測定、肝の病理組織学的検査および抗OPN抗体を用いた免疫組織学的検査を実施した。その結果、全ての化合物の投与群においてALTの上昇および肝細胞壊死がみられ、肝障害が惹起されていた。血中OPN濃度はCon AおよびMCT投与群で対照群に対して有意に上昇した。この時、免疫組織学的検査において、対照群に比してOPN陽性細胞の増加が認められたことから、Con AおよびMCT投与による血中OPN濃度の上昇は肝に由来すると考えられた。一方、GalN投与ラットでは血中OPN濃度は上昇せず、OPN陽性細胞も増加しなかった。以上より、ラット急性肝障害時のOPNの変動は血中で感知可能であることが示された。また、血中OPNの上昇は肝障害時に必ず伴うものではないことから、組織障害により血中に漏出する肝逸脱酵素とは異なり、肝障害メカニズムを考察する上でユニークな肝バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
  • 今泉 真和, 佐々木 一暁, 馬 成敏, 山中 洋泉, 中村 康生, 直 弘, 小田切 則夫, 西 勝英
    セッションID: P-10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    安全性薬理コアバッテリー試験に関するガイドラインには無麻酔・非拘束動物で実施することが望ましいとされており,呼吸機能測定に関しては一般的にラットのWhole body plethysmograph法(WBP法)で行われている.また,サルの呼吸機能測定に関してはストレスの大きい拘束下に採取した動脈の血液ガスを分析する方法が殆どであった.そこで我々はストレスが少なくWBP法で呼吸機能を測定出来る呼吸機能測定用チャンバー(三菱化学安科研・BUXCO社共同開発)を開発し検討を行ってきた.今回,我々はサルおよびラットの呼吸機能をWBP法を用いて測定し,得られた結果を比較し,サルの有用性を検討した. サルは体重3.0kg以上の雄性カニクイザルを用いた.呼吸機能測定用チャンバーにサルを収容しWBP法で呼吸数および1回換気量を連続測定し,分時換気量も求めた.同時にテレメトリー法にて血圧,心拍数及び心電図の測定も行った. ラットは体重200g以上のCrl:CD(SD)雄性ラットを用いた.ラットをチャンバーに収容しWBP法で呼吸数および1回換気量を連続測定し,分時換気量も求めた.その結果,サルではモルヒネ塩酸塩の10mg/kg皮下投与後,呼吸数は僅かに減少し,1回換気量および分時換気量は持続的に減少した.ラットでは呼吸数,1回換気量および分時換気量に変化はなかった.なお,我々の背景データではラットにおけるモルヒネ塩酸塩の呼吸機能抑制作用は皮下投与では100mg/kgでも得られず,300mg/kg の60分静脈内持続投与にて得られた.結果,モルヒネ塩酸塩においてはサルのほうが呼吸機能における感受性が高い結果となった.なお,サルでは同時にテレメトリー法で血圧,心拍数及び心電図の測定も出来ることから,呼吸機能測定用チャンバーを用いれば無麻酔・非拘束サルで呼吸系と心血管系の同時測定が可能である.
  • Cho Kyu-Hyuk, Lee Kyuhong, Yang Young-Su, Yang Mi-Jin, Heo Jeong-Doo, ...
    セッションID: P-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    Bleomycin-induced lung fibrosis model is widely-used for the study of mechanism and therapeutic agents. In this study, lung function measurements of respiratory frequency and tidal volume were applied to estimate the severity of inflammation and fibrosis in Bleomycin-induced lung fibrosis model in rats. A single intratracheal instillation of bleomycin (2.5 mg/kg) was used for inducing lung fibrosis. Lung function measurements were performed at 3, 7, 14, 21 and 28 days post-ITI. Inflammatory cell count, lactate dehydrogenase (LDH) activity in the bronchoalveolar lavage fluid (BALF), and light microscopic examination of lung injury were followed. The increasing number of total cells and neutrophils in BALF along with the sustained increase in macrophages and lymphocytes at days 3 and 7. BALF LDH level was significantly increased compared up to 14 days. On day 3, the infiltration of neutrophils in the alveolar spaces was seen. These changes were developed into marked peribronchiolar and interstitial infiltration by inflammatory cells, and extensive thickening of interalveolar septa on day 7. At 14, 21 and 28 days mild peribronchiolar fibrosis was shown together with the inflammatory cell infiltration. The results of lung functions show significant consistencies compared to the results of other tests.
  • 沼田 洋輔, 出口 芳樹, 安楽 理香, 玉井 朝子, 吉川 哲也, 坂本 桂子, 洲加本 孝幸, 福﨑 好一郎, 永田 良一
    セッションID: P-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】安全性薬理試験では医薬品候補化合物の呼吸機能への影響を定量的に評価することが求められている。本研究は各種薬物のラット呼吸機能に及ぼす影響を定量的に評価するため,whole body plethysmograph(WBP)法を用いて検討を行なった。【方法】8週齢の雄性SDラットにdimorpholamine(1-10 mg/kg),terbutaline(5-20 mg/kg),tacrine(3-20 mg/kg),chlorpromazine(10-100 mg/kg),baclofen(3-30 mg/kg)を経口又は皮下単回投与し,呼吸機能測定システム(Ponemah Physiology Platform,Data Science International Inc.)を用いて呼吸機能パラメーター:呼吸数(RR),1回換気量(TV),毎分換気量(MV),最大呼気流量(PEF),最大吸気流量(PIF),呼気時間(ET),吸気時間(IT),気道抵抗(PEnh)の測定及び解析を行なった。【結果】呼吸中枢興奮薬のdimorpholamine及びβ2作動薬のterbutalineはRR,TV,MV,PEF,PIFを増加させ,ET,ITを減少させた。コリンエステラーゼ阻害薬のtacrine及び中枢性骨格筋弛緩薬のbaclofenはRRを減少させ,それぞれTV,PEF,PIF及びTV,ET,ITを増加させた。抗精神病薬のchlorpromazineはRR,TV,MV,PEFを減少させた。また,dimorpholamine及びtacrineはPEnhを増加させ,terbutaline,chlorpromazine及びbaclofenはPEnhを減少させた。【考察】WBP法による呼吸機能測定は,薬物の薬理作用を反映した呼吸機能への影響を捉えることができ,さらに間接的に気道狭窄のリスクも同時に評価できる可能性が示唆された。
  • 豊島 茂樹, 澤本 修, 中川 貴善, 鈴江 昌展, 早見 康高, 恵美 伸男, 倍味 繁, 中島 芳文
    セッションID: P-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    静脈注射用混合剤の調製の際に、配合変化により結晶の沈殿物が析出する場合がある。カルシウム塩の沈殿物が誤って静脈内に注入された場合に、呼吸困難と肺動脈塞栓が生じたとの報告がある。しかし、沈殿物の投与量と心肺機能との関係についてはこれまで検討されていないことから、今回、カルシウム塩の試薬をラットの静脈内に注入し、心肺機能に及ぼす影響を検討した。麻酔ラット(n = 5)の静脈内にリン酸水素カルシウムの懸濁液(CaHPO4、10、30、60 mg/kg)、炭酸カルシウムの懸濁液(CaCO3、10、30、60 mg/kg)又は生理食塩液を注入し、呼吸数、心拍数、動脈圧、血液ガスを投与後90分まで測定した。測定終了後、肺を採取し、病理組織学的検査を行った。CaHPO4の注入により、30及び60 mg/kgの投与量では動脈圧及び動脈血酸素分圧(PaO2)が投与量に依存して低下し、60 mg/kgでは5例中3例が死亡したが、10 mg/kgでは有意な変化はみられなかった。またCaHPO4の投与量依存的に、肺の重量が増加し、病理組織学的にはいずれの投与量でも結晶による肺微小血管の塞栓が認められた。他の項目にCaHPO4投与による明らかな変化はみられなかった。CaCO3でも同様の影響がみられたが、CaHPO4でみられた影響と比べて軽度であり、死亡例も認められなかった。以上、カルシウム塩沈殿物の静脈内注入により、肺動脈塞栓と用量に依存した心肺機能障害が認められた。
  • 石原田 伸也, 森本 創, 井上 裕基, 森下 克美
    セッションID: P-14
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【OBJECTIVE】Some drugs are known to cause cardiac side effects such as long QT syndromes. The most common mechanism of drug-induced QT prolongation is the direct blockade of human ether-a-go-go related gene (hERG) channels. The direct measurement of hERG ion channel currents has been evaluated by patch clamp technique. Recently, another mechanism of drug-induced QT prolongation, disruption of hERG protein trafficking to the cell surface, has been reported. Although the hERG protein trafficking has been evaluated by Western blot analysis, there is still room to improve in quantitation and throughput capacity. Thus, we tried to establish the new method for evaluating the effects of drugs on hERG protein trafficking by flowcytometry.【METHOD】CHO-K1 cells stably expressing the hERG channels were cultured in a medium containing geldanamycin, radicicol, E-4031 or thioridazine. Protein trafficking of the hERG was evaluated by flowcytometry with primary anti-hERG antibody and fluorescently labeled secondary antibody. The hERG channel current was recorded by using the whole-cell patch-clamp technique.【RESULT and CONCLUSION】Geldanamycin and radicicol reduced hERG currents and inhibited the hERG protein trafficking after incubation. On the other hand, E-4031 and thioridazine did not affect the hERG protein trafficking, but they reduced hERG currents. The flowcytometry is considered to be simple and suitable for quantitative evaluation in the screening assay for hERG protein trafficking.
  • 大西 隆仁, 泉 啓介, 中屋 豊, 久岡 文子
    セッションID: P-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    Thrombosis is easily formed in a stagnated bloodstream in the left atrium, and it frequently is a cause of cardioembolic stroke. We found that some of the SPORTS (Spontaneously-Running-Tokushima-Shikoku) rats died after losing body weight after the age of one year. At autopsy, formation of thrombi in the left atrium was recognized in SPORTS rats. The objective of this study was to clarify the autopsy results in the SPORTS rats related to thrombus formation in the left atrium. The incidences of atrial organized thrombosis were 57% in male SPORTS rats and 38% in female SPORTS rats. Systolic blood pressures were 134 ± 16 mmHg (control rats 115 ± 11 mmHg) and heart rates were 459 ± 21 beat/min in male SPORTS rats. Arrhythmias, such as atrial fibrillation, were not recognized by electrocardiogram in SPORTS rats. We established a line labeled SPORTS rats that form spontaneous thrombi in the left atrium. The SPORTS rat is a new model leading to a high incidence of thrombus formation in the left atrium and may contribute to development of new anti-thrombotic approaches for human atrial thrombosis.
  • 本多 正樹, 礒部 剛仁, 小松 竜一, 山田 裕一郎, 木村 和哉, 田保 充康
    セッションID: P-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】QT延長リスクのスクリーニング系として,マニュアルパッチクランプ法によるhERG電流への薬物作用の評価が行われてきたが,熟練した実験技術が求められ,多検体をアッセイする早期毒性評価系としてはスループットが低いことが課題と考えられる。オートパッチクランプシステムは,同時に複数の細胞を電気生理学的にアッセイできるため,高いスループットで信頼性のあるデータが取得できる実験系として期待されている。本検討では,オートパッチクランプシステムを用いたhERGチャネル阻害スクリーニング系の精度について検証すると共に,そのスループットを数値化することでマニュアルパッチクランプ法との比較を行った。
    【方法】hERGチャネル発現CHO細胞を用い,PatchXpress7000Aにて,ホールセルクランプ法によりhERG電流を測定した。陽性対照薬(12種)によるhERG電流抑制作用を検討し,マニュアル法によって得られたデータと比較した。また,自社化合物のスクリーニング実験の成功率からそのスループットを算出した。
    【結果及び考察】各陽性対照薬は濃度依存性にhERG電流を抑制し,そのIC50値はマニュアルパッチクランプによるデータと良好な相関を示した。スクリーニング時におけるアッセイの平均成功率は42%であり,1回のアッセイ(約1時間)でおよそ7例のデータが取得可能であった。以上より,hERGチャネルの抑制作用に関して,オートパッチクランプシステムを用いて高いスループットで精度の高い評価を行うことが可能であることが実証された。しかし,脂溶性パラメータであるcLogPが高い一部の化合物では,IC50値にマニュアルパッチクランプとの乖離が認められた。よって,化合物の特性に応じてオートパッチクランプによる評価の妥当性を考えながら,マニュアル法を併用してスクリーニングを進める必要があると考えられた。
  • 幸田 祐佳, 白川 久志, 山根 一彦, 大塚 薫, 河野 龍而, 寺崎 文生, 田中 孝生
    セッションID: P-17
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】糖尿病患者ではチアミンが不足していることが報告されている。今回、早期糖尿病の特徴とされる拡張不全に着目し、心筋線維化に焦点をあてチアミンがストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病ラット心病変に与える影響について検討した。【方法】Wistar 系雄性ラットにチアミン0.2%を飲水投与し、投与3日後 STZ 70 mg/kgを腹腔内投与することで STZ誘発性糖尿病ラットを作成した。STZ 投与15日後、心エコーの測定、Tail cuff 法による心拍数と平均血圧の測定を行い、血清中グルコース、トリグリセリドおよびコレステロール濃度を測定した。血清中および血球中チアミン濃度をHPLC により測定した。心組織のBrain natriuretic peptide (BNP)および心筋の線維化促進因子の mRNA 量をリアルタイムPCR 法により、MMP2、proMMP2 の活性をGelatin-zymography 法により測定した。左室組織標本において Sirius red染色、O-glycosylation抗体による免疫組織化学染色を行った。【結果および考察】糖尿病ラットにおいて血清中、血球中ともにチアミン濃度の減少が見られ、その減少はチアミン投与によって改善が見られた。糖尿病ラットにおいてBNP mRNA 発現量の有意な増加、左室駆出分画率(LVEF)および左室内径短縮率(%FS)の減少、Sirius red 染色により心筋の線維化亢進、MMP2およびproMMP2 活性の低下がみられたが、チアミン投与により改善された。線維化に関与するthrombospondin、PAI1およびfibronectinは、糖尿病ラットにおいて発現が亢進し、チアミン投与により抑制された。以上の結果から、糖尿病の病態時にチアミンを摂取することにより糖代謝の改善を促し、心筋の線維化の抑制、さらには慢性心不全を予防できる可能性が示唆される。
  • 田畑 肇, 仲辻 俊二, 佐々木 大祐, 関 二郎, 大石 裕司, 宮前 陽一, 渡部 浩治, 倉田 昌明, 平澤 由貴, 森本 清, 下井 ...
    セッションID: P-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    We compared the effectiveness of routinely used kidney markers and urinary RPA-1 in rats treated with desmopressin (dDAVP), a selective V2 agonist that influences the function of the collecting ducts. dDAVP was administered subcutaneously to rats at dose levels of 0.2, 2, 20 and 200 μg/kg for 28 days. Urinalysis and urinary RPA-1 analysis were conducted before dosing and during the dosing period (Days 1, 2, 3, 6, 14 and 27). Rats were sacrificed on Days 8 and 29, after which blood chemistry testing and histopathological examination of the kidney was conducted. Immunohistochemistry for RPA-1 was also performed. Urinary RPA-1 increased in a dose-related manner at 2 μg/kg or more from Day 6, although the presence of routinely-used renal markers increased only at the highest dose of 200 μg/kg on Day 27. At 2 μg/kg or more on Days 8 and 29, histopathological examination revealed hypertrophic and hyperplastic changes in the epithelial cells of the collecting ducts. The severity and extent of these epithelial changes were dependent on the dose level. Papillary necrosis, tubular dilatation in the cortex and tubular regeneration were also observed at 200 μg/kg. Immunohistochemically, the staining intensity of RPA-1 increased in the collecting ducts with hypertrophic/hyperplastic changes. These results demonstrated that the urinary RPA-1 level correlated well with not only cellular damage, but renal tubular changes. Therefore, urinary RPA-1 was considered to be a sensitive biomarker of the renal changes induced by vasopressin V2 receptor agonists in rats.
  • 作田 直道, 大西 康之, 平谷 知映, 常深 慎, 山田 直明, 石井 宏幸, 平塚 秀明
    セッションID: P-19
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    (目的)昨年6月,FDAおよびEMEAは前臨床試験において測定を推奨する7種の尿中腎障害パラメータ(バイオマーカー)を公表した.今後,薬物の腎機能への影響を予測する上で,これらパラメータの測定要求が高まることが予想される.そこで各種パラメータの測定方法の確立を行うとともに,ラット腎障害モデル動物を用いて,各パラメータの有用性について病理変化との相関性を調べることにより検討した. (方法)7週齢のCrl:CD(SD)ラットにシスプラチン(0[Saline],0.3,1,5mg/kg)を単回腹腔内投与した.投与後第2,3,6日の約20時間尿を用いて尿量,比重,浸透圧,尿中電解質,グルコース,アルブミン,NAG,クレアチニン,γ-GT,ALP,β2-マイクログロブリン,Kim-1,Cystatin CおよびClusterinを測定した.同時に血清を採取し,腎障害パラメータとして汎用されている血清BUNおよびクレアチニン測定を行うとともに,腎臓の病理組織学的検査を行った. (結果)1.0 mg/kg以上のシスプラチン投与により近位尿細管の壊死や上皮の好酸性変化が認められた.これに関連して,各種尿中,血清中パラメータも変動していた.本学会では,各パラメータの変動と組織変化の時系列での相関性について詳細に報告し,各パラメータの特性について考察する.
  • 森村 智美, 熊谷 文明, 古谷 真美, 加藤 博康, 臼見 憲司, 斉藤 義明
    セッションID: P-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    [目的] 4-エチルモルホリン(EM)および2-(ジ-n-ブチルアミノ)エタノール(DBAE)投与ラットで観察された遠位尿細管または集合管における空胞変性について、これまでに生化学的(尿、血液)および電子顕微鏡的に精査してきた。今回は、腎臓におけるAquaporin(AQP)の局在を免疫組織学的に検索したので報告する。
    [方法]Sprague-Dawley系ラットに800 mg/kg/day の EMまたは300 mg/kg/day のDBAEを、7および14日間反復経口投与し、剖検して腎臓を採取した。パラフィン包埋切片を作製し、ABC法によりAQP2、3および4の免疫染色を行った。
    [結果および考察]DBAE投与群およびEM投与群ともに投与期間による染色性の差はなかった。AQP2は、対照群では遠位尿細管および集合管で陽性細胞が認められ、主細胞の管腔側で強陽性となったが、大型の空胞を有するDBAE投与群の集合管ではやや染色性が低下し、管腔側で低下が顕著であった。EM投与群では、空胞を有する集合管でも対照群との間に染色性の差はなかった。AQP3は各群の遠位尿細管上皮細胞および集合管の主細胞基底側に陽性部が認められたが、対照群と比較して染色性に差はなかった。AQP4も対照群と比較して染色性の差はなかった。
    以上のことから、DBAE群の集合管上皮では、AQP3および4の変化を伴わない水輸送障害の結果、水貯留を伴う空胞形成および管腔側AQP 2の減少が生じた可能性が示唆された。EM群では、AQP局在と空胞形成との関連性は低いと考えられた。なお、現在、AQPとの関連性が示唆されたDBAEについて、より初期の変化を把握するため、DBAEを単回または3日間反復投与し、生化学的および免疫組織学的に検査中である。
  • 赤井 翔, 鈴木 弘美, 長谷川 妙子, 齊藤 遼太, 宗心 知美, 磯部 香里, 金丸 千沙子, 渡部 一人, 林 修次, 鈴木 雅実, ...
    セッションID: P-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】血中尿素窒素及びクレアチニンは非臨床試験の腎障害マーカーとして汎用されているが,検出感度は低く,機能的・器質的な腎障害が進行してから変動することが知られているため,より初期病変を検出できる新規のバイオマーカー導入が重要視されている。
    2008年6月にFDA及びEMEAから,非臨床試験における腎毒性評価に有用な7種類の推奨マーカー(Kim-1,Cystatin C,Clusterin,Total protein,Albumin,β2-microgloburin及びTFF-3)が提唱され,毒性評価法の拡充が期待されている。本試験では,尿細管障害または糸球体障害を誘発する物質をラットに投与し,腎障害マーカーの変動と病理組織学的所見の関連性を精査した。また,前述の推奨マーカーに加え,その他数種の腎障害マーカーについても検討を行った。
     【方法】雄6週齢Wistar Hannover (GALAS) ラットに対して,ゲンタマイシンを7日間反復静脈内投与またはThy-1抗体を単回静脈内投与し,尿検査,血液化学的検査及び腎臓の病理組織学的検査を投与後2,4及び8日に実施した。尿検査は,薬剤投与後0-6時間及び6-24時間の蓄尿を用いて測定を実施した。
     【結果及び考察】ゲンタマイシンを投与したラットでは,近位尿細管障害に特異性の高いKim-1,Cystatin C,GST等の上昇が認められた。また,Thy-1抗体を投与したラットでは,糸球体障害に特異性の高いAlbumin,Total protein等の上昇が認められた。これら腎障害マーカーは血中尿素窒素及びクレアチニンの上昇に比べ,ゲンタマイシン及びThy-1抗体投与後早期から明らかに上昇しており,初期腎障害の毒性評価に有用であると考えられた。
  • 長谷川 妙子, 齊藤 遼太, 鈴木 弘美, 赤井 翔, 宗心 知美, 渡部 一人, 豊田 直人
    セッションID: P-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】シスタチンC(CysC)は,臨床分野において糸球体濾過量及び尿細管障害マーカーとしての有用性が知られている。非臨床試験においても,腎毒性評価に有用な新たなマーカーのひとつとしてFDA及びEMEAから推奨され,毒性評価への拡充が期待されている。ラット用試薬としてELISA法等があるが,測定処理速度を向上させるために自動分析装置への導入を試みた。導入にあたり自動分析装置に適用可能なヒト用試薬を選択し,ラットの測定条件設定及び腎障害評価への有用性を検討した。
    【方法】測定装置TBA-120FR(東芝メディカル)への適用性,測定原理,添付文書情報等から,イアトロCys-C(ラテックス免疫比濁法)及びネスコートGCシスタチンC(金コロイド比色法)を測定試薬として選択した。両試薬の低濃度域で安定する測定条件を設定し,再現性及び直線性を確認した。また,薬剤誘発性の腎障害モデル動物の血清と尿を測定し,正常動物と比較すると共に,一部の試料でラット用試薬との同等性を確認した。さらに,他の腎障害マーカー(Alb,β2m,Kim-1など)との関連性について検討した。
    【結果及び考察】ヒト用試薬をラット用に最適化した測定条件の妥当性を確認し,低濃度域での測定が可能となった。モデル動物の尿CysCは高値となり,腎障害を反映していた。また,ラット用試薬と高い相関性(イアトロ:R2=0.99,ネスコート:R2=0.95)を示し,イアトロCys-Cではほぼ同等な値であった。他の腎障害マーカーとの比較では,尿細管障害の部位,発現機序及び程度に応じた変化がみられ,また糸球体障害においても関連性が示唆されたことから,早期の腎毒性スクリーニングマーカーとして有用であると考えられた。以上より,ラットCysCを高感度かつ簡便に測定できることが検証され,今後の毒性評価拡充に寄与できることが期待される。
  • 塩谷 元宏, 中野 今日子, 森 郁夫, 赤荻 徳雄, 細川 暁, 青木 豊彦
    セッションID: P-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    目的:NMDA(N-methyl-D-aspartate) receptor antagonistは,ラット脳のretrosplenial cortex(RS)において神経細胞の細胞質の空胞化などの形態変化を誘発することが報告されている。しかし,これまでの報告の多くにおいて,これらの変化は,染色法は鍍銀法などHE染色以外の染色法かつ灌流固定された脳組織でのものであった。そこで,今回,NMDA receptor antagonistによる脳実質の形態変化が,毒性試験における通常の病理標本作製方法(ホルマリン浸漬固定,パラフィン包埋及びHE染色)でも検出できるか検討した。また,形態学的変化の程度と中枢神経症状の程度との相関についても検討した。
    方法:9週齢の雌SDラットにMK-801の10 mg/kgを単回皮下投与し,その後一般状態を観察した。対照群には生理食塩水を同様に皮下投与した。投与後2,4,6時間に,各5匹の動物をイソフルラン麻酔下で腹大動脈からの全採血により安楽死させ,脳を摘出した。10%中性緩衝ホルマリンで固定した後,RSを含む部位を切り出し,定法に従って,パラフィン包埋,HE染色標本を作製し,光学顕微鏡による観察を実施した。
    結果及び考察:MK-801を投与した全ての個体で,RS部位において神経細胞の細胞質の空胞化が観察された。これらの変化像および部位は,これまでの報告と同様であった。但し,これらの変化像は対照群のRS以外の部位でも時折観察されたことから,実際の毒性試験においては,薬剤による反応とアーチファクトとの鑑別が困難であることも示唆された。尚,中枢神経症状に関しては,形態学的変化の程度と中枢神経症状の程度との間に,相関傾向が認められた。本発表では,さらにタンパク変動解析の結果も合わせて報告する予定である。
  • 三枝 由紀恵, 冨士本 仁, 禹  桂炯, 川合 正臣, 松本 明, 金 美蘭, 広瀬 雅雄, 西川 秋佳, 三森 国敏, 渋谷 淳
    セッションID: P-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】我々は、発達期中枢神経影響評価系の確立を目的として、ニューロンの移動やその後の可塑性の破綻に伴う分布異常に着目し、抗甲状腺剤や臭素化難燃剤を暴露したラット児動物での海馬CA1領域特異的なマイクロアレイ解析と免疫染色による標的分子探索を進めてきた(第34回本学会)。今回、その中で見出した分子のうちGABA作動性ニューロンのマーカーであるCalbindin(Calb)を指標として特異的に陽性を示すプルキンエ細胞(PC)の分布異常を検出し得たので報告する。【方法】雌SD系ラットに妊娠10日~小脳発達時期(生後2週)を含む離乳時(生後3週)まで抗甲状腺剤のメチマゾール200 ppm、プロピオチオウラシル3ないし12 ppmを飲水投与した。また、臭素化難燃剤のデカブロモジフェニルエーテル(DBDE)を10、100、1,000 ppmの割合で混餌投与した。生後3週及び11週に、児動物の小脳後葉~片葉小節葉の皮質PC層と顆粒細胞層に分布するCalb陽性PC数を検索した。【結果】甲状腺関連ホルモン測定の結果、児動物の甲状腺機能低下は抗甲状腺剤で明らかであったが、DBDEではごく軽度であった。生後3週では、抗甲状腺剤に共通してPCに分布異常がみられ、顆粒細胞層内へ分布するCalb陽性を示すPC数は無処置群に比べて8~10倍の増加を示した。DBDEでは、高用量群で分布異常を示す細胞に増加傾向がみられた。また、投与群でも、総PC数に変動はみられなかった。一方、生後11週では、PCの分布異常は消失し、総PC数にも影響はみられなかった。【考察】甲状腺機能低下に基づくニューロンの分化異常評価指標として、小脳後葉~片葉小節葉でニューロンの移動ないしその後の可塑性の変化を反映したCalb陽性PCの分布異常を見出したが、成熟後の分布やニューロン数に影響を認めないことから、これらの分化異常は可逆的であることが判明した。
  • 蓜島 淳子, 小松 豊, 高橋 尚文, 藤江 秀彰, 首藤 康文
    セッションID: P-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    Hexachlorophene (HCP) (ラット経口LD50 56 mg/kg) は微量で中枢神経系機能および構造に重篤な変化を及ぼすことが知られている。そこで、神経毒性試験における陽性対照データを得ることを目的として、6週齢のSD系雌雄ラットに30、40、50 mg/kgのHCPを14日間反復経口投与し、神経系機能および構造学的変化を評価した。なお、50 mg/kgの雌雄および40 mg/kgの雌において、重篤な神経症状の発現ならびに死亡が認められたため、これらの動物は投与期間を7日間とした。 一般状態の観察において腹臥位、異常歩行、筋緊張低下、取り扱い反応の低下、運動強調性の消失、散瞳または縮瞳が雌雄ともに認められ、これらの発症の頻度は用量相関性を示した。神経機能検査において雌雄ともに接近反応、触覚反応および空中立ち直り反射の低下が認められた。さらに、前肢握力および開脚幅の統計学的有意な低下が認められた。一方、雄では後肢握力の有意な低下、雌では自発運動量の有意な減少が認められた。これらの変化は用量相関性を示し、HCPが中枢および末梢神経系機能に対し影響を及ぼすことが示された。病理組織学的検索では、大脳白質、中枢神経および末梢神経の空胞化、筋線維の萎縮などが認められた。さらに本試験では、HCP投与によるこれらの特徴的な神経行動学および神経病理組織学的変化に加えて、各用量群の雌雄において白内障が認められた。白内障は加齢性、薬物の副作用あるいは紫外線の直接照射などで誘発されることが知られている。またその機序の一例として、水晶体中のグルタチオン量の減少やグルタチオン合成酵素の活性が低下することによって誘発されることが示唆されている。HCP経口投与による白内障の発現及びその機序についてあまり知られていないことから、我々はHCP投与との関連性についてさらに検討を進める。
  • 松岡 哲也, 溝口 靖基, 鎌田 亮, 大塚 絵麻, 水口 浩康, 福田 一弥, 石川 勉, 鶴本 和子, 野口 真紀, 玉井 幸子, 浅野 ...
    セッションID: P-26
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 我々は、妊娠6日から28日にかけて給餌を制限(20 g/day)した妊娠ウサギでは、飽食群と比較して、妊娠22日の段階で血液凝固系パラメータの顕著な変動と血中プロゲステロン(Pro)濃度のより高度な減少が観察され、妊娠23日以降に約半数で流産が起こる事を報告した(Matsuoka et al., J. Toxicol. Sci., 2009)。今回は、同様な条件で制限給餌した妊娠ウサギの妊娠23日における胎児の状態および胎盤の組織学的変化について検索した。 [方法] Kbl:NZW妊娠ウサギ(5ないし7箇月齢)を、飽食群(N群、6匹)及び妊娠6日~23日の間給餌を20 g/日に制限する群(R群、15匹)に分けた。採血は妊娠6日、13日及び22日に行い、妊娠23日に帝王切開により子宮内の胚・胎児の観察及び胎盤の計測・病理組織学的検査を実施した。 [結果とまとめ] 血液学的所見については前報と同様で、R群ではN群に比べ血液凝固系パラメーターの変動が顕著で、血中Pro濃度がより低い値を示した。帝王切開では、N群に比べ、R群では胎児体重及び胎盤容積が低値を示した。また、R群のうち血中プロゲステロン濃度が4.0 ng/mL以下の個体では、黄体数及び着床数が多く、胚・胎児死亡率が高い傾向が認められた。さらに、N群に比べR群では、胎盤迷路部の発達が遅れ、基底部グリコーゲン含有細胞が残存していた。これらのことから、制限給餌妊娠ウサギでは血中Pro濃度が低く、胎盤の発育が遅延していることが流産を引き起こす原因となっていることが示唆された。
  • 山田 恭史, 浅野 育子, 豊吉 亨, 久木 浩平
    セッションID: P-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    目的 前臨床試験における皮膚反応の観察は、ドレーズの評価基準に従い、評点を5段階に肉眼的に分類することで評価している。肉眼観察であるため同一人物が評価しても日によって評価の基準が違うこともあり、ましてや人が代わればそれぞれがもつ評価基準も違ってくる。そこで、皮膚反応の観察を客観的に行うため色差計を用いることで紅斑を数値化し、その値と肉眼観察における評点との相関性について検討した。 方法 Hartley系モルモットおよびA-1系モルモットにおける皮膚反応を、ドレーズの評価基準に従い肉眼的に評価し、その後色差計を用いて、各皮膚反応部位の色差(以下a値)を測定し、肉眼観察の評点とa値を比較した。 結果 Hartley系モルモットを用いた皮膚感作性試験における皮膚反応は、評点2ではa値は10.79~14.25、評点3ではa値は15.40~16.32であった。同様に皮膚光感作性試験、A-1系モルモットを用いた光毒性試験および皮膚光感作性試験におけるa値も肉眼観察における評点とほぼ相関していた。 以上の結果、色差計におけるa値の測定は肉眼観察における紅斑の評点化に対する客観的な評価手段の一つになりうると考えられる。
  • 石田 憲太, 本橋 昌也, 今井 海, 小林 康子, 武藤 朋子, 和久井 信
    セッションID: P-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    フタル酸エステルは、プラスチック製品やその可塑剤として医療器具を含み広く使用されている。そのうちdi(n-butyl) phthalate (DBP)などは、齧歯類において精巣毒であることが知られている。特に胎生期では、その影響は大きく胎生期のラットがDBPに曝露されると、成熟後の雄ラットにおいて生殖路の形成異常、精子産生の減少、ライディッヒ細胞の過形成や腺腫様病変がみられることを報告したが、生後若齢期から成獣期までの成長に伴う精巣の変化に関する詳細な検討は行われていない。本研究ではDBP胎生期曝露次世代・雄ラット精巣の成長に伴う影響について注目した。検討には、SD(Slc)ラット妊娠10-20日目までDBP群 (1000mg/kg)、対照群にはCorn oil同用量の連日経口投与を行った。そして、出生後3週齢、5週齢、7週齢、9週齢、12週齢、17週齢で剖検したのち検討を行った。DBP群では若齢時、血清Testosterone、5α-dehydrotestosteroneの有意な減少、Folicle stimulating hormoneの有意な増加が認められた。また、成獣期でも有意なTestosteronの減少とFolicle stimulating hormoneの継続的な増加が認められた。本検討から、DBPのラット胎生期曝露が、出生後の雄性ホルモンレベルの長期的変動を惹起することが明らかとなった。さらに、精上皮細胞の減数、セルトリ細胞・ライディッヒ細胞異常について検討する。
  • 柴山 寛司, 小寺 喬, 篠田 保彦, 花田 智彦, 梶原 力, 上田 誠, 田村 英之, 蛭田 仁, 古賀 真昭, 石橋 成太良, 山下 ...
    セッションID: P-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】現在、安全性試験の実施時期に関するICHガイドラインの見直しが行なわれており、その根拠となるデータ収集を目的とした製薬協主催の共同研究の一環として内分泌かく乱作用を有する農薬であるアトラジンの雌ラットを用いた反復投与毒性試験および受胎能試験を実施し、詳細な病理組織学的検査により卵巣毒性を検出することが可能か、また反復投与毒性試験により雌受胎能に対する影響を予測することが可能かを検討した。 【方法】反復投与毒性試験では、6週齢の雌性Slc:SD(SD)ラットに3、30、300 mg/kgの用量で2週間または4週間反復経口投与した。投与期間終了翌日まで一般状態および性周期を観察し、投与終了翌日に剖検して卵巣などの器官重量測定および病理組織学的検査を実施した。受胎能試験では12週齢の雌性SDラットに3、30、100 mg/kgの用量で交配前2週間から妊娠7日まで投与し、妊娠14日に剖検して生殖能を確認した。 【結果および考察】反復投与毒性試験では性周期の延長が30 mg/kgの4週間投与ならびに300 mg/kgの2週間および4週間投与で認められ、剖検時には300 mg/kgの2週間および4週間投与で卵巣の小型化および卵巣重量の減少が認められた。また、卵巣の組織学的検査では300 mg/kgで変化が認められ、2週間投与では新規黄体形成の消失、旧黄体の腫大および減少、大型閉鎖卵胞の増加が、4週間投与では大型閉鎖卵胞の増加および旧黄体の腫大がそれぞれ認められた。受胎能試験では30 および100 mg/kg投与群で性周期の延長が散見され、100 mg/kg投与群では性周期の延長に起因した交尾不成立が認められたが、剖検時の生殖能にはアトラジン投与による影響は認められなかった。  上記の変化はアトラジンの内分泌かく乱作用に起因した変化と考えられ、詳細な病理組織学的検査によりアトラジンの卵巣毒性を検出し、受胎能への影響を予測することは可能と考えられた。
  • 山本 大, 谷 栄之介, 涌生 ゆみ, 宮崎 智成, 星野 信人, 松浦 郁夫
    セッションID: P-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【背景及び目的】 我々は第35回本学会で、日本白色種ウサギ(KBL:JW)の特定の種雄に起因した胎児の生殖器異常(精巣及び卵巣の低形成,停留精巣)について発表した。ヒトの停留精巣などは、成長が進むにつれ正常な機能を獲得することが報告されており、発育遅延が主な要因と考えられている。そこで今回、特定の種雄から作出したF1動物を成熟するまで飼育し、生殖器の機能及び形態を検査することで、胎児で観察された形態異常が発育遅延によるものかどうかを検討した。 【材料及び方法】 特定の種雄の精液で人工授精を行った雌6例から、自然分娩にてF1動物を作出した。F1動物を哺育後、生後20週齢以降に精子検査を実施するとともに、異常がみられた個体について生殖器の肉眼及び病理組織学的検査を行った。 【結果】 精子検査の結果、乏精子症や無精子症の個体がみられ、3例の母動物のうち4例のF1動物で生殖器の形態異常が認められた。乏精子症の動物は、精巣、精巣上体及び副生殖腺の配置は正常であったが、いずれの臓器も小型であった。病理組織学的検査の結果、ほとんどの精細管が未成熟であり、精巣上体及び精嚢も未熟な組織であった。無精子症の動物では、左側の停留精巣が認められ、停留精巣、陰嚢内精巣とも小型であった。精巣上体は精巣の一部に付着しており、嚢胞が認められた。病理組織学的検査の結果、精巣及び精巣上体は未熟な組織であり、嚢胞は遺残した中腎管であった。その他、外生殖器形態異常(尿道下裂)が1例で観察され、肉眼的には子宮及び卵巣様の内生殖器を有していたが、病理組織学的検査の結果、卵巣様の臓器は未熟な精巣組織であった。 【結論】 特定の種雄に起因した胎児の生殖器異常は、発育遅延によるものではなく、生後も回復することのない異常であることが判明した。雄起因の奇形は極めて稀であり、今後はその発現機序についてさらに詳細な検討を行う予定である。
  • 瀬沼 美華, 高島 宏昌, 吉田 由香, 三枝 克彦, 太田 亮, 小島 幸一
    セッションID: P-31
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    発生毒性試験においては、胎児標本作製時に麻酔や安楽死等の処置が必要である。胎児摘出後の低体温麻酔、胎児の胸腔内や腹腔内への麻酔薬の投与等が推奨されているが、それぞれ問題点がある。今回、我々は胎児への移行性を有するペントバルビタールを母動物に投与し、胎児を麻酔状態とすることを目的に検討を行った。
    Crl:CD(SD)系雌ラットを交配後、妊娠21日(膣栓確認日=妊娠0日)に帝王切開した。帝王切開20分前にペントバルビタール(ソムノペンチル;共立製薬)50あるいは5 mg/kgを静脈内投与し、投与していない動物(対照群)と比較した。5 mg/kgの投与群ならびに対照群では胎児への移行性がないセボフルランで麻酔状態として、放血後、帝王切開した。胎児を摘出し生死を確認した後、室温条件下で最大2時間まで10分おきに観察し、色調、発鳴、呼吸を評点化した。また、同時に尾根部への刺激を与え、胎児の反応を評点化した。観察終了後、外表を観察し、胎児体重ならびに胎盤重量を測定した。
    その結果、50 mg/kg投与群では胎児の全例が帝王切開時には既に死亡しており、麻酔薬以外の原因での妊娠末期死亡との判別ができないと考えられた。一方、5 mg/kg投与群における胎児死亡の発現率は対照群と比較して差は認められず、帝王切開直前に投与したペントバルビタールによる胎児死亡はないと推定された。また、5 mg/kg投与群においては、胎児の活動性は帝王切開直後から全例で低下し、至適な麻酔状態が1時間以上継続した。しかし、一部の腹では麻酔状態が十分ではなく、刺激に対して反応を示す胎児が認められた。
    今回の検討により、母動物へのペントバルビタール投与によって胎児を麻酔状態にすることが可能と考えられた。現在、ペントバルビタールの至適用量に関する詳細な検討中である。
  • 坂井 祐子, 岡田 晃宜, 廣田 里香, 松尾 成喜, 伊藤 伸, 藤原 道夫
    セッションID: P-32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【緒言】本研究では,心拍数増加作用を有するbetaアドレナリン受容体作動薬であるisoproterenol(ISO)を用いて,ウサギ胎児への影響について検討した。また,選択的beta1アドレナリン受容体遮断薬であるmetoprolol(MET)の同時投与による心拍数増加抑制の影響について検討した。【方法】ニュージーランドホワイト種ウサギにISOの3から100mg/kg/dayを経口投与し,妊娠29日に帝王切開して胎児の形態検査(外表・内臓)を実施した。初回及び最終投与時には,血漿中ISO濃度及び母体心拍数を経時的に測定した。次に,ISOの50mg/kg/dayに加えてMETを同時投与し,母体心拍測定と胎児の形態検査(外表・内臓)を実施した。【結果】血漿中ISO濃度及び母体心拍数は投与量依存的に増加し,胎児の形態検査では大動脈弓拡張の発現頻度が増加した。MET同時投与によりISOによる母体の心拍数増加は抑制され,同時に胎児の大動脈弓拡張の発現頻度も低下した。【結論】本研究により,beta受容体作働薬によるウサギ胎児の大動脈弓拡張作用が確認された。本作用は,選択的beta1遮断薬の同時投与により抑制されたことから,化合物自体が有する催奇形性によるものではなく,心拍数増加と関連した二次的な機能的変化である可能性が示唆された。今後,胎児心拍数との関連性についても検討を加える予定である。
  • 澁谷 徹, 澁谷 徹
    セッションID: P-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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     近年,化学物質などによる“Epigenetics”の撹乱:“Environmental Epigenomics”(環境エピゲノミクス:EEG) についてのデータが得られ始め,多分野での貢献が期待されている.EEGは,発ガンを始めとする毒性学の様々な分野で,毒性の発現メカニズムを解明するための有力な手段となりつつある.一方,Baker (1986) は,健康と疾患の素因は受精時期から乳幼児期のEEGによって決定されるという「成人病胎児期発症説」を発表し,EEGは臨床医学でも重要な概念となりつつある.これらの解明には動物を用いた「生殖・発生毒性試験」のデータがますます重要となる.  「生殖・発生毒性試験」は複雑な生命現象を取り扱うので,多大な時間と労力を要する試験であるが,それらの毒性発現のメカニズムについてはまだ不明の点が多い.しかし,これまでに「生殖・発生毒性試験」が関与する;配偶子形成の異常,妊性の低下,催奇形性,出産児の行動異常などが,化学物質の遺伝子DNAのメチル化や染色体ヒストンのアセチル化によるEEGによることが動物実験あるいはヒトの疫学調査によって知られ始めている.経世代影響についても,その評価は今後の大きな研究テーマとなっている (Skinner et al: 2005).また内分泌撹乱化学物質の作用にもEEGが関与していることが知られている(Crews and McLachlan, 2006).  以上のことから,種々の化学物質について文献調査を行い,「生殖・発生毒性」の発現におけるEEGの関与についての考察を行った.まだ文献調査をした化学物質の数は少ないものの,化学物質によるEEGは将来,「生殖・発生毒性」を推測するための一つの有力な手段となりうるものと考えられた.今後,さらに文献調査を継続し,「生殖・発生毒性」の結果の予測に役立つEEGデータシートを構築してゆく予定である.  
  • 田山 邦昭, 藤谷 知子, 坂本 義光, 安藤 弘, 久保 喜一, 高橋 博, 長澤 明道, 矢野 範男, 湯澤 勝廣, 大橋 則雄, 中江 ...
    セッションID: P-34
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】蔓延する違法(脱法)ドラッグについて、行動・中枢神経系以外への影響はあまり調べられていない.今回、違法ドラッグの雄性生殖器系への障害性をみるためにスクリーニング的に施行した投与試験において、薬事法指定薬物となったtryptamine系薬剤が、精巣・精子への障害性を認めたので報告する.
    【方法】薬物:5-methoxy-N,N-dimethyltryptamine(5MeO-DMT). 投与法:薬物はプロピレングリコールに溶解し、0(対照), 100, 250 mg/kg/day投与量で11週齢の雄性マウス(Crlj:CD-1)5匹に5日間連続経口投与後、1, 5週目で剖検し、生殖器系の臓器重量計測後, 機器による精子ハ゜ラメータ検査をし、さらに固定標本の組織学的検討を行った.機器:精子数計測および形態異常検出(粒度分布曲線係数MODALの比較)にはCDA-500を、運動性計測にはSQA-IICを用いた.測定法:既報(Repro Toxicol, 2006)により行った.
    【結果・考察】臓器重量:1, 5週共に、いずれの用量も対照群と差はなかったが、精巣・精巣上体などで低下傾向がみられた.精子ハ゜ラメータ:精子数・運動性は、1週目の250 mg/kg群では、有意に低下し、形態異常マーカーのMODALは低下傾向を示した.5週目では両用量共に精子数・MODALで低下傾向を示した.組織学的観察:1週目の250 mg/kg群で、精巣では精上皮の変性・壊死、精巣上体では、管腔内の精子数が減少し、細胞残屑が認められ、体部で管腔が拡張していた.5週目ではこれらの変化の回復がみられた.以上より、5Meo-DMTは、精巣・精子障害性を有することが明らかとなり、本薬物連用の危険性が示された.現在、投与量を4用量設定し再度実験を実施しており、この結果と合わせて報告する.
  • 高橋 研, 明間 聡史, 山口 悟, 大塚 亮一, 武田 眞記夫, 大沼 彩, 高橋 尚史, 桑原 真紀, 青山 博昭, 寺本 昭二
    セッションID: P-35
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    DNOCを雄ラットに5日間連続強制経口投与すると,精細管上皮のステップ19精子細胞においてミトコンドリアの部分的消失が引き起こされる。この異常精子細胞は,精細管上皮から放出されて精巣上体の中を移動する間は中片部遠位端において軸糸の外側粗大線維が露出するpeeled精子として観察され,精巣上体尾部に到達した後その異常の型をtailless精子に変化させる。これまでの実験では,5日間投与の翌日までに精細管上皮と精巣上体頭部において異常精子細胞とpeeled精子がそれぞれ出現することが確認されているが,投与直後から異常精子細胞の出現に至る過程を精査するためには,初期変化とそれに続く変化が重複して発現する反復投与実験モデルではなく,単回投与後の毒性発現過程を観察する必要があると考えられる。今回我々は,反復投与によって毒性が発現する15 mg/kgまたはその2倍の30 mg/kgのDNOCを雄ラットに単回強制経口投与し,投与後1,5,7,および11日に精巣上体の頭部,体部および尾部から精子を採取して位相差顕微鏡下でその形態を観察し,peeled精子の出現頻度を比較した。反復投与毒性量である15 mg/kgを単回投与されたラットは,投与後いずれの時期にも,精巣上体のいずれの部位においてもpeeled精子の増加を示さなかった。一方,30 mg/kg投与群では,16匹中1匹が投与翌日までに死亡したが,耐過した動物ではpeeled精子の頻度の有意な増加が,時期および部位特異的に観察された。Peeled精子の増加は投与後5日の精巣上体頭部にまず認められ,7日には頭部と体部の両方,さらに11日では精巣上体尾部に限局して認められた。この結果から,単回投与によってもDNOCの精子毒性が発現することが明らかとなり,この実験モデルを用いることによりDNOC誘発性精子形態異常の発現メカニズムを新たな時間軸に沿って解析することが可能となった。
  • Satoru Oneda, Norbert Makori, Narine Lalayeva, Akihiro Arima, Yojiro O ...
    セッションID: P-36
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    In recent years, the cynomolgus monkey (Macaca fascicularis) has become an animal model of choice for nonclinical developmental and reproductive toxicity studies (DART) of monoclonal antibody (mAb) therapeutics. DART study designs have become increasingly complex and need unique specific modifications for each individual protein. Evaluation of general male and female reproductive parameters is now commonly included in general toxicology studies, and stand-alone fertility studies are less common. Since placental IgG transfer is not apparent early in gestation, mAb should be given throughout all trimesters rather than only during the organogenesis period either in an embryo-fetal development (EFD) study or a pre- and post-natal (PPN) study. In recent trends, in utero embryo-fetal growth assessments by ultrasonography can supplant cesarean section and actual fetal necropsy, and is now routinely included in PPN studies. For the majority of mAb drug candidates, evaluations of immunological development such as flow cytometric immunophenotyping of peripheral mononuclear cells and lymphocytes, immune response to antigenic challenge (e.g., KLT, TTx), immunohistochemistry, are included as an end-point in PPN studies. In addition to routine functional tests, behavioral as well as memory and learning assessments are required for mAbs that can affect neurodevelopment.
  • 稲田 拓, 千原 和弘, 福田 知春, 立石 湯美, 木村 重紀, 船橋 斉, 関 高樹
    セッションID: P-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
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    【目的】フタル酸エステルの1つであるDEHPは、ラットに卵胞の小型化を引き起こすことが知られている。今回、我々は、自社で確立したラット培養卵胞を用いた新規in vitro卵巣毒性検出法により、DEHPの活性代謝物であるMEHPにおける卵胞の形態および生殖内分泌に及ぼす影響を検討した。【方法】生後14日のCrl:CD(SD)系雌ラットの卵巣を採取し、卵胞を分離した。卵胞を24時間前培養した後、MEHP(10、30および100 µg/mL)を添加し、添加後48時間まで培養を継続した。培養後、卵胞の成長、TUNEL染色および培養液中の生殖内分泌(Progesterone、Androstenedione、TestosteroneおよびEstradiol)濃度測定を実施した。【結果】MEHPの10および30 µg/mLでアンドロゲン濃度の上昇が、100 µg/mLで卵胞の小型化およびTUNEL陽性顆粒膜細胞の増加が認められた。【結論】ラット培養卵胞にMEHPを添加することにより、ヒトにおける多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に特徴的な高アンドロゲン血症および多嚢胞性卵巣(小卵胞)を示唆する変化が認められたことから、MEHPはPCOSと類似した変化を惹起することが示唆された。
  • 小松 弘幸, 坂口 晶紀, 橘田 久美子, 清水 茂一, 門田 利人, 秋江 靖樹
    セッションID: P-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】第34回大会では標準的毒性試験に免疫機能試験(胸腺依存抗体産生能試験:Thymus Dependent Antibody Responce,TDAR,SRBC-ELISA法)を組み合わせ, CyclosporinA(CyA),プレドニゾロン(Pre)及びイブプロフェン(Ibu)の免疫機能への評価を行った.今回はTDARに加え胸腺非依存抗体産生試験(Thymus Independent Antibody Responce,TIAR)及びサイトカイン・プロファイルを行い上記3薬剤への免疫系への評価をさらに行った. 【方法】2週反復投与試験ではSDラットを用いてCyclophosphamide(Cyclo)の14日間強制経口投与を行った.投与第9日にKehole Lympet Hemocyanine(KLH)またはTri-Nitro Phenol-LipopolySaccharide (TNP-LPS)を尾静脈内(i.v.)投与し,その6日後に採血・血清を採取した.4週反復投与試験としてはCyA,Pre及びIbuをSDラットに28日間強制経口投与した.KLHまたはTNP-LPSのi.v.投与は投与第9日及び23日に行った.採血・血清の採取は投与第15日及び最終投与の翌日に行った.測定項目:抗KLH-IgM及び抗TNP抗体価はELISA法で測定した.血清中サイトカインはフロービーズアレイ法で測定した. 【結果】免疫抑制剤であるCycloの2週反復投与によって抗KLH-IgM及び抗TNP抗体価の低下,並びにいくつかのサイトカインの低下が見られた.従って,今回行ったTDAR及びTIARによる抗体産生能及びサイトカイン・プロファイルによって免疫機能の評価が可能であった.現在,CyA,Pre及びIbu投与動物についての抗体産生能及びサイトカインプロファイルを実施している.
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