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						唐 倩, 中原 惇太, 高嶋 和巳, 高橋 康徳, 岡野 拡, 尾城 椋太, 小澤 俊介, 鄒 昕羽, 中尾 友洋, 小栁 美穂子, 吉田  ... 
							 セッションID:									P-28S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									We previously reported that rat offspring exposed to curcumin (CUR) from fetal stage revealed anxiolytic effects and enhanced fear extinction learning in behavioral tests, and increased synaptic plasticity in the hippocampal neurogenic niche. This study investigated genes to alter methylation status in the neurogenic niche linked to enhanced cognitive functions by CUR. Methyl-Seq and RNA-Seq were conducted in the dentate gyrus (DG) of CUR-exposed rat offspring on day 77 after delivery. Candidate genes were validated by methylation-sensitive high resolution melting method, real-time RT-PCR, and immunohistochemistry. Hypermethylation and downregulation by CUR were confirmed for Pcdh8, Mmp23, Gpr150 and Rprml. Hypomethylation and upregulation by CUR were confirmed for Opn3, Ppm1j and Fam222a. PCDH8-immunoreactive granule cells decreased the number by CUR. Among the genes obtained, Pcdh8, Opn3, and Fam222a were reported to be expressed in the brain. PCDH8 mediates endocytosis of N-cadherin, a synaptic adhesion molecule, suggesting that the reduction of PCDH8+ granule cells by CUR may induce increased synaptic plasticity to strengthen cognitive function. OPN3 is a light-sensitive transmembrane receptor to function in interneurons. Fam222a encodes aggregatin mainly expressed in astrocytes. Obtained results suggest the involvement of different neural cell populations showing altered methylation and expression of their inherent genes in the neurogenic niche in relation to enhanced cognitive functions by CUR. 
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						八木 美佑紀, 桑原 未来輝, 松本 実優, 宮澤 未来, 落合 和 
							 セッションID:									P-29S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									妊娠期には体の不調とともに妊婦の10%程度がうつ病に罹患している。妊婦への向精神薬等の投与は胎児への安全性を考慮し慎重に行う必要がある。そのため、気軽に摂取できるサプリメントの需要が高まっており、その中でもCannabidiol(CBD)という成分が注目されている。CBDは、大麻に含まれる主要なカンナビノイドの一つであり、精神作用がなく、抗不安作用を示すことが報告されている。したがって、今後、妊婦が不安を解消するためにCBDを気軽に摂取することも想定される。しかしながら、妊娠中にCBDを使用する際の胎児への影響については知見が乏しいのが現状である。本研究では、妊娠中にCBDを使用した際の、胎児への安全性について、薬物動態学と神経発生学の観点から解析した。 我々はまず、妊娠中期のマウスにCBDを投与した際の胎児とその脳への移行性をLC-MSを用いて解析した。その結果、CBDは速やかに母体から胎児へと移行することに加え、胎児の脳内にも移行がみられた。 胎児期の大脳皮質では、神経幹細胞からニューロンへの分化が活発になり、大脳皮質の6層構造が形成されはじめる。したがって、母体から胎児脳へと移行したCBDがこの過程に影響を及ぼすことが危惧される。そこで次に、胎児の神経発生に対するCBDの影響を解析した。本研究の結果から、妊娠中のCBD 使用は、神経幹細胞の増殖を促進し、IV層のニューロンが減少させることで、大脳皮質の層構造に異常をもたらす恐れがあることが示唆された。 
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						石橋 勇人, 木村 新伍, 鈴木 郁郎 
							 セッションID:									P-30S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									Dependence is known to be caused by various compounds such as frequently used medicines, luxury goods, and illegal drugs, and there is a need to establish an evaluation system for side effects to prevent the formation of dependence. However, a method for evaluating addiction has not yet been established. In this study, we constructed an evaluation system to detect addiction-positive compounds by measuring the electrical activity of iPS cell-derived dopamine neurons using microelectrode arrays (MEAs). The iCell dopamine neurons and iCell astrocytes were co-cultured on AXION MEAs. After 35 days of culture, we performed a cumulative administration test of 20 addiction-related compounds and measured the changes in electrical activity. Next, we conducted a chronic administration test of 10 addiction-related compounds and compared the results with those of the acute administration test using principal component analysis. In the cumulative administration experiment using dopamine neurons, it was possible to detect different responses for addiction-positive and addiction-negative compounds acting on the same receptors. In the chronic administration test, four out of five compounds were detected for the addiction compound, and the non-addiction compound was not misclassified as an addiction compound, suggesting that this evaluation method is capable of detecting the addiction compound. These results suggest that the evaluation system used in this study is useful as a screening system for addiction-positive compounds. 
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						皆藤 駿之介, 岩田 実咲, 佐々木 崇光, 保坂 卓臣, 志津 怜太, 菅野 裕一朗, 竹下 潤一, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-31S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景】シトクロムP450(P450)依存的代謝は、薬物性肝障害(DILI)の発症に強く関与している。最近我々はDILI誘発性薬物(DILI薬物)と非誘発性薬物(no-DILI薬物)のヒトP450阻害作用を評価し、CYP1A1又はCYP1B1を強く阻害する薬物のほとんどがDILI薬物であることを見出した。そこで本研究では、DILI評価試験におけるP450阻害データの有用性を明らかにすることを目的とした。【方法】米国FDAの肝毒性データベースからDILI薬物266種とno-DILI薬物92種を選択し、HepG2細胞を用いた細胞障害性試験(LDH漏出、ATPレベル、GSHレベル)並びにハイコンテント解析(HCA:核、ミトコンドリア、F-アクチン、中性脂肪蓄積、リン脂質蓄積、活性酸素種産生、Ca2+濃度)を実施した。また10種のヒトP450分子種及びヒトUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)に対する阻害作用をインビトロで評価した。被験物質濃度は全て10 µMとした。分子記述子はalvaDescで計算した。決定木はJMP Proを利用して5分割交差検証により作成した。【結果及び考察】細胞障害性試験、HCA及びUGT阻害試験データ(全87パラメータ)並びに分子記述子(構造との関連が明確な332種)を説明変数として決定木を作成した結果、感度、特異度及び一致率はそれぞれ0.914、0.717及び0.863となった。次に、この決定木でDILI又はno-DILIと判別された薬物についてそれぞれP450阻害データ(10分子種)を説明変数とする決定木を作成し、2段階の判別を行ったところ、感度、特異度及び一致率はそれぞれ0.951、0.804及び0.913となり、いずれの指標も上昇した。以上より、ヒトP450阻害試験は、DILI予測・評価試験の1つとして有用であることが示唆された。 
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						出口 清香, 小杉 佳織, 橋本 里菜, 坂本 綾香, 山本 正樹, 根来 亮介, 野田 岳志, 山本 拓也, 鳥澤 勇介, 長尾 美紀,  ... 
							 セッションID:									P-32E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景】新型コロナウイルス感染は、呼吸器障害だけでなく肝障害も引き起こす。肝障害はCOVID-19重症化リスクとの関係性が示唆されることから、COVID-19患者における肝障害の病態解明が求められる。肝臓は不均一な臓器であり血管周辺と胆管周辺の肝細胞の間で性質が異なっているため、ウイルスを含む異物に対する応答能が異なる。このため、COVID-19患者における肝障害研究には、肝臓の不均一性を加味したモデルが必須である。そこで本研究では、臓器チップ技術を用いて、肝臓チップを開発し、COVID-19病態解明と創薬研究に応用した。 【結果・考察】隔膜型マイクロ流体デバイスに肝細胞および血管内皮細胞を搭載することで血管を持つ肝臓チップ(bv-LoC)、肝細胞および胆管上皮細胞を搭載することで胆管を持つ肝臓チップ(ibd-LoC)を構築した。両モデルは生体肝臓における血液および胆汁成分の選択的輸送活性を再現できた。SARS-CoV-2感染によって、bv-LoCの肝細胞において強い細胞毒性や脂肪化、線維化が促進されたが、ibd-LoCでは見られなかった。COVID-19患者血清を解析したところ、肝障害マーカーであるASTおよびALT値の異常が軽症患者よりも重症患者で高頻度に見られた一方で、肝胆道障害マーカーであるALPおよびT-BIL値の異常頻度に差はなかった。また、bv-LoCで見られた肝障害は抗ウイルス薬であるレムデシビルと抗炎症薬であるバリシチニブの併用により軽減することを見出した。 【結論】本研究において開発した肝臓チップ(bv-LoCとibd-LoC)を用いて、COVID-19患者における不均一な肝障害を再現できることを示すとともに、治療薬の探索が実施できることを明らかにした。 
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						原 絵美香, 大島 可南美, 曾 雯, 魚本 涼加, 小林 美央, 渋谷 淳, 吉田 敏則 
							 セッションID:									P-33S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、国内外において発生が増加傾向にある。その一部は脂肪性肝炎に進行し、さらに肝硬変を経て肝がんを発症するリスクが懸念されているため、それに対処するための病変発生機序の解明が重要課題として挙げられる。本研究では、マイトファジー(ミトコンドリア選択的オートファジー)に着目し、ミトコンドリア毒性を示す抗悪性腫瘍薬フルタミド(FL)を用いて、高脂肪飼料(HFD)給餌ラットにおける肝前がん病変とマイトファジーの関連性について、マイトファジー指標のAMBRA1を用いて検討を行った。雄性F344ラットを用いて、肝中期発がん試験法を実施した。動物を基礎飼料群とHFD群に分け、それぞれの群の一部にFL(500 ppm, 17~23 mg/kg)を混餌投与し、試験13週時に剖検した。精巣上体、精嚢・凝固腺及び前立腺の各臓器重量がFL投与の抗アンドロゲン作用により有意に減少したが、HFD給餌の影響はなかった。肝臓について、HE染色及び免疫染色(GST-P、AMBRA1)を実施し、脂肪肝及び肝前がん病変の解析を行った。病理学的組織検査では、NAFLD活性スコア(NAS)がHFD群で有意に増加し、FL投与によりその程度が増悪した。GST-P免疫染色では、HFD給餌単独またはFL投与の併用により肝前がん病変の数が有意に増加し、面積は併用群でも増加した。AMBRA1の免疫染色では、前がん病変周囲肝細胞の細胞質に顆粒状の陽性像がみられ、FL投与によりその発現が減少傾向を示した。前がん病変部において陰性/弱陽性と強陽性の反応がみられ、陰性/弱陽性巣でHFD給餌により前がん病変の面積が有意に増加したが、FL投与の影響はみられなかった。以上の結果より、AMBRA1は周囲肝細胞で発現がみられ、マイトファジーが抑制されていると考えられたが、HFD給餌によってその発現が減少した前がん病変では、マイトファジーの誘導による前がん病変増強作用が示唆された。 
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						依田 智美, 稲田 拓, 宮脇 出, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-34E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									 肝毒性は医薬品候補化合物の非臨床安全性試験で散見される毒性の一つであり、ヒト外挿性の評価にあたってはその発現機序の理解が重要である。本研究では、雄ラットにおける4週間反復経口投与毒性試験において小葉中心性肝細胞肥大や小葉中心性脂肪滴蓄積等を伴う肝毒性が認められた自社化合物(Compound A)について、肝毒性の機序解明を試みた。4週間反復経口投与を実施したラットの肝臓を用いて遺伝子発現解析を実施したところ、Cyp1a1を含む芳香族炭化水素受容体(AHR)応答遺伝子の発現上昇が認められた。一方、レポーターアッセイにおいてCompound AのAHR活性化作用は限定的であった。そこで、CYP1阻害作用を有する化合物は、内因性AHRアゴニストの代謝消失を抑制することで内因性アゴニストによるAHR活性化作用を増強させることが知られていることから、Compound Aがこの機序によりAHRを活性化させる可能性を検証した。その結果、Compound Aはインビトロにおいてラット及びヒトCYP1A1に対する阻害作用を示し、さらにレポーターアッセイにおいて低濃度の内因性AHRアゴニストによるラット及びヒトAHR活性化作用を増強させた。以上の結果から、Compound Aによる肝毒性誘発にはCYP1A1阻害を介したAHR依存的な遺伝子発現の増強が関与していることが示唆され、これはヒトにも外挿され得ると考えられた。さらに、本機序はCYP1A1阻害作用を有する医薬品による肝障害発症の一因になり得ると考えられた。 
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						瀧本 憲史, 石井 雄二, 満元 達也, 並木 萌香, 高須 伸二, 渋谷 淳, 小川 久美子 
							 セッションID:									P-35E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【目的】Acetamide(AA)はラットにおいて強力な肝発がん性を示す。我々はこれまでにAAがラット肝臓において主核の1/2程の直径を有する大型小核(LMN)を誘発することを明らかにし、小核で生じる染色体再構成がその発がん機序に寄与する可能性を見出した。本研究では、発がんの起点と考えられる小核形成機序の解明を目的とし、AA単回投与後のラット肝細胞の経時的変化を検索した。 【方法】雄性6週齢のF344系ラットにAAを6000 mg/kg体重で単回強制経口投与し、投与後1,2,4,6,12,24,48,72または120時間の肝臓を採材し、病理組織学的検査及び免疫組織学的検索に加え、ホルマリン固定後にアルカリ処理で分散した肝細胞標本を用いた核の形態学的検査を実施した。 【結果】二核のうち一方が不整形を呈し小型化した二核肝細胞はAA投与6時間後から認められ、24時間後でその数は最大となった。48時間後には肝細胞のアポトーシス像が高頻度にみられ、小型化した核を有する二核肝細胞は減少したが、LMNを有する肝細胞の出現を認めた。肝細胞の有糸分裂像とKi67陽性細胞の数は72時間後に最大となり、120時間後には小型化した核またはLMNを有する肝細胞が散見されたものの、その他の変化は見られなかった。なお、試験期間中、通常の小核の発生頻度に変化は見られなかった。免疫組織学的検索では、投与6時間後から核膜関連タンパクであるBAFの異常発現が見られ、12時間後には小型化した核において H3K9me3で示されるヘテロクロマチン領域の拡大、48時間後にはLamin B1で示される核ラミナの異常が観察された。 【考察】病理組織学的検査及び核の形態学的検査の結果から、AAが誘発するLMNは二核化した肝細胞から一方の核の小型化を経て形成されることが明らかになった。小型化した核に加え、一部の形態学的に正常な核にも核膜の異常を示すBAFの異常発現がみられたことから、核の小型化及びLMNの形成は肝細胞の核膜異常により生じる可能性が示唆された。 
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						田邊 究, 臼井 達哉, 佐々木 一昭 
							 セッションID:									P-36S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、アルコールの摂取量とは無関係に脂肪肝を発症し、肝硬変や肝臓がんに進行する疾患である。国内に約500万人の罹患者が存在するが、現在NASHに特徴的な線維化病態を改善する有効な治療薬は見つかっておらず、新たな病態解明へのアプローチ法が求められている。また本疾患は、脂質代謝に関わるミトコンドリアにおける機能異常との関連性が示唆されている。当研究室では、NASHモデルマウスから、NASH病態を再現した肝臓オルガノイドの樹立に成功している。樹立したNASHオルガノイドの電子顕微鏡像では正常の肝臓オルガノイドに比べ、脂質の蓄積、ミトコンドリアの変形及び凝集、粗面小胞体の増加が観察された。このNASHオルガノイドを用い、ミトコンドリア関連因子の発現量と、ミトコンドリア由来活性酸素種(ROS)の産生量を測定した。その結果、正常肝臓オルガノイドに比べてミトコンドリア分裂タンパク質DRP1及び融合タンパク質OPA1の発現量増加と、ROS産生の亢進が見られた。そこで、ミトコンドリア分裂因子(DRP1)阻害剤であるMdivi-1を処置した際のNASHオルガノイドの形態変化及び線維化関連マーカーの発現量測定を行った。その結果、NASHオルガノイドにおける樹状様形態の発現を抑制し、線維化関連遺伝子であるCollagen-Ⅰ及びa-SMAの発現量を減少させることが明らかとなった。この結果から、Mdivi-1がNASHオルガノイドに対する抗線維化作用を有する可能性が示唆された。 
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						早川 由真, 保坂 卓臣, 志津 怜太, 菅野 裕一朗, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-37S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									 肝特異的オートファジー欠損動物は、肝肥大、非アルコール性脂肪性肝疾患、肝がんなどを発症することが報告されていることから、オートファジーを阻害する化学物質は肝脂肪化や肝細胞肥大などを引き起こす可能性が考えられる。しかし、化学物質のオートファジー活性への影響とこれら所見との関連は明らかではない。そこで本研究では、この関連性の解明を目的とした。  オートファジーの進行に伴って分解され、オートファジーマーカーとして用いられているLC3タンパク質を、HiBiTタグ融合タンパク質として発現するプラスミドをマウス肝細胞株AML12に導入し、被験物質を処置後、細胞溶解液中のHiBiTタグ融合LC3による発光を定量することでオートファジー活性を評価した。被験物質にはラット2年間反復投与毒性試験結果を入手可能な農薬121種を用いた。  雌雄いずれかで肝脂肪化を起こした農薬47種のうち、29種(62%)がオートファジー阻害活性を示した。雌雄いずれかでびまん性肝細胞肥大を起こした農薬36種のうち、24種(67%)がオートファジー阻害活性を示した。雌雄ともに肝脂肪化又はびまん性肝細胞肥大を示さなかった農薬52種のうち、17種(33%)がオートファジー阻害活性を示した。フィッシャーの正確確率検定の結果、肝脂肪化とオートファジー阻害、並びにびまん性肝細胞肥大とオートファジー阻害との間に有意な関連が認められた。また、オートファジー阻害活性の有無による肝脂肪化並びにびまん性肝細胞肥大のオッズ比はそれぞれ3.2及び4.0であった。 以上より、化学物質のオートファジー活性への影響が肝脂肪化及びびまん性肝細胞肥大と関連していること、オートファジーを阻害する化学物質はこれら所見を引き起こす可能性があることが示された。 
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						佐藤 拓海, 志津 怜太, 馬場 遼之介, 石村 麻衣, 保坂 卓臣, 佐々木 崇光, 菅野 裕一朗, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-38S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									核内受容体PXRは肝臓に高発現し、異物曝露によって活性化して異物の代謝や排泄に関与する遺伝子の発現を制御する転写因子である。近年、PXRは各種がんに対して亢進あるいは抑制作用を有することが報告されている。我々は肝がんに対するPXR活性化の影響を明らかにするために、diethylnitrosamineと肝がんプロモーターであるphenobarbitalを併用投与して作成した肝発がんモデルマウスにPXR活性化物質pregnenolone 16α-carbonitrile(PCN)投与したところ、PCN投与は肝がん病巣の数や大きさを減少させた。そこで本研究では、その分子機序解明を目的とした。上記マウス肝を用いてRNA-seq解析を行い、各群間で2倍以上の変動が見られた遺伝子群を用いて遺伝子セットエンリッチメント解析を行った結果、PCNの併用で肝がんの進行に重要なイベントである上皮間葉転換(EMT)に関連するタームが抽出された。肝がん細胞のEMTは周辺細胞からのサイトカインシグナルによって調節される。特に肝星細胞はTGF-βの分泌により肝がんのEMTを促進させる。一方で、PXRは肝星細胞からのTGF-βの分泌抑制作用を有することが報告されている。そこで、間葉系分子マーカーであるvimentinのプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子上流に組み込んだレポータープラスミドをヒト肝がん由来HepG2細胞に導入し、ヒト肝星細胞由来LX2細胞の培養培地を処置したところ、レポーター活性は増加し、この増加は抗TGF-β抗体やTGF-β1受容体阻害薬の処置により抑制された。以上の結果から、PXRは肝星細胞由来のTGF-βシグナルを抑制することで肝がん細胞のEMTに対して抑制的に働いていると考えられた。 
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						市川 眞子, 神藤 真貴子, 八木 美佑紀, 宮澤 未来, 武藤 広将, 落合 和 
							 セッションID:									P-39S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									妊娠中の喘息発作は、母体が血液中に酸素を十分に取り込めないことから、胎児への酸素の供給不足を引き起こすことになる。したがって、妊娠中であっても、喘息の発作を回避するためにテオフィリンなどの薬物治療が必要となる。テオフィリンは、母体の肝臓では、CYP1A2によって代謝される。一方で、母体から胎児期へと移行したテオフィリンがその肝臓で代謝されるかは、CYP1A2の発現の程度に依存するが、そのような情報はない。 また、成体の肝臓において、CYP1A2は薬物や異物を効率的に代謝するために、zonation構造を形成している。本研究では、妊娠マウスを用いて、胎児および新生児から成体までの肝臓の発生過程におけるmCyp1a2のmRNAおよびタンパク質の発現量を定量的に解析した。さらに、mCyp1a2のzonation構造の形成時期を特定するために、胎児から新生児の肝臓での解析を行なった。我々は、胎児期の肝臓では、mCyp1a2オスとメスともにほとんど発現していないことを明らかにした。また、mCyp1a2のタンパク質発現量は、生まれて1週間後では、オスとメスで、それぞれ成体の発現量の24%と14%であった。さらに、mCyp1a2の発現量は雌雄ともに生後、28日以降では、ほぼ成体と同程度になっていた。加えて、mCyp1a2のzonation構造は、生まれてから、5日後から徐々に形成され始めることも明らかにした。本研究から、胎児期の肝臓ではmCyp1a2の発現量が低く、生後までzonation構造が形成されないため、薬物代謝能が低いことが推察された。 
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						樋口 大智, 荒川 大, 高橋 越史, 根立 志帆, 近藤 昌幸, 神保 陽一, 玉井 郁巳 
							 セッションID:									P-40S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【目的】薬物誘発性腎障害(DIKI)は、急性腎障害の約25%を占め、発症患者の生命予後に影響する。DIKIの主要発症部位である近位尿細管上皮細胞は、薬物を取り込むトランスポーターが高く発現し、DIKIの発症に影響を及ぼすと考えられる。しかし、近位尿細管上皮細胞の培養細胞株では薬物トランスポーターの発現量がヒト腎皮質と比較して低く、既存の培養細胞系では薬物トランスポーターを考慮した評価ができない。本研究では、主要な薬物トランスポーター発現量が生理的な腎臓に近い3次元培養ヒト初代腎近位尿細管上皮細胞(3D-RPTEC)に着目し、DIKI評価における有用性を調べた。 【方法】3D-RPTEC及び2次元培養RPTEC(2D-RPTEC)に既知の腎毒性誘発薬物または非誘発薬物を曝露した。細胞毒性は所定時間後の細胞内ATP量で評価し、ATP量半減薬物濃度(EC50値)を算出した。また、薬物曝露後の培地及び細胞を回収し、細胞毒性マーカーをELISA法により定量した。 【結果】3D-RPTECを用いて薬物トランスポーター活性を考慮した細胞毒性の評価が可能かを調べるため、有機アニオントランスポーター基質tenofovirの曝露試験を行った。その結果、2D-RPTECではATP量の減少が観察されなかったが、3D-RPTECにおいては曝露日数依存的にATP量が減少した。さらに、薬物トランスポーター阻害剤を共処置することで細胞内ATP量の減少作用が低下した。一方、細胞内ATP量が減少しなかった腎毒性誘発薬物について、毒性検出が可能なマーカーを見出すため、9種の毒性マーカーを定量した。その結果、既知の腎毒性誘発薬物の曝露により感度高く上昇するマーカーが見出された。以上より、3D-RPTECは、薬物トランスポーターを介したDIKI評価に有用であることが示された。 
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						渡邉 果奈, 美谷島 克宏, 万代 康平, 関口 敬大, 宇野 絹子, 煙山 紀子, 笹瀬 智彦, 渡辺 寿久, 伊藤 秀樹, 篠原 雅巳, ... 
							 セッションID:									P-41S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景及び目的】 肥満2型糖尿病モデル動物であるSDT fatty rat(SDTfラット)は雌雄共に腎病態を呈し、雄でより顕著であることが報告されている。しかし、食餌条件により生じる病態の雌雄差については未だ解明されていない。本研究では、SDTfラットに高ショ糖/高脂肪食(Quick Fat: QF)を給餌し腎臓への影響とその雌雄差を解析した。 【材料と方法】 4週齢の雌雄SDT fラットに標準食CE-2及びQF(いずれも日本クレア(株))を自由摂取させた。飼育中に動物が死亡したため、飼育期間はそれぞれ雄27週齢、雌38週齢までとし、体重・摂餌量・血糖値を測定した。飼育期間終了後に剖検及び臓器重量測定を行い、血液並びに腎臓を採取し、血液生化学的検査、腎臓の病理組織学的観察及び遺伝子発現解析を実施した。 【結果】 QF食給餌の雌雄SDTfラットのみで死亡例が認められた。死亡動物では、いずれも顕著な腎病変が認められた。特に雄では、糸球体の大型化、メサンギウム増生、尿細管の再生・拡張、尿円柱形成、Armanni-Ebstein病変、間質の炎症生細胞浸潤が認められた。生存例を含め、上記の病変はQF食で増悪傾向を示した。雌SDTfラットでは、雄と同様の病態が認められたが、雄と比較し、糸球体におけるメサンギウム増生、マクロファージ浸潤、線維化はより増強傾向を示し、逆に、尿細管の各病変は減弱する傾向が見られた。 【考察】 QF食給餌により雄SDTfラットでは尿細管病変が、雌SDTfラットでは糸球体病変がより増悪し、食餌により病態の特徴が異なることが示された。このことから、QF給餌は、雌雄SDT fattyラットの腎病態を悪化させるとともに、雌では糸球体、雄では尿細管の病変についての解析に適する新たな糖尿病性腎臓病(DKD)モデルとしての有用性が示された。 
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						杉本 早穗, 水野 葵, 橋口 丈晃, Pornparn KONGPRACHA, Pattama WIRIYASERMKUL, 清水 聡史, ... 
							 セッションID:									P-42S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									薬物動態の男女差は腎排泄において顕著にみられる。いくつかの分子が性ホルモンの影響で発現性差を示すデータはあるものの腎排泄システムへの影響は不明であり、性染色体の違いに起因する影響も排除できない。そこで、薬物排泄における性差機構の理解を深めることを目標とし、本研究では性決定遺伝子SRYに変異のある性転換マウス腎臓を用いて、膜タンパク質関連分子の発現に関する雌雄差について、内分泌由来もしくは性染色体由来であるかによって特徴があるかを調べることを目的とする。使用した性転換マウスは、Y染色体上の性決定因子SRY遺伝子の欠損(Y ⁄ )および常染色体上にトランスポゾンしたSRY遺伝子の変異を組み合わせた4種類の遺伝子改変(FCG)マウスであり、観察された雌雄差を内分泌由来か性染色体由来かに区別することが可能である。今回、8週齢のFCGマウスおよび幼若期のC57BL6Jマウスを用いて、両腎の遺伝子発現マイクロアレイ解析(GeneChip® Clariom D mouse)および刷子縁膜標本のプロテオミクス解析を実施した。プロテオミクス解析では、膜画分を調整し尿素処理をすることにより尿細管膜の膜タンパク質を標的とし、定量質量分析計Thermo Q-Exactiveでデータを取得した。Mascot, Thermo Proteome Discoverer 2.5によりタンパク質同定およびlabel-free比較定量を行い、パスウェイ解析を行った。その結果、雌雄差を示す膜タンパク質が422個同定され、尿細管の膜物質輸送に関わる膜輸送体は主に性ホルモンの影響を受けることがパスウェイ解析により示された。以上の結果は、腎排泄の性差に、尿細管膜上の輸送体への性ホルモンの影響が関与することを示唆している。 
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						柳田 翔太, 佐塚 文乃, 林 紗代, 小野 敦, 諫田 泰成 
							 セッションID:									P-43S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【目的】心毒性は、不整脈、心収縮障害、高血圧など多岐にわたるが、特にQT間隔延長を伴う致死性の不整脈であるTorsade de pointes(TdP) の発生は、医薬品の市場からの撤退や開発中止の原因となりうる。ヒトiPS細胞由来心筋細胞(ヒトiPS心筋)を用いた催不整脈評価は、国際検証試験によりCiPA28化合物を用いてTdPリスクを高精度に予測できることが示された。 しかしながら、Bepridil, Mexiletine, Ranolazineなどの予測性に課題が残された。近年、動物におけるTdPリスク評価のマーカーとして、左心室内圧変化の終点と左心室再分極過程(T波)の終点の時間差であるElectro-mechanical window(E-M window)が提案されている。そこで本研究では、ヒトiPS心筋を用いてE-M windowを算出し、TdPリスクが評価可能なのかを検討した。 【方法】ヒトiPS心筋は、iCell心筋細胞(FCDI)を用いた。ヒトiPS心筋の電気活動は、MED64 Multi-Electrode Array システム(アルファメッドサイエンティフィック)により細胞外電位を解析し、収縮はSI8000(ソニー)を用いてイメージングにより評価した。 【結果】動物モデルのE-M windowを基に、ヒトiPS心筋におけるE-M window をQT間隔に相当する細胞外電位持続時間と収縮-弛緩持続時間の差として算出した。動物モデルの結果と同様に、TdPリスクが高いhERG阻害剤E-4031は濃度依存的にヒトiPS心筋におけるE-M windowを短縮することを見出した。一方、QT間隔を延長するがTdPリスクが低いmoxifloxacinは、E-M windowには影響を与えなかった。現在、CiPA化合物についてヒトiPS心筋のE-M windowを解析中である。 【結論】ヒトiPS心筋のE-M windowは、ヒトにおけるTdPリスクの予測マーカーとして利用できる可能性が示された。 
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						國井 渉, 山口 賢彦, 坂本 多穂, 黒川 洵子 
							 セッションID:									P-44S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									医薬品開発における非臨床安全性試験での心毒性評価に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞(ヒトiPS心筋)を応用することが国際的に期待されている。このヒトiPS心筋は幹細胞からの心臓の発生を模倣して分化を誘導するが、全てのiPS細胞を均一に成熟化するのは困難であり、細胞特性にばらつきがある。特に、心臓薬の標的として重要なβアドレナリン受容体シグナルへの反応性が細胞株や作製法により大きく異なる点が、品質管理上の課題となっている。今回、拍動心筋の力学的機能を高感度に評価する動きベクトル法(Motion Field Imaging:MFI)を用い、ヒトiPS心筋のβアドレナリン受容体シグナル調節のばらつきを評価することを目的とし、マーカー特異的作動薬および阻害薬の反応性を定量的に解析した。2種類の市販ヒトiPS心筋細胞株(iCell-CM, iCell-CM 2, CDIJ Fujifilm)を培養し、倒立顕微鏡上にて拍動心筋細胞の動画を撮影した(37℃, 5%CO2, 150f/s)。心房・幼若マーカー(MLC2a)および心室マーカー(MLC2v)を用いた細胞免疫染色により、細胞型を識別し、動きベクトル解析(SI8000 システム、Sony IP&S)の結果と照合した。市販しているiCell-CMの収縮・弛緩速度には、MLC2v型とMLC2a型の間で新生児マウス心室・心房筋と同様の差がみられたが、iCell-CM2では有意差はなかった。また、βアドレナリン性受容体刺激に対する応答性のばらつきにも株間差が検出された。以上、シングルセルレベルの解析がiPS細胞由来心筋細胞の品質評価に有用であることが示唆された。 
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						永嶋 祐安, 栃内 亮太, 水流 功春, 関澤 信一, 桑原 正貴 
							 セッションID:									P-45S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【背景】微小管重合阻害薬 combretastatin A4 disodium phosphate (CA4DP) は新規抗がん剤として期待されているものの、血圧上昇及び虚血が原因と考えられる心筋障害の改善が喫緊の課題として求められている。一方、phosphodiesterase 5 (PDE 5) 阻害薬は心臓を含む全身の血管平滑筋を拡張させることから、CA4DP誘発性の心筋障害を抑制する可能性が想定される。そこで、 PDE 5 阻害薬の前処置が CA4DP誘発性心筋障害に及ぼす改善効果について検討した。 【方法】6 週齢の雄性SD系ラットにtadalafil 5 mg/kg を経口投与した 2 時間後にCA4DP 120 mg/kg を静脈内投与した。陰性対照群にはそれぞれ溶媒を投与した。血圧は各薬剤投与前と投与 30 分後に tail-cuff 法により測定した。また、投与 3 日後に心エコー検査を実施し、安楽死処置後に心臓を採材して病理組織学的検査に供した。 【結果】CA4DP による血圧の上昇が tadalafil の前投与により抑制された。心エコー検査の結果、CA4DPは左室拡張末期径や左室拡張末期容積を有意に減少させたため心拍出量が有意に減少した。Tadalafil にはこれらの変化を抑制させる効果が認められた。病理組織学的検査において、CA4DP投与により心筋細胞の壊死ならびに炎症性細胞浸潤が認められたが、tadalafil 前投与群では軽微な傾向にあった。 【考察】CA4DPにより誘発される血圧の上昇や心室拡張機能の低下が tadalafil の前処置により改善することが明らかとなった。今後、微小管重合阻害薬とPDE 5 阻害薬の併用による抗腫瘍効果への影響や投与時期を詳細に検証することにより、心毒性リスクを低減したがん化学療法の確立に繋がる可能性が示唆された。 
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						渡邉 倫, 加地 憲武, 山口 賢彦, 坂本 多穗, 渡邊 泰秀, 行方 衣由紀, 田中 光, 芦原 貴司, 諫田 泰成, 西田 基宏, 黒 ... 
							 セッションID:									P-46S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									ヒトiPS細胞由来心筋細胞の創薬応用に向けて、昨今、分化心筋細胞を成熟化する技術が注目されている。成熟化技術の一つに、微弱電流を分化心筋に印加して人工的に活動電位を惹起する手法があるが、その成熟化過程を調節する分子機構はほとんど分かっていない。そこで、我々は、分化心筋の細胞特性に対する定電圧刺激の影響を分子レベルで理解することを目的とし、シート状に播種した市販ヒトiPS細胞由来心筋細胞に対して人工的な微弱電流を印加し電気的および形態的性質を解析した。方法は、市販ヒトiPS細胞由来心筋細胞 (iCell-cardiomyocytes2, CDI Fujifilm) をフィブロネクチンでコートした基材上に播種して2次元高密度シートを形成し、細胞シート直上に設置したカーボン電極で定電圧ペーシング刺激(3 V/cm、1 ms、1 Hz)を持続的に印加した群と非刺激control群の性質を比較した。はじめに倒立顕微鏡にて自律拍動する細胞を観察した。さらに、電気刺激開始1週間後の細胞については、35mmディッシュに再播種し、パッチクランプ法により活動電位を測定した。機能解析後は、α-actinin抗体を用いた免疫染色によりサルコメアの構造を解析した。結果、拍動数の解析において、ペーシング刺激群は非刺激control群と比べて変化はなかった。また、1週間の電気刺激により、活動電位の最大拡張期電位もしくは静止電位が7.3 mV深くなり、活動電位幅 (APD50) は33%延長したが (非刺激群 n = 16, 刺激群 n = 26)、サルコメア形態では明らかな変化はなかった。以上より、ヒトiPS細胞由来分化心筋細胞の持続的電気刺激による成熟化の過程では、電気的性質が形態的性質に先んじて変化することを示した。今後は、電気的もしくは形態的性質の変化を特徴づける成熟化因子を解析・同定することにより、心筋成熟化過程の分子的背景の理解に結びつけたい。 
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						杉本 真菜, 杉本 真太郎, 岡 貴之, Igor VOROBYOV, 山口 賢彦, 坂本 多穂, 黒川 洵子 
							 セッションID:									P-47S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									薬物誘発性QT延長症候群は男性よりも女性で発症率が高いことが知られているが、メカニズムは不明である。当分野では、主な分子標的である遅延整流性カリウム(IKr)チャネルのhERG分子にエストラジオールが相互作用し、hERG阻害薬E-4031の阻害活性を増強することを見出した。加えて、hERG変異体を用いた実験などからエストロゲン類と阻害薬が共に結合する可能性を示してきた。今回、他のhERG阻害薬(20剤)についてもエストロゲン類の影響がみられるかどうかを調べるため、オートパッチクランプ装置SyncroPatch384PE(ナニオン)を用いて検討した。その結果、各種エストロゲン類の添加によりhERG阻害活性に影響する7化合物が同定された。QT延長症候群が女性で多く発症することが原因で市場撤退した2剤も含まれており、エストロゲン類との相互作用がリスクを高めた可能性が示唆された。本研究結果は、薬物誘発性不整脈を忌避する非臨床安全性試験において、エストロゲン類の影響について議論する必要性を示唆している。 
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						西野 瑶子, 永山 裕子, 宮嶋 之子, 中谷 陽介, 西谷 春香, 中村 優太, 若山 直美, 太田 恵津子, 朝倉 省二 
							 セッションID:									P-48E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景・目的】CIN(Chemotherapy induced neutropenia)やFN(Febrile neutropenia)は抗がん剤治療において頻度が高い副作用として認められ,これらの副作用はRDI(Relative dose intensity)や治療効果の低下につながる。TK/TDシミュレーションを用いて,ヒトにおける抗がん剤による骨髄毒性の発現プロファイルを予測出来れば,投薬が続けられずに薬効がでないリスクを最小化し,患者様・被験者様に薬効用量が処方される機会が増えると考えられる。昨年度,TK/TDモデルの確立に向けて取得した,各種動物における抗がん剤による末梢血球数の変化を中心に報告した。今年度は末梢血の変化と骨髄中の変化の相関性について報告する。 【方法】ラット,マウス,イヌ,カニクイザルにTubulin阻害薬であるDocetaxel, Paclitaxelを単回静脈内投与した。過去の結果から,多くの薬剤,動物種において好中球数がDay5にnadirとなる傾向があったため,げっ歯類は用量相関性が認められる3用量以上を用いてDay5で骨髄を採材した。大動物では経時的な変化を考察するため,骨髄に影響のある用量を用いてDay5を含む各ポイントで採材した。採材した骨髄を用い,病理組織学的検査,有核細胞数の測定,塗抹標本観察による分類を実施した。 【結果】各抗がん剤および各動物種において,用量ごと,または経時的な骨髄の変化についてのデータを取得した。昨年度報告した,Docetaxelを投与したラットにおいて認められた病理組織学的所見や末梢の血球数変化と相関する骨髄有核細胞数の変化がPaclitaxel や他の動物種でも確認された。本学会では,より詳細に比較した結果について報告する予定である。 
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						三原 大輝, 堀 正敏 
							 セッションID:									P-49E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									背景 腎不全では体液中の電解質バランス調整や老廃物濾過が正常に行われず、心不全や尿毒症など致死的な二次疾患に繋がる。根治法は腎移植のみだが、一般的には人工透析による対症療法が選択される。国内の400人に1人が透析を行っており、透析の社会的重要性は年々増加している。 人工透析には血液透析と腹膜透析がある。血液透析は時間的制約から生活の質を著しく低下させる。一方、腹膜透析は自宅で行える上に拘束時間が少なく、生活の質を維持しやすい。しかし国内で腹膜透析を選択する割合は3%と非常に少ない。これは長期間の腹膜透析により、腹膜劣化やそれに続発する被膿性腹膜硬化症などを発症するリスクが不可避なことによる。 透析液の改良は続けられているが、未だに腹膜劣化を効果的に抑制する透析液はない。そこで本研究は腹膜劣化を促進する新規因子を特定し、透析液の改良、さらには腹膜透析の普及の一助とすることを目的とした。 方法・結果 メチルグリオキサールを混和させた透析液を3週間マウスに腹腔内投与することで、腹膜劣化モデルを作製した。腹膜劣化は主な病変であるコラーゲン沈着により評価した。隔週で評価した結果、腹膜中コラーゲン量は単調増加した。 次に病態促進を担う細胞として腹腔細胞に着目し、様々な線維化促進因子のmRNA発現を定量した。その結果Factor XのmRNA発現が病態進行と共に増加した。さらに腹腔洗浄液中のFactor Xのタンパク量を定量したところ、病態進行と共に増加した。 最後に腹膜劣化モデル作製時にFactor Xの中和抗体を透析液に混入させたところ、腹膜中コラーゲン量増加が抑制された。 結論 腹膜劣化と共にFactor Xが腹腔内においてタンパクレベルで顕著に増加し、Factor Xの中和抗体が腹膜劣化に対し予防的効果を示したことから、Factor Xが腹膜劣化を促進する一因子であることが考えられた。 
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						中野 僚太, 光本(貝崎) 明日香, 沼澤 聡 
							 セッションID:									P-50S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【背景】注意欠陥/多動性障害(ADHD)は発達障害の一つであり、遺伝素因、神経伝達異常、環境要因等が複雑に関連して症状が現れる。また、成人のADHD有病率は約5%と推定され、患者への処方数は増加しているが、第一選択薬であるメチルフェニデート(MPH)が次世代に与える影響は明らかでない。我々はこれまでに、妊娠マウスへのMPH投与は仔にドパミン関連遺伝子発現を変化させ、ADHD様の行動変化を生じさせることを明らかにした。近年、喫煙等の環境因子がエピジェネティク変化を生じ、次世代の発達障害発症に影響を及ぼすと報告されている。そこで本研究では、雄へのMPH投与が次世代に与える影響を検討した。 【方法】6週齢のICR雄性マウス(F0)にMPH(15 mg/kg)または生食を21日間連続皮下投与し、薬物未処置の雌性マウスと交配させ、生まれた仔(F1)を4群(F1-A~D)に分けた。6週齢のF1-A, Bに高架式十字迷路試験(EPM)を実施した。翌日、F1-BにADHD治療薬アトモキセチン(ATX)を投与し、EPMを実施した。4日齢のF1-C、3週齢のF1-D、EPM後のF1-Aから脳を採取し、RT-PCR法によりADHD発症に関連する候補遺伝子の発現量を測定した。 【結果・考察】F0-MPH投与群のF1では、EPMにおいてオープンアーム(OA)の進入回数、滞在時間および移動距離が有意に増加し、ATX治療によりOA進入回数および移動距離が有意に減少した。また、F0-MPH投与群のF1脳では、複数のADHD候補遺伝子の発現が変化していた。以上より、MPHはF0の精子に影響を及ぼし、次世代の遺伝子発現に影響を与え、その結果、F1にADHD様の行動変化を生じさせる可能性が示唆された。 
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						川本 吏記, 金﨑 聡一郎, 伊佐治 優希, 南 圭一, 吹田 直政, 片木 淳, 栗林 正伯 
							 セッションID:									P-51E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									 化合物Xを用いたラット胚・胎児発生に関する予備的な試験(pEFD試験)において、有効量付近から胎児の指趾異常や生殖器周囲の尿道下裂など催奇形性が示唆される所見が高頻度で認められた。催奇形性の機序解明のため、始めに特徴的な変化であったこれらの表現型に注目した。既存のソニックヘッジホッグ(Shh)経路阻害剤やShhのKOマウスにおいて、化合物Xと類似した所見である指趾の欠損や外部生殖器の異常が胎児に認められていることから、化合物Xの催奇形性の機序としてShh経路に対する阻害作用が考えられた。  次に、催奇形性が発現する臨界期を同定するため、ラット胎児の器官形成期(妊娠6-17日)を2、3あるいは4分割した各期間に化合物Xを投与した際の胎児の外表所見を観察した。2分割投与時には臨界期を同定する情報は得られなかった。4分割投与時においては、妊娠9-11日及び12-14日投与時の胎児に欠指や尿道下裂が認められたものの、器官形成期の全期間投与時に比べ、それら所見の発現頻度は小さかった。一方、3分割投与時においては、妊娠10-13日投与時に尿道下裂や指趾の異常を有する胎児が最も高頻度に認められた。したがって、化合物Xに特徴的かつ高頻度で認められた尿道下裂や指趾の異常が誘発される臨界期は妊娠10-13日と考えられた。  最後に、催奇形性の毒性標的候補であるShh経路に対する阻害作用についてin vivoで検討した。同定した指趾の異常や尿道下裂が誘発される臨界期(妊娠10-13日)に妊娠ラットに化合物Xを投与し、摘出胎児を用いたRNA-seqにより遺伝子発現解析を実施したところ、Shh経路の関連遺伝子であるGil1やPtch1/2の抑制が認められた。さらに、レポータージーンアッセイにてin vitroでのShh経路の阻害活性を評価した結果、化合物Xは既存のShh阻害剤と同程度の抑制作用を示した。以上より、化合物Xの催奇形性の発現機序としてShh経路の抑制作用が考えられた。 
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						佐々木 貴煕, 原 健士朗, 種村 健太郎 
							 セッションID:									P-52E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【背景】有機リン系殺虫剤であるアセフェート(Ace)は、哺乳類でも神経毒性が懸念されている環境化学物質である。また、神経系以外にも、生殖系へ毒性を示すことが報告されている。しかしこれらは、曝露中/曝露直後の影響を扱ったものであり、Aceの発生-発達期曝露が及ぼす遅発生殖影響を評価した網羅的研究は無い。したがって、性成熟を含めた一定期間、個体別のモニタリングを行う必要があると考えられる。本研究では、Aceの発生-発達期慢性曝露が、雌雄の生殖機能成熟に及ぼす影響を評価することを目的とした。 【方法】C57BL/6N妊娠マウスに対してAceを飲水投与した。投与期間は胎生11.5日齢から産仔が生後4週齢になるまでとした。Ace曝露群は、ADI(0.03 mg/kg)に相当する低用量群(0.3 ppm)のほか、高用量群(300 ppm)を設定し、対照群には水道水を飲水投与した。その後、性成熟の指標である雄の包皮分離および雌の膣開口を毎日観察し、また、内分泌かく乱マーカーである肛門性器指数(AGI)を毎週測定した。さらに、8週齢以降は性周期を毎日分析し、12週齢時には精子運動性の評価および組織採取を実施した。 【結果・考察】包皮分離および膣開口は、それぞれ高用量群で有意な遅延がみられ、AGIの逸脱は雌の両曝露群で確認された。性周期については、低用量群でM期の割合が有意に減少した。また、精子運動性には差がみられなかった一方、高用量群の精嚢腺重量が有意に減少した。以上のことから、Aceの発生-発達期曝露は、雌雄ともに神経内分泌系を介したシグナルかく乱を誘発し、正常な生殖機能の成熟を妨げることが示唆された。今後、組織解析を含めた検討を進める予定である。 
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						田代 紗莉依, 志津 怜太, 保坂 卓臣, 菅野 裕一朗, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-53S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【目的】乳幼児は成体に比べて化学物質への感受性が高く、ある種の化学物質の曝露が小児の発達に影響を及ぼすことが知られる。肝に高発現する核内受容体CARは多種多様な化学物質により活性化する転写因子であり、異物や内因性物質の代謝を担う酵素の発現を調節する。従って、乳幼児期における化学物質曝露によるCARの活性化が個体の発達に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、この可能性を検証することを目的とし、CAR活性化が乳幼児期マウスの発達に及ぼす影響を解析した。【方法】15日齢の雄性C57BL/6NマウスにCAR活性化薬のTCPOBOP(3 mg/kg)又は溶媒(コーン油)を単回又は2回(15日間隔)腹腔内投与し、経時的に体重と握力を測定した。投与3日後又は初回投与から30日後に肝と血漿を採取した。肝RNAを用いてRNAシーケンシング解析と遺伝子セットエンリッチメント解析、定量的逆転写PCRを行った。血液生化学検査は常法に従い行った。【結果・考察】遺伝子セットエンリッチメント解析の結果、内因性低分子化合物の生合成及び代謝関連のタームがCAR活性化に関連して抽出された。血液生化学解析では、TCPOBOP投与によりLDLコレステロール、トリグリセリド、グルコースレベルが微増した。また、体重増加率及び握力はTCPOBOP処置に伴い顕著に低下し、成長遅延が認められた。そこで、乳幼児期の成長に促進的に働く甲状腺ホルモンに着目し、そのシグナルの下流にある成長因子のIGF1及びKLF9のmRNAレベルを測定したところ、TCPOBOP投与に伴い低下していた。また、甲状腺ホルモン代謝に関わるUGT1A1の mRNAレベルは増加していた。以上より、乳幼児期における化学物質曝露によるCARの活性化は、甲状腺ホルモン代謝を亢進し、それに伴う発達障害を引き起こすことが示唆された。 
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						桐山 新菜, 杉山 礼, 駒田 致和 
							 セッションID:									P-54S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									 妊娠期に感染症に罹患すると胎児に脳内炎症が引き起こされ、自閉症等の発達障害の発症リスクが高まることが懸念されている。そこで本研究では、胎児期にウイルスRNAを模倣する合成二本鎖RNAアナログであるPoly(I:C)を曝露した胎児期炎症誘発モデルマウスを作成し、形態学的解析や行動解析を行うことで脳の形態形成や高次脳機能の発達に及ぼす影響を解析し、脳内炎症についても検討した。C57B6/N マウスの妊娠12日目にPoly(I:C)を20 mg/ kg体重の濃度で腹腔内投与し、その胎児を炎症誘発モデルマウスとした。細胞の増殖や分化への影響を解析するために、胎齢15、18日目の胎児の終脳背側を抗Pax6、抗Tbr2、抗Tuj1抗体等を用いて蛍光免疫組織染色を行った。神経新生の異常を検出するために、チミジン類似物質の取り込み実験を行った。また、新奇環境下及びホームケージでの自発的活動量、社会的相互作用、記憶学習への影響についての行動解析を行った。さらに、Poly(I:C)の胎児期曝露が成熟後のストレス応答に及ぼす影響を明らかにするために、成熟後に拘束ストレスを負荷し行動解析によってその影響を評価した。形態学的解析では、神経前駆細胞の数が胎齢15日目において有意に増加、胎齢18日目において有意に減少、神経細胞の数が胎齢15日目において有意に減少した。行動解析では、自発的活動量が有意に減少した。社会的相互作用試験では、他者への興味の減少が見られた。拘束ストレス負荷後の行動解析では、CT群ではストレス負荷後に自発的活動量が有意に減少したが、Poly(I:C)群でストレス負荷後の変化は見られなかった。以上のことから、Poly(I:C)の胎児期曝露が神経新生に影響することで大脳皮質の組織構築に異常が生じ、発達障害様の行動異常、成熟後のストレス応答に変化が引き起こされた可能性が示された。 
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						服部 篤紀, 中野 奈央, 浅岡 由次, 新井 透子, 福島 民雄 
							 セッションID:									P-55E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									Juvenile period is an important term related with development of functions such as neural circuits. The exposure to drugs during this period may result in behavioral deficits. It was reported that when children exposed drug under 5 years old, the incidence of psychiatric disorder and learning disability tended to increase in those children. In general, the central nervous system in juvenile animals were evaluated by functional observation battery and rotarod, water maize etc., but it’s unclear to evaluate whether the effects on the social behavior in humans. Therefore, in our studies, we developed novel technique for detect social behavior in juvenile rats. In this study, we conducted two social behavior assessments. First, an assessment system for social behaviors were established, and we confirmed whether social behaviors could be adequately assessed, using three central transitional compounds. Next, we also assess social behaviors in developing and adult stages after 5 days of repeated subcutaneous administration of valproate to different juvenile rats at different ages. The results showed that exposure during early life influenced postweaning social behaviors, whereas postweaning exposure did not in fluence any effects in adulthood. 
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						嶋津 知美, 本元 恒越, 伊藤 智彦, 浅井 将, 速水 耕介, 曽根 秀子 
							 セッションID:									P-56S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									近年、日本では高齢化が進み、免疫システムの老化が強く関連する慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されている。免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化であると考えられている。 そこで、本研究では、免疫細胞の老化予防法を開発する目的で、ヒトiPS細胞からリンパ球系細胞を経てT細胞に分化する過程で、環境ストレスを与え、各分化段階における加齢性変化を解析した。実験では、ヒトiPS細胞から胚様体を形成させ、12日間培養した後、造血系細胞を産生させた。その後CD34陽性細胞のリンパ球系細胞を分離し、さらに28日間培養してT細胞に分化させた。蛍光活性化セルソーティング(FACS)解析により、リンパ球系細胞とT細胞の成熟度合いを確認した。その結果、T細胞はCD4+CD8+を発現していた。さらに、ヒトiPS細胞からT細胞の分化の過程で環境ストレスを与える実験を行った。環境ストレスは、UV照射(BIO-LINK® BLX-365 , UV 254 nm)を使用し、時間は15分(0.375 J)と45分(1.125 J)に設定した。この照射を胚様体形成開始の7日目に行ったところ、照射量に応じたスフィアの形態変化が観察された。今後、さらに、免疫細胞における加齢マーカーの変動を観察し、初期の環境ストレスによる免疫応答の老化変化を検出する予定である。 
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						辰巳 佳乃子, 石田 慶士, 南川 祥輝, 森 一馬, 松丸 大輔, 永瀬 久光, 諫田 泰成, 田熊 一敞, 中西 剛 
							 セッションID:									P-57S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【背景】近年、神経発達症患者の増加が社会問題となっており、その原因の一つとして化学物質による発達神経毒性(DNT)が懸念されている。そのリスク評価にはin vivo DNT試験が確定試験としてガイドライン化されているが、煩雑なためより効率的な評価系の開発が必要である。本研究では、神経分化状態を非侵襲的に評価することが期待されるトレーサーマウスを作製し、その表現型解析およびDNT評価における有用性をDNT陽性対照物質であるバルプロ酸ナトリウム(VPA)を用いて検討した。 【方法】神経分化マーカーのプロモーター制御下にルシフェラーゼ(Luc)を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し・ライン化した。Luc活性の測定は、in vivoイメージング解析に加え、当該組織を摘出したin vitro解析を行った。VPAの投与は妊娠12.5日の母動物に500 mg/kgをip投与した。脳の組織学的解析はニッスル染色により行った。 【結果】Tgマウスの脳のLuc活性は出生直後にピークを迎え、日齢が進むとともに低下し、離乳期以降は低いレベルでほぼ定常状態となったことから、この発現変動は脳神経細胞の分化状態を反映していると考えられた。次に自閉スペクトラム症様症状が誘導される条件でVPAを投与し、児動物の脳についてin vivoイメージング解析を行ったところ、出生4日後から離乳期に掛けて、発光の有意な低下が認められた。また成熟期の脳においても、VPA投与群では前頭前皮質における神経細胞数およびLuc活性が共に有意に低下していた。 【結論】本トレーサーマウスのLuc発現は、脳神経細胞の分化状態を反映していることが確認されたことから、本トレーサーマウスのin vivoイメージングにより、DNTによる発達期脳への影響を非侵襲的に捕らえることができる可能性が示された。 
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						森 一馬, 石田 慶士, 南川 祥輝, 辰巳 佳乃子, 松丸 大輔, 村嶋 亜紀, 永瀬 久光, 諫田 泰成, 中西 剛 
							 セッションID:									P-58S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									【目的】近年、妊娠期の甲状腺機能低下は児の脳の発達に少なからず影響を与える可能性があることから、甲状腺機能低下を誘導するような化学物質に関する懸念が高まっている。しかし妊娠期の甲状腺機能低下と児の脳の発達への影響についての因果関係については不明な点が多く、毒性試験における甲状腺機能関連指標の変動が化学物質のリスク評価に十分に活用されていない。この問題を解決するために、本研究では独自に作製した神経分化マーカープロモーター制御下にルシフェラーゼ(Luc)を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを用いて、妊娠期甲状腺機能低下が児の脳神経分化に与える影響の検証を試みた。 【方法】Tgマウスの脳のLuc活性はin vivoイメージングにより評価した。また、抗甲状腺薬propylthiouracil(PTU)を妊娠6日から出産後13日までは10 ppm、出産後14日から19日までは5 ppmで混餌投与することで妊娠期の甲状腺機能低下状況を再現した。 【結果および考察】Tgマウスの発達期における脳のLuc活性は出生直後にピークを迎え、日齢が進むとともに低下し、離乳期以降は低いレベルでほぼ定常状態となったことから、この発現変動は脳神経細胞の分化状態を反映していると考えられた。PTU投与時においては、出生後の児動物で有意な体重低下が観察された。また脳のin vivoイメージング解析の結果、対照群と比べ出生4~16日目でLuc活性が有意に上昇していた。このことから、母体の甲状腺機能低下が児の脳の神経細胞分化に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。 【結論】本Tgマウスを用いることで、妊娠期甲状腺機能低下時の児の脳に与える影響を非侵襲的に捉えることができる可能性が示された。今後は本研究結果を糸口とし、妊娠期の甲状腺機能低下と児の脳発達との因果関係を解明していきたいと考えている。 
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						額賀 巧, 岩永 慎也, 河合 宏樹, 森 眞輝 
							 セッションID:									P-59E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									【目的】画像解析技術は、画像内の標的に対する煩雑な判定作業を自動化することや、多検体を評価する際に非常に大きな力を発揮する。小核試験は遺伝毒性試験の1つで、細胞に被験物質を処理した後に細胞内の小核出現の頻度を調べることで、染色体異常が原因となる遺伝毒性を評価する試験である。その小核観察においては手動による顕微鏡観察が主な手法であるが、検鏡に時間がかかり、観察者の主観が入り観察者間で結果が異なる場合があるなど改善するべき点がある。そこで本検討においては画像解析技術を応用し小核観察を自動化することで顕微鏡観察の問題点を改善しつつ同程度の精度を保つことができるか検討した。 【方法】OECDTG487:哺乳類細胞を用いたin vitro小核試験を参照し、CHL/IU細胞(チャイニーズハムスター由来肺細胞)を用いて試験を実施した。画像は蛍光顕微鏡BX-710(Keyence)で取得した。取得画像における輝度や面積を基にした画像解析(パターン画像解析)と、AIによる画像解析(畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を活用した検出モデル): IMACEL(LPIXEL社)を実施した。 【結果】パターン画像解析と検鏡の観察結果に関して良い相関が確認された。(r=0.97)一方で、断片化した染色体像などは小核として誤認識されることが分かった。AIによる画像解析においてはパターン画像解析と同様の課題が確認されたが、再度画像を取得して学習させることで誤認識の頻度は減少し、より検鏡結果に近い評価を行うことが可能になった。 【考察】パターン画像解析は輝度や面積を基に解析を行うため、誤認識された小核を除くのは技術的に難しいが、AIによる画像解析においては正しい認識を学習させることで精度が向上することが分かった。上記画像解析技術を応用することで、検鏡結果と比較して時間を短縮することができ、また、観察者の主観が入らず、結果の相違を従来の検鏡結果と同等の精度で効率よく評価を実現できることが示された。 
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						山本 晴, 藤坂 航大, モハメド エルバダウィー, 石原 勇介, 呰上 大吾, 打出 毅, 福島 隆治, 森 崇, 臼井 達哉, 佐々木  ... 
							 セッションID:									P-60E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									犬の膀胱癌の多くは筋浸潤型であり、化学療法での治療効果が乏しく、さらに外科的に病変部を完全に切除することが難しいことから、難治性の癌として知られており、予後不良となるケースも多々みられる。近年生体内の上皮組織構造や遺伝子構造などを培養ディッシュ上で再現可能な3次元オルガノイド培養法が着目されている。これまでに膀胱癌罹患犬の尿由来オルガノイドの培養法は確立されてきたが、健常個体由来の正常膀胱オルガノイドについては未確立であった。そこで本研究では、犬における膀胱癌の病態進行のメカニズムの解明や生体での化学物質発がん毒性評価モデルなどへの応用を目的として、犬の正常膀胱オルガノイド培養モデルの樹立を行い、その有用性について検証を行った。 健常犬5頭から尿道カテーテルを用いて膀胱粘膜を軽度に掻爬し、膀胱粘膜細胞を採取し、その細胞成分からオルガノイドの作製を試みた。そしてオルガノイドを用いて細胞マーカーの発現や構造の観察、抗がん剤感受性試験を行った。その後、犬膀胱癌オルガノイドを用いて、病理組織学的な構造やがん関連遺伝子発現パターンの比較解析を行った。 5頭全頭から正常膀胱オルガノイドが作製され、いずれも充実性かつ球状の形態をしていた。またそのオルガノイドは尿路上皮の層構造や尿路上皮マーカーの発現が確認され、生体内の膀胱粘膜と類似する構造を示した。そしてオルガノイドの系統ごとに異なる抗がん剤の感受性を呈する結果となり、膀胱癌罹患犬由来のオルガノイドは健常犬由来のものと比較して核分裂数やがん関連遺伝子シグナルの活性が認められた。 本研究によって健常犬から正常膀胱オルガノイドが作製され、持続的な培養が可能であることがわかった。そして、病理学的・遺伝学的特徴などにおいて膀胱癌罹患犬由来のオルガノイドとの明確な違いが示された。これらにより、犬正常膀胱オルガノイドは、膀胱癌の病態メカニズムの解明や化学物質のは発がん毒性評価において有用である可能性が明らかになった。 
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						相馬 明玲, 石黒 聖奈, 日比 大介, 高須 伸二, 石井 雄二, 梅村 隆志 
							 セッションID:									P-61S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景】食品香料のフラン誘導体の基本骨格であるフランは、ラット肝臓に肝細胞腫瘍や肝内胆管腫瘍を誘発する。しかし、in vivo変異原性試験で陰性を示し、その発がん機序は不明である。これまで、フラン投与によりSOX9陽性肝細胞を含むGST-P陽性巣が出現し、それらは休薬後に消失することが示されてきた。しかし、8週間のフラン投与により、発がん頻発部位の尾状葉でSOX9陽性肝細胞が高頻度に認められ、GST-P陽性巣の出現との明らかな関連性はなかった。今回、SOX9陽性肝細胞出現はGST-P陽性巣形成とは無関係に生じるとの仮説を証明する目的で、GST-P陽性巣が誘導される以前の4週間投与においてSOX9陽性肝細胞の葉特異的発現頻度を検索した。 【材料と方法】雄7週齢のF344系gpt deltaラット各群5匹に8 mg/kg体重/日の用量で1日1回、週5回の頻度で4週間、強制経口投与した。対照群には溶媒のコーン油を同様に投与した。投与終了後、肝臓を摘出し、病理組織学的検索、GST-P陽性巣の定量解析ならびにSOX9陽性肝細胞の単位面積当たりの数を尾状葉、中間葉、外側左葉、外側右葉ごとに検索した。 【結果】投与群では、非常に小型のGST-P陽性巣が尾状葉以外の葉でわずかに認められた。一方、投与群のSOX9陽性肝細胞の全葉における単位面積当たりの数は対照群と比較して約55倍の高値となった。また、葉ごとの比較では、尾状葉における単位面積当たりの数は他の葉に比較して約3倍の高値となった。 【考察】フラン投与により、Sox9陽性肝細胞はGST-P陽性巣形成以前から観察され、発がん好発部位の尾状葉に高頻度に認められた。従って、フランの肝発がん機序解明にはSox9陽性肝細胞の生物学的意義の探索が重要であると考えられた。また、フラン特異的な休薬後に消失するGST-P陽性巣内のSox9陽性肝細胞はすでにその領域に存在していたもので、GST-P陽性巣の動態とは無関係であることが示された。 
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						長谷川 彩乃, 佐々木 貴煕, 原 健士朗, Jahidul ISLAM, 野地 智法, 種村 健太郎 
							 セッションID:									P-62S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景】抗生物質は、様々な疾患に対し子供達に頻繁に処方される一方、幼少期投与で健康に対する様々な長期的影響を惹起することが報告されている。ニューキノロン系抗菌薬(NQ)の「トスフロキサシントシル酸塩水和物(TFLX)」は、NQの中でも小児投与が承認される希少な抗菌薬である。しかし、TFLXの発達期投与が及ぼす成熟後の影響に対する知見は乏しい。一方、抗生物質が腸内細菌叢をかく乱することによって脳機能変調をもたらすという報告もある。そこで本研究では、無毒性量TFLXの発達期投与における成熟後の行動影響及び腸内細菌叢の変動を明らかにするため、投与時期による影響の差異を比較検討した。 【方法】C57BL/6N雄マウスをTFLX-Ⅰ群、TFLX-Ⅱ群、対照群に分けた。TFLX-Ⅰ群では発達期(4週齢-6週齢)、TFLX-Ⅱ群では性成熟後(8週齢-10週齢)においてTFLX連続飲水投与を行った。対照群では、各期間とも溶媒のみを投与した。TFLXは、無毒性量の300 ppmに設定し、溶媒に溶解して水道水で調製した。各群、11週齢時に行動試験を実施した。その後解剖して摘出した直腸から糞便を採取し、16S rRNA解析を行った。 【結果・考察】行動試験の結果、TFLX-Ⅰ群では、自発的活動量の有意な低下が見られ、特に初期反応に関する活動量低下が顕著に現れた。更に、空間連想記憶に関して対照群との質的違いが見られた。一方TFLX-Ⅱ群では、自発的活動量のみ対照群との有意差が見られた。以上より、TFLX投与によって行動変調が誘発されたと考えられる。特に、発達期投与群では、不安様行動増大ならびに記憶想起変調リスクも示唆された。よって本研究により、発達期TFLXの投与は、無毒性量であっても成熟後の行動に影響を及ぼすことが明らかとなった。腸内細菌叢は現在データの解析中であり、それらの結果も併せて報告する。 
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						大平 智春, 冨田 賢吾, 金木 真央, 早川 千春, 栗原 隆, 福山 朋季 
							 セッションID:									P-64E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									Recently, we investigated that the acceptable concentration (0.1 ppm) of ozone exposure significantly influenced the percutaneous oxygen saturation (SpO2) in a mouse model of acute lung injury (ALI). However, ozone is widely used from hospitals to homes because of its strong sterilizing power and low cost. Therefore, ozone safety levels should also be considered for patients with respiratory diseases such as ALI and asthma. This study examined the effects of ozone exposure 0.1 or below ppm in asthmatic and ALI mice to determine the "real" safety concentration. Asthmatic mice were created by repeated intranasal administration of dermatophagoides farina to BALB/c female mice. Also, ALI mice were generated by intranasal administration of LPS to female BALB/c mice. Ozone exposures (0.1, 0.05, and 0.01 ppm) were performed for 5 consecutive days before sample collection. SpO2 was monitored 24 hours after allergen or LPS administration, and samples were collected immediately after. Hilar lymph node, lung, and alveolar lavage fluid were collected to determine the pro-inflammatory and cytotoxic responses. A 0.1 ppm ozone exposure significantly reduced the SpO2 level in asthma and ALI models, whereas 0.05 and 0.01 ppm exposure did not impact. Histological abnormalities and gene expression of pro-inflammatory cytokines were also significantly increased by 0.1 ppm ozone gas exposure in both models; however, there were no changes in 0.05 and 0.01 ppm ozone treatment. Our findings imply that ozone safety levels can influence the lung and immune function in the Asthma and ALI model mouse. 
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						三木 崚平, 中原 健吾, 堂前 直, 高杉 展正, 上原 孝 
							 セッションID:									P-65S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									 α-シヌクレイン (α-syn) などを含む凝集物で構成されるレビー小体はパーキンソン病 (PD) における病理学的な所見の一つである.これまでの研究から,4-ヒドロキシノネナールなどの生体内で生じる脂質過酸化物や銅などの重金属が α-syn の凝集を引き起こすことが報告されている.一方,大気汚染物質や農薬などの外因性化学物質が PD 発症に関与することが示唆されているものの,それらの PD 病態形成への寄与は不明である.そこで本研究では環境化学物質の中でもタンパク質に高い反応性を有する親電子物質に着目し,α-syn 凝集に与える影響を解析した.  まず日常生活の中で曝露する可能性が高い環境化学物質の中から親電子物質を選出し,リコンビナント α-syn を用いて凝集への影響を検討した.その結果,キノンやアルデヒドなどの化学物質6種において α-syn 凝集の亢進が認められた.さらに α-syn を過剰発現させた SH-SY5Y 細胞にこれらの化学物質を処理したところ,濃度依存的な α-syn 凝集が惹起された.化学物質による修飾を介したものであるか検討するため,LC-MS/MS 解析を行ったところ,複数のリジン,ヒスチジンへの修飾が確認された.次に,SH-SY5Y 細胞に対する細胞毒性を検討したところ,凝集体を惹起するすべての親電子物質について濃度,時間依存的な細胞死が確認された.興味深いことに,それぞれの単独処理では毒性を示さない濃度を用いて複合曝露した際にも細胞死が認められた.  以上より,環境中親電子物質の一部は α-syn を修飾し,凝集を引き起こすことが示唆された.現在,その細胞死惹起機構について詳細に検討している. 
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						申 梦月, 吉田 安宏 
							 セッションID:									P-66E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									本研究では、患者由来ATL細胞とATL細胞株に対するOAとUAの抗腫瘍効果の検討を目的としている。OAおよびUAは、ATL細胞株の増殖を用量依存的に阻害され、アポトーシス阻害剤であるZ-vadは阻害を回復させた。その結果と関連して、UAで処理された細胞はカスパーゼ3/7とカスパーゼ9の活性化を示し、UA処理したMT-4細胞ではPARPの切断が検出された。オートファジー関連分子であるmTORとPDK-1の活性化はUAによって阻害された。電子顕微鏡によるMT-4細胞の観察から、UA処理後にオートファゴソームが検出された。また共焦点顕微鏡により、OAおよびUAで処理されたMT-4細胞でマイトファジーの誘導が確認された。MT-4細胞のミトコンドリア膜電位はUA処理後に大幅に低下し、ミトコンドリア呼吸と好気性解糖も有意に低下していた。また、ミトコンドリア膜電位の高低により細胞を2つの集団に分けたところ、膜電位の高い集団と低い集団の両集団がUA処理によりカスパーゼ3/7活性を示し、それらはZ-vadによって阻害された。興味深いことに、分離したUA処理細胞と共培養されたMT-4細胞は、増殖の増殖が促進した。最後にUAは成人T細胞白血病患者の末梢血単核細胞で細胞死とex vivoでのPARP切断を誘導した。UAで処理されたMT-4細胞は、ミトコンドリアの機能障害に続いてカスパーゼの活性化を示し、周囲の細胞に生存シグナルを提供することが示唆された。 
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						山田 裕太郎, 鈴木 碧, 平田 祐介, 野口 拓也, 松沢 厚 
							 セッションID:									P-67S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									 細胞内に生じた活性酸素種の蓄積は酸化ストレスを惹起し、タンパク質のシステイン残基の酸化を引き起こす。近年、硫黄原子が過剰に付加された分子である活性硫黄種が、システイン残基を過硫化することで、タンパク質の不可逆的な酸化を防いでいることが報告された。一方、我々は最近、aggresome-like induced structures (ALIS)と呼ばれるタンパク質凝集体が、パータナトスと呼ばれる新しいタイプのプログラム細胞死を誘発することを明らかにした。ALISは、パータナトス誘導剤などで惹起される酸化ストレスに依存して形成される凝集体であることから、その形成にタンパク質の酸化修飾や酸化障害が重要なトリガーになると考えられる。そこで本研究では、活性硫黄の新たな生理作用の解明を目的とし、ALISを介したパータナトス誘導における活性硫黄種の効果について解析を行った。  解析の結果、まず、活性硫黄供与体であるNa₂S₄は、パータナトス誘導剤による活性酸素の産生自体には影響を与えなかった。一方、興味深いことに、Na₂S₄は酸化ストレス依存的なALISの形成を強力に抑制し、それに続くパータナトスを抑制することが判明した。さらに、活性硫黄産生酵素である3-MSTの阻害は、ALISの形成とパータナトス誘導を亢進させた。これらの結果から、細胞内で産生された活性硫黄種は、酸化ストレス自体の軽減ではなく、タンパク質の酸化を起点とした凝集体形成を特異的に抑制し、パータナトスの誘導を抑止していることが示唆された。神経変性疾患の発症に対して、パータナトスの寄与が強く示唆されていることから、生体内で活性硫黄種が神経変性疾患の抑制因子として機能する可能性が考えられる。 
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						田口 央基, 藤代 瞳, 姫野 誠一郎, 角 大悟 
							 セッションID:									P-68S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									シスプラチン(CDDP)は、副作用として重篤な腎障害を起こす抗がん剤である。CDDPは、近位尿細管のS3領域を特に強く障害することが報告されているが、その機構はよくわかっていない。我々はマウス近位尿細管S1, S2, S3領域由来不死化細胞(S1, S2, S3細胞)を用いた検討により、CDDPの細胞毒性がS3細胞で最も強く現れることを明らかにした。これまでに、CDDPによる腎障害の機序として活性酸素(ROS)の産生が関与していることが報告されている。そこで本研究では、 S3領域におけるCDDPの高感受性に関わる原因を解明するため、ROS誘発物質に対する応答の違いを細胞間で比較・検討した。CDDP以外にも、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、パラコート(PQ)がS3細胞において最も高い細胞毒性を示した。これらの化学物質を添加して3, 6, 12, 24時間後の細胞内ROS産生量を測定したところ、CDDPとPQ添加24時間後に、S1, S2細胞に比べてS3細胞で細胞内ROS量が顕著に増加した。S3細胞のCDDP高感受性にROSが関与することが示唆されたため、チオレドキシン、チオレドキシン還元酵素、γ-グルタミルシステイン合成酵素の発現量を細胞間で比較したところ、コントロールレベルではほとんど差がなかったが、CDDPに曝露すると、S3細胞においてのみこれらのタンパク質の発現量が減少した。 以上のことから、S3細胞がCDDPに対して高感受性を示す原因として、CDDP曝露によるROS産生の増加とROS消去能の低下が関与していることが示唆された。今後、CDDPによるS3細胞特異的なROS産生の増加とROS消去能の低下との関係をさらに詳細に検討することで、近位尿細管の領域特異的な障害発生機構の解明を目指したい。 
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						冨塚 祐希, 桑田 浩, 原 俊太郎 
							 セッションID:									P-69S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【目的】長鎖アシルCoA合成酵素(ACSL)4は、脂肪酸のうちアラキドン酸やエイコサペンタエン酸をはじめとする多価不飽和脂肪酸(PUFA)を良い基質とするアシルCoA合成酵素である。この基質特異性により、ACSL4はPUFAの膜リン脂質への取り込みに深く関与することが想定されており、細胞死や組織傷害との関連が注目されている。そこで、本研究では、パラコート(PQ)による肺傷害へのACSL4の関与について明らかにするために、ACSL4欠損マウスを用いた解析を行った。 【方法】ACSL4欠損マウス(KOマウス)および野生型マウス(WTマウス)の肺の膜リン脂質組成をLC-MS/MSを用いて定量した。次に、これらのマウスにPQを25 mg/kg腹腔内投与し、生存期間を解析した。さらに、投与3日後にCT撮影を行ったのち肺を摘出し、免疫組織染色による解析、および肺組織中の炎症性サイトカインやケモカインのmRNA発現量をリアルタイムRT-PCR法により測定した。 【結果】KOマウスの肺では、WTマウスに比べて、PUFA含有のホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)が減少する一方で、多くの飽和脂肪酸由来のPCやPEは増加する傾向を示した。PQ投与後の生存率は、KOマウスの方がWTマウスに比べて有意に高く、投与3日後のCT撮影では、WTマウスの肺に重度の障害が認められたが、KOマウスでは障害は軽度であった。さらに、WTマウスではPQ投与によりIL-6、IL-1βおよびCXCL1、CXCL2、CXCL5、CXCR2の発現が上昇していたが、KOマウスではこれらの発現上昇が有意に抑制されていた。 【考察】ACSL4の欠損は肺におけるPUFA含有膜リン脂質を減少させ、急性期におけるPQ誘発性の炎症反応を抑制することで、肺毒性を軽減し生存率を有意に改善する可能性が示された。 
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						竹村 晃典, 佐藤 智之, 伊藤 晃成 
							 セッションID:									P-70E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									【背景・目的】 重篤な薬物性肝障害の機序としてミトコンドリア毒性、その中でもミトコンドリア膜透過性遷移(MPT)の関与が示唆されている。近年、化合物によるミトコンドリア毒性評価もなされているが、これは主に呼吸鎖阻害能を評価しており、MPT誘導能の有無はカバーされていない。この要因として、MPT誘導に至る機序の詳細が不明であり、MPT誘導に関する新規評価法構築を阻んでいることが考えられる。当研究室の先行研究で、MPT誘導に脱共役が関わることを示した。そこで本研究では脱共役とMPT誘導の関連について化合物横断的評価を実施した。さらに、MPT誘導能を回避する戦略として化学構造的な特徴に注目した構造デザインやスクリーニングへの応用可能性について検証した。 【方法・結果・考察】 脱共役とMPT誘導の関連について化合物横断的評価 ミトコンドリア毒性の報告があるものを中心に22化合物を選定し、単離ミトコンドリアにおけるMPT誘導能を評価した。22化合物のうち、6化合物がMPT誘導能を示し、それら全てが脱共役の指標である酸素消費速度の比(RCR)を低下させた。一方で、MPT誘導能を示さなかった17化合物のうち脱共役能を示したのはわずか3化合物だった。RCR値からMPT誘導能の有無を判断するROC解析を実施した結果、RCR=2.5を閾値としたときに最も高い感度1.00、特異度0.81を得た。 脱共役能の低減によるMPT誘導リスク回避の可能性 構造類似化合物について、MPT誘導能と脱共役能を比較しその相関関係を検討した。i) チアゾリジン系糖尿病治療薬、ii) サリチル酸系NSAIDs、iii) フェナム酸系NSAIDsについて検討したところ、それぞれ脱共役を示す化合物はMPT誘導能を有することを確認した。 【結論】 本研究では、化合物のMPT誘導能は脱共役能と強い相関を示した。このことは、一般に細胞系では困難なMPT誘導リスク評価を、細胞系における脱共役能評価で代替できる可能性を示し、より安全性の高い医薬品の創製に役立つと期待している。 
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						牧田 夏希, 志津 怜太, 曽部 圭一郎, 保坂 卓臣, 菅野 裕一朗, 佐々木 崇光, 吉成 浩一 
							 セッションID:									P-71S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
									フリー
						 
							
								
									肝に高発現する核内受容体CARは、異物代謝酵素の発現調節を担う一方、その活性化は齧歯動物において肝細胞増殖とそれに伴う肝がんを惹起する。疫学的な研究から、このCAR依存的な肝発がんには種差があり、ヒトでは起こらないとされているが、分子レベルでの理解がなされていない。最近、当研究室では、マウス肝において、CARは細胞増殖促進因子であるYAPの活性化を介して肝細胞増殖を誘導することを明らかにした。そこで本研究では、CAR依存的な肝細胞増殖の種差の原因を明らかにすることを目的とし、CARとYAPの相互作用を種差に着目して解析した。まず、CARとYAPの相互作用に種差があるか否かを明らかにするため、マウスおよびヒトのCARとYAPの組換えタンパク質を調製し、インビトロプルダウンアッセイを行ったところ、マウスCARはマウスYAPと相互作用したが、ヒトのCARとYAPは相互作用しなかった。さらに YAPの部分欠失変異体を用いた解析により、YAPはWWドメインでマウスCARと相互作用することが明らかになった。WWドメインは、PPXYのアミノ酸配列(PYモチーフ)と相互作用することが知られているが、マウスCARはそのタンパク質構造の表面にPYモチーフ(PPAY)をもつのに対し、ヒトCARでは対応する配列がPPAHとなっていた。そこで、マウスCARのPYモチーフをヒト型に変異させたマウス(CAR-Y150Hマウス)を作製し、CAR活性化薬のフェノバルビタール(100 mg/kg)を3日間腹腔内投与し、肝細胞増殖およびYAPの活性化を調べたところ、野生型マウスで認められたCAR依存的な肝細胞増殖およびYAPの活性化はCAR-Y150Hマウスでは認められなかった。以上の結果より、CAR依存的な肝細胞増殖のヒトと齧歯動物間の種差は、PYモチーフの一アミノ酸の差異によって決まる可能性が示された。 
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						野村 亮輔, 熊谷 嘉人, 藤村 成剛, 上原 孝 
							 セッションID:									P-72S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									【背景・目的】  水俣病の原因物質として広く知られているメチル水銀(MeHg)は神経細胞死を誘導し,特定の組織領域を障害することが報告されている.しかし,細胞死に至る詳細な分子機構に関しては未だ不明な点が多く残されている.当研究室ではこれまでに,MeHgによる小胞体(endoplasmic reticulum:ER)ストレス惹起によってアポトーシスが誘導されることを細胞レベルで明らかにした.マウスを用いた検討から,MeHgによって大脳皮質および線条体においてERストレスが惹起されることを証明してきた.ERストレスはunfolded protein response(UPR)を介して,軽微な場合はストレス軽減に,重度の場合はC/EBP homologous protein(CHOP)などの誘導を経てアポトーシスを引き起こすことが知られている.そこで本研究では,MeHg誘導性神経細胞死におけるERストレスおよびUPRの関与について検討した. 【方法】  マウス脳内における小胞体ストレス惹起の検証には,ER stress activated indicator(ERAI)遺伝子を導入したERストレス可視化マウスを使用した.7週齢の本マウスにメチル水銀を慢性曝露(飲水投与)させ,採取した脳切片を免疫組織化学的手法により検討した. 【結果・考察】  ERストレス可視化マウスにMeHgを曝露させた結果,大脳皮質体性感覚野においてアポトーシス陽性細胞の増加が観察された.また,アポトーシス陽性細胞についてERストレスおよびUPRの関連性を検討したところ,ERストレス陽性神経細胞においてCHOPの発現が観察された.さらに,本細胞はTUNEL陽性であることが認められた.以上より,マウスにおいてMeHgの曝露はERストレス―UPRの活性化を介して大脳皮質体性感覚野の神経細胞死を惹起する可能性が示唆された. 
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						Xing CHEN, Jae Seung LEE, 川合 佑典, 久保田 彰 
							 セッションID:									P-73S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									The use of bisphenol A (BPA) has been replaced with bisphenol analogues (BPs) mostly due to its endocrine disruptive effect. However, toxicity of many of BPA alternatives remains poorly understood. This study aimed to evaluate estrogenic and developmental responses to BPA and its alternatives and to understand possible mechanisms of developmental toxicity using zebrafish embryos. Embryos exposed to BP alone or in combination with an estrogen receptor (ER) antagonist ICI were collected for quantifying the expression level of an ER target gene CYP19A1b or were observed for developmental toxicity. RNA-seq analysis was conducted for BPA, BP C2 and Bis-MP. The expression of CYP19A1b was induced by most of tested BPs (10 out of 14) in a concentration-dependent manner, with stronger potency for BP C2, Bis-MP and BPAF than BPA. Similarly, these 3 BPs caused cardiovascular toxicity with greater potency than BPA. ICI rescued cardiovascular toxicity caused by these 3 BPs, but not by BPA. In the same exposure condition, however, ICI suppressed the CYP19A1b induction by BPA and Bis-MP, but not by BP C2 or BPAF. RNA-seq analysis showed that alterations in lipid metabolism and oxidative stress response pathways may be involved in cardiovascular toxicity caused by BP C2 and Bis-MP, whereas the down regulation of G-protein coupled receptor pathway may be related to BPA-induced cardiovascular toxicity. In conclusion, some of BPA alternatives showed greater estrogenic potency and developmental toxicity than BPA. The mechanism of cardiovascular toxicity appears to differ among different BPs. 
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						Jae Seung LEE, 松本 健太郎, 川合 佑典, 石橋 弘志, 久保田 彰 
							 セッションID:									P-74S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									Perfluorinated alkyl substances (PFASs) have been widely used for consumer products such as water and grease repellents, household products, electronics, and food contact materials. Some of PFASs have been and are supposed to be listed as persistent organic pollutants (POPs) due to their persistent and bioaccumulative properties, as well as toxicity. The present study aimed at evaluating developmental toxicity of representative PFASs and understanding the possible mechanisms using zebrafish embryos. Embryos continuously exposed to perfluorooctane sulfonate (PFOS) and perfluorohexane sulfonate (PFHxS) elicited pericardial edema and reduction of blood flow in trunk vessels at 96 hours post fertilization in a concentration-dependent manner, with greater potency observed in PFOS than in PFHxS. PFOS also elicited spinal curvature. RNA sequencing revealed that genes involved in calcium-related signaling (e.g., pth1a, fbxo32, nos2a, tcap, and tnni4b.1) and in metabolic process (e.g., nos2a, mlycd, ppp1r3aa, pdk2b, lepa, and lepb) were significantly and commonly affected by PFOS (10 μM) and PFHxS (100 μM). Co-exposure to PFOS and NMDA receptor antagonists (memantine and MK-801) rescued circulatory failure and spinal curvature caused by PFOS. In contrast, PFOS-induced circulatory failure and spinal curvature were exacerbated by co-exposure to a PPARα antagonist (MK-886). These results suggest that circulatory failure and spinal curvature caused by PFOS and possibly by PFHxS might be through disruption of calcium signaling, and PPARα signaling may have a protective role against it. 
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						濱野 修平, 鈴木 碧, 平田 祐介, 野口 拓也, 松沢 厚 
							 セッションID:									P-75E
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									 生体は多種多様な毒物・化学物質に曝されているが、細胞毒性を有する化合物に曝露された細胞は、様々な様式のプログラム細胞死を誘導することで、その恒常性を維持している。代表的なプログラム細胞死であるアポトーシスについては、詳細な細胞死誘導メカニズムが解明され、その実行因子でシステインプロテアーゼであるカスパーゼ-3がアポトーシス誘導の中心的役割を担っている。一方、近年見出された、ストレス応答分子PARP-1の活性化に依存した新たなプログラム細胞死“パータナトス”は、神経毒性を原因とする晩発性の神経変性疾患に深く関与することから注目されているが、その制御機構はほとんど分かっていない。  最近我々は、パータナトス誘導機構の解析の過程で、カスパーゼ-3がアポトーシスだけでなく、パータナトスの誘導にも関わることを新たに見出した。興味深いことに、アポトーシス誘導にはカスパーゼ-3のプロテアーゼ活性が必須であるのに対し、パータナトスの誘導においては、カスパーゼ-3のプロテアーゼ活性を必要としなかった。実際、まだ活性化型になっていない前駆体カスパーゼ-3が、パータナトス誘導因子であるAIFの核移行を促進することで、パータナトス誘導を亢進させることが判明した。以上の結果から、既知の機能とは異なり、酵素活性非依存的に“パータナトス”を促進するという、カスパーゼ-3の非典型的な新しい機能の存在が明らかになった。  現在、本メカニズムをより詳細に解析し、カスパーゼ-3のパータナトス誘導における機能的および生理的役割の解明を進めている。本会では、これまでのアポトーシス誘導時とは全く異なる、カスパーゼ-3の新たな機能について議論したい。 
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						小林 雅, 中野 毅, 北畠 和己, 池内 璃仁, 月本 光俊, 藤江 智也, 山本 千夏, 鍜冶 利幸 
							 セッションID:									P-76S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
								会議録・要旨集
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									【目的】血管内皮細胞の制御する線溶系は,t-PAとPAI-1のバランスに依存し,線溶系の破綻は血管病変の発症・進展のリスク要因となる。また,線溶系は様々な物理的刺激を介してその機能が調節されることが報告されているが,その詳細な分子機構は不明な点が多く存在する。そこで本研究では,物理的刺激として電離放射線の一種であるガンマ線を用いて血管内皮細胞の線溶系に対する影響とその調節機構を探索した。 【方法】ヒト血管内皮細胞株EA.hy926細胞にGammacell 40(137Cs source:0.68 Gy/min)を用いたガンマ線照射または,アデニン代謝物(ADPおよびATP)処理を行い以下の実験に供した。細胞毒性はMTT assayおよびギムザ染色による形態観察,遺伝子発現変化はリアルタイムPCR法,タンパク質分泌はELISA,線溶活性はFibrin zymography法で評価した。 【結果および考察】内皮細胞層へ傷害を示さない範囲のガンマ線照射により線溶活性は上昇した。この時,培地中t-PAおよびPAI-1の増加並びにこれらmRNA発現が増加した。また,ガンマ線照射により細胞外に放出されるADPおよびATPの処理により,線溶活性の上昇,t-PA mRNAの増加が認められた。また,その受容体(P2XおよびP2Y)の関与を,P2Xアンタゴニスト(PPADS)およびP2Yアンタゴニスト(Suramin)の処理により検討したところ,ガンマ線照射によるt-PA mRNA発現増加はPPADSおよびSuramin処理により有意に抑制された。本結果は,血管内皮細胞におけるガンマ線照射による物理的刺激がt-PA合成の促進を介し線溶活性を上昇させること,およびこの上昇にはガンマ線照射により放出されたADPおよびATPによるP2X並びにP2Y受容体の活性化が関与することを示唆するものである。 
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						上田 勝也, 石田 悠, 馬 闖, 泉谷 惇, 上芝 洸貴, 羽二生 久夫, 青木 薫, 齋藤 直人 
							 セッションID:									P-77S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【Purpose】 Carbon nanohorns (CNHs) have great potential as a drug delivery system carrier (DDS-C) as well as in novel therapies. This study evaluated the safety, biological responses, and suitability of CNHs in bone tissue. 【Methods】 For in vitro experiments, osteoclasts (OCs) and osteoblasts (OBs) were exposed to CNHs at various concentrations for evaluations of cell viability. CNH incorporation into cells was visualized by fluorescence microscopy and transmission electron microscopy, and the calcification function of OBs was examined by alizarin red staining. For in vivo experiments, CNH-injected rat tibiae were excised and bone regeneration was analyzed by tissue staining. 【Results】 In vitro cell viability depended on nanomaterial exposure and cell type. OBs were unaffected at elevated CNH concentrations. CNH incorporation was high in OCs and accumulated primarily in lysosomes. Whereas the differentiation of OCs was inhibited, that of OBs was promoted at low CNH concentrations. Bone regeneration was significantly higher in CNH than in control tibiae for in vivo experiments. 【Discussion】 The decreased viability of OCs may have been due to excessive CNH incorporation and requires further study. Since remarkably higher regeneration in bones implanted with CNHs was seen without inflammation due to necrosis, the risk of an overdose to OCs may be mitigated in vivo. Lastly, CNHs impacted cell differentiation even at low concentrations. Future DDS-C applications should be explored considering the target bone disease as well as CNH bioactivity.  
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						池内 璃仁, 中野 毅, 髙橋 結, 原 崇人, 山本 千夏, 北畠 和己, 月本 光俊, 藤江 智也, 鍜冶 利幸 
							 セッションID:									P-78S
								
 発行日: 2022年
 公開日: 2022/08/25
 
 
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									【目的】内皮細胞は,血管の抗血栓性や血管新生を担っており,これら機能調節にはヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)のperlecan,syndencan-1およびsyndecan-4が関与する。動脈硬化病変の進展にはHSPGs発現の異常が関与するので,その発現調節機構の解明は血管病変発症の予防に重要な視点を与える。アデニン代謝物(adenosine; ADO, adenosine diphosphate; ADP, adenosine triphosphate; ATP)は,ストレス刺激により細胞外へ放出され細胞膜上のプリン受容体を介して細胞機能を調節する。ATPは,炎症状態の血管において増加していることが知られているが,HSPGs発現への影響は未だ明らかでない。本研究では,アデニン代謝物による内皮細胞のHSPGs発現への影響を解析した。【方法】ウシ大動脈内皮細胞をアデニン代謝物で処理し,HSPGs mRNA発現をreal-time RT-PCRで評価した。【結果および考察】内皮細胞をATPで処理したとき,perlecan mRNA発現は抑制されたが,ADOおよびADP処理では抑制されなかった。syndecan-1 mRNA発現は,ADO,ADPおよびATP処理により有意に抑制された。syndecan-4 mRNA発現は,ADO,ADPおよびATPの処理3時間後に上昇していたが,その後に抑制へと転じた。このATPによるSyndecan-4 mRNA発現の一過的な上昇は,P2Y受容体のアンタゴニストsuramin処理により有意に抑制されたが,P2X受容体アンタゴニストのPPADSでは抑制されなかった。以上より,内皮細胞のHSPGsの遺伝子発現はアデニン代謝物により調節されること,特にATPによるsyndecan-4の転写誘導はP2Y受容体を介して調節されることが示唆された。 
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