樹木医学研究
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23 巻, 1 号
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論文
  • 辻井(藤原) 直, 安居 拓恵, 安田 哲也
    2019 年 23 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,マツ盆栽輸出の障害となっているゴマダラカミキリの持ち出しリスクを解決すべく,クロマツおよびゴヨウマツがゴマダラカミキリの餌植物となりうる可能性について検討した.本種メス成虫に,摂食開始時からクロマツ・ゴヨウマツ枝のみを与えた場合,全ての個体は与えられた枝を摂食した.しかしながら,2週間後の生存率はそれぞれクロマツ37%,ゴヨウマツ40%であり,ミカン枝を与えた区(100%)と比べて低い結果となった.また,ミカン枝とクロマツ枝もしくはゴヨウマツ枝を同時に提示した際にも,全てのメス個体がミカン枝を多く摂食した.ミカン,クロマツ,ゴヨウマツ枝を与えて1,2週間後のメス個体を解剖し,卵巣の発育を確認した.ミカンを与えたメス個体は未成熟卵・成熟卵が卵巣内に確認できたが,クロマツ・ゴヨウマツを与えたメス個体からはひとつの卵も見つけられなかった.クロマツ・ゴヨウマツを食べた個体は,生存日数も短く,また性的成熟もしない,あるいはできないことが明らかとなり,両マツはゴマダラカミキリの餌としては不適であることが示された.

  • 山岡 裕一, 楠 幹生, 岡根 泉, 藤田 究, 鐘江 保忠, 鈴木 浩之
    2019 年 23 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    Coleosporium phellodendriによるクロマツ,アカマツ苗の葉さび病防除及び予防に効果的な薬剤を探索するため,香川県と長野県において,Co. phellodendriが自然発生したキハダに近接するよう試験地を設け,4種の殺菌剤の効果を検定した.その結果,マンゼブ水和剤が最も効果が高かった(防除価98.2~100%).次いで,ヘキサコナゾール水和剤(防除価54.0~90.9 %),チオファネートメチル水和剤(防除価43.5~49.1 %)の順に効果が見られた.

臨症事例
  • 前田 雄一, 河合 隆行, 土屋 竜太, 中村 徳和, 小山 敢, 矢部 浩
    2019 年 23 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    強度枝打ちを実施した21年生のヒノキ林に立ち枯れ被害が発生した.被害は,斜面上部の適潤性森林褐色土(偏乾亜型)に集中し,斜面下部では少なかった.枝打ち程度と被害の関係は,枝打ち幅が大きい個体ほど被害が多かった.夏期全体の降雨量は,平年並みだが,7月中旬から8月初旬にかけて19日間の無降雨期間があった.被害木には穿孔性害虫のマスダクロホシタマムシ,ヒメスギカミキリ等の加害跡を確認した.以上のことから,強度枝打ち,偏乾亜型土壌,連続無降雨,穿孔性害虫といった水分通導を停滞させる要因が認められた.それらの要因の中で穿孔性害虫は,直接的な樹木衰弱の要因ではないことが推論された.このような状況の中で,枝打ち長率(打ち上げ幅/樹冠長)が60%未満の個体群は被害を免れていた.被害を受けなかった個体群の枝下の幹直径を調べたところ,その幹直径は7cm以上であった.調査地では,瓶ビール中瓶の太さ以上の幹直径で枝打ちを止めておけば,枝打ち長率が60%未満におさまり,被害を回避できた可能性が高いことが判明した.

「樹木医学会奨励賞」受賞講演要旨
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