電子写真学会誌
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34 巻, 3 号
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論文
  • 佐々木 洋, 磯貝 正人, 岩崎 紀四郎
    1995 年 34 巻 3 号 p. 160-166
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    新規な化学構造を有するトナーの正帯電型の電荷制御剤(CCA)としてシクロデキストリンの一級水酸基の一部をトシル(p-トルエンスルホニル)化した化合物を見出した.この化合物は分子内に電子吸引性のトシル基を複数個有しているにもかかわらず,正のCCAとして機能することを傾斜法により確認した.トナー樹脂への電荷付与量は一級水酸基のトシル基への変換率(トシル化率)で異なり,トシル化率が約55%で電荷付与量は最大となった.またこの化合物を含有するトナーを試作しキャリアと共に撹拌したところ,このトナーは正に帯電し,その電荷量は傾斜法の結果と対応した.シクロデキストリンの水酸基をすべてアセチル化した化合物やカテコールのトシル化物はトナー樹脂の電荷を若干正にシフトさせたものの,そのシフト量はシクロデキストリン誘導体に比べて小さかった.なおCCAとしての電荷付与量と分子内のトシル基の分布状態(トシル基の密集度)とに一連の相関関係が見られた.
  • Kazuaki SUKATA, Sohko ITOH, Chiemi MATSUSHIMA, Tetsuji KIHARA
    1995 年 34 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    非常に単純化したトナーを用いて,第4級アンモニウム塩タイプCCAの帯電特性の検討を行い次の結果を得た:(1)CCA分子は,集合体,塊として存在することが重要である.(2)結晶体およびその表面状態が帯電量の大きさおよび立ち上がりの速さに大きく影響する.これらの結果をもとに,電荷は,CCA結晶表面にある欠陥や転移部分で,それらの非常に強い配位の不完全さを区動力として,発生することを提案した.
  • 高橋 政明, 星野 勝義, 小門 宏
    1995 年 34 巻 3 号 p. 173-180
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    フィルム状の試料と鉄粉キャリアとを摩擦帯電させる装置を設計・作製した.本摩擦帯電装置は,測定雰囲気(相対湿度,周囲ガス圧,ガスの種類など)を制御できる,および摩擦帯電と同時に試料の表面電位を同時に測定できるといった特徴を持つ.この装置を用いてトナーおよびトナー構成要素である何種類かの樹脂について,摩擦帯電挙動の検討を行った.その結果,フィルム状試料の帯電挙動は周囲の相対湿度やガス圧に大きく依存し,依存の仕方は材料によって異なることがわかった.
    また,ポリスチレンフィルムを用いて種々の相対湿度下における膜厚と帯電量の関係を検討した.その結果,帯電電荷は表面だけでなくフィルムのバルクにも分布しており,水分子の侵入と密接に関連していることが示唆された.
    さらに本研究では,スチレンーアクリル変性ポリエステルフィルムに観察されたような両極性帯電の例や,摩擦帯電に及ぼす分子量の効果について述べる.
  • 野守 弘之, 重田 邦男, 羽根田 哲, 小松 徹
    1995 年 34 巻 3 号 p. 181-189
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    磁気ブラシを用いて電子写真感光体を接触帯電する方法を研究した.
    磁気ブラシの形成には見かけの抵抗が104,105,108,109 Ω・cmの(CuO)23.5(ZnO)23.5(Fe2O3)53の組成式で表されるフェライト粉体を用いた.
    フェライト粉体の厚みを規制するドクターブレードと磁性ローラとの間隔を0.9mmに保持したまま磁性ローラと感光体との間隔を0.7mmから1.3mmの範囲で変化させた.
    従来,導電性ゴムローラを用いた感光体の接触帯電法においては,感光体の表面電位が立ち上がる‘直流電圧の閾値’はPaschenの法則から計算される値と合致し,しかも一定の直流電圧の印加に加えて交流電圧を重畳印加した場合に感光体表面電位が飽和値に達する‘交流電圧の閾値’にも一致するとされている.然るに本研究で見られた‘直流電圧の閾値’はPaschenの法則から得られる値よりもかなり小さく,また‘交流電圧の閾値’に比べても小さかった.
    従来,接触帯電法の欠点とされてきた不均一な帯電を解消し,また感光体面にピンホール欠陥が存在してもバンディングと呼ばれる帯電不良を回避するためには,用いるフェライト粉体の見かけの比抵抗を108 Ω・cmに選ぶ事,閾値以上の交流電圧を印加する事,またドクターブレードと磁性ローラとの間隔を磁性ローラと感光体との間隔より大きな構成としてフェライト粉体を磁性ローラと感光体との間で圧縮する事が必要である事を見いだした.
    ここで用いたフェライト粉体は小さいながらも吸着表面積を有しており,これを通過するオゾンを0次反応速度式に従って接触分解する.即ちオゾン雰囲気下ではフェライトの触媒活性点は完全にオゾンに占められておりフェライトによるオゾン分解反応では分解生成物の脱着が律速であると考えられる.帯電器周辺のオゾン濃度が帯電器を回転させた場合に急激に低下する現象はこれらの結果として解釈される.
  • 岸本 輝樹, 高橋 恭介
    1995 年 34 巻 3 号 p. 190-199
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    二成分現像剤においてトナー混合比の増加に対して,トナー比電荷が減少するという報告が数多くある.この事はトナー混合比が増加すると,キャリア表面上のトナー粒子1個に配分される電荷が減少することを意味している.この結果に疑問を持ち,二成分現像剤の帯電量の混合比依存性を注意深く検討した.トナー比電荷q/mの混合比依存性において3つのタイプがあることを示した.即ち,トナー側の帯電サイト数Ntとキャリア側の帯電サイト数Ncが,NcNtの場合,q/mは,トナー混合比Ctが増加しても一定値を示し,NcNtの場合,q/mCt増加につれ減少し,,NcNtの場合その中間の挙動を示す.これらの結果を説明する新しい帯電モデルを提案し,これまで提案されたモデルとの比較検討を行った.
  • 岡本 豊雄, 大嶋 清, 宮脇 勝明, 平松 正己
    1995 年 34 巻 3 号 p. 200-207
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/04/06
    ジャーナル フリー
    LEDアレイ書込装置を用い,電子写真方式で4ドラム感光体と4色現像装置にてカラー画像を得るタンテム型のプリンタを研究した.特にLEDアレイのカラー用階調性検討ができるLEDアレイの開発を行い,光量バラツキ,LEDドットの機械的位置精度,熱による影響などを解析した.またタンデム型特有の色ズレに関し4個の感光体とその駆動系,記録紙搬送機構系,書込系LEDアレイとの関連を解析した.さらに,LEDアレイにてカラー多値階調点灯制御するパルス制御を検討し,パルス変調と階調性の関係,光量バラツキの補正方法,画像データのテータ転送速度についても論じた.その結果,カラー面像として色ズレ0.1mm以下を達成出来,階調性も32階調以上の画像を得ることができることが分った.
技術解説
Imaging Today
『カラーインクジェット技術の現状』
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