磁気ブラシを用いて電子写真感光体を接触帯電する方法を研究した.
磁気ブラシの形成には見かけの抵抗が10
4,10
5,10
8,10
9 Ω・cmの(CuO)
23.5(ZnO)
23.5(Fe
2O
3)
53の組成式で表されるフェライト粉体を用いた.
フェライト粉体の厚みを規制するドクターブレードと磁性ローラとの間隔を0.9mmに保持したまま磁性ローラと感光体との間隔を0.7mmから1.3mmの範囲で変化させた.
従来,導電性ゴムローラを用いた感光体の接触帯電法においては,感光体の表面電位が立ち上がる‘直流電圧の閾値’はPaschenの法則から計算される値と合致し,しかも一定の直流電圧の印加に加えて交流電圧を重畳印加した場合に感光体表面電位が飽和値に達する‘交流電圧の閾値’にも一致するとされている.然るに本研究で見られた‘直流電圧の閾値’はPaschenの法則から得られる値よりもかなり小さく,また‘交流電圧の閾値’に比べても小さかった.
従来,接触帯電法の欠点とされてきた不均一な帯電を解消し,また感光体面にピンホール欠陥が存在してもバンディングと呼ばれる帯電不良を回避するためには,用いるフェライト粉体の見かけの比抵抗を10
8 Ω・cmに選ぶ事,閾値以上の交流電圧を印加する事,またドクターブレードと磁性ローラとの間隔を磁性ローラと感光体との間隔より大きな構成としてフェライト粉体を磁性ローラと感光体との間で圧縮する事が必要である事を見いだした.
ここで用いたフェライト粉体は小さいながらも吸着表面積を有しており,これを通過するオゾンを0次反応速度式に従って接触分解する.即ちオゾン雰囲気下ではフェライトの触媒活性点は完全にオゾンに占められておりフェライトによるオゾン分解反応では分解生成物の脱着が律速であると考えられる.帯電器周辺のオゾン濃度が帯電器を回転させた場合に急激に低下する現象はこれらの結果として解釈される.
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