ロシアのVVER型原子炉では、現在までに一次系の応力腐食割れ(PWSCC)現象が発生していないと云われている。シッピングポート炉をルーツとするアメリカ型のPWR型原子炉とVVERでは基本原理の違う点が有るが、その一つに、水の放射線分解抑制の為に水素添加 (PWR)かアンモニア添加(VVER)かの違いがある。このため、筆者は「長距離電池作用」腐食機構仮説を[Nuc. Eng. Des. doi:10.1016/j.nucengdes.2008.05.006及doi:10.1016/j.nucengdes.2008.06.006]をVVERのアンモニア水化学に当てはめ、高温電気化学計算により、アンモニアが炉内で照射を受けて溶存水素と窒素に分解する際に、炉心外の機器・配管部の腐食電位を高め、適切なPhコントロールと相まって、Fe, Ni, Crに対して3重の不動態領域に維持しているとの結論を得た。
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