アフリカレポート
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61 巻
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特集 アフリカにおける難民保護と「帰還」
論考
  • 飛内 悠子
    原稿種別: 特集 アフリカにおける難民保護と「帰還」
    2023 年 61 巻 p. 5-17
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/17
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    クク人(Kuku)は南スーダン最南端、ウガンダとの国境地帯を故地とし、植民地化や内戦等、さまざまな要因により移住を繰り返してきた。とくにウガンダへの移住は1930年代から行われ、ウガンダ国籍を持つクク人も多い。本稿は2005年の第2次スーダン内戦終結後のウガンダからのスーダン(現南スーダン)人、とくにクク人の移住の実情を示し、彼らの移住史のなかにそれを位置づける。そして彼らにとって、第2次スーダン内戦終結後、国際機関とウガンダ政府の主導によりなされたウガンダから南スーダンへの「帰還」は、いかなる意味を持ったのかについて検討する。さらにそれをとおし、定住を前提として帰還支援を行うこと、ならびに「持続可能な帰還」を提唱することの問題を指摘する。

  • 網中 昭世
    原稿種別: 特集 アフリカにおける難民保護と「帰還」
    2023 年 61 巻 p. 34-46
    発行日: 2023/08/24
    公開日: 2023/08/24
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    本稿の目的は、避難先から出身国に帰還した元難民と、避難先に残留した元難民の経験を比較し、難民問題の恒久的解決策のひとつとして難民が帰還を望むことを前提に立案される帰還支援プログラムの妥当性を検討することである。具体的に検討する事例は、1980年代から1990年代にかけてモザンビーク内戦の過程で南アフリカに流入した元難民である。この難民に対する帰還支援プログラムはUNHCRによって1994年から翌年にかけて実施されたが、モザンビーク南部出身者に関してはUNHCRの期待に反して利用者が少なかった。本稿では、その実施からほぼ25年が経過した時点でモザンビークおよび南アフリカで実施した聞き取り調査に基づき、難民が帰還を選択しなかった要因として、対象地域の歴史的な生計活動と帰還支援プログラムが実施された当時の政治環境を挙げる。本稿の事例は、帰還支援プログラムが一様に実施されようとも、難民がそれを利用して帰還するか否かは、地域・時代特有の政治経済環境に大きく影響を受けることを明らかにしている。それは「帰還」を前提とした難民問題への対処に再考の余地があることを示している。

  • 村尾 るみこ
    2023 年 61 巻 p. 58-70
    発行日: 2023/11/21
    公開日: 2023/11/21
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    アンゴラ東部では、かつては慣習的に土地分配をする伝統的首長による統治が行われていたが、独立解放闘争および独立後の内戦と2002年の停戦合意までの40年の間にその伝統的首長を含め、住民らの多くがザンビアへ逃れた。本稿は、紛争後のアンゴラ東部のモシコ州において伝統的首長のもとで持続的な帰還を果たしているンブンダの事例に着目し、伝統的首長が再び土地を分配することによって復権するプロセスを明らかとすることを目的とした。ンブンダの伝統的首長は従軍経験をもとに政府関係者と良好な関係を積極的に構築し、パラマウント・チーフを頂点とする伝統的政治体制のもと、帰還したンブンダの人びとを招き入れ土地を分配することを通じて村の再建に貢献した。また伝統的首長は、従来の居住集団の構成を変えることを要請してさらに多くの帰還したンブンダに土地を分配した。アンゴラ東部へのンブンダの持続的な帰還は、伝統的権威を発揮する対象となる住民を伝統的首長自身で増やすことによって進んだものであった。

  • 杉木 明子
    2023 年 61 巻 p. 71-80
    発行日: 2023/12/12
    公開日: 2023/12/12
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    第一次世界大戦以後、国際難民レジームが徐々に形成されてきた。しかし、庇護申請者や難民の増加とそれに伴う負担から多くの国は難民の受入に消極的であり、国際難民レジームが揺らいでいる。それを象徴する事象のひとつが、人権侵害や迫害が行われている地への難民の送還を禁止する、ノン・ルフールマン原則に対する違反である。同原則は難民条約・難民議定書や様々な国際条約に明記され、国際慣習法として広く認知されてきた。本稿は、規範論争理論を援用し、ソマリア難民の帰還を事例としてノン・ルフールマン原則の履行状況を分析し、国際難民レジームの変容を考察する。

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