アフリカレポート
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58 巻
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論考
  • 大平 和希子
    2020 年 58 巻 p. 1-13
    発行日: 2020/02/17
    公開日: 2020/02/17
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    ウガンダでは1995年憲法を皮切りに、慣習地の登記促進を通して、慣習地で暮らす人々の権利安定化を図ってきた。しかし、慣習地の登記が一向に進まない状況を受け、2013年に発表された国家土地政策は、慣習地の登記を担うはずの地方自治体の能力不足を指摘した上で、伝統的権威の慣習地ガバナンスへの関与を示唆した。これを踏まえて、本稿の目的は、伝統的権威が、慣習的権利の安定化を図る上で、地方自治体に代わる、あるいは、地方自治体と協働する一主体となりうるかという問いに答えることである。ウガンダ西部ブニョロ地域を事例に、地域住民と伝統的権威の関係性、地方自治体と伝統的権威の関係性の2点に着目し考察する。

  • 児玉 由佳
    2020 年 58 巻 p. 29-40
    発行日: 2020/03/12
    公開日: 2020/03/12
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    エチオピア連邦民主共和国は、2019年12月に政治的に大きな変化を経験することとなった。1991年以降30年近く政権を担ってきた連合政権であるエチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)が、参加政党を一つに統合した繁栄党を結成したのである。ただし、EPRDFのなかで従来権力を握っていたティグライ人民解放戦線(TPLF)は、現在の連邦制を揺るがすものであるとして繁栄党への不参加を表明した。

    アビイ首相は、多様性を堅持しつつ人々が一つにまとまることで相乗効果がうまれるという「メデメル」哲学を提唱し、さまざまな民族党を一つの党として統合して繁栄党を結成した。しかし、民族対立の歴史を考えると、規模の異なる民族集団を一つの党に統合することだけでは、現在の民族問題を解決することは困難であろう。2020年春に予定されている総選挙の結果によっては政局が大きく変動する可能性がある。

  • アブディン・モハメド
    2020 年 58 巻 p. 41-53
    発行日: 2020/05/14
    公開日: 2020/05/14
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    本稿では、2019年4月11日にスーダンのバシール大統領が失脚してから8月17日に暫定政府の設立合意が成立するまでに、国内の主要な政治主体間にいかなる権力闘争があったのかを分析する。そのために、暫定軍事評議会を支援したサウジアラビア・UAE・エジプトの三国陣営、そしてエジプトがスーダンに対する影響力を拡大することを危惧したエチオピアといった地域大国の役割にも注目した。主な結論は以下の3点である。(1)6月3日にスーダン軍部がデモ隊を強制排除する以前には、サウジアラビア陣営はスーダン国内政治に影響を及ぼすことができたが、(2)6月3日の事件以後には、エチオピアが、対立する国内主体間の交渉を仲介することに成功したため、サウジアラビア陣営の影響が限定的になり、(3)その結果、デモ隊の強制排除を通して軍政の復活を目指した暫定軍事評議会と、エチオピアの介入によって息を吹き返した民主化勢力との権力関係が拮抗するようになり、8月には暫定政府の設立に関する合意が可能となった。

  • 利根川 佳子
    2020 年 58 巻 p. 54-66
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/20
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    サハラ以南アフリカでは、NGOに対して規制的な法制度が2000年代以降制定されている。本稿では、エチオピアとケニアの二カ国を事例とし、NGOに関連する法規制の比較検討に基づき、NGOと政府の関係性と現在の市民社会スペースの状況を明らかにすることを目的とする。両国ともに、政権に影響があるような、人権やガバナンスなどに関連する活動を行うNGOの活動領域の縮小化を政府は試みているが、ケニアの場合はそのような活動を行うNGOをおもな対象としているのに対し、エチオピアの場合、2009年の「慈善団体および市民団体に関する布告」のもと、NGO全体が対象となったことが大きく異なる。さらに、エチオピアにおいては、国際NGOを含め国内で活動するNGO全体の活動領域が縮小化された一方で、ケニアにおいては、政府の規制的な対応にもかかわらず、NGOは人権やガバナンスに関連する活動を継続している現状がある。

  • 細井 友裕
    2020 年 58 巻 p. 73-84
    発行日: 2020/08/27
    公開日: 2020/08/27
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    2017年のジンバブエ政変で下野したロバート・ムガベに比べ、エマーソン・ムナンガグワ大統領に対する関心は低い。2000年代以降、ジンバブエでは「軍人化(Militarisation)」と呼ばれる軍の影響力増加が指摘されている。本稿は、軍を支持基盤とするムナンガグワ派が政権を獲得する過程を整理し、ムガベ政権とムナンガグワ政権の連続性と断裂を検討する。軍を基盤とするパトロン・クライアント関係を通じた政権運営や暴力的性向を勘案すると、両者の間に連続性がみられる。しかし、党内抗争の過程で、ムナンガグワ派の対立派閥が体制から疎外されたため、政権の基盤は縮小している。政権基盤の縮小に加え、政権獲得に伴う軍内部の競合激化は、中長期的なジンバブエの不安定化要因となり得る。

  • 島田 周平
    2020 年 58 巻 p. 102-115
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
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    2019年に西部ナイジェリアのヨルバランドの5州で、ヨルバ語でヒョウを意味するアモテクンという自警団が名乗りを上げた。かつて東部ナイジェリアのエフィクやイビビオ社会で活躍した秘密結社エクペ(ヒョウを意味する)に倣ったかのようであった。

    西部5州の知事たちは、アモテクン設立にあたり北部から来たフラニ牧畜民による農民襲撃を最大の理由とした。ヨルバランドからフラニ牧畜民を排斥するという地域主義的運動に展開しかねない危険性を感じ取った連邦政府は、連邦警察以外に警察権を行使できる組織はあり得ないとする法律的理由からその設立に待ったをかけた。

    州知事が指揮権を持つアモテクンは、かつて東部の森のなかで活躍した秘密結社のヒョウではなく、連邦政府の警察権を脅かす存在として認識されることになったのである。

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