日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
選択された号の論文の211件中151~200を表示しています
ポスター発表
  • 土岐 信子
    セッションID: 1P-60
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】フードファディズムとは、食物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信じることや評価する異常な食行動である。つまり食べ物や栄養が本来持っている働きよりも、それ以上に健康効果を期待する食行動であると考えられる。このフードファディズムを測定する尺度が無かったことから、先行研究では女子学生を対象としてフードファディズム尺度の作成を行った。先行研究より時間が経過し、それ以降は尺度の見直しを行っていなかったことから、今回再び女子学生を対象として新たな尺度作成を行った。そして、その尺度を利用し、フードファディズムと精神的健康との関係を調査することを目的とした。
    【方法】女子学生を対象に2013年7月にアンケート調査を実施した。記入もれや記入ミスのあった回答を除いた242名(平均年齢19歳)を分析の対象とした。分析には、Windows版SPSS統計パッケージを使用した。
    【結果および考察】フードファディズム尺度の因子構造を明らかにするために、各項目の粗点に基づいて最尤法、プロマックス回転による因子分析を行った。その結果、健康情報の影響、食品のカロリー、食品の安全性、正しい食生活、食品への依存、トクホ、ジャンクフードの7因子27項目のフードファディズム尺度が作成された。因子には、先行研究では抽出されなかったジャンクフード、トクホなど現代の食生活に影響を与えていると考えられるものが抽出された。フードファディズムと精神的健康との関係では、食品のカロリー因子において、食品のカロリーを気にする人ほど精神的健康が低い傾向であり、正しい食生活因子については、正しい食生活を行えていない人ほど精神的健康が低い傾向であった。
  • 戸田 貞子, 宮本 一正
    セッションID: 1P-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】今日、日常食として昼弁当が幼稚園児から学生・社会人まで普及している。そこで、大学生の昼弁当の実態を調査する目的で、各自の昼弁当をスマートフォンのカメラで撮像し、ネット経由で送信してもらい、コンピュータ処理することで、色数による栄養バランスの評価や飯のエネルギー量の推定を試みた。
    【方法】当該大学の学生60名(男:5名、女:55名)に、2012/11/26~12/14の期間で2回、昼弁当を撮像(全画像データ数:116)してもらった。栄養バランスは、各画像の主食、主菜、副菜の領域を抽出し、各領域の画素数を求めた。各領域の色調は目視で6色(赤、黄、緑、茶、白、黒)から選択した。21個の弁当の実測値の飯の量W、平均深さh、比重d=1、画像計測で求めた表面積Sを用いて平均充填率εをW/(S*h*d)の平均で求め、そのεを用いて、すべての弁当に対して式W=ε*S*h*d(S:画像計測値)でWを求めエネルギー量を推定した。画像計測にはPhotoshopを用いた。
    【結果】各弁当に対して、主食、主菜、副菜の比率をx≡主菜/主食、y≡副菜/主食として求めると、弁当箱法の黄金比3:1:2を満足する弁当はx0=1/3, y0=2/3となる。(X≡x-x0, Y≡y-y0)の散布図を描くと、第4象限にデータが集中していた。すなわち、主菜が多く副菜が少ないことが認められた。また、色数から主食・主菜・副菜の組み合わせがすべてそろっている弁当の割合は、2色の時は40%、3色の時は85%、4色の時は91%と色数とともに増加傾向であった。飯のエネルギーの推定量は、重量(実測値)と画像解析から求めた表面積と弁当の高さに乗じて体積を算出し、1cm3を1gとして重量を推定し、充填率は57%用いた。その結果、主食のエネルギー推定値はおよそ250~350Kcalであった。
  • 笠原 優子, 我如古 菜月, 後藤 健一郎, 新田 陽子, 山下 広美
    セッションID: 1P-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】市販されている弁当の嗜好性や満足感を向上させる要因には、外観の良さや栄養バランスに優れていることなどがあると考える。そこで、企業と連携して既存の弁当の具材を用いて、弁当の見た目や栄養バランスを考慮した弁当(栄養バランス弁当)を開発した。本研究では、栄養バランス弁当の販売開始時からの販売数量等を調べ、既存の弁当と比較することによって、外観および栄養バランスを考慮することが消費行動にどのような影響を及ぼすか、またその消費割合に及ぼす地域差などの要因について解析した。
    【方法】弁当は、摂取エネルギーが450、550、650kcal程度となるような3種類で、栄養バランスはPFC比率を考慮した。外観については、弁当のトレー、食材を入れるカップ、盛り付け方などを考慮した。2013年8月24日から2014年1月12日までの販売実績についてのデータをもとに、月別販売数量、県別販売数量、県別販売割合などを得た。
    【結果】連携先企業で販売する弁当のうち、摂取エネルギーを約650kcalに設定した栄養バランス弁当が最も販売数量が多かった。3種類の栄養バランス弁当とも常に上位の販売数量であったことから、外観および栄養バランスを考慮することが消費行動を促進すると考えられた。中国・四国地域における販売店のうち販売数量が最も多かった地域は総社(岡山県)であった。また10月に最も多かった。また平日に比較して週末に多い傾向があった。
  • 堀  光代, 安達 愛絵, 山﨑 里佳, 綿谷 晴香, 山澤 和子, 長野 宏子
    セッションID: 2P-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】行事食の中でも正月料理の認知度は高いことが知られている。代表的な雑煮と祝い肴三種類(黒豆,数の子,田作り)の喫食状況,食材準備状況,喫食時間等について調査を行い,若年女性とその家族の正月料理の実態について把握することにした。
    【方法】2012年~2013年に短期大学に在籍する女子学生171名に対し,正月料理の雑煮と祝い肴三種について自記式アンケートを行った。アンケートは12月中旬に配布した。調査期間はそれぞれの年度の元旦から1月5日までの5日間とし,アンケートを回収後,集計を行った。
    【結果】調査対象者は18〜20歳が96%を占め,東海地方出身者は77%,10年~20年の在住期間者は73%,家族構成は二世帯が最も多く41%であった。学生の82%は正月料理作りを担当しておらず,若年女性の正月料理の準備に対する関わりが薄いことがわかった。雑煮の喫食率は元旦が最も高く82%であり,2日目,3日目と経日に伴い低下し5日目は10%であった。雑煮の内容では,東海地方の学生が多いことから,角餅を用いたすまし仕立てが86%と高い割合を示した。具材は正月菜(もち菜)のみが主であった。餅の準備状況は市販品購入が45%,餅を作る家庭は24%であった。祝い肴三種の喫食率は,黒豆61%,数の子43%,田作り39%であった。これらの準備方法は,黒豆の市販品購入は36%,手作りは45%,数の子の市販品購入は42%,手作り45%,田作りの市販品購入は38%,手作り44%であった。祝い肴三種の市販品購入と手作りの割合は,ほぼ同程度であった。雑煮の喫食時間帯は調査期間を通して午前8時がピークであり,朝食として食していることが示唆された。
  • 三宅 紀子, 青木 智絵, 瀬尾 弘子
    セッションID: 2P-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、女性の社会進出の増加、核家族化などにより、食の簡便化や食の外部化が進行するなど食生活が大きく変化し、地域・家庭の食文化が衰退しつつあると言われている。伝統的な行事や行事食については実施されなくなるものも増加している中で、これまでの調査研究において正月料理は、喫食率や認知度は高い行事食であることが報告されている。正月料理の中でも家庭で調理する割合が高いと考えられる雑煮について、実施状況と現代の家庭においてどのように継承されているのかについて明らかにすることを目的とした。
    【方法】東京家政学院大学の学生108名を対象として、2013年正月に各家庭で喫食した雑煮に関して、材料・分量、調理法および出来上がりの画像を記載してもらった。また、その雑煮がどのように伝えられたものなのかについてもあわせて調査した。
    【結果】角餅、すまし汁仕立ての雑煮がほとんど(91%)であり、具は鶏肉、大根、にんじん、みつば、里芋、かまぼこなどが多く用いられていた。各家庭の雑煮は、祖父母から伝えられたものという学生が67%であった。本学の学生は自宅からの通学者がほとんどであり、大学進学以前から首都圏に居住している学生が多いが、父母あるいは祖父母の出身地の雑煮を喫食しており、その中にはいくら、牡蠣、正月菜、打ち豆、はばのり(青のり)など各地域の特徴的な材料を用いた雑煮も認められた。しかしながら、父母の異なる出身地の雑煮を合わせたものをつくるなどという記述も複数認められた。以上の結果から、現代の家庭において、居住地域が変化しても雑煮に関する地域の食文化は、一部変化しながら世代間で継承されていると考えられた。
  • ―お正月料理の伝承を通して―
    依田 萬代, 根津 美智子, 樋口 千鶴
    セッションID: 2P-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、社会状況の大きな変化により日本の食生活が画一化され、各地の特産品を利用した郷土料理は薄れつつあり、又行事食も伝承力が薄らいでいる。そこで、今回はお正月料理を中心に伝承の現状について検討した。【方法】2009年11月~2013年11月の5年間の変化を山梨県内に存在する大学生及び保護者の合計1520名(回収率98%)を対象としてX2検定により分析した。【結果と考察】山梨県は地域性、気候風土も相まって地域に根ざした食文化を形成してきた。郷土料理のイメージとしての項目ではほうとう、地産地消、郷土愛の順であり、5年間の変化は4~5割とほうとうが最も高かった。郷土料理が減少傾向に対し、何とかしなければならないが56~75%と大幅に増加し郷土料理が減っていくことへの危機感を持ち継承の希薄化の回答も増加した。お正月料理の伝承者は6割が家族に教わり、調理時間を要す、材料の準備が大変、調理法が困難、価格が高いが示されお正月料理の工夫点としては色彩、味付け、地場産物、山梨県の特産品、栄養バランスを図る、海の物と山の物使用、盛り合わせの順であった。お正月関連行事では、七草粥やどんど焼き団子の摂取も平均で約60%と高かった。又、正月料理の作成率は65歳以上が最も高く、中でも金平牛蒡は各年齢共に70%以上の傾向が見られ、次いで雑煮餅であった。食文化の伝承には食教育の充実、産官学連携など食育活動の実践が大切である。今後も地域活性化に繋げ継続的、効果的な展開になるように取り組みたい。
  • 豆腐屋の数の変遷に関する地域比較
    高橋 洋子
    セッションID: 2P-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域で製造・販売されていた豆腐が,次第に製販分離・広域流通化していった経緯について,身近な地域(新潟)を例に検証し,報告した。本報では,他の地域との比較を通じて,豆腐の生産・流通・消費にみられる地域性に関する検討を試みた。日本家政学会第66回大会研究発表要旨集p.73(2014)
    【方法】総務省「家計調査」をもとに,豆腐の購入数量または購入金額が多い都市として盛岡・山形・福島・富山・鳥取・那覇の6市を選んだ。新潟市を加えた7市について,1960年代後半~2013年までの期間,各地の職業別電話帳に掲載されていた豆腐屋の数を10年程度の間隔で調査し,各時点各地域における人口1万人当たりの豆腐屋数を算出して比較した。また,厚生労働省「衛生行政報告例」に掲載されている豆腐製造業の営業施設数(各県1964年~,沖縄県は1973年~)について,上記7市が含まれる7県の変遷を調べた。
    【結果】 (1)職業別電話帳に掲載されていた豆腐屋の数:調査期間を通じて減少傾向がみられた.特に1967年~1985年の期間,富山市と盛岡市で急減し,富山市では人口1万人当たり3.9件→1.6件,盛岡市では同2.1件→0.9件となった。但し,那覇市については,1968年~1984年の間に同0.3件→0.7件に増加した。2013年には,7市は同0.7件~0.2件の範囲にあった。(2)「衛生行政報告例」に掲載されている豆腐製造業の営業施設数:1964年において新潟県・福島県は約2000,岩手県は約1400,山形県・富山県は約1000で,この時点で施設数が多い県は,その後の減少率が大きかった。1964年の鳥取県は約400,1973年の沖縄県は約200で,この2県はその後の変動が小さかった。2012年には,7県は260~37の範囲にあった。
  • 土屋 律子, 坂本  恵, 鐘ヶ江 あゆ美, 菊地 和美, 木下 教子, 坂本 佳菜子, 佐藤  恵, 菅原 久美子, 田中 ゆかり, 庭  ...
    セッションID: 2P-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度)「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の先行研究・資料とすることを目的に昭和30~40年頃までに北海道に定着してきた家庭・郷土料理に関する書誌情報を収集した。地域を道央、道南、道北、道東に分け、北海道のみの記載、地域の特定のないものは、「北海道」としてまとめた。今回は、これらの資料に記載されている料理の地域性、主材料、調理操作について検討したので報告する。【方法】書誌収集は、平成25年3月~12月に実施した。収集された資料は62冊、料理数は1066件であった。料理の主材料を日本食品標準成分表2010年に基づき分類、調理操作は調理方法の記載、および明らかに推定できる操作を加え分類し検討した。【結果】料理数は、道東が多く全体の30.2%(322件)、道南23.5%、道央13.3%、道北10.2%であった。「北海道」は242件で、地域の記載がない28件を含めた。主材料を見ると、魚介類が37.9%と魚種、調理法も多く、中では鮭、鰊、いかの利用が多い。鯨、ごっこ、サメの利用もみられた。次いで野菜類(14.6%)、穀類(13.4%)、いも類(12.6%)と北海道の特産物の利用が多い。地域別では道南、道央は魚介類、道北は野菜類、道東はいも、野菜類の利用が多い。穀類は道央(29.6%)が多く道南、道北と続き、道東は6.4%と少ない。調理操作では、「煮る」が31.4%と最も多く、次いで「漬ける」(18.0%)、「焼く」(10.9%)、「和える」(7.2%)の順であった。「煮る」では、鰊の三平汁、鮭の石狩鍋、「漬ける」では、鰊、ほっけの飯ずし、いかの粕漬け、松前漬けなど、「焼く」では、いか焼きやいももち、ジンギスカンなどがあげられていた。地元の食材を多種多様に調理・加工し、利用している様子を窺い知ることができた。
  • 安藤 麻理, 京野 理恵, 田部田 知香, 名倉 秀子
    セッションID: 2P-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食生活は地域の気候・風土および社会環境とのかかわりのなかで成り立ってきている.現代の食生活の合理化や画一化が進む中で,郷土の家庭料理は次世代に伝え継ぐことが困難になっていることが懸念されている.日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の一環として行った聞き書き調査から,栃木県の食生活および家庭料理について地域の特徴を得ることを目的として3地域の比較検討を行った.
    【方法】平成25年8月~12月に,栃木県の3地域としてさくら市(宇都宮市の北東に隣接する),大田原市(県北部),足利市(県南西部)を抽出し,地域に在住する高齢者(75歳以上,地域での居住年数50年以上)を対象として昭和30~40年の食生活の様子について聞き書き調査を実施した.
    【結果】3地域ともに主食は米を中心とし,小麦粉の加工品のうどんやすいとんを各家庭で作って,野菜と一緒に煮込んで食べることが多かった.また,卵,豆類(豆腐),いも類を材料にした料理は多いが,肉類や魚類の料理は少ないことが示された.いも類じゃがいもの料理は煮物が多く,地域でみると足利市では揚げ物としていもフライ(じゃがいもの天ぷら)が出現し,他の2地域にはない特徴的な調理法があげられた.足利地域と他2地域の異なる特徴的な食生活について,いなりずしには栃木県特産の干瓢を煮物にして帯のように巻かれたり,2月の初午にしもつかれを食することがされていた.このように栃木県中央よりやや北東に位置するさくら市と大田原市の食生活は類似していることが示され,県南西部の足利市は隣接する群馬県の食生活の影響が大きい事が推察された.
  • 地域と季節による差違
    川村   昭子 , 中村 喜代美, 新澤 祥恵
    セッションID: 2P-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の基礎調査として、地域的差違等を把握するため、文献に掲載されている料理・食品について検討した。【方法】『聞き書石川の食事』における地域区分(金沢、白山麓、加賀、河北、能登)を参考に、『金沢・加賀・能登四季のふるさと料理』等により、地域、季節により分類した。【結果】1)春には、金沢で押しずし、ごり料理、白山麓ではいわな料理、加賀でからしな、河北ではたにし料理、能登ではいさざ、ぼら料理があり、県全域で出現するものとしてはえびす、いわしの団子汁、いわしのぬた、山菜料理などがあげられた。 2)夏には、金沢でどじょうのかば焼き、いかの鉄砲焼き、きゅうりのあんかけが、白山麓であゆ料理、河北であずき貝、能登でとびうお(あご)料理、海ぞうめん、あじべっとの馴ずし、からもんがあり、県全域ではこぞくら、たくあんのふるさと煮、てんばな、巻きぶり、いなだがあげられた。 3)秋には、金沢でれんこん料理、さつまいも料理が、白山麓でこけ料理、堅豆腐料理ねんぐわじ、加賀では柿の葉ずし、鴨料理、しいな、きしずが、能登ではいしり料理、ふぶきだおれ、すいぜんが、県全域では大根菜めし、いとこ汁、甘えびの具足煮があげられた。 4)冬では、金沢であまさぎの昆布巻き、かわぎすが、金沢・河北で寒ぶな料理、加賀ではたはたの味噌和え、にしんなすび、干しあゆの昆布巻き、能登であいまぜ、がんず和え、さざえべし、べか鍋が、県全域ではかぶら・大根ずし、こんかいわし、ぶり・たら・かに料理があげられた。 5)車麩の卵とじ、さわらのじぶ煮などは季節を問わず食されていた。
  • 堀口 恵子, 神戸 美恵子, 阿部 雅子, 高橋 雅子, 永井 由美子, 綾部 園子
    セッションID: 2P-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】群馬県は日本の中央部に位置し、かつては養蚕業が盛んであったが、現在では兼業農家が多く、首都圏向けの農業物を生産している。この度、日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』に参加し、群馬県内5地域で調査を行ったので報告する。
    【方法】平成25年10月~26年2月に群馬県内の5地域において、各地域2名以上(60歳~80歳代、居住年数40年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い、調査の同意を得た上で、調査票に沿って対話したものを記録した。
    【結果】群馬県内全体では、昭和30年代までは現金収入としては、養蚕、水稲、麦、豆が中心であり、日常の食では、飯には押し麦を混ぜ、1日1食はうどん、おきりこみやすいとんなどの小麦粉を使った料理を食していた。内陸県のため、魚は行商から購入した干魚や缶詰、川魚を食した。野菜の煮しめ、けんちん汁、お焼き、きんぴら、まんじゅうも共通する料理である。ハレの食としては、北部のみなかみ町では、赤飯、うどん、そば、草餅のあんぴん、ぼたもち、まんじゅう、山菜の天ぷら、野菜の煮しめ、車麩の煮物、切り昆布の煮物など、赤城町では、餅、煮しめ、きんぴらなど、群馬町では、ザクニや天ぷら、赤飯、ふかしまんじゅうなど、中央部の前橋市田口では煮物、寿司、けんちん汁、ぼたもちなど、南部の太田市では、赤飯、けんちん汁、巻きずし、煮物などがあった。現在、みなかみ町や赤城町には農業環境と観光とを連携したが施設あり、地域の農産物を直売するとともに、そば打ちやこんにゃくつくりなどを体験でき、地域の家庭料理を伝える場ともなっている。
  • 川上 栄子, 高塚 千広
    セッションID: 2P-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究は、静岡県における10代から80代における行事食の実施状況を明らかにし、行事食の伝承のあり方を検証することを目的とする。
    【方法】本調査は、24項目の行事食を(1) 正月料理、(2) 五節句、(3) その他行事食として区分し、これら行事食の実施状況について、静岡県の住民に対し、無記名、自記式アンケートを用いて2013年5月から12月に調査し、三世代間における行事食の実施状況についてSPSSを用い、クラスカル・ウォリスの検定を行なった。有意水準0.05とした。
    【結果】本調査を実施したところ、1200人からの回答を得た。属性は、男性192人 (16%)、女性998人 (83.2%)、無回答10人 (0.8%)だった。回答を、10代 (563人、46.9%)、20〜30代 (308人、25.7%)、40代以降 (327人、27.2%) に区分して集計し、無回答 (2人、0.2%)は分析から除いた。出身地は、静岡県西部地区10年以上居住者が666人 (55.5%)、西部を除く静岡県内10年以上居住者が389人 (32.4%)、静岡県外居住者が127人 (10.6%)だった。家族構成は、核家族 (父母のみ)が713人 (59.4%)、三世帯 (父母・祖父母同居)が396人 (33.0%)、単身が15人 (1.2%)だった。行事食の実施状況を3世代に区分し分析した結果、(1)正月料理の7項目について各世代での実施状況には差がある。(2)五節句の人日、上巳、端午は世代間に差があり、七夕、重陽は世代間に差がない。(3)その他行事12項目すべてにおいて実施状況に差があるという結果であった。
  • 三田 有紀子, 飯田 紗代, 大島 千穂, 續 順子
    セッションID: 2P-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成21・22年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」の一環として実施したアンケートから、本研究では東海三県を中心とした通過儀礼食について、その現状と継承の実態を明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は、東海三県である愛知県、岐阜県、三重県在住の女子学生492名とその家族400名(親338名、祖父母62名)合計892名を対象にアンケート調査を実施し、回答者の属性と通過儀礼及び儀礼食の認知・喫食状況について解析した。【結果】親・祖父母世代と比べて学生世代が低い通過儀礼の認知度と経験は、自身が認識していないまたは経験がないと低値になると推察された。一方、長寿祝いでは全世代において認知度に対して経験が低かったが、家族構成別の経験率では三世代家族が二世代家族と比して有意に高値であり、祖父母世代との同居で長寿祝いの経験率が高くなることが示唆された。喫食経験は全世代において80%以上であった儀礼食がある一方、50%以下となるものも見られた。しかし、ほとんどの儀礼食において若い世代になるに連れ喫食率が低下する傾向があり、全世代において喫食率が低い料理は喫食する意識が低い料理であると推察された。また、祖父母世代に対して親世代の喫食率が高い料理もみられたことから親世代で変化した儀礼食の存在が考えられ、結納と婚礼の調理状況・食べ方では祖父母世代と親世代の間で相違が認められた。以上の結果より、通過儀礼は認知度が高いため、学生世代で低値となった経験も年齢とともに上昇すると考えらえる。しかし、食事の内容や調理状況・食べ方には世代の違いが明らかであり、その要因として時代による食生活の変化が挙げられることから今後も変化し続けると推測される。
  • 島村 知歩, 太田 暁子, 喜多野 宣子, 志垣 瞳, 冨岡 典子, 三浦 さつき
    セッションID: 2P-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、伝統的な行事食が親から子へ伝承されない傾向にあるといわれる中、奈良県における年中行事の認知と経験、それに関連する行事食の状況について、学生世代、親世代、祖父母世代の三世代間で比較を行い、世代間での伝承状況についての現状を把握することを目的とした。
    【方法】平成21~23年度日本調理科学会特別研究で実施した「調理文化の地域性と調理科学:行事食と儀礼食」の全国統一様式の調査票により、大学生およびその家族にアンケート調査を実施した。そのうち、奈良県内で10年以上居住経験のある子世代(10・20歳代)150名と親世代(40・50歳代)114名、祖父母世代(60歳以上)32名について、調査項目17行事の年中行事の認知度、経験、行事食の経験、調理状況について検討を行った。
    【結果】17行事中、11行事はいずれの世代も認知度85%以上と高かったが、春分・秋分の日、春・秋祭り、重陽の節句の認知度は低く、世代間で違いがあった。80%以上が経験している行事は、祖父母10行事、親9行事、子は正月、クリスマス、大晦日、節分、上巳の5行事と少なかった。祖父母と親の行事の経験率は似ているが、重陽の節句と春祭りの経験は祖父母(21.9%・37.5%)親(9.6%・14.9%)子(5.3%・15.3%)と親は子に近かった。行事食では3世代共に90%以上が経験している料理は正月の雑煮・黒豆・かまぼこ、クリスマスケーキと年越しそばであった。行事食も祖父母と親の喫食経験は似ているが節分の炒り豆、月見だんご、冬至の南瓜は世代間に差がみられた。春祭り・秋祭りの行事食は祖父母でも約30%と経験は低く、親・子は約10%とさらに低かった。
  • 坂本 裕子, 桐村 ます美, 河野 篤子, 湯川 夏子, 米田 泰子
    セッションID: 2P-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成21,22年度日本調理科学会特別研究で「行事食・通過儀礼食」の全国調査をおこない、京都府において行事や儀礼の認知度や経験度、またそれらに関わる食の喫食状況について世代間や地域差の検討をおこない報告した。またハレの食事にかかせない赤飯・餅・寿司・団子について調べ、行事食・通過儀礼食における米の利用状況の違いを明らかにした。今回はこれまでの結果をふまえ、行事や通過儀礼における家庭での食の調理状況や入手方法の解析から、行事食・通過儀礼食の伝承について比較検討することを目的とした。
    【方法】平成21年12月~22年3月に日本調理科学会特別研究の全国統一様式の質問用紙を用い留置法で調査を実施した。10年以上京都府に在住する者を調査対象とし、行事食では調理状況や食べ方について以前と現在の状況、子世代(10・20歳代)191名と親世代(40・50歳代)115名について世代間の比較をおこなった。また京都市内とその南北で地域差がみられるため地域の状況も比較検討した。
    【結果】両世代で「家庭で作る」と答えた者の割合が高いものは、雑煮、七草粥、上巳の寿司、冬至のかぼちゃ、年越しそばであった。以前と現在の入手方法をみると、「家庭で作る」から「買う」への増加がみられるものがある一方で、差がないもの、減少する割合に比べ「買う」の増加がわずかのものがみられ、全体に喫食自体が減る中、調理技術の伝承が難しい傾向がうかがわれた。行事食、通過儀礼食ともに最も「家庭で作る」割合が高い傾向にあるのは北部地域であったが、3地域ともに現在は「家庭で作る」割合が減少傾向にある。三世代同居家庭の方が認知度、経験度が高い結果にあったが、核家族化の進行もありさらに次世代へ伝承されにくい状況が進むと考えられる。
  • 青山 佐喜子, 橘 ゆかり, 三浦 加代子, 川原﨑 淑子
    セッションID: 2P-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成21・22年度日本調理科学会特別研究の「行事食・通過儀礼」について和歌山県の結果を平成22年度大会から発表してきた。本年度は「行事食」の調理状況のうち特に「家庭で作る」、「買う」に着目して料理ごとの手作り度と購入度を検討し、行事食の継承と調理状況の関連について明らかにすることを目的とした。
    【方法】平成21・22年度日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いた。調査は調査に同意した大学生・短大生の保護者、食生活改善推進協議会会員や食育関係団体会員、地域の研修会に参加した一般市民で和歌山県に10年以上在住している人を対象にし、中年層(40・50歳代)240名:М群と高齢者層(60歳以上)264名:О群の年代に分けてSPSS(Ver.20)でχ2検定を行った。
    【結果】行事を経験し、行事食を食べた経験が90%以上の料理におけるМ群とО群の手作り度と購入度を比較した。正月料理は雑煮以外のお節料理(黒豆・数の子・なます)でО群のほうが手作り度が有意に高く、(黒豆・数の子・煮しめ・なます)でМ群の購入度が有意に高く、またクリスマスのケーキも購入度が高いことが認められた。行事と行事食の経験が80%以上の場合も同様の傾向が認められ、節分の炒り豆、巻きずしのМ群の購入度が有意に高かった。行事と行事食の経験が低くなるほど(50~80%)М群のほうがО群より購入度が高い傾向がみられた。さらに両群ともに各行事食の以前の調理状況と比べ、手作り度が低くなっていることから食の外部化が行事食にまで及んでいることが示唆された。
  • 坂本 薫, 片寄 眞木子, 田中 紀子, 富永 しのぶ, 原 知子, 本多 佐知子, 升井 洋至
    セッションID: 2P-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近畿は伝統と確信の共存する地域である。これまで、行事食や儀礼食の認知度や経験度に世代間格差があることを明らかにしてきたが、近畿の中での比較において、兵庫県と大阪府には若者(学生)の認知・経験が他府県よりも低い傾向が認められた。そこで、兵庫県における年中行事食と通過儀礼食の認知と経験について、全国の状況と比較することによって、兵庫県の若者の行事食・儀礼食についての特徴を明らかにすることを目的として検討を行った。
    【方法】「平成21・22年度日本調理科学会特別研究」として実施した全国調査の結果について、兵庫県の若者(20歳未満・20歳代)379人と一般(30歳代以上)268人の調査結果を全国24,858人の調査結果と比較検討することにより、兵庫県の若者の傾向について検討した。
    【結果】年中行事については、兵庫県の若者では17行事中15行事で全国の若者より認知度が低いのに対し、一般では春祭り以外すべて認知度が高かった。年中行事の経験、通過儀礼食の認知・経験においても同様の結果となった。一般は全国よりも認知・経験度がほとんどの項目で高いが、若者は全国よりも低い項目が多く、世代による差が大きいことが兵庫県の大きな特徴であることがわかった。若者において、兵庫県が全国と比較して特に認知・経験が低かった行事は春分、秋分であり、全国と10%以上の差があった。通過儀礼ではお七夜が若者において最も全国との差が大きく、ついで法事であった。近畿は寺院の数が多い地域ではあるが、兵庫県の若者にとって法事は身近でないと考えられた。
  • 松島 文子, 板倉 一枝, 原 奈津子
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日本調理科学会平成24~25年度特別研究として,鳥取県の各地域に見られる伝統的な郷土料理や特徴ある料理について,聞き書き調査を通して次世代へ伝え継ぐ家庭料理をその暮らしの背景とともに記録することにより,家庭料理の基礎研究を深め,次世代へ伝え継ぐ資料となり得る意義ある研究とする。
    【方法】 家庭料理の地域性や特徴について,刊行資料や先行研究の収集を行い予備調査した。聞き書き調査地域として,鳥取(鳥取市),八頭(八頭郡・鳥取市用瀬町),倉吉(倉吉市),米子(境港市)の4地域を選定した。調査対象者は,その地に30年以上居住する60歳代,70歳代以上で家庭の食事作りに携わってきた人14名であった。調査内容は,各地域の自然環境の中から育まれた食材を中心に用いた日常食または行事食など,昭和30~40年頃までに定着していた料理について歴史的な由来,食材,調理法などを聞き書きした。
    【結果】 鳥取県には様々な食文化が見られ,地域の気候風土や歴史に根ざした伝統料理が数多く存在していた。米の補食としてさつま芋やおやきを食する食文化が認められ,どじょう,たにし,鶏,うさぎなどもたんぱく質源として食されていた。伝え継ぎたい料理のうち地域間に共通性が認められた料理には,ぼたもち,おこわ,小豆ご飯,小豆雑煮,かきもちなどがあった。地域特性が見られる料理として,鳥取地域のそら豆のこふき,豆ようかん,あごのつみれ汁,かに汁,かま焼き,八頭地域の柿の葉ずし,混ぜご飯,倉吉地域のこも豆腐,いぎす,いわし団子,きんちん,米子地域のいただき,いもぼた,うちご団子,ごず料理など特有の食文化を背景とする伝統的郷土食が認められた。
  • -島根県アンケート・聞き書き調査からみえたもの-
    石田(坂根) 千津恵, 藤江 未沙
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】伝統的な郷土の家庭料理が次世代へ伝え継がれることを目指し、日本調理科学会の平成24~25年度特別研究の一環として、島根県における家庭料理の継承の現状把握と地域住民が伝え継ぎたいと考えている料理を調べることを目的にアンケート調査および聞き書き調査を行った。
    【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」島根県アンケートおよび聞き書き調査を実施した。調査期間は平成25年9月から平成26年1月であった。アンケートは島根県在住の一般男女20~80歳代の計90名を対象に自記式アンケート調査を行い、聞き書き調査は日本調理科学会のガイドラインに従い島根県で生まれ育ち、その地域で30年以上居住している40~80歳代の女性13名を対象に現地に赴き調査を行った。
    【結果】アンケート調査より、「作ったことがある料理」としてしじみの味噌汁、赤貝を用いたのっぺ汁や赤貝ご飯の他に、ちまきや雑煮などの行事食が上位10品に挙がった。ちまきは端午の節句に作られる料理で、平成22年度の「年中行事食」の調査結果からも認知度が高いことが報告されており、実際に多くの人が作っていることが明らかとなった。しかし、雑煮や赤貝料理は60~70歳代では約8割が作ったことがあると回答した一方で、特に20歳代では約2割しか作った経験がなく20歳代と60~70歳代との回答結果には有意な差が認められた。聞き書き調査では、「昔は作っていた」と半数以上の人が回答した料理は、島根県西部5品(のべだんご、芋だんご、ぬり餅、こうせん、おまん寿司)、東部7品(クジラ汁、七草粥、松茸ご飯、こうせん、ゴズ・セイゴの干物、ふき餅)であった。
  • 藤堂 雅恵, 藤井 わか子
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域に伝わる伝承料理は,その地域に根付いた産物を使い,地域独自の調理方法で作られ,地域で広く伝承されている地域固有の料理であると考えるが,県北部地域の伝承料理には海から離れた山間盆地でありながら雑煮にスルメを使うなど海からの魚介類を使用したものがある。岡山県では室町時代より鉄道が通じるまで,高瀬舟が南北をつなぐ交通路として重要な役割を果たしており,昨年,高瀬舟による流通と魚介類を使った伝承料理との関連が示唆されることを報告した。県北部地域において海産物を使った伝承料理には,食材の流通が強く関係しているのではないかと考え,本研究では海産物の流通(水路と陸路)と県北部の各地域で伝承されている料理とその食材との関連を調べた。
    【方法】文献調査で行った。岡山県内の水路と陸路による食材の流通に関しては歴史に関する書物45冊,伝承料理は県北部地域の料理に関する書物27冊を対象とし,それぞれ文献の料理や食材をExcel上にデータ化した。陸路,水路による流通と県北部地域の伝承料理との関連性を検討し,県北部地域を4つの地域で分けてその特徴をみた。
    【結果】海産物は,出雲街道をほぼ境にして,街道よりも北側は山陰からの陸路によって,南側は高瀬舟による水路によって運ばれていたと考えられる。地域で発行された料理に関する文献から,県北部地域の伝承料理には様々な海産物が使われており,サバは秋祭りのサバ寿司,ブリやスルメは正月の雑煮に,イワシは大晦日と,ハレの食事や行事食として使われていることが分かった。魚の流通と伝承料理との関連をみたところ,サバ,イワシ,スルメ,ブリを使った伝承料理については流通との関連がみられ,地域差があった。
  • 藤井 わか子, 藤堂  雅恵
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】岡山県北に位置する美作地域は2013年で美作国建国1300年を迎えた。それを記念し,未来へ伝えよう「美作の食とこころ」再発見事業が岡山県美作県民局健康福祉課の実行委員会主催の事業として1300人アンケートが実施された。心に残る美作の味,行事食,郷土料理や特産物そして家族のエピソード,美作地域の人々に地域の食文化や思い出の味を聞くことにより,美作地域の優れた食文化や食とともに育ててきた家の絆,地域の絆,思いやりの心を見直し,子供や子育て世代に伝えていくことを目的とした。 【調査方法】対象は美作県民局管内10市町村の高校生以上の住民1800人,回収率58%である。期間は平成24年12月3日~平成25年2月28日,方法は高校,大学,商工会,市町村の各団体を通じて地域住民に配布,自記式とした。【結果および考察】美作地域で行事食,記念日に作る料理は祝い時に作るお赤飯,お寿司(ちらし,いなり寿司,巻き寿司)である。祭りの時にはさば寿司を作る家庭が多い。元気が出る,印象に残っている料理は,カレーライスで年齢別でもすべてで挙がった。特産物をみると,野菜で大根,果物でぶどう,桃,梨,柿など、また黒豆が美作地域では特産物として定着している。郷土料理は,蒜山おこわ,さば寿司,ととろ汁などが挙げられ,美作地域内でも地域差が見られた。 他の地域から来た方が,初めて食べたもしくは印象に残った料理はぶり雑煮やするめのだしである雑煮で他の地域には見られない美作地域の特徴と考える。各エピソードから各地域の料理が代々受け継がれる家族の味になっていることがわかる。 私たちは美作地域を担う次世代のために,これらの料理や特産物などを未来の子どもたちにしっかりと残していくことが大切と考える。
  • 植田 和美, 渡邊 幾子
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】全国各地に、様々な「いももち」が郷土食として存在する。徳島県では、秋の収穫を神に感謝するお亥の子さんや正月などのハレの日に「いももち」が使われてきた。もち米で作るもちに蒸したさつまいもを混ぜてつき、小豆あんをくるんできな粉をまぶしたものがポピュラーな徳島県の「いももち」である。しかし、地域や時代により変化が見られ、近年ではもち米の代わりに米粉(もち粉、上用粉、だんご粉)を使って作られるようになった。そこで、本学学生を対象として「いももち」の喫食経験、認知度や意識についてアンケート調査を実施するとともに、米粉の種類による特徴や嗜好性の差異について検討した。【方法】アンケート調査では138名から回答を得たが、このうち徳島県在住者110名を集計対象とした。集計方法は「Excel アンケート太閤」を用い単純集計、クロス集計および解析を行った。また、市販「いももち」の性状測定を行うとともに、もち粉と米粉(うるち米)を使った「いももち」を調製し、性状測定および官能評価を実施して両者の比較を行った。【結果】徳島県在住者の45.5%が「いももち」を知らず、喫食経験もなかった。知っている人の78.3%は、さつまいもともち(粉も含む)の生地であんを包み、きな粉をまぶして作る「いももち」であった。「いももち」の調達方法では、スーパーマーケットで購入するが最も多く、いただき物、家で作ると続いていた。「いももち」という食文化の継承がされていないと推察された。また、市販「いももち」では、もち米ではなく米粉が使われていた。もち粉と米粉(うるち米)を使って調製した「いももち」の比較を行った結果、両者に有意な差は見られなかった。
  • -徳島県の聞き書き調査から-
    高橋 啓子, 後藤 月江, 三木 章江, 金丸 芳, 長尾 久美子, 近藤 美樹, 松下 純子
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】平成25年度特別研究により、地域の家庭料理を知る基礎研究とし、次世代へ伝え継ぐ資料として家庭や教育現場で利用されることを目的に徳島県における調査を実施した。【方法】徳島県を地域性で6地区(県南沿岸部、県南山間部、県中央部、県北部、吉野川北岸、県西部)に分類し、聞き書き調査を行った。今回は県北部を除く5地区(8地域)において出現した料理について、地域の特徴と違いを明らかにした。【結果】各地域でもっとも多く出た料理は多種類の寿司である。ちらし寿司は五目寿司(県中央部)、かき混ぜ(県南部)、混ぜ寿司(県西部)と呼び名が異なり、県南沿岸の宍喰では底豆(落花生)、県南部ではひじき、吉野川北岸と県西部では金時豆を用いる。魚の寿司には姿寿司、押し寿司、にぎり寿司がある。宍喰のひっつけは漬けにした魚のにぎり寿司で、一合寿司はかきまぜを四角の型で押し、かざりをした寿司である。美波町では酢飯と具材を交互に重ねた押し寿司がある。山間部のかたぬきはほぐした焼き魚や具材を酢飯と箱に入れて蒸した寿司である。魚を酢ではぜさせて作る姿寿司は、県南沿岸部では鰺、ぼうぜ、鮎、ひめち、あめご、鯛、鯖、さんま、かますなど多種類の魚を、県中央部や県西部では鯵、鯖、鯛などを用いる。芋料理も多く、生干しや茹で干しを作り、小豆と煮たり、甘辛く煮ておやつにする。出世芋(沿岸)は丸太のサツマイモを小豆餡でくるんだ菓子である。ひな祭りにういろ、端午の節句に柏餅が食される。米粉だけでなくトウモロコシやサツマイモのだんご(山間)、小麦粉のだんご(吉野川北岸)などが日常的に食される。半ごろし、柿の餅(山間)、おいのこ(吉野川北岸)、ようかんなど地域独特の餅菓子がある。
  • 西澤 千惠子, 麻生 愛子, 室屋 かおり, 立松 洋子, 篠原 壽子
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大分県は東側が海に、西側は山に囲まれている。かつては小藩分立で山を境に細かく分断され、それぞれの地域には独特の食文化があった。本研究では、県北部の山間地における昭和30~40年代の食生活の特徴を調べた。
    【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査方法に従い、大分県北部山地の西と東に位置する中津市耶馬渓と宇佐市院内を調査対象地域とした。現在の行政区は異なるが、生活環境は類似している地域である。
    【結果と考察】農業を主とし、米、麦、野菜、果実などを生産し、家では鶏、山羊や鯉を飼い、川からどじょう、鯉、ふな、ニジマスやしじみ、獲れる量は多くないがスッポンを捕っていた。また山に行き山菜を収穫していた。鯨肉や魚介は宇佐市長洲から行商に来ていたものを時々購入する程度であった。調味料の味噌やしょうゆ、菜種油は家で作り、甘味料は柿の他に、くず米を利用した甘酒や水あめを作っていた。豆腐も手作りであった。これらの中で、野菜や山菜など乾燥できるものは乾燥させ、野菜は漬物にして冬に備えた。換金できるものは換金し、できないものを消費していた。自給自足を原則として、不足している物だけを購入するという生活である。ハレの日の料理である物相寿司、よしのみ、みとりおこわ、がん汁、かたぎの実のイギスなどは、この地方独特の料理である。
  • 森中 房枝, 浮中 菜々子
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】鹿児島では法事菓子の主役として高麗餅を使用することが多い。「これがし」とか「これもち」と呼び,小豆餡と米の粉こね合わせた蒸し菓子である。高麗餅が鹿児島に伝わったのは,慶長3年(1598年)朝鮮の役により,豊臣秀吉の命を受けて出兵した島津義弘が,李朝の陶工たちを南原(ナモン)から捕虜として連れ帰った折に一緒に伝えたとされている。鹿児島県鹿屋市笠之原地域では,この高麗餅を「シロ」と呼び,地域の玉山宮では祭事や行事の際に高麗餅「シロ」を奉納し「餅返し」の儀式を行っていた。同様に薩摩焼窯元日置市東市来町美山でも,高麗餅を作っていたという記録が残されている。鹿児島における高麗餅の歴史・文化を探る糸口にする目的で調査を行った。
    【方法】鹿屋市笠之原地域玉山宮に伝わる口伝を川本家が書き留めた「玉山宮由来記」を中心に,「シロ」の作り方の再現,聞き取り調査を行った。薩摩焼14代陶工沈壽官氏からの聞き取り調査,司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」文藝春秋1986,南日本新聞社著「かごしまの味」春苑堂1969,全鎮植・鄭大聲編著「朝鮮料理全集―6餅・菓子・飲料」柴田書店1986から高麗餅の由来や歴史的背景を探り,「シロ」との比較を試みた。
    【結果】韓国の伝統菓子「パッシルトッ」と鹿屋市笠之原の玉山宮に代々伝えられてきた高麗餅「シロ」を再現し比較してみると,類似性が多く美山の記録も同様であった。南原から連れてこられた陶工たちは串木野の島平に上陸後,東市来町美山に移り住み,一部は時を経て笠之原に移住している。ここには陶土がなく陶芸文化は廃れたが,望郷の為に「玉山宮」を建立し,高麗餅を作って「餅返し」儀式を伝えたことが推察される。
  • 豚肉料理
    森山 克子, 田原 美和, 我那覇 ゆりか
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の取組として、沖縄本島中南部の3地域に焦点をあて、昭和30年から40年頃までに定着した料理のうち伝承したい家庭料理について聞き書き調査を行った。その中でも今回は、「豚肉」を用いた料理について検討した結果を報告する。
    【方法】調査地域は、沖縄県中部の読谷村宇座、沖縄市登川、沖縄県南部の那覇市与儀、以上の3地域とした。調査は、読谷村2名(83、85歳)、沖縄市3名(70歳~74歳)、那覇市3名(71~78歳)を対象とし、昭和30年から40年頃までに定着した家庭料理および伝承したい家庭料理について、その料理名、食材、調理・加工法などを聞き書きした。
    【結果】沖縄は第二次大戦前から戦後しばらくは各戸で豚を養うことが一般的で、年末には豚を屠り、塩漬けにして保存し行事等の際に用いていた。実際に「聞き書き 沖縄の食事」では県内のどの地域においても豚肉料理の記載はみられる。今回、聞き書き調査を行った読谷村宇座、沖縄市登川、那覇市与儀で共通に伝承したい豚肉料理はナカミ汁、ソーキ骨(豚あばら肉)汁、イナムドゥチ、スーチカー(塩漬け豚肉)、アシティビチ(豚足)、クファジュージ―等であった。冷蔵庫のない時代のスーチカーは長期保存のために大量の塩分を用いていた。現在は、健康志向も相まって以前より塩分の使用量は減少している。近年の沖縄県は、全国平均寿命順位の転落や全国一位の肥満率など健康問題が深刻であることから、単なる豚肉料理の伝承ではなく、先人の残した「茹でこぼしや長時間の煮炊きにて脂質を取り除く」という、健康的な沖縄独特の調理法を伝承すべきと考える。
  • サツマイモ、タイモ、ヤマイモの料理
    我那覇 ゆりか, 田原 美和, 森山 克子
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】沖縄は四方を海に囲まれた島嶼県であり、亜熱帯の気候風土のなかで育まれた地域の食材を用いた日常食、行事食は日本本土とは異なるものも多い。今回は、沖縄本島中南部の3地域に焦点をあてて聞き書き調査を行い、「芋」を用いた料理を中心に次世代に伝え継ぎたい家庭料理を検討した。
    【方法】本調査は、日本調理科学会特別研究に基づき行った。調査地域は、沖縄県中部の読谷村宇座、沖縄市登川、沖縄県南部の那覇市与儀、以上の3地域とした。読谷村2名(83、85歳)、沖縄市3名(70歳~74歳)、那覇市3名(71~78歳)を対象とし、昭和30年から40年頃までに定着した家庭料理および伝承したい家庭料理について、その料理名、食材、調理・加工法などを聞き書きした。
    【結果】沖縄は第二次大戦後しばらくはンム(甘藷)を主食としていた。当時は、シンメー鍋(大きな鍋)で大量に水煮・蒸煮し、スクガラス(アイゴの稚魚)の塩漬けや味噌汁、豆腐汁などの少ないおかずとたくさんのンムを食べた。また、ンムを季節の野菜と一緒に味噌汁に入れたり、ンムクジ(澱粉)にして保存性を高め、ンムクジを用いた料理を作り日常的に食した。ターンム(田芋)は高級食材であり行事や御祝いの際に食べた。沖縄市では、ヤマンム(山芋)がよく採れたため、塩茹でにしたり、スーチカー(塩漬け豚肉)と炒めて食べた。今回、聞き書き調査を行った読谷村宇座、沖縄市登川、那覇市与儀で共通に伝承したい芋料理はンムクジブットゥルー、田芋でんがく、ドゥルワカシー等であった。
  • パンとの組み合わせ
    谷澤 容子, 宇都宮 由佳, 松本 美鈴, 福永 淑子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】タンパク質を多く含む食品の調理に注目し,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアにおける食生活の国際比較を行うことにより,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明する。本発表ではパン(ピザ・中華饅頭・パンケーキ・ラスク等)と組み合わせた食事におけるタンパク質を多く含む食品の利用状況を検討する。
    【方法】調査は,2011年5月~12月に関東地域の136名,2011年11月~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月および2014年1月~2月にフランスストラスブール居住の141名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した。内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.アンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計,カイ二乗検定などを行った。
    【結果】パンとともに摂取したタンパク質を多く含む食品の料理の出現率は,日本15.5%,台湾21.9%,タイ7.6%に対し,フランス+イタリア54.0%であった。乳製品はパン食での摂取が高く,それぞれの国のパン食におけるタンパク質食品の料理の乳製品は,フランス+イタリア(66%)ではチーズが最も多く,牛乳・ヨーグルトは加熱なしや飲料として出現していた。タイ(62%),日本(40%),台湾(39%)も牛乳を飲料として出現していた。多くの国では,乳製品に次いで肉料理が出現しており,肉の加工品が出現していた。一方,台湾は肉料理(48%),卵料理(42%)が多く,豚肉,卵を焼く料理として出現していた。(本研究は2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団助成を受けた)
  • 麺類との組み合わせ
    宇都宮 由佳, 谷澤 容子, 松本 美鈴, 福永 淑子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究は,タンパク質を多く含む食品の調理に注目して,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアの食生活の国際比較をし,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明することを試みるものである.本発表では,タンパク質を多く含む食品の日常食における利用状況を麺類との組み合わせについて国際比較をする.
    【方法】調査は,2011年5~12月に関東地域の136名,2011年11~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月および2014年1~2月にフランスストラスブール居住の107名+34名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した.内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.解析には,統計用ソフトSPSSを用い,クロス集計,カイ二乗検定などを行った.
    【結果】麺類と組み合わせたタンパク質を多く含む食品の料理の出現率は,日本9.2%,台湾15.0%,タイ27.9%,フランス+イタリア(欧州)14.3%であり,タイが最も高かった.麺類は,各地域共通して肉類との組み合わせ比率が高い.次いで日本では魚介類,台湾・タイでは卵類との組み合わせが見られた.欧州は,乳製品「加熱無」との組み合わせ高く,他の地域比べ有意に高かった.日本,タイでは,ちゃんぽん,ラーメン,クエティオ(米麺)など汁物として,台湾は和え麺,牛肉麺など汁無麺で茹でる調理法で摂取されていた.(本研究は2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている)
  • 粒食との組み合わせ
    松本 美鈴, 宇都宮 由佳, 谷澤 容子, 福永 淑子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】タンパク質を多く含む食品の調理に注目し,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアにおける食生活の国際比較を行うことにより,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明する。本発表では,飯や粥などの粒食と組み合わせた食事におけるタンパク質を多く含む食品の日常食における利用状況を検討する。
    【方法】調査は,2011年5月~12月に関東地域の136名,2011年11月~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月および2014年1月~2月にフランスストラスブール居住の141名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した.内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.アンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計,カイ二乗検定などを行った.
    【結果】飯や粥などの粒食と組み合わせた食事におけるタンパク質を多く含む食品の料理の出現率は,日本65.9%,台湾49.7%,タイ63.1%,フランス+イタリア10.9%であり,日本とタイで高かった。日本は大豆製品,魚介類,タイは肉類,卵,フランス+イタリアは乳製品を粒食と組み合わせる割合が高かった。いずれの地域でも肉類を用いた料理の出現数が多く,日本は加工品,牛肉,挽肉,台湾とタイは豚肉,フランス+イタリアはその他の肉,加工品,牛肉の割合が高かった。また,肉の調理法は,日本は焼く,台湾は煮る,タイは炒める,フランス+イタリアは蒸す,焼く割合が高かった。(本研究は,2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている。)
  • -市販鍋つゆの素に着目した鍋料理にみられる相違-
    劉 爽, 秋永 優子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】中国と日本とは,関係深い隣国であり,文化がお互いに影響しているが,食文化には様々な相違も見られる。本研究は,現代の家庭の日常食における料理の味付けの違いを把握することを目的とした。調理法が単純で,両国で似ており,種類も比較的少ないことから鍋料理を対象をとした。
    【方法】家庭でよく食べられている中国の火鍋,日本の寄せ鍋について比較することとし,両国で近年利用の高まっている市販の鍋つゆの素を用いた。品質表示に記載されている原材料を分類して比較した。
    【結果】原材料は,調味等に関わる役割別に,「調味関係」「旨味関係」「香り関係」「辛味関係」「その他」の5項目に分類した。中国の鍋の場合「香り関係」の原材料が多く含まれ,「辛味関係」を多く含むものもみられた。それに対して日本の鍋では「香り関係」の原材料はほとんど使われておらず,「調味関係」の使用が多かった。「旨味関係」については,中国,日本ともに,比較的よく使用されていた。
  • 福田 靖子, 夏秋 啓子, 武田 珠美
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ゴマは人類農耕文化発祥地(BC4000年頃)の一つアフリカサバンナを起源とし、西アジアから東アジアへさらに世界各地に伝播した油料作物である。1993年実施の世界252ヶ国の質問紙調査で、ゴマが世界中で使用され、調理法には地域性があることを明らかにした。今回はゴマを焙煎しないで利用する発祥地周辺から深く焙煎する東アジアに至る地域の、ゴマの言語表記および利用形態を比較することによりゴマの焙煎食文化地域を明らかにするとともに、既存の食文化からゴマ焙煎の成立要因を探索することを目的とした。
    【方法】東京農大国際農業開発学科の元留学生で各国の農業開発リーダーなど16名にメールによる質問紙調査を2013年9月に実施した。質問は「ゴマ」の言語、ゴマ種皮の色、焙煎の有無、加熱法およびゴマ油に関して等とした。既存の食文化は文献調査によった。
    【結果】ウガンダ、タンザニア、ジンバブエ、トルコ、シリア、イラン、アフガニスタン、パキスタン、ネパールおよびフィリピンの回答を得た。ゴマの言語表記は、既知のギリシャ語sesame系やサンスクリット語 tahina系とは異なる数語が見出された。ゴマ種皮の色は、アフガニスタン以東で黒ゴマが加わり、ゴマの伝播経路は複雑であることが推定された。ゴマの焙煎はほとんどの地域で行われていたが、東アジアとは異なり、加熱はオーブンで温める程度であり、ゴマらしい香を付与しない焙煎であると考えられた。シリアなど西アジアではゴマ油は使われず、ペースト製品(タヒーナ)が現在も主要であった。言語表記では公用語以外の原住民言語も併記されており、アフリカ、西アジア原住民の食文化にゴマが日常的に利用されていると推定された。その食文化の深層は今後の課題としたい。
  • 大仁田 あずさ, 大渡 さくら, 楊 萍, 入来 寛, 三成 由美, 徳井 教孝
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】中医学を基本とした薬膳は、個々人に対応した食事を基本として実践され、淘汰され継承されてきた。そこで、管理栄養士が日本人の健康寿命延伸を目指した食育推進をする上でこの薬膳の考え方を取り入れることを目的に薬膳食材を整理した。【方法】中薬大辞典(上海科学技術出版社 小学館編(1998))により病気の予防や健康増進に寄与する薬膳食材について整理した。1)薬膳食材を19種の作用別(解表・清熱・散寒・瀉下・利水滲湿・理気・活血化瘀・化痰・止咳平喘・消食・袪暑・袪風除湿・補気・補血・補陽・補陰・安神・収渋・平肝熄風)に整理、2)整理した薬膳食材を五味、五性、帰経で整理。【結果】薬膳食材5767品中、501品を整理した。薬膳食材は、解表26品、清熱109品、散寒30品、瀉下13品、利水滲湿53品、理気119品、活血化瘀68品、化痰60品、止咳平喘18品、消食50品、袪暑8品、袪風除湿34品、補気52品、補血26品、補陽23品、補陰41品、安神9品、収渋5品、そして平肝熄風15品であった。五味で甘味の占める割合が50%以上を占める薬膳食材は、瀉下60%、利水滲湿55%、消食52%、補気77%、補血51%、補陰62%であった。五性で温の占める割合が50%以上は、散寒67%、理気58%、袪風除湿50%、補陽64%であった。帰経の五臓では脾が、六腑では胃が占める割合が高かった。19種の薬膳食材別に見ると、特に中焦を温め脾胃を運化させ寒を除き、痛みを止める作用を示す散寒の薬膳食材は辛味、温・熱性に属する韮菜(ニラ)、胡椒、芥子(セイヨウトウガラシ)、小蒜(ヒメニンニク)などがある。【考察】今回、整理した薬膳食材は個々人の体質に合わせて、持続・継続して、日常の献立や食育に取り入れることで健康増進に寄与できるのではないかと考えられる。なお、整理した薬膳食材については、科学的根拠を示すことが重要であるため、さらに研究を進めていきたい。
  • 山坂 友貴子, 上田 恭己, 藤江 未沙, 山田 正樹, 伊藤 典子
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】外食産業の拡大及びライフスタイルの多様化により、我々日本人を取り巻く食環境は急激に変化している。そのような中で古代から脈々と受け継がれた「食文化」を継承していくことは日本人のアイデンティティー保存の観点からもその有用性は高いものと考えられる。特に食文化の継承者である調理師の卵が、古代の食について学ぶことの重要性は極めて高いと考えられる。そこで、調理師科の学生を対象に古代の乳製品である「蘇」の復元の調理実習を行い、古代食の復元が調理師科の学生にもたらす教育的効果について検討することを目的とする。
    【方法】延喜式に記述されている「蘇を作るの法、乳大1斗を煎じ、蘇大1升を得」という文をもとに、牛乳2ℓを10分の1になるまで煮詰めて出来上がった物を蘇の復元物とした。蘇の復元実習終了後、参加した学生を対象に、アンケート調査を実施した。
    【結果】調理実習後のアンケート結果では、約9割の学生が「古代食の復元を行ったことで食に対する見方、考え方が変わった」と解答した。また、約5割の学生より古代から現代への調理法の変遷や、食文化構築の過程への関心の高まりが認められた。「古代食復元」の体験により学生の興味を喚起することで、自発的な学習を促し、調理師を目指す上で必要な調理技術習得の一助となる可能性が示唆された。
  • 島村 綾, 大 雅世, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 鶏卵は、機能性の高い身近な食材である。卵殻は一般家庭においては食用として使用されることはないが、主な構成成分である炭酸カルシウムは多孔質な構造であり、人の胃酸にも溶けやすく、体内への消化吸収において優れた物質である。このため、カルシウム剤として利用がなされている。企業では、食感向上の目的で、ケーキやクッキー、揚げ衣のフライ、かまぼこなどの水産練り製品や畜産加工品など多方面に利用されている。著者らは揚げ衣に卵殻粉を使用し、食感改良の効果を報告した。前報では、パウンドケーキの応用を試みた。本研究では、米粉パウンドケーキを調製し、その品質を検討した。
    【方法】米粉パウンドケーキは、米粉(群馬製粉、リファーヌ)、グラニュー糖(三井製糖株式会社)、バター(よつ葉無塩バター)、鶏卵を各100g使用し、BP(共立食品株式会社)は粉の2.8%を用いた。卵殻粉は、カルホープ(キユーピー株式会社)を用い、粉の0.5%、1.0%添加(内割)した。オールインミックス法で作成し、オーブンで160℃、30分加熱した。焼き上がった試料は、1日室温保管し、その体積、重量、色、テクスチャー、官能評価を測定した。
    【結果】卵殻粉を入れた米粉ケーキの体積・重量および比体積は、無添加試料と同等であった。卵殻粉を添加したケーキのかたさは固くなり、凝集性は違いが少なかった。また、ケーキの色は卵殻添加の有無に関わらず、変化は見られなかった。
  • 大門 奈央, 與田 昭一, 金光 智行
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
     【目的】卵黄レシチンには澱粉の老化防止、クリーム類の離水防止効果などを有することが知られている。物性改良効果としては、プリンの柔らかさの付与がある。また、風味面では卵風味やコク味の付与が知られている。本研究では、スポンジケーキにおける物性改良効果を検討した。
    【方法】卵黄レシチン無添加、卵黄レシチンLPL-20S(キユーピー㈱製)添加、卵黄レシチンPL-30S(キユーピー㈱製)添加の3群を用いて、170℃のオーブンで25分間焼成し、共立て法のスポンジケーキを調製した。機器評価にて、スポンジケーキの体積、高さ、圧縮距離を評価した。
    【結果】卵黄レシチンを配合したスポンジケーキは未配合に比べ高さがあり、体積も大きいものが得られた。スポンジケーキにふんわり感が付与された。ふんわり感は、卵黄レシチン無添加<<卵黄レシチンPL-30S<卵黄レシチンLPL-20S添加の順に圧縮距離が大きく、卵黄レシチンの添加により、スポンジケーキがふんわりすることが確認された。また、卵黄レシチンの添加方法についても検討を行い、バターと卵黄レシチンを予め混合したものを生地と合わせることでふんわり感が得られた。スポンジケーキのふんわり感の付与には、卵黄レシチンの乳化性が小麦澱粉の膨化に関与するものと考えられる。
  • 高橋 真美, 松本 孝
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】チーズ消費量の増加に伴いレンネットの安定供給が切望されているが,一方食肉資源の立場から仔牛の屠殺数は減少している。そこで,仔牛第4胃由来の動物の代替品として微生物レンネット,遺伝子組み換えレンネットの需要が高まり,現在,日本国内流通量の約40%が微生物由来のレンネットである。優れたレンネットの条件はタンパク質分解活性(Proteolytic Activity:PA)に対し凝乳活性(Milk Clotting Activity:MCA)が高いことが要求される。本研究では,先行研究で土壌から分離した高い凝乳特性を有する菌株を用いて,培地に添加する炭素源が凝乳特性(MCA/PA)に及ぼす影響を検討した。
    【方法】培地成分の炭素源としては9種類の糖質を用いた。MCAはBerrige法で,PAは0.6%カゼインを基質とし,溶液の単位時間当たりの660nmの吸光度変化で測定した。
    【結果】炭素源としてカルボキシメチルセルロースを用いた場合が最も高いMCA/PA比を有することが判明したが,培養中の菌体収率は低値であった。スクロースの場合は最も生育が良好で菌体重量も高かったがMCA/PA比は低値であった。これらのことから微生物由来の凝乳酵素特性は培地の炭素源の違いに影響され,単糖類より二糖類,少糖類を用いた方が優れた凝乳特性を有する酵素が得られるものと推察された。しかし,菌体重量とMCA/PA比の間には関連性はないものと考えられた。
  • 石渡 奈緒美, 福岡 美香, 酒井 昇
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食材は調理過程において重量・体積、硬さおよび呈味成分に変化が生じる。また、食材は加熱媒体からの距離により経験する温度履歴が異なるため、食材内部に不均一な品質分布が生じていることが予想される。本研究は品質のなかで美味しさに直結する呈味成分に着目し、ローストビーフの表面・内部に残存する濃度の定量を行った。
    【実験方法】真空調理法に従い、ローストビーフを調理した。試料には市販牛肉(国産)を用い、フライパンで各面を焼成後、冷蔵庫にて品温が10℃以下になるまで放置した。肉をプラスチックバックに入れ真空包装機で脱気・密封した後,80℃に設定した恒温漕で加熱を行った。試料中心温度が58℃に到達後,直ちに2℃に設定したチラーに投入し,芯温が3℃になるまで冷却した。調理終了後,長さ10 mmにおける中心横断面のうち、表面部、中心部およびその中間部の3箇所の試料を採取し、試料中に残存するグルタミン酸濃度およびイノシン酸濃度の定量を行った。
    【結果および考察】調理前の試料においては、グルタミン酸、イノシン酸ともに不均一な濃度分布はなかった。しかし、調理終了時においては、グルタミン酸は、表面部<中間部<中心部の順に濃度が高くなったのに対し、イノシン酸は、中心部<中間部<表面部の順に濃度が高く、異なる傾向を示した。これは、グルタミン酸は調理過程における物質移動現象に起因し、グルタミン酸がドリップとともに肉の外に排出されるのに対し、イノシン酸は酵素反応に由来し、分解され減少することに由来する。このように、味に寄与する二つの成分の加熱過程における分布は、減少メカニズムが違うことから,大きく異なる様子が明らかとなった。
  • 山崎 貴子, 伊藤 直子, 岩森 大
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】肉は重要なタンパク質源であるが、加熱により硬くなる。我々はマイタケ抽出液を肉と一緒に真空パックし、70℃でスチーミングすることにより効果的に食肉軟化ができることを報告している。しかし、マイタケ抽出液浸漬中に、肉表面のタンパク質が過度に分解され、「べたつき」が生じ食味が低下することが課題であった。本研究では、「べたつき」を改善する方法として、マイタケ抽出液の注射注入による食肉軟化を試み、タンパク質の変化を中心に調べた。
    【方法】試料としてオーストラリア産の牛もも肉、新潟県産のマイタケを用いた。マイタケ重量の2倍量の水と一緒にホモジナイズし、濾過した液をマイタケ抽出液とした。マイタケ抽出液を注射注入した肉(mi肉)、マイタケ抽出液と真空パックした肉(mvp肉)、水と一緒に真空パックした肉(wvp肉)、未処理の肉(nt肉)を70℃で2時間または6時間スチーミング加熱し、破断応力を比較した。また、マイタケ抽出液の作用による肉の可溶性タンパク質量、分子量パターン(SDS-PAGE)の変化について調べた。
    【結果】mvp肉、mi肉の破断応力はwvp肉、nt肉の破断応力の約60%に低下した。mi肉とmvp肉の破断応力には差がなかった。可溶性タンパク質量は、加熱により減少し、nt肉では加熱時間が長い方が少ない傾向が見られた。一方で、mi肉はnt肉に比べ可溶性タンパク質量が多く、加熱時間が長い方が多い傾向であった。またSDS-PAGEでは、可溶性タンパク質、筋線維タンパク質ともにnt肉に比べmi肉において15kD以下のバンドが濃く、筋線維タンパク質ではミオシン重鎖と思われる200kDのバンドが薄かった。
  • 圓口 智子, 湯川 夏子, 中西 洋子
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】約10%の食塩を含む塩麹は、「万能調味料」として、肉、魚、野菜など各種料理の味付けや前処理に利用されている。塩麹には、麹の持つタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)やデンプン分解酵素(アミラーゼ)が活性のある状態で含まれており、これらの酵素による甘味やうま味の付加、食材の軟化などの効果が期待されている。昨年度の本大会では、塩麹プロテアーゼのカゼイン分解能を測定することにより、その基本的性質を明らかにした。本研究では、塩麹による食肉タンパク質の分解能について検討した。
     【方法】塩麹は、乾燥米麹「みやここうじ」((株)伊勢惣)を用いて、メーカー推奨の方法に準じて調製した。豚ミンチ肉は、購入後小分けして冷凍保存し、必要に応じて解凍使用した。遊離アミノ酸(FAA)は、トリクロル酢酸可溶性成分としてニンヒドリン比色法(570nm)で測定した。なお、L-ロイシンを標準物質として算出した。プロテアーゼ活性は、カゼイン消化法により測定した。
    【結果】豚ミンチ肉(ペースト状)に塩麹抽出液(2倍希釈液)を1:1で作用させると、30℃では少なくとも6時間は一定速度でFAAが生成した。30℃、24時間後、豚ミンチ肉1gにつき約20mgのFAAの増加を認めた。この間塩麹自体のFAAは変化せず、豚ミンチ肉のみでは約4mgの増加があった。6℃(冷蔵庫保存)、24時間では、塩麹添加により、豚ミンチ肉1gにつき約5mgのFAAの増加を認めた。豚ミンチ肉のみ(6℃、24時間)ではFAAの増加は認められなかった。
  • 哥  亜紀, 山本 直子, 大内 和美
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 塩麹とは、米麹に食塩と水を加え醗酵熟成させたもので、独特の風味とうまみのある調味料である。この塩麹に漬けた肉や魚はうまみが増し、軟らかくなると言われている。これは塩麹中のコウジカビが生産する酵素が関係していると考えられる。昨年、発表者は本学会において塩麹の熟成時における酵素活性の挙動について報告した。今回は塩麹に漬けた鶏ささみ肉のかたさやおいしさについて官能評価を行った。また、クリープメーターによるかたさの評価も行った。【実験方法】 塩麹は、米麹に10%の食塩(市販品に準ずる)を加え、しっとりなじむまでよく混ぜ、水を加え懸濁させて調製した。調製後は25℃で7日間熟成させ、その後4℃で冷蔵保存した。鶏のささ身肉の重量に対し10%の塩麹を塗布し、冷蔵庫で1,3,24時間漬け込み、オーブンで焼いたものを官能評価に用いた。対照として塩麹と同じ塩分濃度の食塩水に同時間漬けたものを用意した。パネラーは本学学生とし、官能評価と簡単なアンケート調査を行った。さらに、クリープメーターにより、かたさ応力を測定した。【結果】 官能評価においては、かたさに有意差は見られなかった。しかし、クリープメーターで同様に処理した試料を測定したところ、未処理の肉に対して塩麹に漬けた肉は軟らかくなる傾向がみられた。嗜好的官能評価では、浸漬時間1,3,24時間の味、香り、かたさの総合評価において、有意差は認められなかった。アンケート調査では、ほとんどの学生が塩麹を知っていた。しかし、実際に塩麹を利用した料理を食べたことがある人は63%であった。料理の種類では80%以上が肉料理と回答した。
  • 露木 理紗子, 田口 聡子, 平田 純一, 野口 剛, 飯田 文子
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、筋肉内脂肪含量を高めた豚肉が市場に多く流通している。給与飼料は筋肉部分の食味だけでなく、脂肪交雑やオレイン酸含量など脂肪の質に影響を与える。そこで本研究は、給与飼料の異なる4種の豚肉について、筋肉部分および脂肪部分の食味特性の違いを検討することを目的とした。
    【方法】試料に用いた豚肉は脂肪酸組成が既知な同一種の豚に大豆油、玄米、カポック油およびリジン制限(サシ区)の飼料をそれぞれ給与した去勢および雌、各2頭ずつ、対照を合わせて計10頭とした。部位は胸最長筋部(ロース)を用いた。調製は170 ℃に予熱したオーブンで内部温度70 ±1 ℃まで加熱し、その後0.8 cm厚にスライスし、1 枚を筋肉部分と脂肪部分のどちらも付いた状態に切り分け、官能評価用試料とした。筋肉評価項目はやわらかさ・線維感・多汁性・風味の強さ・うま味の強さ、脂肪評価項目は脂肪のやわらかさ・くささ・うま味の強さ、それらをふまえた総合評価とした。さらにレオナーRE2-33005Bを用い破断測定も行い、比較検討した。
    【結果】官能評価の結果、給与飼料による違いはテクスチャー項目のやわらかさ、線維感、多汁性、脂肪のやわらかさで有意な差がみられた。サシ区は粗脂肪含量が多く筋肉部分の評価が高く、破断測定の結果においても低い値となった。玄米給与区は脂肪部分の評価が高く、給与する飼料によって特徴に差がみられた。以上より、筋肉部分ではサシ区、脂肪部分では玄米区およびサシ区の評価が高かったが、テクスチャーは加熱温度による影響も大きいため、肉質とともに加熱温度も含めて検討することが必要と考えられる。
  • 木梨 直子, 藤田 悠, 水内 優子, 高村 仁知
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】魚類は、我が国において主要なたんぱく質源として古くから利用されてきた。また、魚類にはIPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれており、心血管疾患予防などその機能性が期待されている。しかし魚の生臭いにおい(魚臭)は嗜好的価値を著しく下げており、魚離れの大きな要因の一つとなっている。これまでの研究で、実際の食事で感じられる魚臭は、脂質酸化に由来する成分であることが明らかとなっている。本研究では魚の脂質の酸化を抑制するために香味野菜を用いて調理を行い、海産魚に含まれるにおい成分及び機能性成分の調理過程における変化を解析した。
    【方法】一年中入手が可能で、且つ脂質含量が高い魚の代表であるマサバに、抗酸化性を持つ香味野菜を加え、焼く、煮る調理操作を行い、調製した試料をホモジネートし、揮発性成分を固相微量抽出法で抽出した。それをGC、GC-MS、GC-Olfactometoryで分析し、揮発性成分の定量とスニッフィング分析を行った。機能性の測定では、ORAC法を用いて抗酸化活性を測定した。
    【結果】揮発性成分の定量において、香味野菜を加えて調理することにより脂質劣化に由来する揮発性成分が減少した。スニッフィング分析では、香味野菜を添加して調理した試料で、腐敗臭、魚臭が軽減する傾向がみられた。また機能性の測定では、香味野菜を加えることにより抗酸化活性が増加する傾向がみられた。これらの結果には、香味野菜由来の抗酸化成分が寄与していると考えられる。以上の結果から、香味野菜を加えて調理したサバは嗜好性及び機能性においてより優れていることが示唆された。
  • 宮田 美里, 西念 幸江, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    目的 赤酒は,熊本県産の郷土酒で,うるち米を原料とした淡黄赤色の酒である。赤酒の糖度・アルコール度は,本みりんと同様であり,調味料として使用した場合,同様の効果が得られる。てり・つや付与の効果は赤酒が高かった。本研究では,調理特性としてあげられている魚臭抑制効果を検討し,同時にてり・つや付与の効果の原因を構造観察より検討する。
    方法 サバおよびカジキ(骨取り冷凍切り身,ノルウェー産,日本加工)を自然解凍した(45.0g±1.0g/枚)後,魚の重量の20%の東肥赤酒料理酒(瑞鷹株式会社)およびタカラ本みりん(宝酒造株式会社)とともに冷蔵庫内で90分浸漬した。その後,180℃のオーブンで8分間加熱したものを室温放冷し,測定試料とした。試料0.1gを採取し,におい識別装置(FF-2A,島津製作所)を用い,臭気測定を行った。同様の試料で,分析型官能評価を行った。同様に調製したサバの表皮を剥離し,二重固定法で固定した試料の表面および裏面を,走査型電子顕微鏡(Miniscope TM-1000,㈱日立パワーソリューソンズ)を用いて観察を行った。
    結果 におい識別装置による臭気測定では,赤酒に浸漬した焼きサバ試料では,無処理および本みりんに浸漬した試料と比較し,硫黄系,アミン系,有機酸系,アルデヒド系,エステル系および芳香族系の臭気が低くなる傾向が見られ,臭気指数も低い値であった。焼きカジキ試料では,赤酒試料と本みりん試料間に差は見られなかった。焼きサバ表皮の観察において,赤酒試料の裏面で,無処理および本みりん試料より多くの脂肪滴が観察された。
  • 冨永 美穂子, 谷川 円, 谷本 昌太, 伊豆 英恵
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】前報告において,大きさ等の異なる煮干し(中羽,大羽,特選)だしの成分と料理酒添加の影響を検討した結果,料理酒添加により苦味雑味および生臭みに関与すると考えられるアルデヒド類の減少が認められた.本研究では,生臭みが最も強いと考えられた大羽煮干しを使用し,頭・内臓の有無,頭・内臓のみでだしを取り,各だしおよび料理酒を添加しただしの味覚応答,アルデヒド類の変化を中心に比較するとともに官能検査を含め,だしへの料理酒添加の影響について更に詳細に検討を試みることとした.
    【方法】長崎県産市販大羽煮干しを使用し,頭・内臓除去,頭・内臓除去無し,頭・内臓のみ,で水の3%量使用し,電磁調理器で沸騰後 10分あるいは30分加熱後,2分間静置し,濾したものをだし試料とした.各だしに市販料理酒,料理酒を分画したアルコール分,エキス分を1%添加し,色調,味認識装置による応答などを測定するとともに生臭みの主成分と考えられるアルデヒド類のGC-MS分析を行った.調製だしの嗜好性を学生25名により評価した.
    【結果】頭・内臓の含有量が多く,加熱時間が長いほど濁りが増し,色の濃いだしとなった.頭・内臓の含有量が多いほど,苦味雑味が強くうま味の少ないだしとなったが,加熱時間が長くなると頭・内臓の有無にかかわらず,苦味雑味,渋味刺激の減少が認められた.だしへの料理酒添加により,苦味雑味およびほとんどのアルデヒド類の値の減少が認められた.料理酒添加によるアルデヒド類の減少はアルコール分,エキス分ともに認められたが,その割合はエキス分の方が若干高かった.料理酒添加により生臭み(香り)の評価に有意差が見られ,まろやかさの評点が高くなる傾向にあった.
  • 魚肉すり身ゲルの物性と官能評価、嚥下食献立への展開
    吉岡 慶子, 山本 亜衣, 木村 淳子, 松嶋 康之, 蜂須賀 研二, 池内 義秀
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】魚肉は栄養的価値の高い食品であるが、筋原線維構造が脆弱なため、加熱により食塊としてまとまりにくく、咀嚼・嚥下困難者にとっては食べ難い食感を呈する。そこで、嚥下調整食に高圧力を利用することを意図し、魚肉すり身の加圧ゲル形成性を検討した。調製した魚肉すり身の加圧ゲルの物性を測定し、咀嚼、嚥下状況を調べ、加熱ゲルと比較した。また、摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(以下、学会分類2013)への対応を検討し、献立への展開を試みた。【方法】実験試料はアジフィレーをミキサーですり身にし、すり身と水の混合割合は1:0.5、1:1、1:1.5とした。1.5%NaClを添加後、加熱処理(沸騰水溶中で中心温度80℃に達するまでの10min)または加圧処理(400 MPa 20min)を行い、ゲルを調製した。ゲルの物性は、クリープメータで破断強度試験、クリープ試験、テクスチャー試験を行った。官能評価は評点尺度法で行った。嚥下造影検査はS医科大学病院リハビリテーション科で実施した。【結果および考察】加熱処理ゲルのかたさは0.97~2.83[×104N/m2]、加圧処理ゲルでは2.25~10.03[×104N/m2]であった。魚肉ゲルの物性および嚥下状況から、学会分類2013の1、3、4に該当した。加熱ゲルは加圧ゲルよりも軟らかく、舌で押し潰しやすいため、咀嚼困難者への適用が考えられた。一方、加圧ゲルは適度な弾力があり、なめらかな食感であることから嚥下困難者への適用が示唆された。魚肉すり身ゲルの加水量や副材料の添加によって個々人に対応した食形態、嗜好性への対応が可能となり、嚥下調整食献立への展開が期待される。
  • 竹下 温子, 勝又 真里奈, 高林 由佳
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】昨今、食育は日本の教育の中で重要視され、地産地消によって食文化を守ることも重要な役割とされている。その中で食育の一環として、鹿児島の管理栄養士らが地産地消と地場の活性をテーマに「川内きびなご鮨」を考案した。その製造工程にきびなごの昆布締めがあり、保存期間の違いによってうまみが増し、爽やかな酸味が生まれるという。 我々はこの味の変化について保存期間の違いによる微生物の動態変化、および微生物の関与が人の味覚に影響を及ぼすか、遊離アミノ酸量を押さえながら比較・検討することを目的とした。【方法】保存法の異なった4種のサンプルを用い、菌数測定に、標準寒天培地(T)およびGYP白亜寒天培地(G)を用いた。全サンプル200の菌について高分子DNAを抽出(Benzyl chloride法)、グループ分け(RAPD法)、16S rDNAのPCR増幅、塩基配列決定後DDBJの相同検索にて同定した。遊離アミノ酸測定はOPAプレラベル法を用いた。【結果】菌数はT・G培地ともに冷蔵保存期間が長いものほど多かった。次に22グループに分かれた代表菌株はすべてStapylococcus属と100%の相同性を示した。遊離アミノ酸の総量は保存期間の長い順で増加していた。この結果は菌数増加量と一致しなかった。官能試験の総合評価は遊離アミノ酸の増加量に比例せず、最も遊離アミノ酸量が多かったサンプルについては、熟成からさらに腐敗に進んでいる可能性があると考えられた。その他、微生物が関わるとされている酸味・香気は嗜好調査との相関は見られなかったが、菌数と総合評価の傾向が近く、やはり何らかの形で美味しさに影響を与えていると考えられた。
  • 清水 亜依美, 村上 崇幸, 井上 淳詞, 島田 和子, 和田 律子, 福田 翼, 原田 和樹
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]近年、生活習慣病予防のために、抗酸化能の高い食品への関心が高まっている。そこで今回、抗酸化能が高いゴボウの焙煎粉末を添加した水産加工製品おぼろ(でんぶ)を調製し、焙煎ゴボウ粉末の添加量と抗酸化能及び嗜好特性との関係について検討した。
    [方法]イトヨリダイのすり身に砂糖などの調味料、着色料及び焙煎ゴボウ粉末を加え、炒り加熱を行って、おぼろを調製した。試料は、焙煎ゴボウ粉末無添加おぼろ、焙煎ゴボウ粉末1%、3%、5%添加したおぼろの4種類を用いた。抗酸化能の測定はORAC法(ペルオキシラジカル消去活性、μmol TE/100 g)とESR法(ヒドロキシルラジカル消去活性、IC50値(%))で行い、嗜好特性は5段階評点法にて評価した。
    [結果]焙煎ゴボウ粉末無添加試料のORAC値(H-ORAC値+L-ORAC値)は846μmol TE/100 gであり、その内の約90%がH-ORAC値であった。1%、3%、5%ゴボウ粉末添加試料は1.2倍、2.0倍、2.6倍にORAC値が増加した。ESR法によるIC50値は無添加試料が6.6%であり、ゴボウ粉末の添加量が増すにつれて0.82倍、0.55倍、0.44倍に減少した。これらの結果より、焙煎ゴボウ粉末の添加量が多いほど、おぼろの抗酸化能がより高まることが確認できた。嗜好特性の総合評価は、1%添加試料が最も好まれた。これは、口に入れた時の食感や舌触りが好まれたこと、ゴボウの香りによる魚臭さへのマスキング効果のためと考えた。次いで、無添加試料、3%添加試料も好まれた。以上の抗酸化能と嗜好特性の結果から、おぼろ製品への焙煎ゴボウ粉末の添加量は1~3%が望ましいと考察した。
  • 橋本 多美子, 藤本 佳恵, 杉本 麻衣, 江戸 梢
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】内食志向の強まりや企業の製品開発努力などもあり、冷凍食品の国内消費量は増大している。しかし、貝類は季節性の食材であり、家庭においては冷凍品よりも生の方が好まれる傾向にある。近年、新しい冷凍技術として注目されているCAS(Cells Alive System)は、微弱な複数のエネルギーを作用させながら急速に凍結させることで細胞組織のダメージを抑え、生に再現できると言われている。しかし、食品のCAS凍結の影響についてのデータは少ない。そこで、本研究ではCAS機能を含め、凍結条件の違いが冷凍アサリの呈味成分と嗜好性に与える影響について検討した。
    【方法】アサリはCAS凍結(CAS機能付きで-40℃)、急速凍結(-40℃)および冷凍庫(-20℃)にて凍結し、12週間冷凍保存した。冷凍アサリは1,2,4,8,12週間後に解凍し、むき身を磨砕して同量の水または過塩素酸を加え、攪拌後に遠心分離にて得られた上澄みを抽出液とし、有機酸および遊離アミノ酸の分析を行った。官能評価は各凍結条件で4週間保存したアサリを酒蒸し調理し、5段階評点法にて行った。
    【結果】解凍時のドリップ量は凍結条件の違いによる差はなく、貝重量の6~11%であった。アサリの有機酸量は生よりも冷凍の方が多かったが、凍結条件の違いによる差はみられなかった。また、遊離アミノ酸は生に比較して凍結アサリの方が少なかった。一方、官能評価では凍結条件の違いによる嗜好性に有意差は認められなかった。以上より、今回の凍結保存条件ではアサリの呈味成分や嗜好性に与える明確な影響は認められなかった。殻付きアサリの場合は冷凍条件が食味に与える影響は少ないと考えられる。
  • 岸本 律子, 長谷川 悦子, 大岸 泰香, 森 光寿, 地上 博子
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ナマコは棘皮動物である。日本で食用とされているのはマナマコで, 関西では赤ナマコが,関東では青ナマコが好まれ, 食感が異なることが知られている。日本料理では, 生ナマコは酢の物や和え物などにし,こりこりとしたテクスチャーが賞味されるが, 調理条件が異なるとテクスチャーが変化すると推測される。乾燥ナマコ(キンコ)は,中国料理の高級食材として, 水戻ししてうま煮などに用いられ, 生ナマコとは異なった独特のとろりとしたテクスチャーが珍重されている。生ナマコの種々の調理条件(加熱, 冷凍, 調味料—食酢,しょうゆ, 食塩), およびキンコの水戻し方法が,テクスチャーに影響を及ぼすと考えられる。生ナマコおよびキンコの体壁筋肉の調理による組織構造の変化を検討し, 適正な調理方法を探ることを目的とする。
    【方法】生ナマコは明石市内の鮮魚店から, キンコは神戸市内の中国素材食料品店から購入した。生ナマコは口と肛門部分を切り落とし, 内臓を取り出した後, 体壁筋肉を刻み, 種々の調理操作(加熱, 冷凍、各種調味液に漬け込む)を行った後,クライオ走査電子顕微鏡(S-4500,日立製作所)により, 組織構造の変化を観察した。キンコは, 蒸留水で2時間加熱した後, 24時間放置し,この操作を2回繰り返し, 最後に1時間加熱した。水戻しの行程3段階において, 生ナマコと同様の方法で組織構造の変化を観察した。
    【結果および考察】生ナマコ体壁筋の組織構造は調理条件によって変化し, テクスチャーに影響を及ぼすことが推測された。キンコの組織構造は, 水戻しにより密な構造から網目構造に変化した。 
feedback
Top