学術情報処理研究
Online ISSN : 2433-7595
Print ISSN : 1343-2915
26 巻, 1 号
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原著論文
  • 杉木 章義, 空閑 洋平, 竹房 あつ子, 藤原 一毅, 合田 憲人, 中村 遼, 塙 敏博, 鈴村 豊太郎, 宮本 大輔, 田浦 健次朗, ...
    原稿種別: 総説・研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文では,11学術機関の連携により誕生し,2021年に運用を開始したデータ活用社会創成プラットフォームmdxを対象に,データ活用による社会創成に向けた基盤ソフトウェア環境の構築について報告する.本環境は,複数機関の基盤ソフトウェア研究者が個別に開発してきた成果を持ち寄り,緩やかかつ有機的に連携することで,アプリケーション研究者の期待と現状の計算機サービス提供水準とのギャップを解消することを目標とする.

  • 浜元 信州, 小川 康一, 井田 寿朗, 齋藤 貴英, 小田切 貴志, 綿貫 明広
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    群馬大学では認証ネットワークを導入しており,ネットワーク接続には,ユーザはWebブラウザを利用した認証かMACアドレスに基づいた接続機器認証を行う必要がある.このため,機器のMACアドレスをユーザがWebブラウザから登録できる「機器登録システム」を運用してきた.2022年4月のネットワーク更新では,これまで個人で管理していた機器を研究室等のグループ単位での管理に変更することとした.並行して機器登録システムも新ネットワークの管理方法への対応や新ネットワーク移行のための機能を含めた機能拡充を行った.本論文では機器登録システムの機能要件と実装を述べるともに,機器登録システムの開発手法と運用状況から得られた知見を述べる.

  • 林 豊洋, 冨重 秀樹, 福田 豊
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 20-31
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    九州工業大学では,全ての講義室と多くの共用スペースに無線LANのアクセスポイント(AP)が整備されている.APが学内に網羅されていることから,各APへの接続端末数とAPのカバーする面積を用いた密集度が定義できることに着目し,地図情報と共に密集度を図示するシステムを公開している.接続端末数は密集度以外にも応用可能なセンサデータの一種であることから,より大規模なセンサデータ集約システムの構築を検討した.特に,多数のセンサ,プロトコル,フォーマットで構成されたデータを受け入れ可能であり,同様に多様なシステムへのデータ出力が可能なシステムの構築を目的とした.本稿では,上記の仕様を考慮したパブリッククラウドを活用した大規模センサデータ集約システムの構築について言及する.

  • 土屋 雅稔, 中村 純哉, 小林 真佐大
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 32-44
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    科学研究における大規模計算処理の重要性は,シミュレーションの大規模化・高精度化および機械学習への応用という2つの要因から,近年ますます拡大している.それに伴って,大規模計算処理を行う研究用システムに対する要求も複雑化しており,多様な計算需要に応えられる柔軟な研究用システムが求められている.本論文では,豊橋技術科学大学における小規模研究用システムの設計方針,仕様および利用状況について報告する.本システムは,アクセラレータとしてGPUを搭載した小規模クラスタシステムと,仮想化アプリケーション配信システムからなる.ソフトウェアスタックをコンテナ化した上で,計算ノード上の対話型ジョブとしてソフトウェア作成を行うという設計方針によって,小規模クラスタシステムは,多様なソフトウェアスタックを要する各種の計算需要に対応できることを示す.また,仮想化アプリケーション配信システムによって,利用者が手元の端末で容易に各種の商用アプリケーションを利用できることを示す.

  • 山田 哲, 矢谷 鷹将, 浅木森 浩樹, 末廣 紀史, 武田 啓之, 後藤田 中, 米谷 雄介, 八重樫 理人
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    香川大学は,休暇の主体的な取得を促す休暇申請システムを内製開発した.香川大学が開発した休暇申請システムは,これまで部局の庶務担当がおこなっていた休暇申請に伴う決裁書類の作成などの事務作業を自動化する機能(休暇申請機能),申請した休暇を取り消す機能(休暇取り消し機能),毎月1日に現在の休暇申請状況を通知するメールを教職員に自動通知する機能(休暇取得状況通知機能),勤務時間管理者に対して使用者の休暇取得状況を表示する機能(休暇取得状況表示機能)を有している.本論文では,休暇申請システムについて述べるとともに,休暇申請システムの開発や実運用で得られたデータから,システムを内製開発すること,開発した休暇申請システムについてその有効性を考察する.

  • 岩沢 和男, 村上 祐子, 渡邉 英伸, 西村 浩二
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 52-62
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    PowerPointで作成した多言語の情報セキュリティ教材を更新する際に各言語ファイルのスライドやテキストボックス等の新規・更新・削除を管理して翻訳内容の同期を維持する方法を紹介する.またMoodle上の問題バンクに正誤問題をカテゴリ付きで一括登録する方法を紹介する.

  • 青木 謙二, 園田 誠, 黒木 亘, 宮本 理司, 廿日出 勇
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本学ではこれまでに,情報セキュリティに関する規程や体制の整備を行い,積極的に情報セキュリティの確保に努めてきた.その一つとして,最も利用者の多いクライアント端末(PC)の情報セキュリティ対策を推進している.その情報セキュリティ対策実施状況を把握するために監査を行ってきた.しかし,これだけでは十分に全学の状況を把握することは難しく,また,すべての管理者が自らPCの状態を確認することが困難であることから,より簡単にPCの情報セキュリティ対策の状況を把握できる手段が求められていた.そこで,自己診断システムを構築し,これを用いて自己診断を実施した.2022年4月12日から7月10日までの3か月間に,本学の全構成員を対象として自己診断を実施した結果,本学の1,263名の教職員・学生が1,397台のPCにおいて自己診断を実施した.これにより,本学のネットワークに接続して使用するPCの情報セキュリティ対策の状況を把握することができた.自己診断を分析した結果,本学が定めるセキュリティ対策をとっている端末が51%,対策に何らかの不備がある端末が49%であることがわかった.また,自己診断を契機に情報セキュリティ対策の実施率が向上していることが示唆された.

  • 山本 一幸, 大瀧 保広
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    大学ではサーバ証明書やクライアント証明書等の電子証明書を多くのシステムで活用している.茨城大学では,電子証明書として国立情報学研究所が提供する電子証明書発行サービスを利用しており,発行管理を大学の情報系センターの教職員が行っている.サーバ管理者やクライアント証明書の利用者から証明書更新や再発行に関していくつかの問題が発生している.一般的に企業では情報システム部門がすべてのサーバやパソコンを管理し,電子証明書のインストールや管理も一括で実施することが多い.しかし,大学では電子証明書の発行や配付については情報系センター等の情報システム部門が統括管理するが,運用管理については,教職員や学生が個人で管理している場合が多い.情報システム部門が統括管理していないことで更新や配付に関する運用コストが増加する傾向にある.本論文では,証明書の有効期限,更新手続き,旧証明書の失効の管理やクライアント証明書の配付等を統合して実施するための証明書管理支援システムを開発した.開発したプロトタイプシステムについて説明し,これを活用したことによる運用コスト削減について検証する.

  • 門田 陽介, 森野 勝太郎, 本山 一隆, 重歳 憲治, 福江 慧, 石井 真理子, 芦原 貴司
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 79-86
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    文部科学省が推進するGIGAスクール構想の中で教育現場における「講義のオンライン化」は重要な目標課題の一つであったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに全国の教育機関における講義のオンライン化が急速に進んだ.オンライン化が感染対策として有効である事は疑問の余地はないと思われるが,オンライン配信による遠隔講義が,対面講義と同等の学習効果を生み出しているかどうかについては,これまで十分な客観的検証がされているとはいえない.我々は,無線LAN接続による位置情報とZoom®ログを用いて学生が遠隔講義と対面講義のいずれに出席していたかを推定し,講義形式が学業成績GPAに与える影響を検討した.粗解析では対面講義参加割合が正に学業成績GPAと相関していた.学業成績には前年度の学業成績と入試成績が関与している事が分かったため,これらの因子を調整したところ,低学年では対面講義を志向する群が遠隔講義を志向する群に比して学業成績が良かったが,高学年では両群に統計学的な差は無かった.本分析は,ポストコロナ期の高等教育機関における教育の在り方について議論する貴重な材料になり得ると考えられる.

  • 伊達 進, 寺前 勇希, 勝浦 裕貴, 木越 信一郎, 木戸 善之
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 87-96
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,学術研究がますます広域化・グローバル化する傾向にある.さらに,様々な科学分野で高性能データ分析の利活用に対する関心と期待が急速に高まりつつある.このような背景から,大学,学術研究機関,企業の研究者らがデータを移動・共有しつつ,共同研究,産学共創を高効率に推進することを可能にするデータ基盤の必要性・重要性が高まっている.大阪大学サイバーメディアセンターでは,このような視点から,2021年5月のスーパーコンピュータSQUID導入に合わせ,データ集約基盤ONIONの試験運用を開始した.本稿では,われわれがどのような考えに基づきONIONを着想・構想したのかとともに,ONIONの概要を概説する.その後,ONIONで想定するユースケースについて検証を行う.

  • 沖野 浩二, 山下 和也, 遠山 和大, 上木 佐季子, 柴田 啓司
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 97-106
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    富山大学では,COVID-19の感染拡大を受け,2020年4月から全学で非対面授業を実施し,その後,感染状況の変化により,対面と非対面を組み合わせた授業体制へと移行した.本論文では,新入生アンケートおよびLMSのアクセス記録解析を行い,このような激動における,学生のICT環境とICTを利用した教育動向変容について報告する.最後に,これらの調査を元にアフターコロナ時代のICT環境について考える.

  • 塩野 康徳, 志村 俊也
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 107-113
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    組織の運用や業務では,蓄積したデータから必要な情報を探し,意思決定や業務の効率化を行う取り組みがなされる.マネジメントを行う上では,現状を把握することも必要となり,蓄積されたデータから必要な情報を検索すると共に,蓄積したデータや検索されたデータの関連性を捉え,組織全体として継続的改善に取り組んでいくことが求められる.そのような情報検索を行い,蓄積されたデータ間との関係性を捉えるためには,柔軟な検索とそれらの関係性を可視化してわかりやすく提示することが考えられる.そこで本論文では,業務及びマネジメントシステム運用のためのファジィデータベースを用いた分析インタフェースを基盤とし,関連する情報を検索するためのファジィ情報検索と検索結果の有効な可視化方法について述べる.実際に横浜国立大学情報基盤センターで蓄積したデータに対して検索を行い,その検索結果について考察する.

  • 松澤 英之
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 26 巻 1 号 p. 114-119
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    パソコンのセキュリティを保つためにはOSのアップデートだけではなくアプリの管理も必要となる.本研究では,今後の学生へのセキュリティ対策に役立てる為に,少数の宮崎大学学生が自分のパソコンにインストールされているアプリをどの様に認識してどの様に利用しているかを知る為にパソコンにインストールされているアプリパッケージをスクリプトで抽出し,全てのアプリパッケージの情報とパソコン利用者にインストールしたアプリを認識しているかどうか,自分でインストールしたかどうか,使用頻度を調査した.

  • 浅木森 浩樹, 矢谷 鷹将, 山田 哲, 末廣 紀史, 武田 啓之, 後藤田 中, 米谷 雄介, 八重樫 理人
    原稿種別: レター
    2022 年 26 巻 1 号 p. 120-125
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    香川大学では,ローコード・ノーコード開発プラットフォームによる業務システムの内製開発に取り組んでいる.本論文では,香川大学が実施した初級編の業務システム内製開発ハンズオンについて述べるとともに,ハンズオン参加者に実施した質問紙調査の結果などからその有効性について考察する.

  • 矢谷 鷹将, 山田 哲, 浅木森 浩樹, 末廣 紀史, 武田 啓之, 後藤田 中, 米谷 雄介, 八重樫 理人
    原稿種別: レター
    2022 年 26 巻 1 号 p. 126-130
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    香川大学は,科研費申請問い合わせチャットボットを内製開発した.科研費申請問い合わせチャットボットは,24時間365日休日昼夜を問わず科研費申請に関する問い合わせを受け付け,それについて自動回答することができる.本論文では,内製開発した科研費申請問い合わせチャットボットについて述べるとともに,実運用からその有効性を考察する.

  • 山本 孝志, 井上 望未, 高山 有道
    原稿種別: レター
    2022 年 26 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    核融合科学研究所ではMicrosoft 365 for Education A3を契約し,認証方式にSMSなどを用いた多要素認証を必須としている.2021年12月に利用者からNIFS-CSIRTに対し中国語の意図せぬマイクロソフトの認証コード通知のSMSが着信したとの報告があり,研究所全域に情報提供を呼びかけた結果,認証方式にSMSを設定している利用者の2割以上が意図せぬSMSを受信していたことが判明した.その後,Azure ADログの確認とマイクロソフト社へ問合せの結果,利用者情報の漏洩はないことを確認した.同社からはあわせて,長期的にはSMSなど公衆交換電話網を介在させる認証方式は避けた方がよい旨の助言があった.未だに根本的な原因は不明であるが,本稿では本事案の調査と対応について考察する.

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