学術情報処理研究
Online ISSN : 2433-7595
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23 巻, 1 号
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原著論文
  • 大瀧保広, 野口宏, 山本一幸, 外岡秀行, 鎌田賢
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    多くの大学では情報処理演習システムの一部として印刷環境を提供しており,学生のレポート作成等に供している.どのような印刷環境を提供するかは大学の方針により様々であるが,教育的観点から枚数制限や課金を行う大学が増えつつある.茨城大学では教育用電子計算機システムの一部として印刷環境を提供しており,学生はIT基盤センターが管理するPCから印刷できる.2011年度までは枚数制限もなく無料で印刷できたが,2012年度から印刷枚数制限を課すようになり,2017年度には完全従量課金制へと移行した.当センターでは,印刷状況を把握するために2010年10月から詳細な印刷履歴を記録しており,年度単位で揃ったものとしては2011年度から2018年度までの8年にわたるデータを収集した.本論文では印刷履歴のデータ等に基づいて,印刷環境の変化に伴って学生の印刷行動がどのように変化したのか考察する.

  • 永田正樹, 山崎國弘, 淺野みさき, 神山夏実, 井上春樹, 長谷川孝博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    「静岡大学テレビジョン SUTV」は,大学に関連するさまざまな動画をWebシステムにて公開する動画サイトである.SUTVでは,大学祭,オープンキャンパス,合格発表,入学式,卒業式などのイベント,教員及び研究の紹介など毎年200~300本の番組を作成し,公開している.筆者らはSUTVを用いて,動画公開が大学広報に及ぼす影響を分析している.これまでの調査結果から,大学入試やオープンキャンパスなどの時期にSUTVへの訪問数が増加していることを確認し,大学の広報として成果を上げていることがわかった.そこで本稿では,訪問数が増加するイベント期間中に多く視聴されている番組を把握し,それら番組の特性を明らかにすることで,より多くの視聴者の獲得や効果的な大学広報に寄与する動画番組について考察する.

  • 中村純哉, 小西和孝, 土屋雅稔
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    豊橋技術科学大学は,キャンパスネットワークの更新を2018年夏に実施した.新キャンパスネットワークTUTNET2018は,有線ネットワーク,無線ネットワーク,全学ファイアウォールおよび管理システムからなり,本学における教育・研究活動の基盤となるシステムである.本論文では,最初に,前キャンパスネットワークTUTNET2010の運用中に判明した問題点について議論する.次に,その問題点を踏まえて設計されたTUTNET2018の設計方針とシステム構成について述べる. TUTNET2018では特に,耐障害性の向上とセキュリティインシデント発生時の利用者端末および通信内容の特定に重点が置かれている.最後に,TUTNET2018の構築からこれまで約1年間の運用状況を報告する.

  • 森 祥寛, 佐藤正英, 大野浩之, 笠原禎也, 井町智彦, 高田良宏, 東 昭孝, 二木 恵, NAKASAN CHAWANAT
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 29-42
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    近年,ICTの技術的発展と社会的浸透によって,教育への情報化の推進などの取組が着実に進められつつある.特にSociety4.0(情報化社会)からSociety5.0に向けた人材育成は急務といわれている.そのための前段として携帯型パソコン必携化のような取組は,必要不可欠なものになるだろう.そこで,本稿にて,金沢大学で平成18年度から12年間実施してきた新入学生に携帯型パソコン必携化を軸に,ICTに関するさまざまな方策を紹介し,併せてそれら上手に活用させるためのICT活用教育実施とサポート体制について紹介する.

  • ―多言語教材の作成支援―
    岩沢和男, 渡邉英伸, 西村浩二
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 43-56
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    広島大学では毎年全構成員にオンラインでの情報セキュリティ講習受講を必須化している。今回、スライド教材を新規事項と周知済みの事項で構成しなおした。確認テストの実施ログを分析してテスト回答後の解説ページを参照する人数は半減期20秒で減少することが分かったため、解説文章を簡素化し、またスライドの視認性を向上させた。日英中の教材作成時の整合性を維持する工夫を導入した。VBAを用いて作業効率を改善させた。

  • 遠山和大, 沖野浩二, 山下和也, 上木佐季子, 大橋隼人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    富山大学は五福・杉谷・高岡の3つのキャンパスを持つ.2018年に始まった教養教育改革では,これまでキャンパスごとに行っていた教養教育の授業が,五福キャンパスでの実施に一元化された.初年次に必修である情報処理科目は,教室設備の関係で各キャンパスでの実施だが,6学部を擁する五福キャンパスでは,文系学部・理系学部ごとに学部混成クラスでの授業を行っている.こうした状況を受け,以下の2点に着目して,情報処理科目のカリキュラムおよび教材の再構築を行った.(1)従来は各担当教員が独自に行っていた授業の内容を統一し,どのクラスにおいても同じ内容の授業にする.(2)情報機器やアプリケーションの操作方法を修得するだけでなく,それらを使って行う数値データ整理・文書作成・プレゼンテーションの「アカデミック・スキル」修得を目指す.本稿では,富山大学における情報処理科目再構築の取組について報告し,その実施に伴う問題点・課題について考察を行う.但し,授業目標の達成やその効果については,今後さらに研究すべき課題である.

  • 森本尚之, 和気尚美, 佐藤明知, 伊坂脩, 中村日海里, 石田修二
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    三重大学では,ノートパソコン必携制度の開始と学習支援のニーズの高まりを踏まえて,学生のICT(情報通信技術)活用と学習に関する相談に大学院生が応える相談窓口「MEIPLサポートデスク」を2018年4月に開設し,1年以上にわたり運営してきた.MEIPLサポートデスクは部局横断型の取り組みであり,異なる部局・学部の学生・教員・職員といったさまざまな立場の関係者が関わるため,サポートデスクの開設と運営にあたっては,関係者間の情報共有を円滑とし,さらに柔軟性や拡張性などを有する情報システムが必要であった.本論文では,MEIPLサポートデスクの開設 と運営における情報システム面の課題を整理し,それらの解決のためのクラウドサービス活用とそ の効用について述べる.また,学生スタッフの活動は対面での相談対応にとどまらず,大学のICT環境の活用促進や相談対応データの分析などに発展し,その発展の基盤としてもクラウドが機能したことを示す.

  • 沖野 浩二, 金森 浩治, 山下 和也
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 76-84
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    WannaCryのようなサイバー攻撃が現実的な問題として認識されている.さらに,IoTデバイスを対象としたMiraiのような新しい機器を対象としたマルウェアも広がっている.このようなサイバー攻撃の被害を未然に防ぐまたは軽減することが求められているが,大学においては,企業や家庭とは異なる特殊な環境のため,既存の手法をそのまま適応することが難しい.このような環境に対応するため,富山大学では,学内に対して脆弱性調査を実施し,リスクコントロールを意識したセキュリティ実態調査を行っている.本論文では,富山大学において5年間に渡り行った,調査の概要と結果,リスクコントロールについて解説する.

  • 山本一幸, 大瀧保広, 野口宏, 羽渕裕真, 外岡秀行
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    近年サイバー攻撃が大学に対しても大規模に行われている.情報セキュリティインシデントへの対応に時間を要すると被害拡大を招き,大学の評価等にも影響を与え得るため,その対応には即応性が求められる.茨城大学は茨城県内の3市町(日立,水戸,阿見)にキャンパスが分散しており,情報環境の整備運用を統括するIT基盤センターの事務室も各キャンパスに設置されている.日立・水戸キャンパスには専任教員,兼任教員,技術職員,事務職員がそれぞれ配置されているが,阿見キャンパスには兼任教員のみ配置されている.本学では,情報セキュリティインシデントが発生すると,IT基盤センター教職員がCSIRT要員として対応している.しかし,即時対応の面において,キャンパスが分散されていることや人員の配置などの問題から情報共有の方法に課題があった.こうした背景の下,情報セキュリティインシデント発生時の迅速な対応には,発生時の技術的な対応力,報告体制の明瞭化とCSIRT要員の情報共有が重要であると考え,本研究では情報セキュリティインシデント対応に特化した茨大型情報共有システムの構築を行った.そして,同システムの導入における対応時間への影響を,過去に本学で発生・対応した事案を用いて解析し,検証した.

  • 清水 さや子, 横田 賢史, 内田 圭一, 鈴木 直樹, 戸田 勝善
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 94-101
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    情報セキュリティの脅威は年々多種多様化,巧妙化している.東京海洋大学品川キャンパスでは,情報セキュリティ対策の一環として,全学生向けに情報セキュリティの脅威に対する意識を高めることと脅威への遭遇度低下を目的とし,情報セキュリティに関する統一的な教材を新しく作成し,学部1年生向けに認識度を把握するための小テストとアンケートを行なった.新しく作成した教材には,学生が興味を持ちつつ学習できるよう,2014年度から4年間の情報処理関連の授業における意識調査から得ることができた情報セキュリティに対する意識の推移や身近な脅威の体験事例などを取り入れた.本稿では,学部1年生向けに行った小テストとアンケート結果から得ることができた認識度と意識の推移について述べる.また,小テストとアンケートに対しては,データサイエンス等で用いられているリフト値として指標化することで導き出された意識の傾向と,この解析方法を用いた今後の展望についても述べる.

  • 渡邉英伸, 西村浩二, 合田憲人, 吉田浩
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 102-111
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    情報システムのクラウド化は学術機関でも求められており,クラウドサービスを導入検討・利活用している学術機関は増えてきている.一方で,情報セキュリティの不安を払拭できずにクラウド化を進めている学術機関も少なくない.本研究では,情報セキュリティガバナンスの現状とクラウドサービスの利用状況を客観的かつ定量的に評価するための評価モデルおよび質問事項を提案し,2016年度から3年間にわたり学術機関における情報セキュリティガバナンスの実態調査を実施してきた.本稿では,実態調査の結果より,学術機関の情報セキュリティガバナンスの現状を定量的に把握することが自組織の情報セキュリティガバナンスの水準の向上・維持に有効であることを示し,情報システムのクラウド化には組織としての情報セキュリティガバナンスの成熟が重要であることを述べる.

  • 米谷 雄介, 後藤田 中, 北原 美里, 小野 滋己, 青木 有香, 八重樫 理人, 藤本 憲市, 林 敏浩, 今井 慈郎, 最所 圭三, ...
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 112-121
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.

  • 田島浩一, 岸場清悟, 近堂 徹, 渡邉 英伸, 岩田 則和, 西村 浩二, 相原 玲二
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 122-127
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    サーバ等の脆弱性を診断ソフトを用いて診断を行う際には,その診断の過程でポートスキャン等によるサーバソフトの検出やそのバージョンの判定や推定などが行われ,脆弱性の有無の確認が行われる.診断ソフトや診断方法によっては,診断結果に出力される情報に最終的な脆弱性と合わせて検出されたサービスやバージョン等をサーバに関する基本情報として得る事が可能なものがある.そこで,本論文ではこれら診断で得られる脆弱性と合わせてサービス等のサーバの情報を活用して自組織のセキュリティ対策に活用する方法について,診断結果からのサーバ等の基本情報の抽出や,これらを利用した事例およびその効果について述べる.

  • 國枝 孝之, 矢部 智暉, 末廣 紀史, 太田 裕士, 米谷 雄介, 後藤田 中, 林 敏浩, 最所 圭三, 八重樫 理人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 128-137
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,ユーザモデリング技術である運用プロファイルに,状態の滞在回数と滞在時間を付与した拡張運用プロファイルを用いて,教員の授業中のICT機器操作のモデル化を実践した.拡張運用プロファイルによる香川大学型IT教卓システムの操作のモデル化によって,香川大学型IT教卓システムの利用者である教員のICT機器操作の順番や傾向などが明らかになった.

  • 國枝 孝之, 山田哲, 池田哲也, 米谷 雄介, 後藤田 中, 八重樫 理人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 138-144
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    香川大学は,地域課題解決型の情報システム「広告表示プリンタシステム「KadaPos/カダポス」」,「観光日記生成/印刷システム「KaDiary/カダイアリー」」,「旅の思い出を記録する観光ガイドブック生成/印刷システム「KadaPam/カダパン」」を,株式会社リコーと共同で開発した.これら情報システムの開発では,株式会社リコーの有する画像照合技術,印刷制御技術と,香川大学の有する情報システム開発技術を組み合わせ(オープン・イノベーション),「地域課題の抽出」,「課題に対する解決策(仮説)の立案」,「仮説を検証するためのプロトタイプシステムの開発」,「プロトタイプシステムを用いた実証実験」,「実証実験結果に基づく事業化判断」からなる,「香川大学型開発モデル」に基づいて開発がすすめられた.本論文では,「香川大学型開発モデル」と,カダポス,カダイアリー,カダパン開発における「香川大学型開発モデル」の実践について述べる.「香川大学型開発モデル」に基づいた香川大学における地域課題型情報システム開発の実践は,「香川大学型開発モデル」が地域課題解決型情報システム開発や,企業における技術検証などにおいて一定の効果があることを示している.

  • 板東孝文, 松浦健二
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 145-152
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    働き方改革の推進に伴い,労働時間の適正化という観点から,就業者の労働時間に関する客観的データ照合が求められている.すなわち,厚生労働省が策定したガイドラインに則り,客観性のある,申告制と証跡との照合に関するプロセスを検討する必要がある.そのような背景の下,キャンパス内の滞在を示す客観的データを収集,蓄積,配布するための環境の設計と試作を行った.本論文では,その設計について述べ,運用を想定した際の課題を論じる.

  • 松村 宣顕, 古畑 智博, 長谷川 孝博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 23 巻 1 号 p. 153-162
    発行日: 2019/09/17
    公開日: 2019/09/17
    ジャーナル フリー

    本論文では内容の異なる複数の大学Web情報システムを開発するためのアーキテクチャを紹介する.全学規模のシステムの開発やITサービスの導入において,アカウント管理とシステム開発の工数低減は大きな課題である.提案手法は,Shibboleth,クラウド,WordPressといった既存技術を組み合わせ,かつ,共通の開発アーキテクチャとすることで工数低減を求める.構成員約12,000名の国立大学の情報系センターにおいて提案手法を適用した.結果,提案手法を用いて内容の異なる3つのWeb情報システム(電子書籍配信システム,Webホスティングシステム,IPアドレス管理システム)の実装が可能であった.新規開発プログラムは独自開発のWordPressプラグインのみとできた上に,ソースコード行数も300行未満に抑えられた.システム開発と運用実績で得られた知見から,提案手法はアカウント管理とシステム開発の工数低減に有効であることが示された.提案手法は少ない工数でShibboleth SP(Service Provider)としてWeb情報システムを実装できるため,大学におけるShibboleth SPの充実に貢献する.

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