日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2012年年会
選択された号の論文の253件中151~200を表示しています
R4:地球表層・環境・生命
  • 楊 晨, 北台 紀夫, 福士 圭介
    セッションID: R4-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    フェリハイドライトは地球表層に広く分布する低結晶性鉄酸化物であり、巨大な比表面積に加え、天然水の中では表面が正に帯電することから、陰イオンの優れた吸着体と考えられている。硫酸イオンのフェリハイドライトへの吸着は共存元素の移動性を支配する重要な反応である。減衰全反射赤外分光(ATR-IR)法は光が全反射する際に界面に潜り込む性質を利用した赤外吸収スペクトルの測定法で、水溶液中における表面錯体構造の直接観察を行うことができる(Hug,1997)。Peak et al.,(1999)はATR-IRを利用した吸着反応の「その場」観察システムを提案している。本研究では、Peak et al.(1999)によるその場観察システムを用いて様々なpH、イオン強度、硫酸濃度条件におけるフェリハイドライト表面における硫酸の表面錯体構造を明らかにすることを目的とする。
  • 月村 勝宏, 鈴木 正哉, 鈴木 庸平, 村上 隆
    セッションID: R4-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    ナノ粒子の比重が地下水の比重よりも大きいとき、ナノ粒子は重力によって下方に動く。液相中にあるナノ粒子が垂直に落下できるときは、落下速度はストークスの式で表すことができるが、地層層中にあるナノ粒子は垂直に落下できない。本研究では地層中にあるナノ粒子の重力による落下速度や拡散係数を求める式を導いた。カラチャイ湖周辺域の地下水にあるフェリハイドライト・ナノ粒子では、重力による落下速度が1,000年間で100m程度であることが判明した。
  • 藤高 志帆, 鉱山 明希子, 小野坂 侑香, 小林 祥一, 猶原 順
    セッションID: R4-P01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    近年地球誕生初期の環境が解明されつつある。そこで、地球初期環境下で地表付近に広く分布する玄武岩質岩の風化変質実験をとおして、地球環境に与えた影響について検討した。当時玄武岩質の岩石は、海洋底はじめ地球表層部に分布していたと考えられており、この風化変質は海洋、大気あるいは地表の化学組成の変遷に関わり合ってきたと考えられる。当時、大気中には大量の二酸化炭素が、また雨水、海水中には硫酸、塩酸など酸性物質が溶解していたと考えられている。そこで、玄武岩を対象とし、pH4の塩酸、硫酸、硝酸および二酸化炭素飽和水および蒸留水を用いた人工風化実験を行い、玄武岩類の風化変質過程を溶脱元素の種類および量比、玄武岩岩石片表面の形態的変化および化学組成から検討した。今回は実験開始後600日目までの結果を報告する。
  • 田中 和也, 上原 誠一郎
    セッションID: R4-P02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    九州黒瀬川帯の蛇紋岩の構成鉱物、化学組成、微細組織の検討を行った.東部では3種のantigorite (atg), chrysotile(ctl) , lizardite (lz) の蛇紋石が含まれる傾向にある.中央部ではctl, lz に,西部ではatg に富む傾向にある.また,繊維状蛇紋石である Polygonal Serpentine (PS) は蛇紋岩中の黄色部や淡緑色部に含まれており,200- 300 nm の繊維径粒子がみられた.さらに,ctl と PS の中間体のようなものも観察された.化学的な特徴として atg に富むものは,FeO は2-3 wt% , Al2O3 は少量含まれている。PS を含むものはFe に乏しく,Al の量はさまざまである.lz と ctl に富むものはFe, Al の量はさまざまで、特に Fe が富むものも存在する.
  • 瀬山 春彦, 谷 幸則, 渡邉 淳一, 常 佳寧, 宮田 直幸
    セッションID: R4-P03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    尾太鉱山で採取されたマンガンノジュール(直径約10mm)を粉末X線回折法(XRD)及び顕微蛍光X線法(XRF)で分析した。XRD測定から、マンガンノジュールは層状マンガン酸化物であり、水中では 1 nmの層間距離を持ち、乾燥による脱水が進むと層間距離が 0.7 nmに縮むと考えられた。切断したマンガンノジュール断面は同心円状の層状構造を示し、XRF分析からマンガンノジュールを構成する金属元素として、Mn以外にZn、Caなどが検出された。さらに、蛍光X線による元素マッピングから、Znはマンガン酸化物の特定の層で濃度が高くなっていた。また、マンガンノジュールの中心部分にはSi、Fe、Cu、Pbなどを含む微細な鉱物と考えられる複数の粒子が見られた。
  • 中田 亮一, 鈴木 紀毅, 高橋 聡, 白井 孝明, 小川 和広, 高橋 嘉夫
    セッションID: R4-P04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    中部日本ジュラ紀付加体にマンガン炭酸塩ノジュールについて希土類元素に着目し,その形成環境の考察を行った.炭酸マンガン,珪質泥岩共にREEパターンは正のCe異常を示したが,XANES解析からCeは3価で存在している事が示された.この事実は,試料生成時には正のCe異常が表れるような酸化的環境であったが,続成過程でCeが還元したことを示唆おり,炭酸マンガンノジュールは,(i) Ceが自発的に酸化するような強アルカリ環境で生成したか,(ii) 初生的にはマンガン酸化物で,続成作用によって還元することで生成したか,の2つの可能性が考えられる.
R5:地球外物質
  • 三浦 保範
    セッションID: R5-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    地球の主要な造岩鉱物は、比較的静的なマグマ溶融で生成して、地球の大陸地殻を形成しているが、本研究では動的に状態固化した鉱物の一部を報告する。地球の大陸地殻は、海水圏とプレート活動で形成されているが、地球内外の古い月惑星における岩石像として使用されている。しかし最近の研究で、最古の地球は衝突組織を示す動的に状態変化して固化した微細鉱物(斜長石、方解石と大隅石族鉱物)で、大隅石族鉱物を報告する。 大隅石族鉱物の組成は、KNaCa系長石鉱物に多くのFeとMgを含むのが特徴である。地球に多く存在するKに富む大隅石族鉱物 は、K-Fe (4鉱物相)とK-Mg(3鉱物相)に大別され、微粒子組成ではK長石組成と誤解されやすい。Na-Mgに富む相 (3鉱物相)は、微粒子組成でNa斜長石組成と類似して記載されやすい。残りのNa-Fe、Ca-MgとCa-Feに富む組成相は地球内になく、衝突溶融による石質隕石(仁保)に記載されており、最近の報告ではイトカワ粒子に見いだされている。
  • 佐竹 渉, Paul C. Buchanan, 三河内 岳, 宮本 正道
    セッションID: R5-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    ユークライトとダイオジェナイトは小惑星ベスタ起源とされる隕石グループであり、ユークライトはベスタの地殻に、ダイオジェナイトはベスタのマントルに相当すると考えられている。我々の先行研究において、ユークライトの起源がベスタの表層か地殻深部化によって、形成環境がそれぞれ酸化的、還元的と異なる結果が得られた。これをより深く検証し、ベスタの進化過程を考察するため、本研究ではさらに形成深度の異なる2個のユークライト(Moore County、Padvarninkai)と1個のダイオジェナイト(Y-75032)に含まれる斜長石中の鉄の価数を放射光マイクロXANES分析により求め、比較した。二つのユークライトの分析結果は、我々の先行研究と調和的であり、ベスタの地殻深部には部分的に酸化的な場所が存在したことを示唆している。さらに、ユークライトとダイオジェナイトの分析結果を比較したところ、ダイオジェナイトがユークライトの起源であるメルトの残液起源であることと調和的であった。
  • 中牟田 義博, 藤 昇一
    セッションID: R5-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    HRTEM observations and SAED analyses were carried out with slices prepared from a carbon-rich grain directly taken out of the PTS of the Goalpara ureilite. HRTEM images and SAED patterns which show the conversion process of graphite into lonsdaleite or diamond are presented. The SAED patterns clearly show that the relative crystal axes orientation is (001)Gr // (100)Lo // (111)Di and [210]Gr // [001]Lo // [2-1-1]Di. The results of this study reveal the mechanism of the conversion and confirm the shock origin of diamonds in ureilites.
  • 鹿山 雅裕, 西戸 裕嗣, 関根 利守, 富岡 尚敬, 金子 詳平, 宮原 正明, 大谷 栄治, 小澤 信, 蜷川 清隆
    セッションID: R5-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    マスケリナイトに加わった圧力、温度および圧力保持時間をカソードルミネッセンス(CL)から評価する。アルバイトの衝撃実験およびDAC実験の回収試料、火星および月隕石中のマスケリナイトはCLスペクトルにおいて330および380 nm付近のピークを有する。波形分離解析の結果、2.95、3.26および3.88 eV付近の発光成分が得られ、発光強度が衝撃実験およびDAC実験時の圧力と相関するため、高圧下で生成する構造欠陥に帰属される。DAC実験試料は衝撃実験試料よりも高い発光強度を有し、これは圧力保持時間の差に起因する。また、衝撃実験の検量線から得られた圧力はDAC実験よりも高い。隕石中のマスケリナイトのCL像において、メルトポケットに接する領域は微弱な発光であり、それ以外では均一な発光分布を示す。よって欠陥消失温度以下では、発光強度は圧力と圧力保持時間にのみ依存することから、衝撃実験試料からの推定値とDAC実験のそれとの間に実際の衝撃圧力が位置する。
  • 島田 玲, 𡈽山 明, 道上 達広, 門野 敏彦, 長谷川 直
    セッションID: R5-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    小惑星表面に存在するレゴリスは、小天体や宇宙塵などの物体の衝突により生成したと考えられている。小惑星探査機「はやぶさ」により持ち帰られた小惑星イトカワ表面のレゴリス粒子の初期分析では、マイクロX線CTにより粒子のサイズ分布、3次元形状分布が明らかになり、FE-SEMによる粒子表面の観察により微細構造が観察されている。
    本研究では、宇宙科学研究所の2段式軽ガス銃により、カンラン岩ターゲットへのクレーター生成破壊実験を行い、放出された破片を高速度破片と低速度破片に分けて回収した。
    高速度破片、低速度破片およびカンラン岩ターゲットを砕いた粒子について、それぞれのサイズ分布、3次元形状分布を測定した。また、これらのサンプルをFE-SEM およびSpring-8のマイクロCTを用いて粒子の表面の微細構造および内部構造を観察し、同様の手法により観察されたイトカワ表面のレゴリス粒子との比較を行った。
  • 三河内 岳, Viktor Hoffmann, 宮本 正道
    セッションID: R5-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    新しく見つかったナクライト火星隕石(3つのMIL09南極隕石とNWA5790)の鉱物学的研究を行った結果,3つのMIL09隕石はMIL03346とペアであり,またNWA5790はこれまで見つかっているナクライトの中で最もメソスタシスの量が多く,強い化学ゾーニングを示すことが分かった。これらの結果,これまでに提案されているナクライトの起源岩体モデル(オージャイトとカンラン石結晶が深部から浅部にかけて集積しており,下層ほど結晶が密にパッキングして,冷却速度が遅く,上層ほどメソスタシスが多く,化学ゾーニングの度合いが著しい)に,どの試料も当てはまることが明らかになった。NWA5790は,岩体の最も上層部から来たことが示唆されるが,カンラン石の化学ゾーニングを用いた冷却速度の計算では,NWA817,MILとほぼ同じ約0.5度/時間と言う値が得られた。
  • 松本 徹, 𡈽山 明, 松野 淳也, 永野 宗, 島田 玲, 中野 司, 上杉 健太郎
    セッションID: R5-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    はやぶさ探査機が持ち帰った小惑星イトカワのレゴリス粒子の走査型電子顕微鏡による粒子の表面観察が行われている。イトカワ粒子の表面はへき開面、粒界で割れた破断面などで構成され、表面の一部は丸みを帯びていた。この特徴は、太陽風によるスパッタリング、マイクロメテオロイドの衝突によるスパッタリング、もしくは小惑星への天体衝突の際に誘起された地震振動による機械的摩耗により形成されたと考えられる。 本研究では、イトカワ粒子表面を摩耗する小惑星表層環境での支配的なプロセスを明らかにするため、太陽風を模擬した、鉱物への高エネルギー粒子線照射実験、振とう器を用いた鉱物粒子の機械的摩耗実験を試みた。また、新たに3つのイトカワレゴリス粒子、月のレゴリス粒子の放射光マイクロCTを用いた内部構造の分析、走査型電子顕微鏡を用いた表面観察を行い、小惑星と月表層のレゴリス粒子の表面形態の特徴の違いについても考察する。
  • 宇津木 綾香, 森永 慎也, 留岡 和重, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    水質変成を受けた炭素質コンドライト中の層状ケイ酸塩は、鉄に富むカンラン石が主要な前駆物質であると考えられており、その種類は隕石タイプによって異なり、CM、COはサーペンティン(以下serp)、CVはスメクタイト(以下smec)、CI、CRはserp/smecである。このような違いは隕石母天体上での変成環境を反映していると考えられるが、詳しい変成条件はわかっていない。本研究では、母天体上での変成条件を解明するため、カンラン石(Fo100,80,50,20,0)を異なるpHの溶液(pH 0,7,14)と反応させ、変成物の相違を調べた。その結果、serpはMgに富むカンラン石あるいは低pH条件下で生成し、smecはFeに富むカンラン石かつ高pH条件下でのみ生成することが分かった。これらの結果は、炭素質コンドライトの水質変成は比較的高いpH条件で起とする先行研究の結果とも整合的である。
  • 永野 宗, 𡈽山 明, 下林 典正, 瀬戸 雄介, 今井 悠太, 野口 遼
    セッションID: R5-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    小惑星探査機はやぶさが持ち帰った試料48粒子の鉱物・化学組成が初期分析により求められている。その結果、イトカワ表面はLLコンドライト隕石と類似していることがわかった。しかし、平均的なLLコンドライト隕石の鉱物組成よりわずかながらずれている鉱物もある。初期分析が行われた試料のサイズは30~180μmと微小であり、鉱物組成の差異は試料の微小さによるものだと考えられるが 、試料回収の際のバイアスがかかっている可能性もある。そこで、試料サイズとそのサイズの試料が持ちうる誤差を定量的に求め、イトカワ試料が持つLL隕石との差異が試料のサイズによるものなのか、それとも試料採取におけるバイアスによるものなのかを検討した。
  • 市村 隼, 瀬戸 雄介, 留岡 和重
    セッションID: R5-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    隕石母天体におけるNaに富む熱水条件下でのネフェリン生成プロセスを、実験的に検証するため、我々はCAI、コンドリュール中のネフェリンの前駆物質と考えられるメリライトおよび斜長石を用いて、オートクレーブによる水熱合成実験を行った。実験後はSEM-EDS、XRDを用いて、回収試料の相同定を行った。ゲーレナイトおよび斜長石はNaに富む水溶液によって含水のネフェリンハイドレート、アナルサイムに容易に変成することがわかった。
  • 野口 高明, 中村 智樹, 牛久保 孝行, 木多 紀子, John Valley, 山中 理代, 木本 雄吾, 北澤 幸人
    セッションID: R5-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    国際宇宙ステーション(ISS)に2001年に取り付けられ2005年に回収されたエアロジェルの捕獲トラックから回収した捕獲粒子の鉱物・岩石学的特徴 と酸素同位体比を測定した。この捕獲粒子は,ISSから回収された最初の地球外物質である。斑状カンラン石・輝石コンドルールによく似た組織を持つが,コ ンドルールによく含まれるカマサイトやトロイライトはほとんど含まれれず,Niに富むピロータイト(組成はmss)が部分的に酸化されたものを含んでい た。カンラン石中のCr2O3の含有量平均値と標準偏差より,このコンドルール様物体は弱い熱変成作用を受けていることが示唆された。しかし,Niに富む ピロータイトはTEMスケールでも均質であり,2相に分離するような低温での熱イベントは受けていないことが分かった。この物体は微隕 石,Wild2粒子,炭素質コンドライトのコンドルールと同様の酸素同位体比を持っていた。
  • 橘 省吾, 瀧川 晶, 三宅 亮, 永原 裕子, 小澤 一仁, 片岡 香織
    セッションID: R5-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    原始惑星系円盤条件での気相からの鉱物ダスト凝縮は惑星物質の形成や進化の基本プロセスであり,物理化学条件がさまざまなタイムスケールで時間変化する原始惑星系円盤においては,その速度論的理解は極めて重要である.気相からの鉱物凝縮において重要となるのは,気相からの入射分子(原子)の結晶への取り込み確率であり,一般に凝縮係数とよばれる,我々はこれまで主要惑星物質である金属鉄やコランダムに関して,凝縮係数を求めてきたが,同じく主要鉱物であるフォルステライトについてはこれまで求められていなかった.本研究では原始惑星系円盤条件を模擬した環境でのフォルステライト組成ガスからの凝縮実験をおこない,フォルステライト基盤上に結晶質フォルステライトが凝縮すること,凝縮係数が0.05より小さいことを示した.
  • 松野 淳也, 𡈽山 明, 八木下 将史, 小山 誠司, 渡辺 隆行
    セッションID: R5-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    彗星塵にはGEMS (glass with embedded metal and sulfides)と呼ばれる、直径数100 nmの非晶質珪酸塩が含まれており、太陽系の最も始原的な物質のうちの1つと考えられているが、その形成過程はよくわかっていない。熱プラズマ装置を用いたSi-Mg-Fe-O系の高温ガスの凝縮実験により、直径が10-100 nm程度で内部に金属鉄ナノ粒子(数-数10 nm程度)を1つ含む球状非晶質珪酸塩微小粒子を合成した。この組織は、金属鉄が均一核形成した後、非晶質珪酸塩が不均一核形成したように見える。鉄に代わって凝縮温度の異なるNiやZnを用いた実験では、直径20 nm程度の金属粒子を2, 3個含む非晶質珪酸塩粒子(直径約50 nm)が合成された。これらの実験結果から、GEMSはそれよりもさらに小さな一次粒子の集合体である可能性が示唆される。
  • 瀧川 晶, 橘 省吾
    セッションID: R5-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    プレソーラーアルミナ粒子の形成および進化の過程を明らかにするために,非平衡普通コンドライト中アルミナ粒子の表面構造,結晶構造,酸素同位体比測定をおこない,プレソーラーアルミナおよび同位体異常を示さないアルミナの一部が.10-100nmの微細構造をともなう不規則な表面構造をもつことがわかった.これらの表面構造の起源を明らかにするために,合成した多形結晶質アルミナ,非晶質アルミナをもちいた,酸溶解実験およびイオン照射実験をおこない,アルミナ表面構造の観察した.本講演では,酸溶解実験,イオン照射実験の結果を紹介し,プレソーラーアルミナの表面構造の起源を議論する.
  • 三浦 均, 塚本 勝男
    セッションID: R5-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    コンドリュールに見られる棒状オリビン(BO)組織の形成メカニズム,及び,その形成条件を調べるため,多成分珪酸塩メルト急冷凝固の数値計算を行なった。数値計算手法には,結晶成長の分野でよく用いられているフェーズフィールド法を採用した。今回は鉱物としてMg-Feオリビンを扱い,オリビン組成メルトとの相平衡関係は理想溶体モデルによって与えた。平坦な固液界面が急冷に伴って結晶成長する様子を数値計算したところ,結晶成長に伴うFeの分配,濃度境界層の形成,それに伴う界面形態不安定が再現され,BO組織に似た構造が形成した。棒状オリビンの幅と冷却速度の相関から,コンドリュールに見られるBO組織の形成条件を評価したところ,従来考えられていた値より1桁以上の急冷が必要であることが示唆された。今後は計算モデルをより現実的なモデルに拡張し,検証を進める予定である。
  • 木村 眞, 杉浦 直治, 三河内 岳, 平島 崇男, 比屋根 肇, 竹鼻 祥恵
    セッションID: R5-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    隕石から初めてエクロジャイト的な鉱物組合せのクラストを発見した.オンファス輝石とパイロープ組成に富むザクロ石,及びカンラン石,斜方輝石が主要鉱物である.2.8-4.2GPa and 940-1080°Cの高圧条件下で形成された.
  • 今栄 直也
    セッションID: R5-P01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    81P/Wild 2彗星塵からコンドリュール様物体が見つかっている。これらは主にポイキリティック組織で特徴づけられる。これらの主要構成鉱物であるMgに富むかんらん石および低Ca輝石の化学組成はコンドライト中にコンドリュールのとやや異なり、少し鉄成分に富み、Mn成分にも富む。最近、81P/Wild 2彗星のコンドリュール様物体と組織および化学組成共に一致するたくさんの南極微隕石が同定されてきた。これらの彗星由来と考えられるマッシブ組織の南極微隕石は、極域氷床から採取できるユニークな地球外物質である。本研究では、彗星塵候補の微隕石についての詳細をレビューし、その形成に関しての新しい知見を与える。 
  • 岩瀬 知佳子, 赤井 純治
    セッションID: R5-P02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    これまで詳細な検討がなされていないCM2炭素質コンドライト隕石Acfer331についてTEM,SEM,マイクロラマン,XRDにより詳細に分析を行った.XRDの結果によって示された主要構成鉱物のphyllosilicate,olivine,pyroxine,gypsumの他に,magnetite,whitlockite,hematite,sulfade,aphtitalite,carbon materialsを記載した.炭質物のラマン分光測定の結果から,Acfer331の炭質物が経験した最高温度は約242℃であることが分かった.また,比較のため使用した他炭素質コンドライトの炭質物とフィロシリケートが示す熱変成温度は必ずしも一致せず,フィロシリケートと有機物は異なる環境下での熱履歴を持つことを示唆した.
  • 松本 恵, 留岡 和重, 瀬戸 雄介, 三宅 亮
    セッションID: R5-P03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    始原的隕石中のネフェリンとソーダライトは、隕石母天体における水質変成作用(Na交代変成)によって形成した可能性が示唆されている。本研究は、Na交代変成過程を解明するため、全岩的にネフェリンとソーダライトに富むNingqiang隕石を詳しく調べ、Warrenton隕石との比較を行った。その結果、Ningqiang隕石のコンドリュールの大部分がネフェリンとソーダライトを含むこと、ネフェリンとソーダライトはマトリックス全体に分布し約1割の体積を占めることがわかった。全岩のNa含有量及びマトリックス組成から、Ningqiang隕石のNa交代変成は母天体内の閉じた系の中で比較的低温の条件下で進行したと考えられる。Warrenton隕石のDIはネフェリンとソーダライトを多く含み、Ningqiang隕石のマトリックスと特徴が似ている。DIとNingqiang隕石が経た変成プロセスは似ていると考えられる。
  • 酒井 碧, 留岡 和重, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-P04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    Dark clasts(DCs)はCV, CO隕石に含まれる石質岩片で、ホスト隕石と似た物質が水・熱による変成を受けて形成したと考えられている。我々はAllende隕石中に特異な2つのdark clastを見出し、SEM-EDSとEPMA-WDSによる観察・分析を行った。DC中に存在するコンドリュールを交代した仮像(平均直径~0.17mm)は、ホスト部分のコンドリュール(平均直径~0.49mm)より有意に小さく、このことはDCの前駆物質がホストであるAllende隕石とは異なっていたことを示唆する。DCの周縁部及び内部には、Ca成分に富む鉱物からなる脈が存在する。この脈がホストに存在せず、DCを縦断していることから、脈はホストに取り込まれる前、DC全体が水・熱により変成・細粒化した後に形成されたと考えられる。よって、DCが経た変成過程は複数回の水質変成を含む複雑なものであったと推定される。
R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
  • 亀井 淳志, 堀江 憲路, 大和田 正明, 柚原 雅樹, 中野 伸彦, 小山内 康人, 足立 達郎, 原 有希, 寺尾 まどか, 手打 晋二 ...
    セッションID: R6-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    南極セール・ロンダーネ山脈には後期原生代に活動した変トーナル岩体が産する.この岩体を構成する岩石はソレアイト質花崗岩もしくはアダカイト質花崗岩のどちらかに区分される.それぞれの活動時期は,前者が998-995Ma,後者が945–920 Maもしくは772 MaであることがジルコンのU–Pb SHRIMP年代より示された.したがって,変トーナル岩は幾つかの異なるマグマにより形成された複合岩体と言える.このような特徴を有する後期原生代の岩体は東南極ドロンイングモードランドにおいて報告が無く,非常にユニークなものと言える.
  • 伊藤 純一, 佐藤 博明, 三軒 一義, 白木 敬一
    セッションID: R6-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    久米島産ピクライトについてグラファイトカプセルを用いた高圧実験を行いその生成条件として,1.1-1.2 GPa, 1375-1385CでOl, Opxと共存することを確認した.これはマントルポテンシャル温度として1480C程度になり,当時の琉球弧でActiveな拡大が生じたことを示唆する.
  • 堤 之恭, 三宅 優佳, 小松 俊文
    セッションID: R6-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    天草上島東岸の姫浦層群の基盤には花崗岩類と片麻岩が分布している.それらは肥後帯に属すると考えられているが,年代に関するデータははなかった.今回,国立科学博物館に設置されたLA-ICPMSにより姫浦層群基盤類及び肥後帯の花崗岩類のジルコン年代測定を行った.肥後帯の宮の原トーナル岩,万坂トーナル岩及び白石野花崗閃緑岩はそれぞれ107±2 Ma,108.6±2.5 Ma,108.7±3.6 Maを示した.姫浦層群基盤の花崗岩質岩は108.8±2.4 Maを示したので,年代は肥後帯の物と誤差の範囲で一致する.片麻岩類の砕屑性ジルコンは280 Ma及び1700-1900 Ma付近にピークを持つ年代分布を示し,肥後帯主要部の片麻岩と250 Ma前後の成分に於いては基本的に一致した. 以上の結果は,天草上島の姫浦層群の基盤岩類が肥後帯の構成岩類であることと矛盾しない.
  • 伴 雅雄, 武部 義宜
    セッションID: R6-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    蔵王山、最新期活動開始時に形成された駒草平火砕岩について岩石学的解析を行い、噴出物をもたらしたマグマ供給系は3つの噴火期毎に異なる進化過程を辿ったことを明らかにした。マグマ供給系の基本構成は、浅部に珪長質マグマ溜りが、深部に苦鉄質マグマ溜りが配置されている。噴火は、さらに深部からの未分化マグマの上昇がきっかけとなる。触発された深部マグマ溜りからマグマが上昇し浅部マグマに混合し、噴火に至る。第1噴火期では深部由来のマグマが注入後、両者が混合しながら噴火するプロセスが繰り返され、時間経過と共に浅部珪長質マグマの量が減少した。第2噴火期では、マグマ混合によって中間マグマが浅部マグマ溜り上部に形成され、これが苦鉄質・珪長質マグマと共に噴火した。中間マグマの量は時間経過と共に減少する。第3噴火期では、浅部マグマだまりに深部由来マグマが繰り返し注入し浅部マグマだまり自体の組成が苦鉄質側に変化した。
  • 足立 辰也, 佐藤 光, 伴 雅雄
    セッションID: R6-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    蔵王火山、五色岳の過去約800年間の噴出物は火砕サージ堆積物とそれに伴うアグルチネートが主体であり、不整合面を堺に5つのsub-unitに分けられる。噴出物は全て低温マグマに高温マグマが注入・噴出することによって形成されたものであるが、sub-unit間で僅かな組成差が認められ、端成分マグマは時期毎に僅かに異なっていたと考えられる。sub-unit内では、上位ほど全岩組成は概ね苦鉄質に変化し、リム付近に汚濁帯を持つ斜長石や逆累帯の幅が広い輝石斑晶の割合が増え、またAn量の極端に低い斜長石も認められるようになる。これらを総合的に考えると、各sub-unitをもたらした一連の噴火において、苦鉄質マグマの注入・混合は累進的に増大し、また浅部マグマ溜まりの外縁部も混合に関与するようになったと推測される。
  • 大場 司, 及川 玄, 林 信太郎, 伴 雅雄
    セッションID: R6-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    鳥海火山猿穴溶岩はマグマ混合により生じた玄武岩質安山岩からなる.マグマのミングリング開始後に熱平衡に達し,苦鉄質マグマ中での結晶化と珪長質マグマ中での溶融が生じたことが斑晶の累帯構造に記録されている.普通輝石斑晶は自形の微細成長縞からなるOscillatory累帯構造が発達しており,環境マグマの化学組成が小刻みに変動する状況下で成長したことがわかる.かんらん石斑晶の外縁部の正累帯構造は拡散プロファイルに近似でき,混合から固化までの期間は約0.5年であったと推定される.マグマのミングリング,熱平衡,鉱物の成長と融解,均質化がこの期間内に生じた.
  • 平原 由香, 高橋 俊郎, 宮崎 隆, 仙田 量子, 常 青, 伴 雅雄, 木村 純一
    セッションID: R6-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    東北日本弧第四紀火山岩類 (背弧:鳥海火山 vs.火山フロント (VF):蔵王,吾妻,高原山)のSr-Nd-Pb-Hf-Ce同位体組成の関係と空間的組成分布の成因について検討した。背弧側のものはVFに比べて,枯渇したSr-Nd-Pb-Hf-Ce同位体組成を示す。また, Ce同位体組成はMORBと同程度に低い値を示す。一方,VFのものは, 北部(蔵王,吾妻)に比べ, 南部(高原山)は肥沃なSr-Nd-Pb-Hf-Ce同位体組成を示す。これはVFのものは,背弧側に比べて地殻の同化作用の影響を受けていることを示唆している。また,南部の,高いCe同位体組成 (εCe > 0 )は,マグマに混染した地殻物質が,基盤岩類のうち, 火成岩類(花崗岩:JG-1)よりも堆積岩類(チャート:JCh-1)であることを示唆する。
  • 土谷 信高, 武田 朋代, 谷 健一郎, 足立 達朗, 中野 伸彦, 小山内 康人
    セッションID: R6-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    北上山地の前期白亜紀アダカイト質花崗岩類は,中心相が典型的なアダカイトからなり,周辺相がよりSrに乏しい花崗岩類からなるアダカイト質累帯深成岩体として産する.それらには,北上帯東縁の石狩-北上磁気異常帯に沿って南北に帯状に分布するもの(E zone: 階上・田野畑・宮古・金華山岩体)と,磁気異常帯主要部から西側に離れて南部北上帯の内陸部に分布するもの(W zone: 遠野・人首・千厩岩体)とがある.両者の岩石化学的性質にはわずかな違いがあり,今回の年代測定からE zoneの花崗岩体はW zoneのものよりも僅かに古いことが明らかとなった.このことから,沈み込みスラブが時代とともに冷却し,W zoneのマグマはE zoneのものより高圧,含水条件下で形成されたものと思われる.またE zoneの花崗岩体の年代は南に向かって若くなっていると判断される.
  • 石渡 明, Desta Minyahl Teferi
    セッションID: R6-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    シベリア巨大火成岩区(LIP)はペルム紀・三畳紀境界に噴出した洪水玄武岩を主とし,埋積部分を含めて日本の7倍の面積を占める地球最大の火成岩体であり,ニッケル産出量世界最大のノリルスク斑れい岩体を伴う。 エチオピア巨大火成岩区は古第三紀漸新世に形成され,日本の半分程度の面積を占め,二極的火山活動が特徴である。これら2つのLIPは,高Ti, 低Ti両系列の存在など共通点もあるが,楯状火山の有無,隆起・引張場の有無?,安山岩の有無,流紋岩の量,Nb異常の有無などの点で大きな相違がある。エチオピアLIPはマントルプルーム起源が定説だが,シベリアLIPは様々な成因説がある。またシベリアLIPは沈み込み境界を越えて他の大陸ブロックに拡がっていた可能性があり,本講演ではチュコートカ地域のデータを示す。
  • 岩田 智加, 亀井 淳志
    セッションID: R6-P01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    西南日本山陰帯の島根県奥出雲町高田周辺の地質調査を行い,深成岩類の地質学的・岩石学的特徴を記載した.その結果,この岩体が大きく角閃石黒雲母トーナル岩と角閃石黒雲母花崗閃緑岩に区分できることが明らかとなった.前者は岩相的に60Ma以降に活動した尾原トーナル岩(薬師寺ほか,2012)に対比できる可能性が高い.一方,後者はその南に分布する横田岩体(59.6Ma:西田ほか,2005)と漸移することから,約60Maの岩体と認識できる.今後は,これらのマグマの成因や活動の意義を考察する必要がある.
  • 佐藤 隆春
    セッションID: R6-P02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    中新世中期の室生火砕流堆積物の基質は流紋岩質組成であるが,ときにデイサイト質黒曜岩レンズを含む.推定される給源カルデラ地域にデイサイト岩脈および火砕岩岩脈に流紋岩質岩片と共にデイサイト岩片が含まれている.また,この地域には安山岩と流紋岩との複合岩脈もしばしば見られる.これは給源火山でのマグマ溜りが不均質なことを示し,火砕物を噴出する際に流紋岩マグマがデイサイトマグマと混合したことを示す.
  • 細川 亮介, 清水 正明, 志村 俊昭
    セッションID: R6-P03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    山梨県北部には甲府花崗閃緑岩体が露出し,御岳昇仙峡型,徳和型,芦川型,小烏型の4岩体に区分される.御岳昇仙峡型花崗岩は,詳細な研究例に乏しく,その形成過程について詳細に議論されていない.筆者らは,鏡下観察,帯磁率測定,化学組成などに基づいて,その形成過程を考察する.
    本岩体は,中~粗粒黒雲母花崗岩,細~中粒ざくろ石含有両雲母花崗岩,中~粗粒両雲母花崗岩,斑状花崗岩からなる.また,本岩体の帯磁率を測定した結果,チタン鉄鉱系に区分された.本岩体のシリカ含有量は,76.3~78.0 wt.%の幅に集中した.
    本岩体は,野外観察の結果から,上位からざくろ石含有両雲母花崗岩,斑状花崗岩,両雲母花崗岩,黒雲母花崗岩が位置する.また,鏡下観察でマグマ混合を示す組織が見られたことから,本岩体は伊豆小笠原弧の衝突により生じたマグマと,その熱により四万十帯が溶融して生じたマグマの混合により形成された.
  • 金井 啓通, 荒川 洋二, 池端 慶, 田島 義之
    セッションID: R6-P04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    草津白根火山は現在も活動を続ける活火山であり地質学・地球化学・岩石学・測地学を始め様々な分野での研究がなされている.本研究ではその中でも未解明な部分が多い草津白根火山最初期の活動で噴出した松尾沢噴出物に焦点を当て偏光顕微鏡による薄片観察とEPMAによる鉱物化学組成分析を基軸にそのマグマ生成過程の考察を試みた.それによって松尾沢噴出物を斑晶鉱物量比,石基組織の特徴及び各サンプルの分布から2つのユニットに分類することができた.また斑晶鉱物量比と鉱物化学組成からこれらユニットはマグマ組成が苦鉄質寄りになってく傾向が見られた.また,斜長石斑晶に着目すると汚濁帯を持つ斜長石と清澄な斜長石の共存,化学組成における逆累帯構造及びバイモーダルな分布から,松尾沢噴出物を形成したマグマの成因としてマグマ混合が関与したと考えられる
  • 田島 義之, 荒川 洋二, 池端 慶, 金井 啓通
    セッションID: R6-P05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    高原火山は東北本州弧南部の火山フロント上に位置する第四紀成層火山である.一方,高原火山本体に付随し,西北西‐東南東方向に走る断裂帯上には単成火山群が形成されており,これらの火山は高原火山本体の複成火山とはマグマの生成過程が異なることが推定されている.しかし,これらの単成火山群に焦点をあてた岩石学的な研究は充分に行われていない.従って本研究では,これらの単成火山群に焦点をあて,それらを形成したマグマ生成過程及び高原火山本体の複成火山との関連性を解明するため,詳細な顕微鏡観察及びEPMAによる鉱物化学組成分析を行った.その結果から,これまでこれらの単成火山群は高原火山本体の複成火山とは別の特徴を持つ活動で形成されたと推定されていたが,成因的な視点からは富士山溶岩ドームを除くと多くが複成火山を形成したマグマと密接な関係があることが推定された.
  • 石橋 秀巳, 山本 順司, 西村 光史
    セッションID: R6-P06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    輝石温度計の温度追随性を定量的に理解するために、エンスタタイト-ディオプサイド系において、界面平衡組成と拡散係数の温度・化学組成依存性を組み込んだ一次元拡散モデル計算を行い、輝石中の化学組成プロファイルの初期温度・冷却率条件に対する依存性を検討した。今回、初期温度1200℃、輝石粒径2mmと仮定し、0.1℃/yrと0.0001℃/yrの冷却率条件でそれぞれ下限温度750℃まで計算を行った。その結果、前者の条件では、輝石組成はリム付近を除いて初期状態が維持される結果を得た。一方、後者の条件では、10万年のタイムスケール以上のタイムスケールで、コア-リム間に有意の組成差が検出できた。これらのいずれの場合も、コア組成から推定される輝石温度が実温度を追随できないことを意味する。今後、更に異なる条件での計算結果を加えて、輝石温度計の温度追随性について議論する予定である。
  • 孫 羽, 古川 登, 廣井 美邦
    セッションID: R6-P07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
     最近、グラニュライト中のザクロ石結晶中に「ナノ花崗岩」(Cesare et al., 2009、Geology)あるいは珪長質火山岩様包有物(FVRLI)(廣井ら、2010,2011地質学会講演要旨)が見出されたことから、グラニュライトの上昇・冷却の機構や速度について、新しい問題が提起された。それを解明するために、過冷却した花崗岩質メルトの結晶化実験を行った。多様な形態の石英の樹枝状結晶が生成されたが、50 ℃/hの冷却速度では、中心部の石英の細粒集合体から6本以上の樹枝状石英結晶が成長しているものがよく観察された。0.88℃/hで冷却速度では、結晶の形に大きな違いが生じ、中心部の細粒石英集合体から伸びた樹枝状石英結晶は1~4本程度であった。300時間700℃に保持した場合には、石英結晶が大きくなり、また、石英とアルカリ長石の連晶組織も形成された。950℃から600℃まで、50℃/hの冷却速度で冷却した実験では、含水量の増加とともに、石英結晶は球晶状→放射樹枝状→羊歯状六花状に形態が変化した。
R7:岩石・鉱物・鉱床一般
  • 𡈽山 明, 中野 司, 上杉 健太朗, 上椙 真之, 竹内 晃久, 鈴木 芳生, 野口 遼, 松本 徹, 松野 淳也, 永野 ...
    セッションID: R7-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    FeのK吸収端(7.112 keV)を挟む2つのエネルギー(7 keVと8 keV)で同一のサンプルをCT撮影することにより、多くの鉱物の同定や固溶体組成を得ることを可能にし、鉱物の3次元空間分布を得る手法 (analytical deal-energy micro-tomography)の開発に成功した。この手法を、はやぶさ探査機により小惑星イトカワ表面から採取された粒子(30-180 μm)の初期分析に応用した。
  • 常 昱, 田近 英一, 後藤 和久, 関根 康人
    セッションID: R7-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    地球への天体衝突で発生するイジェクタの放出過程を明らかにする手段として、衝突起源物質である衝撃変成石英の平面変形構造 (Planar Deformation Features ; PDFs) がある.
    本研究では,チクシュルーブ・クレーター内の掘削試料 (YAX-1) の複数層準で衝撃変成石英のPDFsの方位角を測定し,その頻度分布を調べた.その結果,低圧から高圧まで幅広い圧力条件を経験した石英粒子が数日間にわたって衝突クレーター内部及び近傍に降下してきたことが明らかになった。 講演では,その詳細及びクレーター内部の結果を衝突地点近傍のキューバにみられるPDFsの鉛直分布を比較することによって,衝突クレーター内外に堆積した衝撃変成石英の鉛直分布及びPDFsの特徴やチクシュルーブ・クレーター近傍におけるイジェクタの経験圧力を明らかにし,その堆積過程について議論する.
  • 三宅 亮, 大井 修吾, 今栄 直也
    セッションID: R7-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    輝石は、Caに富む単斜輝石(空間群C2/c)、Caに乏しい単斜輝石いわゆるピジョン輝石(C2/c, P21/c)、プロトエンスタタイト(Pbcn)、低温型斜方輝石(Pbca)が古くから知られていた。近年になって、低温型斜方輝石と構造が異なるものの同じ空間群は同じである高温型斜方輝石(Pbca)の相平衡図上での安定領域が明らかになった。しかし、この高温型斜方輝石は低温では低温型斜方輝石への相転移するため、それらの区別がつかない。そのため、天然下での報告例は組成分析による報告が数例あるのみである。本研究では、溶け残り鉱物を含む微隕石中(TT001c5-48)に、空間群が同じにもかかわらず組成の異なる二種類の斜方輝石が共存することを見出したのでそれについて報告を行う。
  • 大和田 正明, 小山内 康人, 中野 伸彦, 足立 達郎, 米村 和紘, 吉本 紋, Jargalan Sereenen, Boldbaat ...
    セッションID: R7-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    中央アジア造山帯は原生代後期~中生代にかけて成長した,巨大造山帯である。モンゴルはこの造山帯の中央部に位置する。火成岩類の岩石学的・年代学的特徴から,モンゴル中央部は古生代における海洋地殻の沈み込みによる火山弧の形成と微小大陸の衝突によって形成されたと推察される。
  • 越後 拓也, 齋藤 庸一朗, 木股 三善, 清水 雅浩, 西田 憲正, 滝沢 茂
    セッションID: R7-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    日本に産する球晶鉱物は複数知られているが、その形成機構を詳細に研究した例は少ない。そこで本研究では、新潟県上川村の流紋岩質溶結凝灰岩に産する球晶に着目し、その形成機構を解明することを目的とした一連の分析・観察を行った。分析の結果、球晶を構成する鉱物はアルカリ長石とクリストバライトであり、その鉱物組み合わせ・共生組織・主要元素組成・微量元素組成から、本研究で対象とした球晶は、Caに富む外殻の形成→Naに富む内核の形成→多孔質構造を持った中間部の形成の3段階の過程を経て形成されたと推察された。
  • 松本 一郎, 坪田 智行, 亀井 淳志, 佐藤 大介
    セッションID: R7-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    島根県松江市には、「松江層玄武岩」(苦鉄質の溶岩層を中心とした岩石)が分布している。本研究では、松江層中の溶岩層の顕微鏡記載と全岩化学分析を行い、そのタイプ分けに成功した。また、クロムスピネルを発見し化学的な特徴を明らかにした。 本研究の結果、松江層玄武岩は、層序的に下位より茶臼山玄武岩、鼻曲玄武岩、上乃木玄武岩、津田安山岩質玄武岩、東光台玄武岩質安山岩、楽山安山岩質玄武岩の6つのユニットに分類され,全岩化学的に3種類の玄武岩,1つの玄武岩質安山岩、1つの安山岩に分類された。全岩のMg,CrおよびNiなどの値から玄武岩に分類されるものは、それぞれ起源の異なる初生的なマグマである可能性が示された.また、それらの一部からはクロムスピネルが見出され、そのCr#(Cr/(Cr+Al))は、0.2~0.4を示した。また、それらクロムスピネルと共存するかんらん石のFo値は88~86であった。
  • 兒玉 優, 三宅 亮
    セッションID: R7-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では東南極大陸Riiser-Larsenに産する片麻岩中にみられるternary feldsparの多様な離溶組織についてSEMによる組織観察およびEBSDによる方位解析をおこなった。その結果、ternary feldsparの離溶組織は(010)と(-901)の2種類の方位を持つ離溶ラメラで構成され、(010)の界面方位を持つ離溶組織はバルク組成においてoligoclase成分に富むternary feldsparに多く見られることがわかった。本研究で扱った片麻岩中のternary feldsparが多様な離溶組織を呈することは、ternary feldsparのバルク組成が異なることで、これらの2種類の離溶組織が異なる量比で出現することにより説明することが可能である。
  • 上田 匡将, 小澤 一仁, 小畑 正明
    セッションID: R7-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    超マフィック組成のシュードタキライト中に、特に注入脈シュードタキライト中に観察される、メルトの関与を示すスピネル岩片の特徴的な組織を紹介する。同組織は、クロムに富んだスピネル微粒子とその粒間を埋める相からなるコロナ状の組織であり、アルミに富んだスピネルを中心に含む。このコロナの厚さは、岩片が注入脈の壁から離れるに従って厚くなる。コロナを構成するクロムに富んだスピネル粒子は、中心に含まれるアルミに富んだスピネル粒子と同様の結晶方位を持つ。これらの組織的特徴は、高温の摩擦溶融メルトへのスピネル岩片の部分溶解によって形成したと理解することが出来る。コロナの外形は注入脈の内部ほど円形に近く、このことはスピネル岩片が単純溶解も被ったことを示している。かんらん岩の平衡溶融実験から、この単純溶解組織は摩擦溶融メルトの温度が1300-1500°Cを超えていたことを示す。
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