ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
15 巻, 1 号
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研究論文
  • ―唱道連合と政策志向的学習の変遷に着目して―
    原田 峻
    2015 年 15 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,2011年6月の特定非営利活動促進法改正と新寄付税制をめぐる政策過程について,唱道連合フレームワークを用いて分析した.民主党政権の発足直後には,自民党税調-財務省主計局連合の弱体化と「新しい公共」連合によるアジェンダ設定を受けて,「新しい公共」連合と外部の専門家による政策志向的学習が進められ,閣法でのNPO法改正・新寄付税制の大枠が固められた.だが,ねじれ国会によって民主党政権単独での政策実現が困難になると,「新しい公共」連合・NPO議員連盟・全国知事会という3つの唱道連合での調整が,衆議院法制局・総務大臣政務官を政策ブローカーとしながら進められた.そして,東日本大震災という外部ショックを受けながら,「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」を政策ブローカーとしてNPO議員連盟と背後の各党の調整が進められ,NPO法改正が議員立法として,新寄付税制が閣法として,それぞれ成立した.
研究ノート
  • ―ステークホルダーの言説を事例として―
    内藤 眞弓
    2015 年 15 巻 1 号 p. 13-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル フリー
    本稿は,難病対策の法制化に向けた議論が行われる中で,熟議民主主義および市民知が実現したかどうかを考察するものである.そのために,難病対策委員会とそれに付随するワーキンググループの議事録から,患者代表の言動を中心に,官僚や専門家とのやりとりを抽出し分析を行う.難病対策委員会が行われた期間を第1期から第3期までに分け,本稿が分析対象とするのは第2期と第3期である.第2期は難病対策の現状の課題出し,第3期は法制化を視野に入れた課題解決に向けての政策の検討が行われ,特に第3期で患者,官僚,医師の立場の違いが鮮明になる.分析の結果,官僚が現状の難病対策の転換を図るために熟議の場を提供し,民主的な正統性を確保しようと努めていることが示唆された.専門知や生活知を官僚が政策に取り込もうとしたのであって,相互作用の中で市民知が生まれたと考えるには疑問の余地が残った.
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