色覚異常の混同色でない色で配色し,その後,色覚異常が混同する色の間で色を変更するというカラーユニバーサルデザインとなる新しい配色手法が提案されている.しかし,この方法には,いくつかの問題点があるため,実用化されるまでには至っていない.そこで,本研究では,このカラーユニバーサルデザイン配色手法における問題点を明確し,その解決方法を提案した.さらに,市販の配色カードを用い,色見本セットを試作し,実用化に至るひとつの道筋を示した.
幼児を保育する幼稚園教諭や保育士は,幼児の様々な行動に注意を払っている.もし幼稚園教諭や保育士が,色覚異常を原因とする特定の行動に気づくことが出来れば,色覚異常の早期発見が期待できる.我々は,幼稚園教諭と保育士は色覚異常について知識を有しているか,また幼児の色使いなどの特定の行動に注意しているかについてアンケートによる調査を行った.調査対象は,福岡県内の9園に勤務する幼稚園教諭・保育士の計112名であった.アンケートは,用紙に回答を記入する方法で無記名とした.結果は,幼稚園教諭や保育士の色覚異常に対する知識は乏しく,色覚異常に関する学習資料が十分に活かされていないことが明らかとなった.また,色覚異常に気づくきっかけとして色名の使い方や絵を描くときの色使いが有効な可能性が示唆された.この結果を踏まえ,幼稚園教諭や保育士が学習しやすい色覚異常に関する情報提供のあり方を考える必要がある.
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