日本色彩学会誌
Online ISSN : 2189-552X
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43 巻, 2 号
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  • 松田  博子, 名取 和幸, 破田野 智美
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 43 巻 2 号 p. 69-
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/06/23
    ジャーナル フリー

    好きな色がパーソナリティと関係すると思っている人は少なくないが,パーソナリティが色の好みに影響を及ぼす理由についてはほとんど解明されていない.本研究は調査の季節,場所,対象者の年齢,職業を限定し,11年間継続して,延べ2026名(男性931名,女性1095名)の大学生の調査を行った.75色のカラーチャートから,「好きな色」,「着たい色」,「よく着る色」を選択するよう求め,後日YG性格検査を実施し,約半数の色にパーソナリティとの関係が示された.さらに,選択した「好きな色」,「着たい色」,「よく着る色」の色イメージ得点と,選択者のYG検査のパーソナリティ特性の12尺度得点との相関を求めた.男女とも相関が見られ,自らのパーソナリティによく似たイメージの色を好み,着たいと思い,よく着るという知見が得られた.また情緒安定性,協調性,思考的外向に男女の違いが見いだせた.

  • 國本 学史
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 43 巻 2 号 p. 81-
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/06/23
    ジャーナル フリー

    日本近代における色彩教育は,初等教育における色図教育を端緒として始まる.しかし,色図はわずか数年で教育制度から消失し,その後再び色彩の教育が教育制度に盛り込まれるまでかなりの時間を要している.色彩に関わる教育内容は,一律のものとはならなかった.色彩教育の非画一性や変化の多さは,社会環境・文化の変化とも関係している.例えば,水彩・油彩画趣味の流行に伴う西洋の色材・色名の流入と増加があった.また,漢文文化への倦厭の風潮が存在した.そして,戦争に伴う社会体制の変化もあった.本研究は色彩の教育を,美術教育や色彩教育という制度の枠組みの中のみで考察するのではなく,社会情勢・文化転換に伴う色彩文化の歴史的な変化の様子も併せて俯瞰 する.それにより,漠然と一元的に考えられがちな日本近代の色彩教育が持つ諸相を整理する.

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