日本色彩学会誌
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42 巻 , 6+ 号
日本色彩学会平成30年度研究会大会色彩科学系5研究会 合同研究発表会 発表論文集
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日本色彩学会平成30年度研究会大会色彩科学系5研究会 合同研究発表会
  • 桂 重仁, 須長 正治, 菱川 優介
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 1-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

    2色覚の色名応答は,色の呈示時間が長いと3色覚の色名応答と類似することがわかっている.また,異常3色覚は2色覚と3色覚の間の色覚特性であると考えられるが,どのような色名応答をするのか詳細はわかっていない.本研究では,異常3色覚の色名応答に着目し,色名応答の特徴や他の色覚特性による色名応答との類似性を明らかにすることを目的とした.

    実験では,呈示時間を50から3200 msec.の7条件で変化させ,1023色を1色ずつモニタに呈示した.被験者の課題は,呈示された色に対し14色名の中から1色名を答えることであった.被験者は,1型異常3色覚2名,2型異常3色覚2名,2型2色覚2名,3色覚5名であった.結果は異常3色覚,2色覚共に呈示時間が長くなると3色覚の色名応答に類似する傾向を示した.また,3色覚の色名応答との一致率は異常3色覚の方が2色覚より高かった.今回の実験からは,1型,2型の違いによる色名応答の差は明確にはならなかった.

  • 鈴木 卓治
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 5-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

    筆者は先に,ある2型3色覚者が,信号機や方向指示器等で普及が著しい黄色LED光について,ほんらいやや赤みがかった黄色である黄色信号灯の色が,LEDを用いた黄色信号灯ではむしろ緑がかった黄色に見えることなどを報告した.

    矢口らが2018年にJOSAにて発表した論文には,1型および2型の異常3色覚におけるL’錐体およびM’錐体の分光感度関数に関する考察,ならびに1型/ 2型異常3色覚者の色の見えの推定が示されている.本発表では,STのM’錐体の分光感度の推定について矢口の推定に従う形で実施し,既報の結果に整合する結果を得ることができたが,LED光の選定や実験の精度等を考慮した見直しが必要であることも明らかになった.

  • 須長 正治, 桂 重仁
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 9-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

    人間の色覚には,3色覚,異常3色覚,2色覚などの先天的な多様性があることが知られている.このような多様な色覚特性を行動科学的に分類する方法として,石原色覚検査表,パネルD-15テスト,Farnsworth-Munsell 100ヒューテスト,アノマロスコープなどの色覚検査がある.1型色覚と2型色覚に限定した場合,現在のところ,最も詳細に色覚特性を検査することができるのはアノマロスコープであるといえる.しかし,現在のアノマロスコープでは,1型または2型色覚の度合まで正確に測定しようとすると,赤緑比を細かく設定し,そこで単色光の黄色の輝度を調整しながら,等色するかどうかを判断しなければならず,比較的長い検査時間を要する.そこで,本研究では,被験者が赤緑の混色比を調整しながら,直接,等色が成立する赤緑範囲を求めることができる新しいアノマロスコープの製作を行った.

  • 首藤 廉太郎, 須長 正治, 桂 重仁, 矢口 博久
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 13-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

    ディスプレイのような三原色による測色的色再現は,標準観測者の等色関数に基づいているため,実際の観測者が必ずしも設計者が意図した色を観測するとは限らない.この現象はオブザーバーメタメリズムと呼ばれ,原色の分光分布が狭帯域の広色域ディスプレイでは,このオブザーバーメタメリズムが現れやすいことが報告されている.標準観測者の等色関数との差を考えた場合,最も差があるのは,異常3色覚である.そこで,本研究では,原色の分光分布の帯域特性が異なるディスプレイを用いて3色覚と異常3色覚の色の見えを測定し,ディスプレイおよび色覚特性の違いによるオブザーバーメタメリズムの現れ方を比較,検討した.

    その結果,広色域ディスプレイでの異常3色覚での測色値と色の見えとの差は,ΔEab*で30以上もあり,3色覚の3倍以上であった.さらに,AdobeRGB準拠の液晶ディスプレイでも20以上,sRGB準拠のCRTディスプレイでも15以上の色差が認められた. このことから,異常3色覚のオブザーバーメタメリズムは,ディスプレイの広色域化に伴い,より顕著になることが認められた.

  • 山添 崇, 舟木 智洋, 喜安 勇貴, 溝上 陽子
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 17-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     質感は物体から受ける印象を決定する主な要因であり,物体の好ましさや価値判断の指標の一つである.照明の指向性および拡散性が質感の印象に影響することは報告されている.しかし,どのような照明条件下で最も質感の印象が忠実に再現されるかについては,分かっていない.そこで,本研究では実物体観察時における質感の印象と照明条件の関係について検討した.実験では,初めに自然光源下において,被験者が視覚と触覚を用いて,実験刺激である食品サンプルの印象を形成した.その後,3種類の照度と3段階の拡散度の組み合わせ合計9条件の照明下において,実験刺激を観察し,最も印象に忠実な照明条件を選択した.同時に7件法の主観評価を行い,印象の変化についても評価を行った.実験の結果,拡散性の高い条件が最も記憶した印象に忠実な照明として選択された.また,7件法の主観評価では,拡散性による明確な印象の違いは得られなかった.ただし,刺激の種類により重さの評価等に違いがでたことから,拡散性の影響は物体形状や材質により異なると考えられる.以上より,印象を忠実に再現するために最適な照明の拡散性条件の決定が可能であることが示唆された.

  • 小野 郁美, 権谷 晴之, 藤枝 宗, 増田 豊
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 21-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     塗料メーカーのデザイナーが塗色作成を行う際,わかり得ない項目として「色と車両形状とのマッチング」がある.自動車塗色の開発において,光輝材と顔料を使いこなして魅力的な創色ができても,その色が特定の形状に塗られた見え方「面質感」までを把握して塗色開発を行うことは,カーメーカーから車両の形状データを入手しない限り不可能なことである.しかし,形状に合う魅力的な塗色を迅速に提案するためには非常に重要な視点である.

     本研究では,新型車両の形状データを得られない塗料メーカーのカラーデザイナーが,簡易的にボディカラーと車両形状とのマッチングを把握して塗色設計に展開できるツールを開発した.具体的には,画像解析ソフトを使用して,車両のボディ画像からヒストグラムデータを得て,形状の特徴を数値化し,開発色が車両に塗装された時の印象「一見視」を可視化して評価する方法の検証を行った.その結果,測色値と明度のヒストグラムから得られた形状データから簡易的に車両の形状によって生じる一見視の違いを,二次元のシミュレーション画像で可視化できることが明らかになった.本発表では,その作成方法と活用方法について述べる.

  • 山下 淑恵, 黒丸 大地, 市原 恭代
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 23-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     本研究では高齢化社会に向けて高齢層に対して色刺激と文字刺激を用いて印象評価実験を行い,傾向を探った.同時に若年層と高齢層での印象の共通点や相違点の有無について調査を行った.その結果,若年層と高齢層で緑色と青色以外の色では文字刺激と色刺激が似た傾向が表れた.若年層と高齢層の色刺激と文字刺激の印象評価において,高齢層では緑色の文字刺激はデンドログラムからオレンジ色や赤色のグループにあたる暖色系に属していることが判明した.また青色の文字刺激は若年層では感覚的に「暗くさみしい色」と捉えているのに対し,高齢層では「明るくにぎやかな色」として捉えていた.

     私達の生活は様々な色彩に包まれており,情報を得る手段の一つとなっている.色を知覚した際,その色に対して様々な印象や感想を持つ.それが色名による文字刺激であっても同様の印象を受けると考えられる.黒丸らが行った色刺激と色名についての印象評価実験では,若年層の被験者を対象に色刺激と文字刺激の提示を行い,受ける印象の差を調査した.その結果,緑色以外の色では色刺激と文字刺激にほとんど印象に差がないことが明らかとなっている.

  • 高橋 直己, 庄司 裕子, 坂本 隆, 加藤 俊一
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 27-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     研究の目的:(1)Webから収集した画像から色彩特徴を抽出することで,多数のデータとその色彩特性を客観的な手続きにより分析する手法を確立すること,(2)飲食店の価格帯ごとの色彩特徴の分析を行い,カラーデザインへの応用に資する知見を得ること.方法:Webクローリングにより飲食店のホームページから自動的に画像を収集した.その画像から人間が知覚する代表色特徴を抽出し,飲食店のホームページで使われる色彩の典型的なパターンを解析した.さらに飲食店の価格帯をレビューサイトより取得し,飲食店の価格帯ごとに代表色特徴の分析を行った.結果:飲食店のホームページで用いられる色彩特徴は無彩色と低彩度な橙が中心であった.価格帯ごとの代表色特徴の分析では,画像に含まれる代表色の彩度の平均値と,その画像の飲食店の価格帯との間に負の相関関係が認められた.これらの傾向は飲食店全般に共通する典型的な色彩分布と,価格帯による特徴的な色彩分布を表している.このような知見をもとに飲食店として使うべき基本的な色彩や,店舗が特徴を出すための色彩を得ることができた.

  • 前田 晃史郎, 平井 経太, 堀内 隆彦
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 31-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー
  • 鶴田 貴之, 眞鍋 佳嗣, 矢田 紀子
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 33-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     本研究では,これまで開発してきたHDR分光画像計測システムとマルチバンド3Dプロジェクタの技術を用いて,HDR分光画像の計測と表示を一連の処理で実現するシステムの構築を行う.本システムでは,正確な色再現の行うため入出力ともにマルチバンド画像を用いており,RGBカメラに補色フィルタを取り付けて撮影した9バンドの情報を入力し,ノッチフィルタを設置した2台のプロジェクタを用いて6バンドで表示する.入力画像を分光的な色再現を考慮しながら異なるバンド数に変換する行列を,進化的アルゴリズムの一種である共分散行列適用進化戦略(CMA-ES)により決定した.これにより,従来のHDR分光画像計測システムで生成されていた分光画像を作らずに,9バンドの情報から6チャンネル画像を表示することを可能にした.本発表では,表示結果を示すと共にその色再現について考察を行い,今後の課題について述べる.

  • 浅野 晃, 出口 絢那, 浅野(村木) 千恵
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 37-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     本研究では,製品の色の嗜好を,上の「事物の介在による選好の変化」という観点から検討する.ここでは,色そのものに対して持つ「選好」と,どういう色の製品を好むかという「嗜好」との違いに注目し,両者の一致度が各条件でどのように異なるかを調べた.調査では,まず色だけについての選好を被験者に尋ね,さらに,冷蔵庫・ノートパソコン・スマートフォンを対象として,色の嗜好を調べて,「色自身の選好」と「製品の色についての嗜好」を比較した.その結果,「選好」と「嗜好」の一致度は,製品によって異なるのみならず,男性と女性の間でも差があることが示唆された.とくに,女性は男性に比べて,製品が「身に付けるもの」かどうかが,色の選好と製品色の嗜好の一致度に影響している傾向が見られた.

  • 山下 真知子
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 40-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     色彩空間における味覚,嗅覚,広・狭感,時間的体感,記憶等,空間の色彩がヒトに及ぼす影響を探る.同時にこれまでの定説ともなっている色彩心理効果の内容を吟味検討し,今後,新たに空間色における色彩心理効果を体系的に提示する計画である.本報は昨年に続き第二報としてVRによる色彩空間での実験を通して,色彩空間が部屋の広・狭感の印象に及ぼす影響の手がかりを報告する.

  • 小寺 宏曄
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 44-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     色彩科学発展の裏には2つの歴史的成果がある.等色関数(1931CIE)の制定と,Matrix-R理論(1982~J. B. Cohen) の提唱である.等色関数は色彩を三刺激値として定量化したが,人が分光的に何を視ているかは解らない.射影子Rは,分光分布Cから人に視える基本分光成分C*=RCを抽出する.残差B=C ‒ C*は感知されない.射影子Rは,三刺激値に隠れていた分光情報に光を当て,初めてメタメリズムに明解な数学的解釈を与えた.本稿では,視覚の基本色空間(FCS)の構成法を論ずる.FCSは,Rから任意の3列E=[E1 E2 E3]を選び,正規直交化した基底F=GramSchmidt [E]が張る空間として定義される.正規直交化の際に,E行列の一つをEE白色の基本分光成分で置換すれば,完全反対色FCSが得られる.E行列は2列の選択でよく,分解能Δλ=1nmで351C2=61425通りの解が存在する.典型的な3つのFCSの幾何学的構造を示し,相互に3DのAffine変換で結ばれることを検証した.応用として,色覚異常の視えの推定と4色覚をもつ相思鳥の紫外像の推定事例を紹介する.

  • 室屋 泰三
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 48-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     絵画画像等の色彩画像の色変化の特徴を計量するために,Haar基底など完全正規直交系を用い,その展開係数をもとに絵画画像の色彩変化の特徴を計量的にとらえることを試みてきた.特に絵画画像の構図やタッチ等の様々な大きさの色変化に適応した関数系を構成し,色彩変化の特徴をより良くとらえる手法について考察を進めており,そのために任意波長を持つ完全正規直交系を構成した.これまで本提案手法とHaar基底それぞれの展開係数のパワースペクトルの収束について比較を行ってきたが,本発表では,再帰的分割した矩形領域の大きさと展開係数の関係が絵画画像の色彩的な特徴をどのように捉えているのかを実験的に観察するためにファン・ゴッホ美術館等の美術館が公開している作品画像群を対象に分析を行い,同一作家の複数画像による結果を通して,展開係数の意味付けを考察する.提案手法をファン・ゴッホ,モネ,レンブラントそれぞれの作品群に適用し,分割サイズと展開係数の変化を観察することにより,作品群の間に共通及び異なった傾向の両方が得られた.

  • 斎藤 了一, 富永 昌治, 堀内 隆彦
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 52-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     本研究では著名な印象派画家の色彩表現に着目して色使いの特徴解析を行っている.研究開始当初は,画家ごとの作品全体での色分布から主成分分析による解析や,3属性で作品ごとの平均値を用いた多面判別面による解析で色使い傾向を検討した.しかし,分布全体主成分や平均値では詳細な特徴を抽出し切れないため,画家ごとの色度点分布を属性ごとに均等分割し,分割中心値と分割域幅の関係を関数表現することで詳細な色特徴の解析を考案した.分割による近似曲線を数値表現した分割近似値による解析で,各画家のより詳細な色特徴を見出すことができた.対象としたのは,同時期に活躍した印象派のマネ,セザンヌ,ゴッホ,モネ,ルノアールの5画家である.本報では,前報までに対象とした全65作品に加えて作品数を新たに14作品増やして分割近似値を解析し,各画家ともに今までと同様な色特徴が得られており,分割近似値による手法が画家特有の色特徴の解析に有用であることを報告する.また,ルノアールとモネは蒐集してある作品が各年代に亘っており,本手法による色特徴解析で前期と後期での作品を分けた場合に,色使いの変化が見られるのでその特徴を報告する.

  • 安盛 花季, 三枝 千尋, 沖山 夏子, 黒谷 成幸
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 56-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     顔の印象はコミュニケーションにおいて重要な役割を持ち,笑顔や若々しさによって顔が魅力的に見えることが示されてきた.これらの知覚には顔の形状が関わることが知られている.一般に,物体の形状は表面のツヤの分布によって異なって知覚されるため,肌のツヤを制御することで,形状に基づいて判断される顔印象を変化させることが可能と考えられ,その効果は顔自体の立体形状により異なる可能性がある.また,明度が高い顔は低い顔よりもポジティブな表情に評価されることから,顔の印象は肌の明度により異なる可能性がある.

     本研究の実験1では年代・顔型・表情の異なる顔画像のツヤ強度を変化させることで,ツヤが顔印象評価に与える影響を,実験2では顔画像のツヤと明度が笑顔印象評価に与える効果の違いを検討した.実験1では,ツヤ強度の上昇に伴って顔の魅力,笑顔,若々しさ評価が高まり,ツヤによって顔の印象が異なって知覚される可能性が示唆された.実験2では,顔の年代により顔の明度とツヤが笑顔印象に及ぼす効果が異なり,肌のツヤが顔印象に効果を及ぼすメカニズムは顔の特徴によって異なることが示唆された.

  • 宮崎 綾乃, 田代 知範, 山内 陽子, 山内 泰樹
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 58-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     パーソナルカラー診断に用いる属性である「清色・濁色」について,肌の印象や質感が違って見えることは主観的には広く認められているが,測色値から算出する色差などによる客観的な裏付けがなされておらず,客観的評価を行う上での着眼点も定まっていない.本実験はこの着眼点を見つける第一歩として,「清色・濁色」に関する主観的評価と色相,明度,彩度の関係を明らかにすることを目的とした.パーソナルカラー診断に用いられるドレープ(7色)と肌パッチ(ブルーベース,イエローベース)より周辺色刺激を作成し,その中央にある肌色の印象について被験者9名に10項目のアンケート方式により回答させた.結果から,シーズンに関わらず中~低明度の色刺激では清色の印象を受けやすく,高~中明度の色刺激での評価が濁色の印象を受けやすい傾向が見られた.また,清色の色刺激で濁色,または濁色の色刺激で清色の評価を受けてしまう色刺激や,清色とも濁色ともとれない結果になった色刺激も存在した.これらは明度や彩度が相互関係を持った上で,非線形に中央の色刺激の色の見えに影響を与えている可能性が考えられるが,今後さらに詳細にデータを収集する必要がある.

  • 王 詩洋, 若田 忠之, 齋藤 美穂
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 62-
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

     近年,中国では若年女性が化粧に対する関心度が高まり,化粧習慣のある女性が増えていることが報告され,一方で,チークに対する関心度が日本より低いという現状がある.そこで本研究は日本在住中国人留学生と中国在住中国人大学生を対象にし,住む環境や地域によるチークメイクに対する印象に違いがあるかを検証するため,平均顔を用いて色(5色),濃度(高濃度・低濃度),仕方(丸形・細長型)を変化させたチークメイクを施した刺激に対して,SD法印象評価を行った.因子分析の結果,「魅力因子」,「華やかさ因子」の2因子が得られた.因子得点に対して,地域とチークメイクの色,仕方・濃度の3要因分散分析を行った結果,各因子において“地域と色,濃度・仕方”の2次交互作用および“地域と色”,“地域と仕方・濃度”の1次交互作用は見られなかったが,“仕方・濃度と色”の交互作用が認められた.下位検定および多重比較の結果から,低濃度で丸形及びピンク系のチークメイクがより魅力的,好ましいと評価され,高濃度のチークメイクは低濃度より明るい,派手の評価が高いが,色についてはオレンジ系のチークメイクは他の色より暗い,地味と評価された.

  • 竹尾 和孝, 田代 知範, 井澤 尚子, 山内 泰樹
    2018 年 42 巻 6+ 号 p. 66-
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2019/01/29
    ジャーナル フリー

      水彩効果(watercolor effect:以下WCEと称する)は,2001年にPinna, Brelstaff&Spillmanによって報告された新しい同化現象である.一般的に内側-外側に有彩色2色の対を用いて図柄の輪郭を描くことにより,内側の囲まれた領域に内側の色が水彩画のように滲んで感じられる拡散効果と,図と地の成立を決定する2つの特徴がある.同化現象の強弱には輪郭線や色の条件が数多く報告されている一方で,条件の一つに輪郭線を曲線にするとWCEは強くなるという事例があるが,原因や,曲線を変調することによってWCEの強さは変化するのか,メカニズムは明らかにされていない.今回は,輪郭曲線の周波数と振幅をパラメータとし,変調によるWCEの強さの変化の評価と傾向を調査することを目的として,各パラメータの刺激画像を5枚ずつ作成し,一対比較法を用いて実験を行った.

     その結果,各場合でWCEにピークが存在し,ピークに達すると低下する傾向が見られた.また,色の組み合わせで傾向に差があり,WCEが強く感じられる色の組み合わせ時ではパラメータの変調を行うも,大きな変化が生じないことが示唆された.

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