日本色彩学会誌
Online ISSN : 2189-552X
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42 巻, 4 号
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  • 中村 信次, 野寺 綾
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 42 巻 4 号 p. 161-
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     FUMIE(Filtering Unconscious Matching of Implicit Emotions)テストを用いて無彩色(白,黒,灰)に対する潜在的嗜好を,4週間の間隔を空けて反復計測し,視覚的連続スケール(Visual Analogue Scale: VAS)により同時に計測された顕在的無彩色嗜好と比較した.FUMIEテストの結果は,VAS計測よりは低いものの,一定程度の反復計測安定性を示し,潜在的色嗜好計測手法としてのFUMIEテストの信頼性が示唆された.これまでのIATなどの潜在的態度計測手法を用いた検討において繰り返し示されてきた潜在-顕在指標間の乖離は,本研究においても同様に示されており,「潜在的な黒忌避が,顕在的には表出されにくい」ことなどが,単一概念に対する計測を可能とする本手法を採用することによって初めて明らかにされた.

  • 高橋 直己, 坂本 隆, 加藤 俊一
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 42 巻 4 号 p. 170-
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,複雑な色彩特徴を持つ画像から代表色を抽出する人の知覚過程を参考にして,データ分析に基づく代表色抽出手法を提案することである.人は画像を見たとき,画素の一つ一つを知覚するのではなく,画像全体を俯瞰して少数の代表色を知覚し,それに基づいて色彩特徴を認識する.また,画像を見て瞬時に直感的に,色彩イメージを想起したり,色彩特徴によるグループ分けをしたりする.こうした人の知覚・認知機能をコンピュータで代替する技術は未だ確立されていない.本研究では,画像に応じて代表色の色数が適応的に決まらない既往研究の問題点に着目し,画像領域分割と階層クラスタリングをあわせた方法でこの問題を解決した.また人間が抽出した代表色と提案手法が推定した代表色の距離を評価基準とし,代表色抽出法の比較評価を行った結果,従来手法より提案手法の方が統計的に人間の抽出結果に近い推定をすることが示された.

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