日本色彩学会誌
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40 巻, 6 号
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  • 滝沢 正仁, 石黒 陽平, 木嶋 彰
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 40 巻 6 号 p. 187-197
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    人の肌,あるいはそれを表現する絵画において,透明感という質感表現は重要なテーマの一つである.メイクアップ化粧品における肌の透明感の演出方法には,赤色光を透過させる,青色光を反射させる,均一にする,光沢を付与するといったものがあるが,本研究ではそれらに付加する新たな透明感演出方法を確立する試みとして,肌の質感を表現するために用いられる絵画技法から見出された“ 複層構造であることを知覚させる演出効果” に着目し,その知覚メカニズムの分析,および評価法の開発を行った.その結果,画像の多重解像度解析によって分解された各帯域の標準偏差を比較した際に,特定の帯域で生じるギャップによって複層構造が知覚されること,ギャップの強度を示す指標値によって複層構造の知覚を評価できることを明らかにした.

  • 菊地 久美子, 片桐 千華, 吉川 拓伸, 溝上 陽子, 矢口 博久
    原稿種別: 原著論文
    2016 年 40 巻 6 号 p. 195-205
    発行日: 2016/11/01
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    顔の肌色は,肌色に対する嗜好やそれに伴う化粧行動などに影響を受け,時代によって変化することが示唆されている.1990年代初頭と比較し,2000年代初頭の日本人女性の肌色は,明度が上昇,彩度が低下,色相が黄みへ変化したことが確認されているが,2000年以降の変遷については明らかにされていない.その背景には,多くの女性の肌色データの収集が困難なことに加え,同一測色計の維持の難しさがある.本研究の目的は,異なる分光測色計を用いて得られた肌色データを比較可能とするための補正式を構築し,日本人女性の肌色分布の長期的な変遷について明確化することである.まず,異なる分光測色計を用いて肌の同一部位を測定し,その差異を確認した上で,肌の分光反射率の補正式を構築した.さらに,2005年と2015年に約2000名の日本人女性の頬部を測色し,補正式を適用した1990年代初頭のデータ,2001年代初頭のデータと比較することで,約25年間の肌色分布の変遷を明らかにした.2000年以降,日本人女性の肌色分布は低彩度・赤みへシフトしたことが確認された.

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