人間にとって色は,構造物のような大きな物から菓子類などの小さな物までの種類を識別するための,重要な情報である. その色も,観察する光環境によって大きく左右される. 産業技術総合研究所・関西センターでは,戦後間もない時代から,測色,色の標準化,光と色との関係等,内外での規格策定(JIS:日本工業規格,CIE:国際照明委員会) に貢献してきた.本稿では,工業技術院時代と産業技術総合研究所の2つの時期に分けて,色彩学,照明学の代表的な事例について,基礎から発展に至る歴史的展開を紹介する. 工業技術院時代に築いた基礎的成果を,メンバー全員入れ替わった産業技術総合研究所における製品開発,産業への応用化に繋げた過程について,できるだけ平易な表現で述べる.具体的な内容としては,フルカラー照明装置と物体色の分光反射率を中心に扱った.