日本色彩学会誌
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42 巻 , 1 号
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  • 北嶋 秀子
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 42 巻 1 号 p. 15-
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/02/07
    ジャーナル フリー

     暈繝彩色は7 世紀に中国からわが国へ伝来した彩色技法である.主に仏教的なものに使用され,「鮮やかな多彩感」や「立体感」を表す.中国と日本の暈繝彩色は,同じ画材,同じ描法であるにも関わらず,違いが認められる.敦煌莫高窟に代表される中国の暈繝彩色は「立体感」を,それに対して日本の場合は,「鮮やかな多彩感」を重視した.その結果,日本の暈繝彩色は平面的で,その後装飾的なものになったと考えられる.

     本稿ではもともと立体感を表す彩色技法であった暈繝彩色が,なぜ日本では平面的で,後に装飾的になったのかを考察した.奈良時代までは立体感を帯びた暈繝彩色であったが,徐々に日本独自の暈繝彩色へと変容する.そこには当時の平面的な絵画(仏画)の影響があり,その変容の時期は,密教請来との関係が考えられる.

     8 世紀に立体的であった暈繝彩色は,9 世紀の過渡期を経て,10 世紀に平面的になった.そして11 世紀の平等院鳳凰堂では,平安貴族の耽美主義の影響により,装飾性を重視した暈繝彩色へ推移したと考えられる.日本の暈繝彩色で「鮮やかな多彩感」をどこよりも発揮しているのが,平等院鳳凰堂である.

  • 佐々木 三公子, 川端 康弘
    2018 年 42 巻 1 号 p. 27-
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/02/07
    ジャーナル フリー

     本研究では,カテゴリ境界色を色典型性の高い物体または低い物体の画像に着色し,典型色の知識が色記憶の変化方向に与える影響を検証した.実験1の結果,同じ境界色を着色した場合でも,物体によって色相の変化方向が異なり,色典型性の高い物体条件では呈示されたそれぞれの物体の典型色方向に近づくことが分かった.また,実験2では実験1の結果が色カテゴリよりも典型色の影響を強く受けたことを示すために,実験1で用いた呈示色をカラーチップ画像にして色カテゴリ分類課題を行った.実験2で分類したカテゴリが,実験1で呈示した物体の典型色と異なった場合,記憶の変化方向がカテゴリのフォーカル色と典型色のどちらに近づいたか集計した結果,物体の典型色方向に変化した割合が有意に多かった.一方,色典型性の低い物体の場合にはフォーカル色方向に近づく割合が多かった.このことから,色典型性が高い場合,物体色の記憶は物体の典型色の影響を受けて典型色方向に変化することが示唆された.

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