本研究は,食品の種類と色彩が同時に与えられた場合に推測される食材とイメージされる味覚を把握することを目的としている.パスタソース,ドレッシング,アイスクリーム,飲み物の4種類の食品が8つの色彩だったときに,何の食材が含まれているかを推測する調査を実施した.その結果,同一の食品でも色彩によって,同一の色彩でも食品によって推測される食材は大きく異なることとなった.ある食品に野菜が含まれることが多いのか,果物が含まれることが多いのかという経験知によって,推測される食材の範囲は限定される.特に,赤・橙・緑・紫でその傾向は顕著であった.また黄は,一般的に酸味がイメージされるが,これは柑橘類の果物を類推するためであり,パスタソースのような料理では卵が推測され濃厚な味覚がイメージされることとなる.色彩による味覚のイメージは,食品に含まれる食材の推測と,色彩自体が備える象徴性と心理的効果とが合わさって形成されるものと考えられた.
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